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不動産投資でできる節税とは?節税の仕組みと注意点をわかりやすく解説!

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檜垣知宏:宅地建物取引士のアバター

檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 不動産投資では、所得税など様々な税金を節税することができる。

  • 節税に適した不動産投資物件とは?

  • 不動産投資による節税の注意点のまとめ。

不動産投資では、法令に基づく様々な節税制度を適切に活用することで、税金負担を合法的に軽減することができます。

しかし、不動産投資による節税にはさまざまな条件や制約があり、単に節税が目的となり必要以上の節税対策を講じれば、課税当局から否認される恐れがあります。
また、節税は副次的な効果に過ぎず、本来の投資目的を見失ってしまっては本末転倒です。

この記事では、不動産投資における正しい節税の仕組みと留意点を、わかりやすく解説していきます。
不動産投資の採算性や収益性を第一に考えながら、適正な範囲で節税のメリットを最大限に活用するためのポイントをお伝えします。

節税は目的ではなく手段に過ぎませんが、その活用次第では大きなメリットが得られるはずです。

目次

不動産投資で節税はできるの?

現実的に不動産投資で節税ができるの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、不動産投資を活用すれば、以下のような税金を節税することができるのです。

節税できる税金の種類

所得税

不動産投資によって発生した不動産所得には、所得税が課税されます。
しかし、不動産経営に係る必要経費として、減価償却費や修繕費、借入金の支払利息などを損金算入(経費控除)することができるため、課税対象となる不動産所得を減らすことができます。

また、黒字の物件と赤字の物件がある場合は、黒字物件の利益から赤字物件の損失を差し引くことができます。
このように損益をまとめ、残った不動産所得に対してのみ所得税が課税されるため、節税効果が得られます。

さらに、不動産所得以外の給与所得や事業所得などの他の所得と不動産所得を通算することもできます。
例えば、不動産所得が赤字でもサラリーマンとして給与所得がある場合、不動産所得の赤字分を給与所得から控除でき、所得税の負担を軽減できます。

このように、不動産投資では必要経費の損金算入や、他の所得との損益通算を適切に行うことで、
課税対象となる所得金額を減らし、所得税の節税を図ることができるのです。

住民税

住民税は、住んでいる自治体(都道府県と市区町村)に納める税金です。
住民税の課税対象となる所得は、前年の課税所得を基に算出されます。

つまり、前述した不動産投資における所得税の節税対策を適切に講じることは、住民税の節税にも結びつきます。
住民税率は標準で10%前後ですが、一部の自治体では超進課税を行っていますので、節税効果はさらに大きくなる可能性があります。

住民税には均等割額(一定額)と所得割額(所得金額に応じた額)の2種類があり、均等割額部分は所得控除の影響を受けません。
そのため、所得金額が少ない人ほど均等割額の占める割合が大きくなり、所得控除の効果が薄れます。
高額所得者ほど住民税の節税効果が大きくなる傾向にあるのです。

贈与税

一般的に不動産は現金と比べて評価額が低く設定されます。
つまり、同じ金額でも不動産の方が現金よりも評価額が低くなります。
贈与税は評価額に対して課税されるため、評価額が低ければ支払う税額も低くなります。

例えば、1億円の現金を贈与すれば1億円がそのまま評価額となり、高額の贈与税がかかりますが、
1億円相当の不動産を贈与した場合、不動産の評価額は7000万円程度、またはそれ以下に抑えられる可能性があります。
その結果、贈与税の計算の基となる評価額が低くなり、現金に比べて納める贈与税額を大幅に節税できます。

つまり、現金よりも不動産で保有することで評価額が引き下げられ、結果的に払う贈与税額を抑えられるというメリットがあるのです。
富裕層の資産移転に不動産投資が有効活用されている理由がここにあります。

相続税

相続税は、被相続人(亡くなった人)の財産を相続人(子供など)が受け継ぐ際にかかる税金です。
不動産を相続した場合も、その評価額に応じて相続税がかかります。

不動産投資における相続税の節税対策としては、前述した贈与税と同様に評価額を下げることがポイントです。
不動産は現金に比べて課税評価額が低く設定されているため、現金ではなく不動産を保有し相続することで、相続税の計算基礎となる評価額を引き下げられます。

