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家を売るなら仲介・買取・個人売買どれがいい?売却までの平均期間や注意点

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檜垣知宏:宅地建物取引士のアバター

檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 市場相場を把握した適切な価格設定が、迅速な売却の鍵になる。

  • 内見の準備と不動産会社の選定が、売却成功の重要な要素。

  • 税金や諸費用の理解と計画的な進行で、トラブルを防ぎ、安心した取引を実現する。

「家を売ろう」と考えたとき、まずは何から始めればいいのか、売却にはどれくらいの期間かかるのか?費用はいくらかかるか?自分の家はどれくらいで売れるのか?どんなことを事前に把握しておくべきか、不安に感じる方も多いでしょう。この記事ではスムーズに売却が進められるよう、売却の流れに必要な手順をわかりやすく説明します。

また、売却時の注意点や成功させるためのコツも合わせて紹介します。この記事を読むことで、売却活動の基本が理解でき、効率的かつ確実な方法で家を売る準備が整います。

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目次

家を売る方法は?

家を売る方法は、大きく分けて「仲介」「買取」「個人売買」の3つに分類されます。それぞれの方法には特徴があり、売却にかかる時間・手間・売却価格など自分に合った方法を選ぶことで、売却活動を効率的に進められます。家を売るなら仲介・買取・個人間取引などさまざまな方法がありますので、詳しく解説していきます。

仲介売却

仲介売却とは、売主が不動産会社に仲介を依頼し、広告や内覧を通じて買主を探す売却方法です。不動産会社が広告を広く展開し、多くの購入希望者を集めることで、競争が生じ、高値での売却が期待できます。そのため、家を高く売りたい場合は仲介による売却がおすすめです。

仲介を利用して家を売却する場合、マンションは3カ月、一戸建ては6カ月程度かかります。ただし、価格設定や市場の動向により、半年以上売却活動が続く場合もあります。

また、仲介手数料が発生する点も考慮が必要です。仲介手数料は売却が成立したときのみ支払う成功報酬型の費用で、通常は売却価格の3% + 6万円(税別)が上限となります。これにより、売却できなかった場合の無駄な支出を防ぐことができます。

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買取依頼

不動産買取は、不動産会社が直接買主となり、物件を買い取る売却方法です。この方法では、不動産会社が広告を出したり、買主を探したりする手間を省けるため、通常の仲介売却に比べて圧倒的に早く売却を完了できます。家を売って早急な現金調達が必要な場合や、すぐに物件を処分したい状況では、買取は最適な選択肢となります。場合によっては、売却が最短1カ月以内に完了することもあります。

また、買取保証というオプションを利用することで、仲介で一定期間内に売却できなかった場合に、不動産会社による買取に切り替えられます。このように、買取保証は売却計画の中でリスクを軽減することができます。さらに買取では売却後にそのまま住み続ける「リースバック」という方法もあります。リースバックでは売却後でも、不動産業者に家賃を払い、賃貸として住み続けることができます。

ただし、買取は仲介よりも価格が低く設定される点に注意が必要です。不動産会社は購入後に物件をリフォームして再販することが多いため、そのコストを考慮して、買取価格は市場相場の7~8割程度になるのが一般的です。そのため、少しでも高く売却したい場合は、仲介売却を選択する方が良いでしょう。

それでも、早急な資金調達が求められる場合や、内覧対応や買主との交渉を避けたい場合には、買取は非常に有効な売却手段です。また、買取なら内覧や広告活動を省けるため、手続きが煩雑になりにくく、スムーズな売却が可能です。

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個人間取引での売却

不動産の個人間取引とは、売主が不動産会社を仲介せず、直接買主を見つけて売却する方法です。この売却方式では、不動産会社に支払う仲介手数料が不要となるため、大幅に費用を節約できるという大きなメリットがあります。また、通常の市場では売却が難しい物件でも、買主と直接交渉を行うことで取引が成立しやすくなります。特に、親族や知り合いなど、事前に売却先が決まっているケースでは、この方法が非常に有効です。

個人間取引では、不動産会社を介さないため、契約書の作成や取引の手続きを自分で進める必要があります。契約内容の確認や登記手続きに不慣れな場合、想定外のトラブルが発生する可能性もあるため、慎重な対応が求められます。例えば、契約不備による所有権の移転トラブルや、税務処理のミスが発生するリスクもあるため、契約内容の詳細な確認が欠かせません。

最近では、不動産の個人間取引をサポートする専門サービスやウェブサイトが増えてきています。これらのサービスを利用すれば、契約書の作成や必要な手続きのサポートを受けることができるため、個人でも安心して取引を進めることが可能です。具体的には、登記手続きの代行や契約条件のチェックなどを提供するサービスもあり、不動産会社を介さずにスムーズな取引を実現するためのサポートが得られます。

個人間取引は、コストを抑えつつ売却を進めたい方や、柔軟な交渉を重視する方に向いています。ただし、取引が円滑に進むよう、契約書や手続きに不備がないよう注意する必要があります。必要に応じて専門家のサポートを受けることも検討すると良いでしょう。

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家を売る手順

家を売るには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。それぞれの段階での準備が成功の鍵となるため、全体の流れを理解することが大切です。ここでは「仲介売却」を中心に、必要な手順を具体的に解説します。他の売却方法と比較しながら進め方を把握し、トラブルなく売却を進めましょう。

1.事前準備(書類の準備・住宅ローン残債の確認・売却相場を調べる)

不動産会社に査定依頼をする前に、まずは自分の家の売却相場を把握することが重要です。不動産会社によって査定価格にばらつきが生じることが多いため、相場をあらかじめ確認しておかないと、どの価格で売り出すべきか迷ってしまうことがあります。

相場の知識があることで、不動産会社との価格交渉に自信を持って臨むことができます。また、根拠を持って話し合えるため、価格面で損をするリスクを最小限に抑えられるのが大きなメリットです。そのため、事前に売却相場をリサーチしておくことは、安心して売却活動を進めるための重要なステップです。

