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アパート経営に確定申告は必要!経費にできる費用や注意点をわかりやすく解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • アパート経営の収入は不動産所得として申告が必要

  • 必要経費として認められる項目と認められない項目を正確に把握

  • 確定申告は早めの準備と正確な記帳が重要

アパート経営を始めて家賃収入が発生すると、確定申告を行う必要があります。確定申告は、前年度の不動産収入に基づいて所得税や住民税を確定させるために重要な手続きです。

アパート経営を行うオーナーが確定申告を行う際には、経費として計上できる項目と計上できない項目を正確に理解することが必要です。これにより、適切な税額を申告し、無駄な支払いを防ぐことができます。

本記事では、初めてアパート経営を始めた方や、相続でアパートを引き継いだ方が、自分で確定申告を行うために必要な情報を詳しく解説します。確定申告の基礎知識から、経費として認められる費用や注意点まで、分かりやすく説明していきます。

これを読むことで、アパート経営における確定申告のポイントを把握し、自信を持って申告手続きを進めることができるでしょう。それでは、アパート経営の確定申告について詳しく見ていきましょう。

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目次

アパート経営で得た収入は不動産所得?事業所得?

所得が発生すると、所得税や住民税が課されます。これらの税金は、所得の種類に応じて10種類に分類され、それぞれの計算方法が異なります。例えば、サラリーマンの給与は「給与所得」に該当し、個人で事業を行っている場合は「事業所得」として扱われます。

アパート経営を始めると、多くの方が家賃収入の所得区分について疑問を持つことでしょう。事業所得と混同しがちですが、アパート経営による家賃収入は「不動産所得」として分類されます。ここで、アパート経営の収入がなぜ不動産所得になるのかを詳しく解説します。

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アパート経営で得た収入は「不動産所得」

アパート経営で得られる家賃収入は、しばしば事業所得と混同されがちですが、実際には「不動産所得」に分類されます。これは、アパートや建物、土地の貸付けから得られる収入が対象となります。したがって、アパート経営者が得る家賃収入は、基本的に不動産所得として取り扱われるのです。

不動産所得とは、不動産の貸付けによる収入から必要経費を差し引いた金額を指します。アパートの家賃収入だけでなく、駐車場や土地を貸した場合の収入も不動産所得に含まれます。このため、アパート経営で得た収入が不動産所得に分類されるのは一般的です。

ただし、例外も存在します。例えば、賄い付き下宿のように、部屋を貸すだけでなく食事を提供する場合は、「役務の提供」が含まれるため、「事業所得」または「雑所得」として扱われることがあります。同様に、有料駐車場の運営で保管責任を伴う場合も、事業所得または雑所得に分類される可能性があります。

これらの例外に該当する場合、所得の種類が異なるため、計算方法や申告方法も変わります。このため、アパート経営を始める際には、自分の収入がどの所得に該当するのかを正確に把握することが重要です。

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不動産所得の計算方法

アパート経営や自宅を賃貸に出す際に得られる不動産収入は、その全額に税金がかかるわけではありません。実際の収入から様々な経費を差し引いた金額が不動産所得となります。この章では、不動産収入の範囲と、経費として認められる出費の範囲について詳しく解説します。

<不動産所得の基本的な考え方>
不動産所得 = 不動産収入 – 経費

ここで重要になるのは、不動産収入として認められるものと、経費として計上できるものです。まずは、不動産収入の具体例から見ていきましょう。

不動産収入に該当するもの

1.家賃収入
アパートや建物の貸付による家賃収入。

2.名義書換料、承諾料、更新料、頭金
不動産の貸付けに関連して受け取る各種手数料。

3.返還不要の敷金や保証金
賃貸契約時に受け取る敷金や保証金のうち、返還が不要なもの。

4.共益費等の受領金
電気代、水道代、掃除代などの名目で受け取る費用。

これらが不動産収入に含まれる代表的な項目です。特に注意すべきは、敷金と礼金の扱いです。敷金は通常、退去時の修繕費用などに充てられるため、返還義務がありますが、礼金は返還不要のため、不動産所得に含まれます。