また、事前に非課税枠以内で生前贈与を計画的に行っておけば、さらに相続税を圧縮することができるでしょう。

このように、不動産の評価額が低く抑えられることと、生前からの計画的な贈与を組み合わせることで、相続発生時の相続税負担を大幅に軽減することが可能です。

法人税

不動産投資を個人事業ではなく法人で行う場合、法人税率の恩恵を受けられる可能性があり、法人税の節税メリットが得られます。

法人税は企業において最終利益に対して課税されるものですが、個人事業主の最高税率45%に対し、法人の税率は23.2%となっており、
個人の所得税よりも最高税率が低く設定されている点が大きな違いです。

所得税と同様に、必要経費を適切に計上することで利益を圧縮し、課税対象額を減らせば、支払う税額を抑えられます。
加えて、法人の方が個人よりも損益通算の範囲が広いため、他で損失があった場合でも、利益から相殺できる範囲が広がります。(厳密には法人には損益通算という概念はなく、不動産以外の全ての事業を含めたうえで、法人の損益として扱われる)

このように、不動産投資において法人化を活用することで、法人税率の恩恵と柔軟な損益通算ができるため、より大きな節税メリットが期待できるのです。

不動産投資で節税できる仕組みとは?

では、不動産投資で節税ができる仕組みとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

減価償却費の活用

不動産投資においては、建物は時間の経過とともに劣化し、価値が下がっていきます。
この価値の低下を減価と呼び、減価した金額を「減価償却費」として経費控除することができることが節税メリットとなります。

減価償却費は、建物の耐用年数に応じて定められた償却率を用いて定額法で計算され、取得価格×償却率で算出します。
償却率は木造の建物で0.046%、鉄骨鉄筋コンクリート造りで0.022などと決まっています。

例えば、取得価額1億円の木造アパートの場合、1億円×0.046=460万円が年間の減価償却費と算定されます。
この460万円が経費として控除可能になるため、課税対象となる不動産所得から460万円を差し引くことができ、大きな節税効果が期待できます。

減価償却費は不動産投資における重要な節税手段です。
建物の種類や取得時期に応じて適切に計算し、確実に経費へ算入することが肝心です。

損益通算ができる

不動産投資では、その損失金額を他の種類の所得から控除することができます。
これを「損益通算」と呼びます。

例えば、不動産事業において200万円の損失が発生した場合、この200万円の損失を給与所得や事業所得などの他の所得金額から控除できるため、
課税対象所得が減少し節税につながります。

損益通算の具体的な手順は以下の通りです。

  1. 不動産所得の金額を算出する(不動産収入から必要経費を差し引いた金額)
  2. 給与所得や事業所得など他の所得の金額を算出する
  3. 不動産所得と他の所得を合算する(不動産所得が赤字の場合、その赤字額を他の所得から控除する)

例えば、不動産所得の損失が200万円で給与所得が800万円だった場合、800万円から200万円を控除すると
課税対象所得は600万円となります。


なお、複数の不動産から生じた黒字と赤字を通算することも可能です。

例えば、不動産Aで利益100万円、不動産Bで損失200万円の場合、不動産所得は損失100万円となり、
100万円を他の所得から控除できます。

ただし、損益通算を受けるためには、必ず確定申告を行う必要がありますので、注意しましょう。

このように、損益通算は節税の重要な手段ですが、適切な計算と手続きが必要不可欠です。
所得の状況を正確に把握し、確定申告を怠らずに行うことが何より大切なのです。

不動産投資による節税がおすすめの人

ここから、不動産投資による節税がおすすめな人について確認していきましょう。

課税所得900万円以上(年収1200万円以上)の人

高所得者ほど所得税の最高税率が高くなるため、不動産投資による節税の効果が大きくなる傾向にあります。
具体的には課税所得金額が900万円を超えると、所得税率が33%に跳ね上がります。

課税所得900万円以上となる年収水準は概ね1200万円前後とされています。
給与所得者の場合、年収1200万円程度であれば、確定申告などの各種控除後に課税所得900万円を上回ると考えられます。

高所得者ほど節税金額が大きくなり、不動産投資へのインセンティブが強くなるのです。
加えて、高額納税者は節税に対するニーズも強いため、不動産投資による節税対策のメリットを積極的に活用する傾向にあります。

