物価の高騰もあり、2000万円の貯金だけでは老後の安心を確保するのが難しくなっています。
「2000万円を運用するならどの方法がおすすめ?」「リスクを抑えた運用方法は?注意点は?」など、疑問を持っている方もいるでしょう。本記事では、2000万円のおすすめ運用方法をリスク別に解説します。
また、資産運用における注意点や相談先についても紹介します。
おすすめの運用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
2000万円あったら貯金よりも運用の方がおすすめの理由
2000万円あったら貯金よりも運用の方がおすすめなのは、インフレの影響でお金の価値が下がる可能性があるからです。
また、2000万円の資金があれば、さまざまな投資先を検討することが可能です。
さらに、老後の資金が2000万円の貯金だけでは不足する可能性も考えられます。
運用には損失リスクが伴いますが、資産を増やす可能性もあります。
ここでは、貯金よりも運用の方がおすすめの理由について詳しく見ていきましょう。
インフレによりお金の価値が下がる可能性がある
インフレ(インフレーション)は、物価が継続的に上昇する現象です。
インフレが起こると、モノやサービスの価格が上昇し、実質的にお金の価値が減少します。
例えば、1万円の所持金がある場合、1つ100円の商品であれば最大で100個購入できます。しかし、インフレによってその商品の価格が200円に上昇した場合、同じ金額では最大でも50個しか購入できません。物価が上昇することで、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減少します。
原材料高騰や円安などの要因により、物価上昇が続いています。
帝国データバンクの調査によれば、2024年5月には食品の値上げが417品目あり、年間で既に7000品目が値上げされています。まとまった貯金があっても、インフレの影響でお金の価値が低下するため、資産運用を検討することを勧めます。
●参考:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」 帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査2024年5月」
2000万円の運用資金があれば投資先の選択肢が多い
貯金よりも運用の方がおすすめなのは、2000万円の運用資金があれば、さまざまな投資先を検討できるからです。
株式投資、投資信託、不動産投資、債券、FX、コモディティ、仮想通貨など、ほとんどの金融商品が選択肢にあります。
例えば、株式投資を行う場合、運用資金が100万円しかなければ、希望の銘柄を購入できないこともあります。
以下は、2024年6月7日時点の終値をもとにした最低購入金額です。
100万円あれば、トヨタやオリエンタルランド、リクルート、ソフトバンクの株を購入できますが、ソニーやニトリ、ファーストリテイリングの株は購入できません。
しかし、2000万円あればすべての株を購入でき、株価が下がった場合には買い増す余力もあります。
●主要銘柄の最低購入金額
トヨタ:32万1900円
オリエンタルランド:45万7600円
リクルートホールディングス:77万4900円
ソフトバンクグループ:94万9600円
ソニーグループ:134万2500円
ニトリホールディングス:172万6500円
ファーストリテイリング:410万8000円
※株価は2024年6月7日時点の終値
2000万円の運用資金があれば、さまざまな金融商品が選択肢に入るため、ニーズに適した運用が可能となります。
老後に貯金2000万では足りなくなる可能性も
老後のために2000万円を貯金しても足りない場合があるので、資産運用を検討することをおすすめします。以下のような事態が発生するかもしれません。
・物価上昇が続いて生活費が増える
・年金が減少して、老後の収入が予想よりも減る
・病気やケガで働けなくなる
2019年に金融庁の市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」を公表し、「老後2000万円問題」が話題になりました。
しかし、この試算には医療費や介護費、子ども(孫)のお祝い、家のリフォーム費用などは含まれていないため、実際にはさらに多くの資金が必要になる可能性があります。
老後に必要な資金をシミュレーションし、貯金2000万円や今後の貯蓄だけでは不足する可能性がある場合は、資産運用を選択肢に入れて検討しましょう。