「礼金不要」の物件が増えていますが、敷金の一部を返還しない契約(敷引)も存在します。この場合、敷引き部分は賃貸契約が成立し、部屋が引き渡された時点で不動産収入として計上する必要があります。

後章では、不動産所得を計算する際に経費として認められる出費の具体例を詳しく説明します。適切に経費を計上することで、課税対象となる所得を減少させることができ、結果として納税額を抑えることが可能です。

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アパート経営で確定申告が必要な人

アパート経営やマンションを賃貸に出すオーナーには、不動産所得に関連して確定申告が必要な場合と不要な場合、そして実施したほうがお得な場合の3つのパターンがあります。ここでは、確定申告が必要となる場合について、不動産所得の観点から詳しく見ていきましょう。

年間の不動産所得が20万円を超える場合

一般的に確定申告が必要な条件には、以下のようなものがあります。

・給与収入金額が2,000万円を超える人
・公的年金等の収入金額が400万円以上の人

これに加えて、アパート経営のオーナーが確定申告が必要かどうかを判断する際には、給与や公的年金などの収入以外に、不動産所得が20万円を超えるかどうかが重要なポイントとなります。

つまり、不動産所得を含めて、源泉徴収されていない部分の収入が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要があります。このため、多くのアパート経営者にとって、確定申告が必要になるケースが多いのです。

アパート経営の確定申告で必要経費にできるものは?

アパート経営において、必要経費として計上できるかどうかの判断基準は、「支払いがアパート経営に直接関係しているかどうか」によります。

アパートの管理を委託した際に支払う管理費や共用部分の修繕にかかった修繕費などは、アパート経営に直接関係しているため、必要経費として計上することができます。しかし、個人的な食事代やアパートローンの元本返済部分は、アパート経営には直接関係していないため、経費として計上することはできません。

したがって、アパート経営の経費として計上できるかどうか判断に困ったときは、その費用がアパート経営に直接関係しているかどうかで判断しましょう。以下に、具体的に必要経費として計上できる例を紹介します。

租税効果

アパート経営に関する税金の一部は、経費として計上することが可能です。以下のような税金が対象となります。

・登録免許税
アパートを取得した際に発生する税金で、所有権移転や抵当権設定の際に支払います。

・不動産取得税
不動産を取得した際に課税される都道府県税で、一度限りの支払いです。

・印紙税
アパート購入時の契約書に貼付する収入印紙の費用です。

・固定資産税
毎年支払う税金で、アパートの土地や建物に対して課税されます。

これらの税金は、アパート経営に直接関連しているため、必要経費として計上できます。登録免許税や不動産取得税、印紙税はアパート取得時に一度だけ支払いますが、固定資産税は毎年発生するため、継続的に経費として計上することが重要です。

借入金の利息

アパートローンの利息部分は、アパート経営における必要経費として計上することができます。具体的には、ローン明細書に記載されている利息部分のみが経費として認められ、元本部分は減価償却の対象となります。

アパートローンを利用している場合、毎月の返済額には利息と元本の両方が含まれていますが、確定申告で経費として計上できるのは利息部分のみです。これは、元本返済が資産の購入に対する返済であるためであり、減価償却を通じて毎年少しずつ経費として計上する仕組みになっています。

借入金の利息を経費として計上することで、課税対象となる所得を減少させることができ、結果として所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。このため、ローンを利用してアパート経営を行う場合には、利息の経費計上を忘れずに行いましょう。

管理費用

管理費用とは、アパート経営において発生するエレベーターや防火設備の点検費用、共用部分の清掃費用、保守管理費用などを指します。これらの費用は、アパートの運営に直接関わるため、必要経費として計上することができます。