さらに、住宅ローンの残債を確認しておくことも必要です。売却価格が残債を下回る場合、追加の支払いが必要になる可能性があるため、ローン残高と売却価格の見込みを照らし合わせておくことが大切です。

必要な書類の準備も忘れずに行いましょう。登記簿謄本や権利証、住宅ローンの契約書などが必要になります。これらの書類が揃っていると、不動産会社とのやり取りがスムーズになり、査定から売却までの流れを効率化できます。

このように、相場の調査や書類の準備、ローン残債の確認をしっかり行うことで、売却活動をスムーズかつ有利に進められます。事前準備を怠らず、計画的に進めることで、不安を減らし、納得のいく条件での売却を実現できるでしょう。

必要書類

家を売却する際には、さまざまな書類を準備する必要があります。相続、離婚、住み替えなど、売却理由に応じて必要な書類が異なる場合があるため、事前に確認することが大切です。家を売る場合に必要な書類とその内容をまとめました。

・登記識別情報通知
家や建物の名義人であることを証明する公的な書類です。

・印鑑証明書
役所で取得でき、登録された印鑑が本物であることを証明します。

・実印
市区町村の役所に登録されている公的に認められた印鑑です。

・固定資産税・都市計画税納税通知書
最新の税額を通知する書類で、支払い額を確認するために使用します。

・建築確認通知書・検査済証
建物が建築基準法に適合していることを確認した書類です。

・測量図・建物図面
土地の境界線や建物の形状、位置関係を示す資料です。

・本人確認書類
運転免許証やパスポートなどの本人確認のための書類が必要です。

これらの書類は、役所で取得するものも多いため、余裕を持って準備することが望ましいです。また、家を購入したときにもらった書類が必要になることがあるため、事前に確認しておきましょう。

もし書類を紛失してしまった場合は、不動産会社に相談するのがベストです。代替となる書類を教えてもらえたり、必要がなくなるケースもあります。また、書類は売却の初期段階ですべて揃える必要はありません。それぞれの手続きの進行に応じて順次準備していくことで、無理なく売却活動を進めることができます。

2.査定依頼・机上査定

事前準備が完了したら、次のステップは不動産会社に査定を依頼することです。査定方法には「机上査定」「訪問査定」の2種類があり、それぞれの特徴に応じて進めます。不動産会社に査定を依頼する流れはシンプルです。インターネットや電話で希望する不動産会社に連絡し、所在地、面積、築年数などの基本情報を伝えましょう。

机上査定は、実際に家を見ずに物件情報だけを基に査定額を算出する方法です。この方法では、入力された情報をもとに短時間で結果が出るため、素早く査定価格を把握できるメリットがあります。ただし、現地の状態や設備の詳細を考慮できないため、査定額は概算にとどまります。

複数の不動産会社に査定を依頼する際は、直接会社に行く必要はありません。ネット経由での査定依頼を活用することで、簡単に複数の査定結果を集めることができます。オンラインでの査定依頼は、手間を省きつつ短期間で相場価格を把握するための便利な方法です。

3.訪問査定

訪問査定では、不動産会社が物件を直接訪れて、建物や周辺環境の状態を確認し、より正確な査定額を算出します。机上査定だけではわからない情報を得るため、訪問査定は売却価格を決める重要なステップです。ここでは、当日までの準備や査定時にチェックされるポイントを詳しく解説します。

訪問査定では、物件の印象が査定結果に影響することがあります。担当者に良い印象を与えるためにも、以下の準備をしておきましょう。

・家全体の掃除
特に玄関、リビング、キッチン、バスルームなどの見られやすい場所を重点的に掃除しておくと良いです。家の清潔感が高いほど、物件の管理状態が良好だと判断され、査定にプラスの影響を与えることがあります​。

・不要な物を整理
内覧時の印象を高めるためにも、使わない家具や物はあらかじめ整理しておくとよいでしょう。これにより、部屋が広く見える効果も期待できます。

訪問査定では、以下のような点が詳しく確認されます。

・建物の状態
外壁や屋根の劣化具合、壁のひび割れ、設備の新しさが評価されます。
一戸建ての場合、外壁や基礎の状態が特に重要視され、修繕が必要な場合はそのコストも考慮されます。

・間取りと使いやすさ
部屋の配置や収納の有無など、生活しやすい間取りかどうかが評価されます。マンションの場合は、共用スペースの管理状況も査定の対象となります​。

・立地条件と周辺環境
駅からの距離、周辺の商業施設や公園の有無、治安の良さなども評価されます。
また、土地の形状や接道状況も重要で、これらが価格に大きく影響します。

・日当たりや騒音
実際に現地で確認しなければわからない日当たりや周辺の騒音も査定のポイントです。これらの条件は物件の魅力を左右するため、査定担当者が細かくチェックします。

・リフォームや修繕の履歴
これまでにリフォームや修繕を行った履歴があれば、それも考慮されます。
特に水回りの設備が新しい場合、査定額が上がることがあります。

訪問査定では、不動産会社とのコミュニケーションも大切です。査定担当者に対して、売却の希望条件や売却期限を明確に伝えておくと、今後の販売活動がスムーズに進みます。また、設備や建物の不具合がある場合は、あらかじめ伝えておくことでトラブルを防げます。

4.不動産会社と媒介契約を結ぶ

複数の不動産会社から査定結果を受け取り、サポートを依頼する会社を選んだ後、次は媒介契約を締結します。この契約には「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

媒介契約の種類と特徴は次の通りです。

一般媒介契約
・複数の不動産会社と契約が可能。
・幅広い選択肢から最適な条件を探せるため、多角的な販売活動が期待できます。
・ただし、不動産会社ごとの販売への力の入れ方にばらつきが出る可能性もあります。