2000万円のおすすめ運用方法をリスク別にご紹介
2000万円を運用する方法はさまざまで、それぞれに特徴があります。
以下では、リスク別に分けて、ローリスク・ローリターン型、ミドルリスク・ミドルリターン型、ハイリスク・ハイリターン型の運用方法を紹介します。
ローリスク・ローリターン型
2000万円をローリスク・ローリターンで運用する方法として、定期預金、個人向け国債・地方債、個人年金保険があります。これらの金融商品は元本割れのリスクを比較的抑えることができるため、「リターンは少なくてもリスクを最小限に抑えたい」という方にとって特におすすめです。
ここでは、ローリスク・ローリターン型の金融商品や運用方法について詳しく見ていきます。
定期預金
ローリスク・ローリターンの運用方法としておすすめなのが定期預金です。定期預金は、金融機関に1ヶ月から10年程度の決まった期間、お金を預ける金融商品です。
普通預金とは異なり、一定期間は預け入れや引き出しができないため、金利が高く設定されています。一般的に、預け入れ期間が長いほど金利も高くなります。
例えば、三菱UFJ銀行の普通預金の金利は0.02%ですが、定期預金の金利は0.025%〜0.3%です。
また、ゆうちょ銀行の通常貯蓄貯金の金利は0.02%で、定額貯金の金利は0.023%〜0.11%となっています。
※2024年6月8日時点
定期預金は預金保険制度の対象であり、金融機関が破綻した場合は1金融機関ごとに元本1000万円とその利息が保護されます。
ただし、株式投資や投資信託などの他の投資商品に比べると利回りが低く、お金が増えにくい点には注意が必要です。運用期間中に引き出す場合は解約が必要となり、その場合には手数料がかかります。
メリット | ・普通預金より金利が高い ・1000万円まで元本保証がある ・預け入れ期間を選べる |
---|---|
デメリット | ・他の金融商品に比べてお金が増えにくい ・自由に引き出すことができない ・インフレのリスクがある |
平均利回り | 年0.02%〜0.3%程度 |
個人向け国債・地方債
2000万円を運用する際には、個人向け国債や地方債などの債券投資もおすすめです。債券は、国や地方自治体などが資金調達のために発行する有価証券です。
債券を購入することで、投資家は発行体から利子を受け取り、満期を迎えると元本が返還されます(利付債の場合)。また、利子の支払いがない代わりに、額面価格よりも発行価格が低い割引債もあります。
個人向け国債は、発行体が国であるため安全性が高いのが特徴です。「変動金利型10年満期」「固定金利型5年満期」「固定金利型3年満期」の3種類があり、それぞれ満期や金利の条件が異なります。詳細は以下のとおりです。
変動金利型10年満期 | 固定金利型5年満期 | 固定金利型3年満期 | |
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満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利タイプ | 変動金利 | 固定金利 | 固定金利 |
金利 | 0.69% | 0.59% | 0.40% |
利子の受け取り | 年2回 | 年2回 | 年2回 |
販売価格 | 1万円〜 | 1万円〜 | 1万円〜 |
また、地方債は国債よりも金利が高い傾向にあります。一般財団法人 地方債協会の「全国型市場公募地方債(個別債)」によると、2024年6月9日時点で募集されている債券の金利は、0.453%〜1.846%程度です。
ただし、個人向け国債や地方債は、運用期間の途中で売却すると元本割れする可能性があるため注意が必要です。
例えば、個人向け国債を中途換金すると、直前2回分の利子が差し引かれます。
2000万円を国債や地方債で運用するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・定期預金より金利が高い ・定期的に利子を受け取れる ・満期を迎えると額面金額が戻ってくる |
デメリット | ・途中売却すると元本割れの可能性がある ・他の投資商品と比べて利回りが低い |
平均利回り | ・国債:0.4%〜0.69%程度 ・地方債:0.453%〜1.846%程度 |
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金(国民年金、厚生年金)を補い、老後資金を準備するための私的年金の一つです。