管理費用には、以下のような具体的な項目が含まれます。

・設備点検費用
エレベーターや消防設備などの定期点検にかかる費用。これらの設備の安全性を確保するためには、定期的な点検が必要です。

・清掃費用
共用部分の清掃にかかる費用。廊下や階段、エントランスなどの清掃を業者に依頼する場合も含まれます。

・保守管理費用
建物全体の維持管理にかかる費用。例えば、外壁の塗装や屋根の補修などが該当します。

自分で管理を行う場合だけでなく、賃貸管理業務を不動産管理会社や専門業者に委託した場合にも、委託先に支払う賃貸管理手数料を経費として計上することができます。

賃貸管理手数料には、以下のような費用が含まれます。

賃貸管理手数料
賃貸管理業務を不動産会社や外部業者に依頼した際に発生する費用。管理業務全般を委託する場合や、特定の管理項目のみを委託する場合があります。

これらの費用を経費として正確に計上することで、アパート経営にかかる実際の費用を明確にし、課税所得を減少させることが可能です。経費を適切に計上するためには、すべての支出を記録し、領収書や請求書を保管しておくことが重要です。

減価償却費

アパート建築費は、アパート経営において重要なコストですが、その金額が大きいため、一度に全額を経費として計上することはできません。アパートのような高価な資産は、建物の使用可能な年数に分けて、その金額を経費として計上します。このプロセスが「減価償却」です。

減価償却費とは?

減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産(例えば建物や設備など)に対して行う会計処理です。固定資産である建物や機械装置は、年数が経過することでその価値が減少します。その減少額を毎年の経費として計上することが減価償却です。以下にその詳細を説明します。

減価償却資産
建物や設備などの固定資産が該当し、時間とともに価値が減少します。

非減価償却資産
土地は価値が減少しないため、減価償却の対象とはなりません。

減価償却費の計算方法には主に2つの方法があります。

・定額法
毎年一定額を経費として計上する方法です。個人事業主の場合、法定償却方法はこの定額法が基本となります。

・定率法
毎年一定の率で経費を計上する方法です。届け出を行うことでこの方法を選択することも可能ですが、建物の償却には定額法のみが適用されます。

<定額法の例>
購入費用:1,100万円
法定耐用年数:22年
年間減価償却費:1,100万円 ÷ 22年 = 約50万円

このように、毎年50万円を経費として計上します。2年目以降は、実際の出費がないにもかかわらず経費として計上できるため、その分だけ所得税や住民税の負担を減らすことができます。

個人事業主の場合、法定償却方法は定額法です。届出をすることによって定率法を選択することもできますが、建物の償却法は定額法しか選択できません。

減価償却費を適切に計上することは、アパート経営における節税対策の一環として非常に重要です。経費計上を正確に行い、確定申告の際に適切に処理することで、経営効率を高めることができます。

修繕費用

アパート経営中に発生する修理やリフォームにかかる費用は、全額を経費として計上することができます。ただし、この場合の修理やリフォームは、建物や室内の状況を現状維持させるためのものである必要があります。例えば、壁の修繕や屋根の補修、設備の交換などが該当します。

一方、修繕によって建物や設備の価値を高めたり、使用可能期間を延長する場合は資本的支出とみなされます。この場合、修繕費用を建物の資産として計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。具体的には、大規模なリノベーションや設備のグレードアップなどがこれに該当します。

その他雑費(アパート経営に関係する費用)

アパート経営・家を貸す場合に関連するその他の費用も、必要経費として計上することができます。以下に具体例を挙げます。

・交通費:アパートの管理や運営に関連する移動にかかる交通費。
・雑費:事務用品や清掃道具など、日常的な経営に必要な小物の購入費用。
・通信費:入居者や管理会社との連絡に使用する電話やインターネットの費用。

また、普段の生活で使用しているものをアパート経営に利用する場合、その費用も按分して経費として計上することができます。これを「家事按分」と呼びます。

家事按分による経費計上は、実際の使用割合に基づいて正直に申告することが重要です。按分割合は現実的な範囲(通常は50%以下)で設定し、過大な按分は避けるべきです。確定申告の際に税務署から確認を求められる可能性があるため、事実に基づいた按分を行いましょう。

経費の按分が難しい場合や不明な点がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。

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アパート経営の確定申告で経費にできないもの

アパート経営を行う際に、必要経費として計上できないものについても具体的に確認しておきましょう。

税金(所得税・住民税)