専任媒介契約
・1社とだけ契約し、その会社に専属的に販売を依頼する形です。
・他の不動産会社には重複して依頼できませんが、売主自身が買主を見つけた場合は直接契約が可能です。
・1社集中で販売活動が行われるため、比較的迅速な売却が期待できます。

専属専任媒介契約
・こちらも1社とだけ契約しますが、売主自身が買主を見つけても必ず不動産会社を通じた契約が必要です。
・不動産会社の優先度が高まり、より積極的な販売活動が行われます。
・不動産会社は専属の報告義務があり、1週間に1回以上の活動報告を行うため、売主は進捗を把握しやすいです。

契約形態は、売却の目的や希望するスピードに応じて選択することが重要です。例えば、幅広い選択肢を確保して最適な条件を探したい人気の物件の場合は「一般媒介契約」が適しています。一方、早期売却を目指す人気のないエリアの物件などは集中して販売活動を進めるため「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を選ぶと良いでしょう。

媒介契約を締結する際には、契約内容を詳細に確認することが大切です。仲介手数料や活動内容、販売戦略がしっかりと説明されているかを確認しましょう。さらに、売却期間が長期化する場合に備え、契約更新の条件も確認しておくと安心です。

媒介契約は、家を売却する上で非常に重要なステップとなります。自分の売却目的に合った契約形態を選ぶことで、より有利な条件での売却が実現するでしょう。

5.販売活動

不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ販売活動の開始です。物件の売却活動は、契約から売却完了まで3~5カ月程度かかるのが一般的です​​。ここでは、売却の流れや注意点を解説します。

・売り出し価格の設定
査定価格を参考に、不動産会社と相談して売り出し価格を決定します。売り出し価格は市場の動向や物件の特徴に応じて設定することが重要です。高すぎる価格設定は買い手の関心を引きにくく、低すぎると利益が減少するため、適切な価格設定が売却成功のカギとなります。

・物件情報の掲載
不動産会社は、物件情報を広告サイトや自社のネットワークに掲載し、購入希望者を集めます。物件ページには、写真や間取り図、周辺環境の説明などが含まれ、できるだけ詳しく物件の魅力を伝えることが求められます。高品質な写真や整った物件説明は、購入希望者の興味を引くために重要です​。

・内覧対応
購入希望者からの問い合わせがあると、内覧の調整が始まります。売主も内覧に立ち会うケースが多いため、物件を清掃して準備しておくと良いでしょう。特に、玄関やリビングなどは印象を左右するため、しっかり整理・片付けをすることが大切です。内覧の際、売主が直接物件の特徴や魅力を説明できると、購入希望者に良い印象を与えやすくなります。

・販売活動の進捗管理
不動産会社は、売主に対して定期的に販売活動の進捗報告を行います。何件の問い合わせがあったか、どのような反応があったかなどの情報を把握することで、売却計画を見直したり、価格の見直しを行うこともあります。

販売活動は、不動産会社と売主が協力して行うことが重要です。適切な価格設定と魅力的な物件情報の提供が、短期間での売却につながります。また、内覧時の印象が購入希望者の意思決定に大きく影響するため、物件を常に整えておくことも成功へのポイントです。

6.売買契約の締結

内覧などを経て購入希望者の購入意思が固まったら、不動産会社経由で購入申込書が送られてきます。その際、値引き交渉や支払い条件、家を引き渡す時期等の条件交渉があることが多いです。条件交渉がまとまったら、売買契約にうつります。売主・買主双方と不動産会社が立ち合い契約内容を最終確認した後、署名押印をして売買契約の締結となります。このとき、手付金という形で売却代金の一部を受け取ります。

7.売買契約の締結

購入希望者が物件を内覧した後、購入の意思が固まると、不動産会社を通じて購入申込書が送られてきます。この段階では、価格の値引き交渉、支払い条件、引渡し時期などの条件について交渉が行われます。両者の条件が合意に至ると、正式な売買契約の締結へと進みます。

売買契約の流れは次の通りです。

・契約内容の最終確認
契約当日、売主・買主双方が不動産会社立ち会いのもと、契約内容を最終確認します。契約書には、物件の詳細、売買代金、支払い条件、引渡し日、特約事項などが記載されます。確認を怠ると後のトラブルにつながるため、細部まで慎重に確認することが重要です。

・署名・押印
契約内容に双方が合意したら、売主・買主が署名・押印を行います。この手続きが完了することで売買契約が正式に成立します。

・手付金の受領
契約の締結と同時に、買主から手付金が支払われます。手付金は通常、売買代金の一部として扱われ、売買成立の証拠としての役割を果たします。

・解約に関する取り決め
手付金の受け渡し後に契約が解除される場合、手付金の取り扱いが重要になります。買主都合で解約する場合、手付金は返還されず、売主側に残ります。一方、売主側の都合で解約する場合は、手付金の倍額を買主に返還するのが原則です。

売買契約では、特約事項(例:設備の引渡し状態、契約解除の条件など)についても詳細に取り決めます。不動産会社に相談しながら、必要な内容を適切に盛り込み、後のトラブルを防ぐことが大切です。また、契約が成立した後の変更は難しいため、納得できるまで確認することを忘れないようにしましょう。

7.決済・引渡し

売買契約が完了した後は、いよいよ決済と引渡しの段階です。このプロセスでは、売主から買主への所有権移転が行われ、代金の受け渡しと共に物件の引渡しが完了します。

・売主側に住宅ローンがある場合の準備
売主に住宅ローンが残っている場合、事前に銀行との打ち合わせが必要です。売却代金をローンの返済に充当し、残債を一括返済します。返済後、銀行が物件に設定している抵当権を抹消します。抵当権を外さなければ、所有権移転の登記ができないため、この手続きは非常に重要です。抵当権の抹消には司法書士の手配が必要となります。通常、所有権移転を担当する司法書士に、抵当権抹消も依頼するのが一般的です。司法書士への打ち合わせも事前に行い、スムーズに進行するよう準備を整えましょう。