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額の平均月額は14万4,982円でした。また、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によれば、老後の家計収支の平均は、以下のとおりです。
実収入 | 消費支出・非消費支出 | 収支 | |
---|---|---|---|
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 約24万6,237円 | 約26万8,508円 | 約2万2,270円の赤字 |
65歳以上の単身無職世帯 | 約13万4,915円 | 約15万5,495円 | 約2万580円の赤字 |
個人年金保険は、目的が「年金」であることが明確です。定期的に保険料を支払う必要があり、老後資金を計画的に用意することができます。さらに、支払った保険料は生命保険料控除の対象となり、所得控除を受けられるため、税負担を軽減できます。
ただし、途中で解約した場合、解約返戻金が支払った保険料よりも低くなることが一般的ですので注意が必要です。
利回りは保険会社や被保険者の年齢などによって異なりますが、おおよそ1%程度です(円建ての場合)。
メリット | ・老後資金を計画的に準備できる ・所得控除が受けられる ・健康状態が不安な場合でも加入しやすい |
デメリット | ・途中解約すると元本割れの可能性がある ・インフレのリスクがある |
平均利回り | 1%程度 |
ミドルリスク・ミドルリターン型
ミドルリスク・ミドルリターン型の運用方法には、株式投資、投資信託、ETF、不動産投資、不動産投資信託(REIT)などがあります。
これらの金融商品は、「一定のリスクを取りながら、それに見合ったリターンを得たい」という方におすすめです。
ここでは、ミドルリスク・ミドルリターン型の金融商品や運用方法について詳しく見ていきます。
株式投資
ミドルリスク・ミドルリターン型の代表的な金融商品が株式投資です。
株式は企業が資金調達のために発行する有価証券であり、投資家は株主となって、利益を得たり、株主総会に参加したりすることができます。株式投資は、購入時の価格より高く売却することで得られる売却益だけでなく、配当金や株主優待を受け取ることもできる点が魅力です。
配当金は企業が利益の一部を株主に分配するもので、株式を保有し続けることで、年に1〜2回受け取ることができます(配当金が出ない銘柄もあります)。また、株主優待では、企業から自社製品やギフト券、割引券などを受け取ることができる場合があります。さらに、株主には議決権が与えられるため、企業経営に参加することが可能です。
ただし、株価が下落して大きな損失が発生するリスクや、企業が倒産する可能性もあります。取引量が少ない銘柄に関しては、希望価格で売買できない可能性があるため、注意が必要です。
5万円以下で購入可能な銘柄もあれば、100万円以上が必要な銘柄もあるため、投資資金によっては選択肢が制限されることがあります。
日本取引所グループの「その他統計資料」によると、2024年5月の株式平均利回り(加重平均利回り)は、以下のとおりです。
・プライム市場:2.03%
・スタンダード市場:2.14%
・グロース市場:0.39%
メリット | ・売却益を得ることができる ・配当金や株主優待を受け取れることがある ・企業の経営に参加できる |
デメリット | ・元本保証はない ・倒産リスクがある ・流動性が低く売買が成立しない場合もある ・投資金額が高額な銘柄もある |
平均利回り | ・プライム市場:2.03% ・スタンダード市場:2.14% ・グロース市場:0.39%※株式平均利回り(加重平均利回り) |
投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めた資金をプロの投資家が運用し、利益を出資額に応じて投資家に分配する金融商品です。
証券会社や銀行などの「販売会社」、投資家から集めた資産を保管・管理する「受託会社」、投資信託を運用する「委託会社(運用会社)」の3つの機関が関与しています。
投資信託のメリットは、運用をプロの投資家に任せられることです。
また、国内外の株式、債券、不動産などに分散投資ができます。金融機関によっては、100円から投資ができ、「毎月1日に1万円積み立てる」など積立投資も可能です。
ただし、投資信託は以下の手数料がかかるため注意が必要です。