支払済みの所得税や住民税は、前年の所得に基づいて課されるものであり、当年度の所得額を計算する際の経費には含まれません。これは、所得税や住民税が個人の所得に対して課されるものであり、アパート経営に直接関連する支出ではないためです。

一方、固定資産税は経費として計上できます。固定資産税は、アパート経営を行う上で必要な土地や建物に対して課されるものであり、アパート経営に直接関係するため、必要経費として認められます。

借入金の元本返済

アパートローンを返済する際にかかる利息部分は経費として計上できますが、元本部分は経費として計上することはできません。元本返済は資産の購入に対する返済であり、経費ではなく資産計上されるためです。一方、利息はアパート経営に必要な費用と見なされるため、経費として計上できます。

アパート経営に関係のない費用

プライベートで利用した費用は、経費として計上することができません。例えば、個人的な外食費や娯楽費用は、アパート経営には直接関係がないため経費にはなりません。ただし、アパート経営に関連するセミナーや懇親会の費用は経費として計上することができます。

経費として計上する場合は、レシートや領収書に詳細を記載し、プライベートな支出と区別して管理することが重要です。具体的には、誰と行ったか、何の会合だったかを明記し、明確に区分けしておくことで、確定申告の際に問題が生じることを防ぎます。

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アパート経営で確定申告をする際の注意点

アパート経営や一軒家を貸し出す場合における確定申告には、いくつか注意すべきポイントがあります。以下では、その重要な点について詳しく説明します。

不動産所得の収入計上時期

所得税は暦年課税であるため、その年の1月1日から12月31日までの所得が対象となります。確定申告は翌年の2月16日から3月15日までの間に行わなければなりません。そのため、申告時期に遅れないように、早めに準備を始めましょう。具体的には、以下の点に注意してください。

・収入と経費の計算
その年の収入から経費を差し引いた所得を計算します。この際、未払いの家賃も収入に含めて計算する必要があります。

・必要書類の準備
領収書や契約書、収支計算書など、確定申告に必要な書類を揃えておきます。これらの書類は、税務署からの確認に備えてしっかりと保管しておくことが重要です。

・申告期限の遵守
確定申告の期限に遅れないように、計画的に申告準備を進めましょう。期限内に申告を行わないと、ペナルティが課される可能性があります。

青色申告の場合は控除額によって書類が異なる

確定申告には「青色申告」「白色申告」の2種類があります。「青色申告」を選択すると、さまざまな特典が得られ、その一つが「青色申告特別控除」です。この控除は、申告内容に応じて65万円、55万円、10万円の3つの額に分かれています。それぞれの控除額を受けるために必要な書類と条件について説明します。

□控除額が65万円の場合

65万円の青色申告特別控除を受けるためには、以下の書類条件を満たす必要があります。

1.電子帳簿保存
電子帳簿保存法に基づき、帳簿を電子的に保存します。これは、紙の帳簿よりも正確な管理が可能となり、税務署からの信頼度が高まります。

2.電子申告
確定申告書を電子申告(e-Tax)で提出します。電子申告を利用することで、提出手続きが簡便になり、控除を受ける条件にもなります。

3.複式簿記
複式簿記で帳簿を作成します。これは、収入と支出の両方を記録するため、正確な経営状況を把握するのに役立ちます。

4.貸借対照表と損益計算書の作成・提出
これらの書類を作成し、確定申告時に提出する必要があります。貸借対照表は資産と負債の状況を、損益計算書は収支の状況を示します。