所有権移転登記の費用は買主が負担します。一方、抵当権抹消登記の費用は売主の負担となります。抵当権抹消には数万円の費用がかかることが多いため、事前に見積もりを確認し、必要な自己資金を用意しておくと安心です。

決済と引渡しの流れは次の通りです。

・代金の支払いと確認
買主が売却代金の残額を支払い、売主が受領します。手付金を除いた全額がこの段階で支払われます。

・抵当権抹消と所有権移転登記
売主の住宅ローン返済が確認され次第、司法書士が抵当権を抹消し、所有権移転の登記を行います。

・鍵と書類の引渡し
所有権移転が完了したら、物件の鍵や関連書類を買主に引渡します。マンションの場合は、管理規約や修繕積立金に関する書類も一緒に渡します。

・引渡し前の確認事項
引渡し前には、売主と買主で最終の物件確認を行うことが一般的です。設備の不具合がないかをチェックし、契約通りの状態で引き渡すことが求められます。また、不要な家具や物品の撤去も完了させておきましょう。

決済と引渡しは、売却手続きの最終段階であり、所有権移転と抵当権抹消の正確な手続きが求められます。売主に住宅ローンが残っている場合は、銀行と司法書士との打ち合わせを事前に行うことで、スムーズな引渡しが可能になります。また、固定資産税や管理費、修繕積立金などの精算が済んでいるかも引渡し前に確認します。適切な準備を整え、トラブルのない売却を目指しましょう。

8.確定申告

決済と引渡しが完了した後は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。この手続きは、家の売却によって得た利益(譲渡所得)にかかる税金を納付するために欠かせません。

家の売却で利益が発生した場合、譲渡所得税が課されますが、以下のような特例制度を利用することで税負担を軽減できる可能性があります。

・居住用財産の3,000万円特別控除
自宅として使用していた家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。これにより、売却益が大幅に減額される可能性があります。

・軽減税率の特例
所有期間が10年以上の居住用財産を売却した場合、税率が通常よりも軽減されます。

売却の利益・損失に関係なく、家を売却した場合には必ず確定申告を行うことが求められます。利益が出た場合の特例制度の活用や、損失が出た場合の損益通算や繰越控除により、税負担を減らすことができるため、事前にしっかりと準備を進めましょう。税制は複雑なため、わからない点は税理士に相談するのも良い選択です。

家を高く売るコツ

売却の全体像を把握した後、少しでも高く・早く家を売るための工夫が重要です。ここでは、家を売るコツを詳しく解説していきます。

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事前に相場を調べておく

家を高く・早く売るためには、売却に先立ち相場を把握することが重要です。適切な価格設定は、短期間での売却や利益の最大化に大きく影響します。相場を知ることで、不動産会社との交渉においても自信を持って対応でき、適正な売り出し価格を設定する手助けとなります

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相場を調べるメリットは次の通りです。

・価格交渉がスムーズに進む
あらかじめ相場を理解しておくことで、不動産会社との相談が円滑に進みます。根拠を持って価格設定ができるため、価格面で損をするリスクが減ります。

・売れ残りリスクを減少
相場より高すぎる価格を設定すると、買い手が見つからず、結果的に長期間売れ残ってしまうリスクがあります。適切な相場をもとに設定することで、早期売却の可能性が高まります。

相場の調べ方は次の通りです。

・不動産ポータルサイトを利用する
SUUMOやHOME’Sなどの不動産サイトでは、同じエリアの類似物件の価格が掲載されています。これを参考にすることで、自分の物件の相場価格の目安を把握できます。

・レインズ(REINS)や地価公示情報を活用する
レインズは不動産業者が利用する情報ネットワークですが、一部の取引情報が一般公開されています。また、国土交通省が公表する地価公示を確認することで、土地の相場も把握可能です。

・複数の不動産会社に査定を依頼する
相場の理解を深めるためには、複数の不動産会社に査定を依頼するのが効果的です。各社の査定結果を比較することで、平均的な相場を把握でき、売却価格の設定に役立ちます。

相場を知ることは大切ですが、市場の動向や物件の状態によって、価格は変動する可能性があります。過去の相場情報だけに頼らず、現時点の市場の傾向をしっかり把握することも必要です。

事前に相場を調べておくことで、価格設定の精度が向上し、スムーズな売却が期待できます。価格交渉にも自信を持って臨むことができ、不動産会社の提案に振り回されることなく、自分にとって最良の売却条件を見つけやすくなります。市場の情報を積極的に活用し、計画的に準備を進めることが成功への近道です。

複数の不動産会社に査定依頼をする

家を売却する際、査定を最低3社以上の不動産会社に依頼することが推奨されます。査定価格は、不動産会社ごとに異なり、場合によっては数百万円の差が生じることもあります。そのため、1社だけの査定に依存せず、複数社から見積もりを取ることで、より適正な価格を見極めることが重要です。

複数の査定を依頼するメリットは次の通りです。

・価格のばらつきを把握
例えば、ある会社が1,500万円、別の会社が1,600万円の査定結果を提示することがあります。これを比較することで、自分の物件の強みや弱みが見えてきます。

・競争状況の把握
複数の会社の査定を通じて、周辺地域の競合物件の状況や市場の傾向を理解できます。もし、どの会社も相場より高めまたは安めの価格を出している場合、そのエリアでの需要と供給のバランスが影響している可能性も考えられます​。

・不動産会社の信頼性を見極める
各社の査定結果を比較することで、どの不動産会社が自分のニーズに合い、信頼できるかを判断しやすくなります。適正価格での売却ができるかどうかは、会社の売却力と戦略にかかっています。

不動産一括査定サイトを利用すれば、1回の申し込みで複数の不動産会社から査定を受けることが可能です。これにより、効率的に情報を集めながら、適正な価格での売却準備を進めることができます。