・購入時手数料:購入時に支払う手数料(手数料0円の商品もあります)
・信託報酬:投資信託保有中にかかる手数料
・信託財産留保額:解約する際にかかる手数料
また、投資信託の基準価額はブラインド方式で、1日に1回しか公表されないため、株式のようにリアルタイムで売買することはできません。投資信託は分散投資が基本であり、その性質から、個別の株式投資と比べて短期間で大きな利益を得ることは難しいとされています。
投資信託の平均利回りは3%〜10%程度と言われています。
メリット | ・運用をプロに任せられる ・100円から投資可能 ・分散投資がしやすい ・積立投資ができる |
デメリット | ・運用コストがかかる ・リアルタイムに売買できない ・短期間で大きな利益を得ることは難しい |
平均利回り | 3%〜10%程度 |
ETF
ETF(Exchange Traded Fund)は、上場投資信託のことで、株式のように証券取引所で売買できるのが特徴です。
日経平均、TOPIX、NYダウ、S&P500、不動産投資信託(REIT)、コモディティなど、さまざまな指数に連動するETFがあります。ETFは、1万円〜など比較的少額から始められ、手軽に分散投資が可能です。
日経平均やTOPIXなど、指数に連動する商品が多いため、値動きがわかりやすく、相場の動向を掴みやすいのも特徴です。また、運用コストが低く、株式のようにリアルタイムで市場価格が変動するため、タイムリーに取引できます。
ただし、投資信託のように自動積立設定ができない場合があります。また、分配金が自動的に再投資されないため、複利効果を得にくい点にも注意が必要です。
さらに、ETFには市場価格と基準価額があり、相場が急変した際にはこれらの価格がかい離することがあります。
メリット | ・分散投資がしやすい ・値動きがわかりやすい ・運用コストが低い ・リアルタイムで売買可能 |
デメリット | ・自動積立投資に対応していない場合がある ・分配金が再投資されない ・価格が乖離することがある |
平均利回り | 2%〜5%程度 |
不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどの投資用物件を取得し、第三者に賃貸して家賃収入を得る方法です。購入時より高い価格で売却して売却益を得ることも可能です。
投資用物件には、主に次のような種類があります。
・区分マンション(ワンルームマンションなど)
・一棟マンション
・一棟アパート
・一棟ビル
・戸建て
不動産投資は、入居者がいる限り安定した収益を得ることができます。また、多くの不動産投資ローンは団体信用生命保険への加入が必要であり、ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金でローン残債が支払われます。そのため、万が一の際にはローンのない投資用物件を家族に残すことが可能です。
さらに、減価償却などで会計上の赤字が発生した場合、損益通算によって所得税や住民税の軽減が期待できます。
不動産は現金よりも評価額が低くなる傾向があるため、相続税対策としても有効です。
不動産投資ローンを利用すれば、少ない元手でも不動産投資を始めることができます。
ただし、不動産投資には空室リスク、災害リスク、家賃滞納リスク、修繕リスク、金利上昇リスクなど、さまざまなリスクがあるため注意が必要です。
不動産の売却時には、取引が成立するまでに3ヶ月から半年程度、場合によっては1年以上かかることもあります。
一般社団法人 日本不動産研究所の「第50回 不動産投資家調査(2024年4月現在)」によると、賃貸住宅一棟の期待利回りは、ワンルームタイプが3.8%〜5.1%程度、ファミリータイプが3.8%〜5.2%程度でした。
メリット | ・長期間にわたって一定の収益を得られる ・生命保険の代わりになる ・税金対策として有効 ・レバレッジ効果を活用できる ・インフレに強い |
デメリット | ・空室リスクや家賃滞納リスク、災害リスクがある ・管理費や修繕費、賃貸管理手数料、税金などがかかる ・流動性が低く現金化に時間がかかる |
平均利回り | ・ワンルーム:3.8%〜5.1%程度 ・ファミリー:3.8%〜5.2%程度※賃貸住宅一棟の期待利回り |
不動産投資信託(REIT)
REIT(Real Estate Investment Trust)は、不動産投資信託のことで、投資家からの資金を使って不動産を取得・運用し、収益を分配する仕組みです。
投資先の選定や運用は専門家が行うため、投資家は不動産の選定や管理に関する手間を省くことができます。