相続税対策が必要な人

相続対策が必要な人にとって、不動産投資は有効な節税手段となり得ます。
生前に不動産を子供などの相続人へ贈与する場合は贈与税、相続発生時には相続税の節税を図ることができるからです。

前述したように、相続税は被相続財産の評価額に対して課税されますが、不動産は現金よりも評価額が低く抑えられる傾向にあります。
これにより、相続税の計算基礎となる評価額を下げられ、結果として支払う相続税額を抑えることができます。

また、一度にまとめて贈与するのではなく、複数回に分けて行えば、それぞれの時点で一定額の基礎控除が受けられるため、節税効果が高まります。
適切な時期と金額を選んだ計画的な対策が有効です。

さらに、小規模宅地等の特例によって一定額を非課税とするなどの手段も検討できます。
生前からの贈与と組み合わせた対策によって、相続発生時の相続税負担をかなり軽減できる可能性があります。

このように、相続対策を考える際には不動産投資を主要な手段の一つとして位置付け、各段階で効果的な節税対策を講じることが求められるのです。

不動産投資で節税に向いている物件

では、不動産投資で節税に向いている物件とはどのような物件でしょうか。

木造の築古アパート

木造の築年数が経過したアパートは、不動産投資における節税対策に最適な物件と言えます。
理由は、短期間で大きな償却が期待できるからです。

一般的な木造アパートの耐用年数は22年とされています。
例えば、築古と呼ばれはじめる築30年の物件を取得した場合、下記の計算式に当てはめると、わずか4年で償却する計算となります。

【法定耐用年数を過ぎているケース:法定耐用年数 × 0.2】
22年×0.2=4.4年

一方、新築物件の場合は取得価額は高くなりますが、耐用年数も長くなるため、毎年の減価償却費は相対的に低額にとどまってしまいます。
また、木造の場合は鉄筋コンクリート造りに比べて耐用年数が短く設定されているため、同じ築年数であれば年間の減価償却費の控除額が大きくなります。
さらに、築古物件は物件価格自体が相対的に安価な分、収益性の高い投資になりやすく、節税対策とのシナジー効果が期待できます。

このように、木造で築年数の経過した中古アパートは、大きな減価償却費の控除が可能であり、不動産投資における理想的な節税物件と言えるでしょう。

耐用年数の長い中古マンション

不動産投資における節税対策に適した物件として、耐用年数が比較的長い中古のマンションも挙げられます。
耐用年数が長ければ長いほど、減価償却期間が長期に渡るため、末永く節税効果が得られるからです。

一般的な鉄筋コンクリート造りのマンションの耐用年数は47年とされています。
例えば、耐用年数47年のマンションを築10年で取得した場合、下記の計算式に当てはめると、残り39年間で減価償却費として経費処理できることになります。

【法定耐用年数が残っているケース:(法定耐用年数 - 経過年数)+経過年数× 0.2】
(47年-10年)+10年×0.2=42年

さらに、老朽化の進んだマンション物件は取得価額自体が低廉になりがちなので、収益性も高く投資として魅力的です。

このように、中古で耐用年数の長いマンションは、長期にわたって減価償却費を確保できるため、不動産投資の節税対策に適した選択肢と言えるでしょう。

不動産投資で節税に向いていない物件

逆に、以下の物件は節税のための不動産投資には向いていない物件といえます。

新築の区分マンション(ワンルーム)

新築の区分所有型マンション、特にワンルームタイプの物件は、不動産投資における節税対策に向いていない物件と言えます。
なぜなら、高額な取得価格に比べて減価償却費の控除額が小さく、節税できる金額が投資資金に見合っていないためです。

区分マンションの多くは鉄筋コンクリート造りで、法定の耐用年数は47年と長期にわたります。

例えば、取得価格5,000円のワンルームマンションで、この金額を耐用年数47年(償却率0.022)で割ると、
年間の減価償却費は110万円しかなく、節税効果は限定的です。

加えて、新築物件は高額な取得価格分を賄うため、家賃収入が不足しがちで投資採算が取りにくいケースも多くあります。
節税対策とは別に、投資自体の収益性にも課題が残ります。