信頼できる不動産会社と専任媒介契約を結ぶ

家を売る際は、自分の物件に適した不動産会社を選ぶことが成功の鍵です。不動産会社にはマンションの売却が得意な会社や一戸建ての売却に強い会社など、さまざまな専門性があります。自分の物件のタイプや条件に合った不動産会社を見極めて選ぶことで、売却を有利に進められます。

地域に詳しい不動産会社は、ターゲットとなる買主層を把握しており、売主と買主のスムーズなマッチングが可能です。特に、地域の市場動向に精通している会社は、物件の強みを最大限に引き出すことが得意です。さらに、経験豊富な担当者がいる会社では、売却に伴うトラブルにも迅速かつ適切に対応できるため、取引がスムーズに進行します。

また、専任媒介契約を結ぶと、1社の不動産会社が売却活動に集中できるため、優先度が高くなり、迅速な売却が期待できます。専任媒介契約には、次のようなメリットがあります。

・活動報告の義務:専任媒介契約では、不動産会社が定期的に進捗状況を報告するため、売主は販売状況を把握しやすくなります。

・仲介手数料が合理的:1社と集中して交渉するため、無駄な交渉が少なく、効率的に売却を進められます。

不動産会社の選択で迷った際は、複数社の査定や面談を通じて担当者の信頼性を確認すると良いでしょう。売却に関するアドバイスが具体的で的確な担当者がいる会社は、契約後も安心して取引を進められます。

集客力の強い不動産会社を選ぶ

家を高く・早く売るためには、集客力の強い不動産会社を選ぶことが非常に重要です。不動産会社によって、広告戦略や顧客ネットワークが異なるため、物件の売却スピードや成約価格に大きな差が生まれます。ここでは、集客力の高い不動産会社を選ぶポイントを解説します。

集客力の強い不動産会社の特徴は次の通りです。

・幅広い広告ネットワークの活用
集客力の高い会社は、物件情報をSUUMOやHOME’Sなどの主要な不動産サイトに掲載するほか、自社のサイトやSNSを活用して情報を広く発信します。物件の露出を最大化することで、多くの購入希望者の目に留まりやすくなります。

・豊富な顧客ネットワーク
集客力の強い会社は、過去の取引や顧客管理システムを通じて、購入ニーズのある顧客を把握しています。これにより、売主の物件に興味を持つ顧客を迅速に紹介でき、スムーズな取引が実現します。

・営業担当者の対応力
経験豊富な営業担当者は、物件の魅力を的確に伝え、買主の購買意欲を引き出すのが得意です。適切なタイミングで広告や内覧を調整し、交渉力を発揮することで、良い条件での成約につながります​。

集客力の強い不動産会社を選ぶことで、物件の露出を高め、短期間での売却が実現しやすくなります。広告戦略や顧客ネットワークに優れた会社を見つけ、自分の物件に最適なパートナーとして契約することが、満足のいく取引への第一歩です。

価格交渉も視野に入れる

売却活動中には、購入希望者からの値下げ交渉が行われるのが一般的です。値下げ交渉にすべて応じないと、せっかくの興味を失ってしまい、買い手を逃すリスクがあります。そのため、あらかじめ妥協できる範囲とできない範囲を設定し、柔軟に対応する姿勢が重要です。

他の同地域の物件と比較し、競合が多い場合は、柔軟な交渉が必要になります。一方、競争が少ない人気物件の場合は、無理に値下げする必要はありません。市場の動向とタイミングを見極めながら進めることが重要です。

値下げ交渉が発生することを前提に、最初の売り出し価格を少し高めに設定しておく戦略も有効です。そうすることで、交渉時に多少の値引きをしても売主の希望に近い価格で成約できる可能性が高まります。

価格交渉は売却活動において避けては通れないステップです。事前に妥協点を定め、柔軟な姿勢で交渉に臨むことで、取引がスムーズに進みやすくなります。また、物件の特性や市場の動向に応じた戦略を立て、必要な場合には値下げに応じることで迅速な売却を実現しましょう。

内見時の印象をよくする

家が高く、早く売れるかどうかは、購入希望者が行う内見の印象に大きく左右されます。買主が「ここに住みたい」と感じるためには、物件を魅力的に整えることが重要です。以下は、内見時に良い印象を与えるための具体的なポイントです。

  1. 清潔感を保つ
    部屋をきれいに掃除することで、買主が実際に住んでいる姿をイメージしやすくなります。特に玄関、リビング、キッチンなどの共有スペースは、印象を左右するため、優先して清掃・整理整頓を行いましょう。
    床や壁の汚れを取り除き、部屋を広く明るく見せることで、購入意欲を高めることができます。
  2. 家具や家電の整頓
    家具の配置を見直すことで、部屋が広く見えるよう工夫しましょう。使わない家具や装飾品を減らし、シンプルな空間にすることで、物件の魅力が引き立ちます。
  3. 自然光を取り入れる
    内見の際、部屋を明るく見せるためにカーテンを開け、自然光を取り入れるようにしましょう。光が差し込む部屋は、温かみのある印象を与えます。
  4. ハウスクリーニングの活用
    念入りに掃除を行う時間がない場合や、特に汚れが目立つ箇所がある場合には、プロのハウスクリーニングを依頼するのも効果的です。部屋をしっかりと片付け、清潔感をアピールすることで、物件の管理状態が良いと感じてもらえます。
  5. 香りや空気にも配慮
    空気のこもりがちな部屋は、内見の印象を損なうことがあります。事前に換気を行い、フレッシュな香りで出迎えると、好印象を与えやすくなります。

内見の印象を良くするためには、部屋をきれいに保つこと、整理整頓、自然光の活用がポイントです。共有スペースの清掃を徹底することで、購入希望者に住み心地の良い物件であると感じてもらいやすくなります。必要であればハウスクリーニングを利用し、買主に「この家に住みたい」と思わせる空間作りを心がけましょう。