また、1万円程度の少額から不動産投資を始めることが可能です。
市場での売買が可能であり、NISAを利用して節税することもできます。通常、投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すれば非課税となります。
ただし、あくまでも投資信託となるため、実際の不動産の所有権を得ることはできません。
また、投資信託を運用する法人が破綻するリスクや、空室リスク、金利上昇リスク、災害リスクなどによって収益が上がらず、分配金が出ない場合もあります。
一般社団法人 不動産証券化協会によると、J-REITの分配金利回りの平均は4.44%です(2024年4月時点)
メリット | ・少額からの不動産投資が可能 ・市場で売買できる ・専門家が運用する ・NISAを利用できる |
デメリット | ・現物不動産の所有ができない ・投資法人の破綻リスクがある ・空室リスクや金利上昇リスクがある |
平均利回り | 4.44% ※2024年4月時点 |
ハイリスク・ハイリターン型
2000万円をハイリスク・ハイリターンで運用する方法として、先物取引、信用取引、暗号資産(仮想通貨)、FXなどがあります。
これらの金融商品や運用方法は、大きなリスクを伴う反面、大きなリターンが期待できます。そのため、投資に関する一定の知識や経験、ノウハウを持つ方におすすめです。投資の経験が浅い方は、慎重に検討した方がよいでしょう。
ここでは、ハイリスク・ハイリターン型の金融商品や運用方法について詳しく見ていきます。
先物取引
先物取引は、将来の期日に、事前に決められた価格で特定の商品を売買する取引のことです。
例えば、「1年後の5月1日に金を5万円で買う」という取引です。1年後の5月1日に金の価格が5万円を超えていれば、その差額が利益となり、逆に5万円を下回っていれば損失が生じます。
先物取引は、「商品先物」と「金融先物」の2つに分類できます。
・商品先物:金、貴金属、原油、トウモロコシ、ゴム、大豆などの商品を対象とした取引
・金融先物:株価指数先物取引、債券先物取引、通貨先物取引、金利先物取引など
例えば、株価指数先物取引には、日経平均株価を対象とした日経225先物や、東証株価指数(TOPIX)を対象としたTOPIX先物があります。また、債券先物取引には、中期国債先物や長期国債先物があるなど、さまざまな商品で取引が可能です。
先物取引は、「買い」と「売り」の両方から取引を始められるため、相場が下降トレンドでも利益を狙うことができます。
少額から取引ができ、ボラティリティ(価格変動率)が高いため、短期間で大きなリターンを得るチャンスがあります。
さらに、あらかじめ決めた価格で売買できる点も先物取引の大きなメリットです。
ただし、先物取引には期日があるため長期間保有することができません。
期日までに反対売買(買い→売り、売り→買い)をしなかった場合は、自動的に決済されます。
また、大きなリターンを狙える反面、大きな損失を抱えるリスクもあるため、注意が必要です。先物取引は証拠金取引となるため、相場が逆方向に動いて損失が一定水準を超えると、証拠金を追加で入金しなければならない場合があります。
参考:日本取引所グループ「商品一覧」
メリット | ・「売り」から取引を開始できる ・少額から取引が可能 ・短期間で大きな利益を狙える ・事前に売買価格を設定できる |
デメリット | ・長期間の保有ができない ・短期間で大きな損失を抱えるリスクがある ・証拠金の追加が必要になる場合がある |
平均利回り | ー |
信用取引
信用取引は、証券会社から現金や株券を借りて株式を売買する取引方法です。信用取引を行うには、証券会社で信用取引口座を開設する必要があります。
信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2つの種類があります。
・制度信用取引:証券取引所が定めた基準を満たす銘柄を対象とし、返済期限は最長6ヶ月、金利は比較的低い
・一般信用取引:上場銘柄を対象とし、返済期限は証券会社との間で決まり、金利は制度信用取引より高い
信用取引では、担保(保証金や株)の約3.3倍の取引が可能です。レバレッジを効かせて取引できるため、少額で大きなリターンを得ることもできます。
また、「売り」から取引を始めることもできるため、下落トレンドでも利益を得るチャンスがあります。さらに、1日に同じ銘柄を何度でも売買することが可能です(現物取引の場合は1往復まで)。