このように、新築の区分マンション、特にワンルームタイプは、高価格と限定的な減価償却費による節税効果の低さから、
節税対策における投資不動産としては避けるべき選択肢と言えるでしょう。

節税のポイント

ここからは、不動産投資における節税のポイントをいくつかご紹介します。

経費計上をして節税効果のシミュレーションを行う

不動産投資による節税対策を適切に行うためには、物件購入の前に様々な経費を計上し、
それによる節税効果額を詳細にシミュレーションすることが重要です。

主な経費計上項目としては、減価償却費、修繕費、借入金利息、管理費用、租税公課などがあげられます。
特に、大きな節税効果が期待できる減価償却費については、物件ごとに取得価額、法定耐用年数などを正確に押さえ、適正な計算を行う必要があります。

また、収入面の家賃収入見込みや、空室割合なども慎重に検討する必要があります。
経費や収入を過大、過小に見積もれば、実際の節税効果額を的確に算出できなくなるためです。

これらの経費収入予測をベースに、課税対象所得の計算、適用税率、控除額などを入力し、具体的な節税額の試算を行います。
さらに、法人成りの場合の法人税額との比較なども行い、最適な節税対策の選択を検討します。

特に高額な投資となる大型物件の場合、節税効果額は大きくなる半面、リスクも高まります。
そのため、シミュレーションを複数パターン行い、リスクとリターンを十分に見極める必要があります。

このように、入念な経費計上と適正な節税効果額の試算は、不動産投資の意思決定における極めて重要なプロセスと言えるでしょう。
事前のシミュレーションを怠ると、期待外れの結果に終わる可能性も高まります。

青色申告を行う

不動産投資における節税対策を最大限に活かすためには、「青色申告」を行うことが重要になります。
青色申告を選択することで、より多くの経費を算入でき、課税対象所得額を圧縮できるためです。

不動産投資における節税の観点から、青色申告と白色申告を比較すると、青色申告には多くの優位性があります。
まず、青色申告では複式簿記に基づく帳簿を作成し、貸借対照表および損益計算書を提出することで、最大65万円の特別控除を受けることができます。
単式簿記の場合でも10万円の控除が受けられる点も見逃せません。
これに対して、白色申告にはこのような特典はありません。

さらに、青色申告では不動産所得で生じた赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越し、他の所得から控除することができます。
この損失の繰越控除は大きな節税効果をもたらしますが、白色申告では原則認められていません。

また、青色申告を選択すると30万円未満の資産を購入した場合に、その購入費用を一度に経費として計上できます。
これにより、初期投資を早期に回収しやすくなる利点がありますが、白色申告ではこの即時償却の制度は利用できません。

加えて、青色申告では家族を専従者として雇用し、その給与を経費として計上することができます。
これにより、所得を分散し、税負担を軽減することが可能です。

白色申告の場合、専従者給与を経費に含めることはできません。

その他にも、青色申告を行うことで金融機関からの信頼性が高まり、融資を受けやすくなるという副次的なメリットもあります。

全体として、節税の観点から見ると青色申告は多くの優位性を持っています。
特に特別控除や損失の繰越控除、資産の即時償却、専従者給与の経費算入など、様々な節税メリットがあるため、不動産投資家にとって非常に有利です。

白色申告は記帳が簡便である点が利点ですが、節税効果を最大限に活かすには青色申告が推奨されます。

所得によっては法人化する

不動産投資における節税の観点から、個人事業主ではなく法人化する方が良い場合について説明します。

まず、法人化のメリットとして挙げられるのは、所得税率と法人税率の違いです。
個人事業主の場合、所得税は累進課税であり、所得が増えるほど高い税率が適用され、最高税率は45%になります。
これに対して、法人税率は基本的に一律であり、特に中小企業の場合は税率が低く抑えられていることが多いです。
したがって、高額所得を得ている場合には、法人化することで税率を低く抑えることが可能になります。

まず、個人事業主の所得税は累進課税であり、所得が増えるにつれて税率が上がります。日本の所得税率は以下のようになっています。

課税される所得金額税率 控除額
1,000円~195万円未満 5% 0円
195万円~330万円未満 10% 97,500円
330万円~695万円未満 20% 427,500円
695万円~900万円未満 23% 636,000円
900万円~1,800万円未満 33% 1,536,000円
1,800万円~4,000万円未満 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