家を売るときにかかる費用と税金

家を売却する際には、さまざまな費用や税金が発生します。売却にかかる代表的な費用を以下に詳しく説明します。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社に売却を依頼した際に発生する報酬です。この費用は、売却が成立した場合にのみ支払うもので、売買価格に基づいて法律で上限が定められています。

200万円以下の売買価格:5% + 消費税
200万円超~400万円以下:4% + 2万円 + 消費税
400万円超:3% + 6万円 + 消費税

仲介手数料は高額な売却ほど大きくなるため、事前に金額を把握し、売却後の資金計画に組み込むことが重要です。

抵当権抹消費用

住宅ローンの残債を完済した場合、物件にかかっている抵当権を抹消する手続きが必要です。抵当権抹消の登記には、以下の費用がかかります。

・登録免許税:課税標準に対する一定の割合で計算され、数万円程度が一般的です。
・司法書士報酬:手続き代行を依頼する場合は、3~5万円程度の報酬がかかることが多いです。

司法書士への報酬

司法書士への報酬は、家の売却に伴う法的手続きに対して支払う費用です。具体的には、登記の変更手続きや契約書の確認、必要書類の作成などを担当します。これにより、売主と買主の権利を明確にし、売買のトラブルを防ぐ役割を果たします。

報酬の相場は、5万円~10万円程度が一般的な相場です。ただし、物件の種類(マンション、一戸建てなど)や取引の複雑さ、権利関係に応じて費用が変わることがあります。例えば、権利関係が複雑な場合や追加の確認が必要な場合、追加料金が発生することもあります。

主な司法書士の業務は次の通りです。

・登記の移転手続き:所有権を売主から買主へ移す手続き。
・抵当権抹消登記:売主の住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する登記手続き。
・契約書の確認と必要書類の作成:不備のない契約書作成で、売買における法的トラブルを防ぎます。

司法書士への報酬は取引内容や手続きの内容によって異なるため、事前に見積もりを取り、納得のいく司法書士を選ぶことが重要です。さらに、登記手続きに必要な書類の準備なども相談することで、スムーズな売却手続きが実現します。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産の売却で発生する利益(譲渡所得)に対して課される税金です。税金の計算方法や税率は、物件の所有期間や売却時の利益額に応じて異なります。以下は譲渡所得税の重要なポイントです。

譲渡所得の計算方法は次の通りです。

譲渡所得 = 売却価額 – (取得費 + 譲渡費用)

・取得費:購入時に支払った価格や、仲介手数料、登記費用など。
・譲渡費用:売却の際に発生した仲介手数料やリフォーム費用、契約に必要な費用。

税率は所有期間で異ります。

・短期譲渡所得(所有期間5年以下)
税率:39.63%
(内訳:所得税 30.63% + 住民税 9%)

・長期譲渡所得(所有期間5年超)
税率:20.315%
(内訳:所得税 15.315% + 住民税 5%)

譲渡所得税には特例と控除制度があります。代表的な控除として、自宅を売却する際、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。

譲渡所得税は、売却の翌年の2月16日から3月15日に確定申告を行い、納税します。申告漏れがあると、延滞税や加算税のペナルティが発生する可能性があります。

売却の前に、税理士や不動産会社と相談し、特例制度の活用を検討すると良いでしょう。売却計画を立てる段階で、税金も見据えて準備を進めることが、スムーズな取引につながります。

その他諸費用

・リフォーム費用

リフォーム費用は、家の価値を高め、購入希望者に好印象を与えるために行う重要な投資です。売却活動において、内装や外装の状態は買主の決断に大きく影響を与えるため、適切なリフォームを実施することで、物件の魅力がアップし、売却を有利に進めることが期待できます。リフォームの内容としては、壁紙の張り替えや床の修繕、キッチンやバスルームの更新などが一般的です。特に水回りのリフォームは、日常生活の快適さを左右するため、買主からの評価が高くなりやすい部分です。

リフォームは、物件の魅力を最大化するための重要なステップですが、その実施には慎重な判断が求められます。例えば、現代的なデザインや色調に合わせたリフォームは、幅広い層の買主にアピールできる可能性が高くなります。一方で、大規模なリフォームは高額になるため、どの部分に投資するかを慎重に検討することが重要です。リフォームにかかる費用を計画的に管理し、売却価格に見合う形での改修を行うことで、効率的な売却活動を実現することができます。

・印紙税

印紙税とは不動産売買契約書に貼付する印紙にかかる税金です。税額は契約金額に応じて異なります。

1万円超~10万円以下:200円
10万円超~50万円以下:400円
50万円超~100万円以下:1,000円
100万円超~500万円以下:2,000円
500万円超~1,000万円以下:1万円
1,000万円超~5,000万円以下:2万円
5,000万円超~1億円以下:6万円
1億円超~5億円以下:10万円
5億円超~10億円以下:20万円
10億円超~50億円以下:40万円
50億円超:60万円

これらの諸費用は、売却活動において大きな役割を果たします。リフォーム費用は購入希望者の印象を左右し、印紙税は契約を正式に成立させるために不可欠です。事前に費用を計算し、必要に応じて専門家に相談することで、スムーズな売却を目指しましょう。また、各種税金には軽減措置や特例控除を受けられることがありますので、売却を検討している方はぜひ一度不動産会社に相談してみましょう。

家が売れやすい時期は?