ただし、信用取引は金利、貸株料、信用管理費、名義書換料、逆日歩(品貸料)などの手数料がかかることがあります。
※貸株料は売建ての場合
※買建ての場合は品貸料(逆日歩)を受け取ることができる
含み損が大きくなり、委託保証金維持率が最低委託保証金維持率を下回った場合は、追証(追加委託保証金)が発生するため注意が必要です。
メリット | ・レバレッジを効かせた取引が可能 ・下落トレンドでも利益を狙える ・同じ銘柄を1日に何度でも売買できる |
デメリット | ・現物取引よりコストがかかる ・追証や強制決済のリスクがある ・短期間で大きな損失を抱えるリスクがある |
平均利回り | ー |
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産(仮想通貨)は、インターネット上で取引が可能なデジタル通貨(資産)のことです。
代表的なものにビットコインがあり、ブロックチェーンの技術で管理されています。
イーサリアムやイーサリアムクラシック、リスク、リップル、ネムなど、他にもさまざまな暗号資産が存在します。暗号資産は、取引所や販売所を通じて購入することが可能です。
数百円から購入できるため、少額から投資を始めることができます。
さらに、24時間取引が可能なので、日中忙しい方でも夜間に売買することができます。
暗号資産であれば、海外送金もスピーディーに行えて、銀行送金と比べて手数料が低いです。送金先のアドレスを知っていれば、簡単に送金手続きができます。また、売買で利益を得るだけでなく、店舗やサービスでの決済や支払いにも利用できる場合があります。
ただし、暗号資産はボラティリティが高く、短期間で大きな損失を被る可能性があるため注意が必要です。
また、決済や支払いで利用できる店舗やサービスの数はまだまだ少ない状況です。
ビットコインなどで得た利益(売却や決済、購入時など)は、雑所得として扱われ、総合課税の対象となります。総合課税は、他の所得(給与所得など)と合算した総所得に対して、累進課税が適用される仕組みです。
累進課税は、課税所得額に応じて5%〜45%の所得税が課されます。加えて、10%の住民税がかかるため、最大税率は合計55%になります。
参考:国税庁「所得税の税率」
メリット | ・少額から投資が可能 ・24時間取引できる ・スピーディーに海外送金が可能 ・決済に使える |
デメリット | ・ボラティリティが高い ・利用可能な店舗やサービスが少ない ・総合課税の対象となる |
平均利回り | ー |
FX
FX(Foreign Exchange)は外国為替証拠金取引のことで、米ドル/円やユーロ/円など異なる2つの通貨を売買して、その差額で利益を得ることができます。
例えば、1ドル=150円のときに買い、1ドル=151円のときに売ると、差額の1円が利益(為替差益)となります。
また、FXでは通貨の金利差によるスワップポイントを受け取ることも可能です。例えば、米国の金利が5.5%、日本の金利が0.1%の場合、円を売って米ドルを買い、そのまま保有すると、金利差5.4%分のスワップポイントを得ることができます。
※スワップポイントは各社で異なります。
東京、香港、ニューヨーク、ロンドンなど、世界各地で為替市場が開かれているため、平日はほぼ24時間取引が可能です。さらに、FXではレバレッジ取引により、最大25倍の金額で取引することができます。
ただし、FXはボラティリティが高いため、短期間で大きな損失を被るリスクがあります。特にレバレッジ取引の場合は注意が必要です。含み損が増えて証拠金維持率が一定水準を下回ると、追証やロスカット(強制決済)が発生する可能性があるため注意してください。
メリット | ・少額から投資が可能 ・平日24時間取引できる ・「売り」からでも取引できる ・最大25倍のレバレッジ取引が可能 |
デメリット | ・短期間で大きな損失を抱えるリスクがある ・預けた資金以上の損失が発生する可能性がある ・相場の予測が難しい |
平均利回り | ー |
2000万円を資産運用をする際の注意点
2000万円を運用する場合、リスクを軽減するために資産を分散させることが重要です。
さらに、目標達成までのロードマップを把握するためにも、事前に運用シミュレーションを行うことが大切です。
これらを事前に把握しておくことで、資産運用における失敗リスクを軽減することができます。
ここでは、2000万円を資産運用をする際の注意点について見ていきましょう。
分散投資をしてリスク回避をする