□控除額が55万円の場合

55万円の青色申告特別控除を受けるためには、以下の書類条件を満たす必要があります。

1.複式簿記
複式簿記で帳簿を作成します。収入と支出を正確に記録するための基本的な方法です。

2.貸借対照表と損益計算書の作成・提出
これらの書類を作成し、確定申告時に提出します。

電子帳簿保存や電子申告は必須ではありませんが、複式簿記での記帳と書類の提出が必要です。

□控除額が10万円の場合

10万円の青色申告特別控除を受けるためには、以下の書類条件を満たす必要があります。

1.簡易簿記
記帳方法は簡易簿記で構いません。簡易簿記は、収入と支出を簡単に記録する方法で、経理に不慣れな人でも取り組みやすいです。

2.損益計算書の作成・提出
損益計算書を作成し、確定申告時に提出します。これは、1年間の収支をまとめた書類です。

それぞれの控除額に応じて、必要な書類と条件が異なるため、どの控除を受けるかを早めに決めておくことが重要です。確定申告の時期に書類の再作成を避けるため、計画的に準備を進めましょう。書類の不備や条件の不満足により、予定していた控除を受けられなくなることがないよう、慎重に対応してください。

確定申告の流れ

初めての確定申告は不安になるものですが、現在ではネットやスマホ上で必要な項目を入力するだけで確定申告ができるフォーマットが整備されているため、手続き自体は比較的簡単になっています。

しかし、1年分のデータをまとめて入力するのは大変な作業となるため、日頃からこまめに記録を整理しておくことが重要です。少なくとも1~2ヶ月に一度はレシートや領収書を整理し、何にいくら使ったかを記録する習慣をつけましょう。

記帳はExcelなどの表計算ソフト、自作の帳簿、専用の会計ソフトやアプリを使っても良く、手書きでも問題ありません。大切なのは、オーナー自身がアパートからの収入と支出を正確に把握できるようにすることです。

確定申告のステップは以下の通りです。

ステップ1. 収入と経費を計算

確定申告の受付期間は毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間です。確定申告の準備として、前年の1月1日から12月31日までに発生したアパート経営に関わるすべての収入と経費を計算しておきます。

アパート経営の収入には、通常の家賃収入に加えて駐車場代、返済不要な保証金や敷金、礼金が含まれます。これらの不動産総収入から必要経費を差し引いたものが、実際の不動産所得となります。

ステップ2. 確定申告書類の作成

多くの場合、初めてアパート経営を始めるときは白色申告です。青色申告を選ぶ目安は、アパートやマンションで10室以上ある、または戸建て住宅を含め経営するアパートやマンションが5棟以上ある場合です。

国税庁のホームページには、白色・青色それぞれの申告書があり、ダウンロードして使用することができます。また、最寄りの税務署に行けば手書きの帳票類を無料でもらえます。確定申告に添付する必要のある帳票類は、確定申告書に記載されています。

確定申告書の作成は、普段から経費記録のために会計ソフトやアプリを使っている方は、ネット経由で簡単に作成できます。その他の方は、国税庁が提供している「確定申告書作成コーナー」を利用すると、必要事項を入力するだけで申告書が自動的に作成されます。

ステップ3. 税務署に確定申告書類を提出

書類が完成したら、オーナーの住民票がある税務署に提出します。経営しているアパートがオーナーの居住地とは異なる場所にあっても、オーナーの住んでいる自治体に提出してください。

確定申告書の中にはアパートの住所を書く場所がありますので、固定資産税などはアパートがある自治体で計算されます。

提出方法は以下の3通りです。

1.税務署へ持参
確定申告書類一式を税務署に持っていく方法です。混雑していなければ、受付担当者が書類を確認し、不備がないかをチェックしてくれることもあります。

2.税務署に郵送
書類一式を郵送で送る方法です。普通郵便、レターパック、宅配便など、任意の方法で送ることができます。

3.インターネット申告
国税庁の「e-Tax」を使ってインターネットで申告する方法です。電子納税を選択すると、ネットバンキングやクレジットカードで納税額を支払うことができます。還付金がある場合も、ネット申請で振込先を指定できます。インターネット申告には事前にマイナンバー登録などが必要となるため、事前準備をしておきましょう。

確定申告を円滑に進めるために、日常的に収支の記録を整理し、必要な書類を揃えておくことが大切です。計画的に準備を進め、正確な申告を行いましょう。

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よくある質問

アパート経営する際の確定申告でよくある質問をまとめました。

質問①アパート経営で赤字の場合は確定申告は不要?