不動産の売却には、「売れやすい時期」が存在します。適切なタイミングで物件を市場に出せば、通常よりも短期間で売却が完了する可能性が高まり、価格設定を高めにしても売れる期待が持てます。ここでは、季節と築年数の観点から、売却を成功させるための効果的なタイミングについて解説します。

売れやすい季節(2月〜3月、9月〜11月)

4月の新学期は、多くの人が新居で新生活をスタートさせたいと考える時期です。そのため、物件探しが活発になる2月から3月は、特に家が売れやすいタイミングとなります。進学や転勤が集中するこの時期には、多くの購入希望者が市場に現れるため、家を売り出すことで短期間での成約や好条件での売却が期待できます。

ただし、2月から3月の売却を目指す場合、売却までに必要な手続きや準備を考慮して、前年の9月から11月には売却の準備を始めることが重要です。家の売却は、物件の査定依頼から不動産会社との契約、修繕や清掃といった準備を含めると、少なくとも3〜6カ月程度の期間が必要とされます。そのため、年明けの需要が高まる市場に間に合うよう、早めの準備を進めておくことでスムーズな売却が実現します。

9月から準備を開始することで、物件の状況を見直し、必要に応じてリフォームや清掃を終わらせ、購入希望者に良い印象を与える状態に整えることができます。玄関やリビングなど、内覧時に目に留まりやすい場所の手入れも早めに行うことで、物件の魅力を引き出しやすくなります。

早めに準備を開始することで、売却の流れが滞るリスクを減らし、余裕を持って買い手に対応することが可能です。2月から3月に売却を目指すなら、9月から11月に計画的な準備を進めることで、スムーズかつ有利な売却が実現できるでしょう。

売れやすい築年数

家の売れやすさは、立地や建物の造りなど多くの要素に影響されますが、築年数も重要な要素の一つです。築年数が浅い物件ほど購入希望者に人気があり、高値で売れる傾向があります。そのため、できるだけ高値で売りたい場合は、早めに売却を進めるのが望ましいです。特に、売却を考え始めた時点で市場に出すことが、好条件で売るためのカギとなります。

もしも余裕を持って1〜3年後に売却を計画している場合は、築5年・10年・15年など、区切りの良い築年数のタイミングで売り出すことを検討すると良いでしょう。購入希望者は、築年数がわかりやすい区切りのタイミングで物件を探すことが多いため、こうした節目を逃さずに売却することが有利に働きます。逆に、区切りを過ぎてしまうと検索対象から外れたり、見逃されてしまうリスクがあるため注意が必要です。

特に築20年を超えると、家の建物部分の評価は大幅に下がり、土地の価値が中心となります。このため、築20年以内に売却を完了させることで、建物の価値を含めた価格での売却が期待できます。もし築20年を超える場合は、事前にリフォームやクリーニングを行い、建物の印象を良くすることで売却を有利に進められるでしょう。

家を売る際の注意点!やってはいけないこととは?

家を売却する際には、多くのポイントに注意する必要があります。スムーズな取引を実現するためには、適切な準備と計画が欠かせませんが、同時に「やってはいけないこと」を知っておくことも重要です。

売却活動では、物件の状態や価格設定、購入希望者との対応など、ちょっとしたミスが売却の成否を左右することがあります。売却に失敗すると、価格が下がるだけでなく、売却期間が長引く原因にもつながりかねません。

つぎに家を売却する際に「やってはいけないこと」を詳しく紹介します。

周辺相場を把握せずに査定依頼をする

家の売却価格を決定する際には、周辺相場を把握することが不可欠です。買主からの値引き交渉が一般的であるため、売却価格は売出価格よりも若干低くなるケースが多く見られます。そのため、希望する売却価格と最低限妥協できる価格を事前に決め、その範囲内で戦略的に売出価格を設定することが大切です。

売出価格が高すぎると、物件が長期間市場に残り、買い手からの関心を失ってしまうリスクがあります。そうなると、最終的には値下げを強いられる結果になりかねません。一方で、価格が低すぎる設定も、物件に何か問題があると誤解され、買主が敬遠する可能性があるため、バランスの取れた価格設定が重要です。

周辺の不動産市場の動向を理解するためには、複数の不動産会社から査定を依頼し、相場と照らし合わせて適正価格を見極めましょう。不動産会社と綿密に相談し、売却戦略を練ることで、スムーズな売却が実現しやすくなります。

1社だけの査定で販売金額を決める

家を売却する際、最低3社以上の不動産会社に査定を依頼することが推奨されます。不動産の査定価格は会社ごとに異なり、数百万円もの差が生じる場合もあるため、1社だけの査定結果で販売金額を決定するのは危険です。その会社の売却力や価格の適正さを正確に判断できず、相場に合わない金額で売り出してしまうリスクがあります。

複数社から査定を受けることで、各社の査定結果を比較し、自分の物件がどの程度の価格で市場に受け入れられるかを把握することができます。例えば、ある不動産会社が1,500万円、別の会社が1,600万円と異なる査定を出した場合、それぞれの査定理由を確認することで、物件の強みや弱みをより深く理解することができます。

また、不動産会社によって同地域の物件の競争状況に対する見解も異なるため、各社の査定をもとに市場動向や競合状況を把握することも可能です。これにより、自分の物件を適正価格で売り出し、売却機会を最大限に生かすことが期待できます。

複数の会社と一般媒介契約を結ぶ

一見、複数の会社に売却を依頼することで、家の売却チャンスを広げられるように思えます。しかし実際には、各会社が必ずしも全力で売却活動に取り組まない可能性があるのです。なぜなら、一般媒介契約では不動産会社が他の会社とも競争しなければならず、自社で成約できる保証がないため、広告や営業にかける労力を抑えることがよくあるからです。このため、専任媒介契約のように積極的に動いてもらえない場合があります。

さらに、一般媒介契約では、同じ物件が複数の不動産会社から市場に出されることで、買主が物件を見つけた際に「売れ残っている物件」と誤解されてしまうリスクがあります。市場での重複掲載は、物件の印象を悪くし、結果的に売却価格を引き下げざるを得ない状況に陥ることも少なくありません。

また、複数の会社に依頼することで、進捗管理や情報の一元化が難しくなることもデメリットの一つです。各社の営業活動や内覧スケジュールの確認を個別に行わなければならず、売主の負担が増えてしまいます。さらに、情報がうまく管理されない場合、買主に混乱を与える可能性があり、スムーズな取引が妨げられることもあります。

結果的に、こうした問題が重なると、成約までの時間が延び、売却活動が停滞してしまうリスクもあります。専任媒介契約や専属専任媒介契約に比べて、一般媒介契約では不動産会社の優先度が下がりやすいため、売却が思ったように進まないケースも少なくありません。

したがって、家の売却においては、複数の会社と一般媒介契約を結ぶことが必ずしも有利とは言えません。物件の特性や市場状況を踏まえ、信頼できる不動産会社と戦略的に契約形態を選ぶことが重要です。

家を売るのにかかる平均期間は?