これに対して、法人税は一定の税率で課税されます。
中小法人の場合、法人税率は通常23.2%ですが、年間所得が800万円以下の部分については15%の軽減税率が適用されます。
加えて、法人住民税や事業税が課されますが、個人の最高税率と比べると相対的に低い水準に抑えられます。

具体例: 課税所得が1,000万円の場合

・個人事業主が1,000万円の所得を得た場合、累進課税により高い税率が適用され、合計の所得税額は約176万円になります。
これに加えて住民税も課されるため、税負担はさらに大きくなります。

1,000万円×33%-153.6万円(控除額)=176.4万円

一方、法人化した場合、同じ1,000万円の所得でも以下のように税額が計算されます。

まず、法人税の軽減税率を適用して、最初の800万円に対しては15%の法人税が課されます。
800万円 × 15% = 120万円
残りの200万円に対しては23.2%の法人税が課されます。
200万円 × 23.2% = 46.4万円
合計の法人税は120万円 + 46.4万円 = 166.4万円となります。
この他に法人住民税や事業税が加算されるものの、個人事業主の所得税と比較しても税負担は軽減される可能性があります。

法人化するにも費用が発生するため、一概にはいくらからとは言えませんが、
所得が1,000万円を超えるあたりを目安として、検討してみても良いでしょう。

不動産投資による節税の注意点

最後に、不動産投資による節税の注意点を確認しましょう。

年収によっては節税効果が低い

不動産投資による節税効果は、納税者の年収水準によって大きく異なります。
年収が低いほど、節税額自体が限定的になってしまう傾向にあります。

所得税の最高税率は年間課税所得金額4,000万円超から45%となりますが、年収が500万円程度の水準であれば、確定申告時の各種控除後の課税対象所得は400万円程度にとどまります。
この場合、適用される所得税率は20%程度と低めになります。

つまり、100万円の経費を控除しても、節税額は20万円程度と限定的です。
この節税額では、不動産投資に伴う種々の手数料、管理費用などの実質的な負担を十分に賄えない可能性があります。

不動産投資は一定の節税効果が期待できる反面、年収水準が低すぎると節税メリットを享受できない場合もあり、投資自体のリスクが高まってしまいます。
したがって、年収の低い納税者においては、不動産投資による節税対策は必ずしも得策とは言えず、投資の是非を慎重に検討する必要があるでしょう。

入居率が悪いと収益性が悪くなる

不動産投資において、物件の入居率が収益性に大きな影響を与えることは言うまでもありません。
特に節税目的で不動産投資を行う場合、入居率の低下は収益性を著しく悪化させる要因となります。

まず、入居率が低下すると、家賃収入が減少します。
家賃収入は不動産投資の主要な収益源であり、その減少は直ちにキャッシュフローの悪化を引き起こします。
キャッシュフローが悪化すると、ローン返済や物件の維持管理に必要な費用を賄うことが難しくなり、経営が圧迫される可能性があります。

さらに、入居率の低下は空室期間の増加を意味します。
空室が続くと、その間の管理費や固定資産税、修繕費などの固定費は変わらず発生し続けますが、これらの費用を家賃収入でカバーすることができなくなります。
この結果、純利益は減少し、収益性は大幅に低下します。

加えて、物件の空室が増えると、物件の魅力が低下するリスクもあります。
空室が多い物件は、潜在的な入居者に対して「人気がない物件」と映る可能性があり、さらなる入居率の低下を招く悪循環に陥ることがあります。
このような状況は、将来的な賃料引き下げやリフォーム・リノベーションの必要性を生じさせ、追加のコストを伴うことも考えられます。

もちろん、節税の観点から見ても入居率の低下は問題です。
例えば、青色申告の特典を最大限に活用するためには、一定の収益を確保することが前提となります。
入居率の低下により収益が減少すると、控除額が減少し、節税効果が薄れる可能性があります。

このように、不動産投資において入居率の低下は収益性を著しく損なう要因となります。
したがって、物件の選定時には立地や物件の質、管理体制などを十分に検討し、入居率を高く維持するための戦略を立てることが重要です。
また、定期的なメンテナンスやリノベーション、入居者ニーズに対応したサービスの提供など、入居率向上のための施策を継続的に実施することも不可欠です。