アパート経営が赤字の場合、所得がないため、確定申告をする必要は基本的にはありません。しかし、確定申告を行うことで有利になるケースがあります。

税法上、不動産所得は会社の給与所得とは別に分離課税として計算されます。このため、不動産所得が赤字の場合でも、会社員の給与所得と損益通算することができます。損益通算とは、不動産の赤字を他の所得と相殺することで、年間の所得額を減らし、結果として所得税や住民税の負担を軽減する方法です。

具体的には、会社員の給与所得とアパート経営による赤字を相殺することで、年間の課税所得を減らすことができます。これにより、所得税や住民税が軽減され、さらに、給与からすでに源泉徴収されている税金の一部が還付される可能性もあります。

例えば、大規模な修繕が発生した年などに、アパート経営で大きな経費が発生して赤字になることがあります。このような場合でも、確定申告を行うことで、以下のメリットがあります。

・所得税と住民税の節税
不動産の赤字を他の所得と相殺することで、課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

・源泉徴収された税金の還付
すでに源泉徴収されている税金が多すぎる場合、確定申告を行うことで、払いすぎた分が還付される可能性があります。

このように、アパート経営で赤字が出た場合でも、確定申告を行うことで税制上のメリットを享受することができます。特に、大きな修繕費用が発生した年やその他の理由で経費がかさんだ年には、確定申告をしっかりと行い、節税効果を最大限に活用することが重要です。

質問②領収書がなくても経費に計上することは可能?

電車やバスの運賃、仕事関係者への香典など、領収書がもらえない場合もあります。このように領収書がない場合でも、支払った事実が確認できれば、必要経費として計上することが可能です。

ただし、証拠がないと税務署から本当に支払ったのか疑われることがあります。そこで、領収書の代わりとなる証拠を残すようにしましょう。

証拠として有効な方法

・メモを残す
支払いの内容がわかるように、日付、金額、支払先を記録したメモを作成します。さらに、支払った理由や状況も簡単に記しておくと良いでしょう。

・関連する資料を保管
パンフレットや写真、ウェブサイトのスクリーンショットなど、支出に関連する資料を保管します。これにより、支出の正当性を証明しやすくなります。

・交際費の詳細を記録
交際費は特に疑われやすいため、誰とどのような目的で会ったかを詳細に記録します。例えば、「〇〇さんと△△についての打ち合わせ」といった内容をメモしておくと良いです。

領収書がもらえない、または誤って紛失してしまった場合でも、他の証拠を基に経費として計上することが認められる場合があります。例えば、火災などで領収書がすべて失われた場合、毎月の支出記録を集計し、過去にも同様の支出があったことを示すことにより経費として認めてもらえることがあります。また、領収書の再発行を依頼したり、銀行の通帳やクレジットカードの明細を利用することも有効です。税務署に認めてもらえるかは税理士に必ず相談しましょう。

このように、領収書がなくても適切な証拠を準備し、確定申告を行うことができます。経費として認められるための証拠をしっかりと残し、正確な申告を心がけましょう。

まとめ

アパート経営やマンションを貸す場合における確定申告は、収入と経費を正確に計上し、適切に申告することが重要です。不動産所得は、家賃収入や駐車場代、返済不要の保証金などを含むため、これらの収入を正確に把握し、必要経費を差し引いた上で申告します。経費として認められるものには、管理費、修繕費、借入金の利息、固定資産税などがありますが、所得税や住民税、借入金の元本返済などは経費として計上できません。

確定申告を行う際には、収入と経費の計算を早めに行い、必要書類を準備しておくことが大切です。また、青色申告を選択することで特別控除を受けることができ、経費の計上方法によっては節税効果が高まります。青色申告特別控除には65万円、55万円、10万円の3種類があり、それぞれに必要な書類と条件が異なるため、早めに準備を進めましょう。

確定申告の手続きはネットやスマホを活用することで簡便化されていますが、日頃から収支の記録を整理し、必要書類を揃えておくことがスムーズな申告の鍵となります。計画的に準備を進め、正確な申告を行い、アパート経営の効率を高めましょう。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士

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