家を売却する際、どのくらいの期間がかかるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、売却する際の期間について詳しく説明します。

マンション:〜3ヶ月

マンションの売却にかかる期間は、比較的短く、約1〜3ヶ月が一般的です。マンションは利便性の高い立地にあることが多く、駅や商業施設へのアクセスが良い場合、買主が見つかりやすいため、売却活動がスムーズに進む傾向があります。また、マンションの管理状態や共有設備も購入希望者にとって重要な要素となり、こうした条件が良好であれば、短期間で売却が成立することが期待できます。

売却が早まる理由の一つは、マンションは物件の特性が把握しやすいため、内覧から購入判断までのプロセスが迅速に進むことです。また、価格が市場相場と合致している場合、内見の回数も増え、成約に至る可能性が高まります。とくに、需要が高い都市部や再開発が進んでいるエリアでは、マンションの流通が活発であるため、売却までの期間が短くなる傾向があります。

一戸建て:〜6ヶ月

一戸建ての売却にかかる期間は、平均して3〜6ヶ月が一般的です。マンションに比べて売却までの期間が長くなる傾向があるのは、一戸建てが持つ特有の条件や購入希望者のニーズに左右されるためです。特に、購入希望者は物件の立地、間取り、築年数、リフォームの有無などを慎重に検討するため、決断に時間がかかるケースが少なくありません。

売却の流れは、不動産会社への査定依頼から始まり、売出価格の設定、広告活動、内覧、買主との交渉、そして契約成立という一連のプロセスを経ます。一戸建ての場合、内見や価格交渉に時間がかかりやすいため、売却までの期間が長引くこともあります。また、住宅ローンの審査などの手続きも、スムーズな売却に影響を与える要素です。

特に、交通の便が悪いエリアや買い手の需要が低い地域にある一戸建ては、売却期間がさらに長くなる可能性があります。一方で、人気エリアや利便性の高い場所にある一戸建てであれば、3ヶ月以内に売却が決まることも珍しくありません。

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内見が少ない場合は条件の見直しも必要

家の売却がスムーズに進まず、内見希望者が少ない場合は、販売条件の見直しが重要です。売却活動が長引くと、市場での物件の印象が悪化し、さらに買い手がつきにくくなる可能性があります。

内見が少ない要因

内見希望者が現れない理由としては、価格が相場よりも高すぎたり、不動産会社の販売活動が不十分であったりすることが考えられます。また、立地条件やエリアの需要も、内見の数に大きく影響します。これらの要因を一つずつ確認し、必要に応じて戦略を調整することが、売却を成功させるためのカギとなります。次に詳しく説明します。

相場よりも価格が高い

物件の価格が相場よりも高く設定されている場合、購入希望者が敬遠する傾向があります。価格設定が高すぎると、他の類似物件と比較された際に競争力を失い、内見が少なくなる原因になります。相場を無視した高い価格は、販売期間が長引く原因となり、最終的に値下げを余儀なくされることが多いため、早い段階で見直すことが重要です。

不動産会社の販売活動が弱い

不動産会社の販売力も、内見希望者を集めるために重要な要素です。不動産会社が積極的に広告を出さなかったり、ターゲットに合った集客活動を行わない場合、購入希望者に物件が十分に知られないままになってしまいます。マンションや一戸建てなどの物件タイプごとに得意な会社を選び、しっかりと集客してもらうことが効果的です。地域の市場に詳しく、買主層を正確に把握できる不動産会社を選ぶと、スムーズな取引が期待できます。

立地や周辺環境が悪い

物件の立地が不便だったり、周辺の環境が好ましくない場合、内見者が現れにくくなります。交通の便が悪いエリアや、生活利便性が低い場所は、買主にとって魅力が減少しがちです。また、周辺に騒音や治安の不安要素があると、購入希望者の関心が薄れてしまうこともあります。

エリアの需要がない

エリア全体の不動産需要が低迷している場合、価格や物件の条件が良くても、売却活動が進みにくくなることがあります。不動産市場は地域ごとの需要に左右されるため、売却が難しいと判断されるエリアでは、販売戦略を工夫する必要があります。例えば、賃貸需要がある場合は投資用としての売却を視野に入れる、あるいは価格設定を柔軟にすることで、成約に近づける可能性があります。

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まとめ

家の売却を成功させるためには、正確な情報収集と慎重な準備が不可欠です。売却の流れは複数のステップを経るため、事前に全体像を把握しておくことで、計画的な進行が可能になります。また、売却活動の各段階での注意点を理解し、予想外のトラブルを防ぐことも大切です。

売却にかかる期間や費用、税金についての詳細な理解も欠かせません。市場の相場を把握し、適切な価格設定を行うことで、短期間での売却を実現しやすくなります。さらに、不動産会社とのコミュニケーションを密にすることで、販売活動の進捗を把握し、柔軟に対応することが求められます。

また、内見時の準備や価格交渉への対応力も売却成功の鍵となります。家をきれいに整え、買主に好印象を与えることで、取引がスムーズに進む可能性が高まります。必要であればリフォームやハウスクリーニングも視野に入れましょう。

最後に、売却完了後は確定申告を行い、譲渡所得税や税控除の特例措置の適用を確認することが重要です。全ての手続きを正確に進めることで、安心して次のステップに進めるでしょう。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士