安定した入居率を維持することで、収益性を確保し、節税効果を最大限に引き出すことが可能になります。
不動産投資は長期的な視点で収益を考えることが重要であり、そのためには入居率の維持・向上が鍵となります。

売却すると譲渡所得が発生する

節税目的で不動産投資を行う際には、物件の売却に伴って譲渡所得が発生する点に注意が必要です。

譲渡所得とは、不動産を売却した際に得られる利益のことで、この利益には所得税および住民税が課されます。
このため、節税を目的としていても、売却時に想定外の税負担が発生する可能性があります。

まず、譲渡所得の計算方法について理解しておくことが重要です。
・譲渡所得は、「譲渡収入金額」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた金額です。
・取得費には、購入時の物件価格や仲介手数料、登記費用などが含まれます。
・譲渡費用には、売却時の仲介手数料や広告費用などが含まれます。
これらの費用を差し引いた後の金額が譲渡所得となります。

次に、譲渡所得に対する税率は物件の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として高い税率が適用され、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」として低い税率が適用されます。
このため、物件の所有期間によって売却タイミングを検討することが重要です。
例えば、5年未満での売却は高い税負担を伴うため、可能であれば5年以上所有してから売却することで節税効果を得られます。

また、譲渡所得には特別控除も適用される場合があります。
自宅を売却する際には、3,000万円の特別控除が受けられるケースがありますが、投資用不動産には適用されません。
しかし、一定の条件を満たすことで、特別控除を受けられる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

物件の売却を検討する際には、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
複雑な税制や最適な売却タイミングの判断には専門的な知識が必要です。
専門家のアドバイスを受けることで、節税効果を最大限に引き出しながら、適切な売却計画を立てることができるでしょう。

長期保有すると節税効果が低くなる

節税目的で不動産投資を行う際には、物件を長期保有すると節税効果が低くなる可能性があることを注意しなければなりません。

まず、節税効果の大きな要素である減価償却ですが、物件を購入した際の減価償却費は、物件の購入価格を一定の期間にわたって経費として計上することで、所得税や住民税の負担を軽減する役割を果たします。
しかし、減価償却期間が終わると、この経費計上ができなくなり、結果として課税所得が増加します。

次に、物件の修繕費や維持管理費が増加する点にも注意が必要です。
物件が老朽化するにつれて修繕費が増えますが、これらの費用も経費として計上できるものの、長期的には物件の価値が減少し、収益が低下するリスクがあります。
また、頻繁な修繕やメンテナンス費用が累積すると、キャッシュフローに悪影響を及ぼし、節税効果を相殺する可能性があります。

さらに、賃料の変動リスクも長期保有のデメリットです。
不動産市場の変動や地域の人気の低下により、賃料が下落すると家賃収入が減少し、所得が減少します。
所得が減少すると節税の効果も限定的となり、税負担が相対的に大きく感じられることになります。

これらの点を考慮すると、節税効果を最大化するためには、物件を長期間保有するだけでなく、適切な売却タイミングを見極めることが重要です。

市場の状況や物件の状態を定期的に見直し、必要に応じて売却や他の投資へ資金を移動する戦略を取ることで、効果的に節税を図ることができます。

まとめ

この記事では、不動産投資の節税方法や注意点について解説しました。

節税は不動産投資の大きなメリットであり、減価償却費の活用や各種税控除の適用によって、所得税や住民税の負担を大幅に軽減できます。
しかし、これらの節税効果は適切な物件選びや経費の計上、タイミングの見極めに依存しています。

また、収益性が確保できなければ、節税効果が薄れ、逆に経営が圧迫されるリスクもあります。
そのため、節税はあくまで手段であり、投資の収益性を最優先に考えることが重要です。

不動産投資を成功させるためには、入念なシミュレーションと綿密な計画が不可欠です。
青色申告や法人化、専門家の助言を活用しながら、柔軟かつバランスの取れた投資戦略を構築しましょう。

適切な節税対策を講じることで、安定した収益を確保し、長期的な資産形成を目指すことができます。
不動産投資における賢明な節税活用が、成功への鍵となるのです。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士

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