2000万円を運用する際は、分散投資をしてリスク回避をすることが大切です。分散投資とは、資金を複数の異なる金融商品に分散して投資することです。
一つの金融商品に大きな資金を注ぎ込むと、その商品の価格が大幅に下落した場合、大きな損失を被ることになります。しかし、複数の商品に資金を分散させておけば、一つの商品の価格が下落しても、全体的なリスクを軽減できます。
投資の世界では「卵を一つのかごに盛るな」ということわざがあり、これは分散投資の重要性を示すものです。
また、日本証券業協会や金融庁、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、資産運用の考え方の一つとして、分散投資を推奨しています。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
日本証券業協会
金融庁
目的に向け運用シミュレーションを行う
2000万円の資産運用を考える場合、事前に運用シミュレーションを行うことが大切です。
シミュレーションを通じて、目標の資産額に到達するために必要な運用期間や積立額、利回りなどを把握できます。
目標達成までのロードマップが明確になることで、より具体的なイメージを持って資産運用に取り組むことが可能です。
さらに、シミュレーションの結果から、「この運用方法では目標額に届かない可能性がある」「目標額には到達するが、ハイペースすぎて高いリスクが伴う」など、現在検討している運用方法が最適なものか見極めることができます。
運用シミュレーションは、IFAや証券会社・銀行などが無料で提供しています。
また、金融庁の「つみたてシミュレーター」や「資産形成シミュレーター」なども便利です。
例えば、「つみたてシミュレーター」では、毎月の積立額や想定利回り、積立期間、目標金額を入力するだけで、将来の運用資産額や必要な積立額、積立期間などを簡単にシミュレーションすることができます。
運用方針を決める際には、シミュレーションを行いましょう。
これから2000万円を資産運用するならプロに相談がおすすめ
2000万円の資産運用を検討する際には、投資の専門家に相談することをおすすめします。
専門家に相談することで、運用目的や方針、投資額、リスク許容度などに応じた最適な運用方法についての紹介やアドバイスを受けることができます。
また、投資に関する知識やノウハウも学べる可能性があります。
資産運用にはリスクが伴うため、専門家のアドバイスを受けながら運用方法を決定しましょう。
どこに資産運の相談をすればいいのか?
資産運用の相談先としては、銀行、証券会社、IFA、FPなどが挙げられます。それぞれで特徴や取り扱っている金融商品が異なるため、事前に違いを理解し、自身に適した相談先を選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
銀行
メガバンクや地方銀行など、多くの銀行が資産運用に関する窓口を設け、さまざまな金融商品を提供しています。
お金に関する知識や資格を持つ相談員からは、資産状況などに応じた商品の紹介やアドバイスを受けることができます。
銀行は規模が大きいため安心感を得られます。特に、普段から利用している銀行であればより信頼感が増すでしょう。
また、銀行によっては「資産運用を行うとポイントが貯まる」など独自の特典が用意されていることもあります。
ただし、銀行は取り扱う商品の種類が少ないため、提案される商品やアドバイスが必ずしも最適なものとは限りません。他の機関よりも手数料が高い場合もあるため、注意が必要です。
メリット | ・専門知識や資格を持った相談員からアドバイスを受けられる ・安心感がある ・独自の特典がある |
デメリット | ・取り扱う商品の種類が少ない ・手数料が高い |
取り扱う商品 | ・定期預金 ・債券 ・投資信託など |
証券会社
証券会社には、「対面証券」と「ネット証券」の大きく2つの形態があります。
対面証券では、店頭や電話を通じて、専門家からアドバイスを受けることが可能です。一方、ネット証券はほとんどの場合、相談窓口を設けていませんが、セミナーなどを通じて専門家の話を聞いたり、運用に関して相談できる場合があります。
証券会社には資産運用に関する幅広い情報が集まるため、専門的な知識やノウハウを持つ相談員からアドバイスを受けられます。また、証券会社は、株式、債券、投資信託、ETFなど、取り扱う商品の種類が豊富なため、ニーズに合った運用方法を提案してもらうことが可能です。
特典としてポイントやキャッシュバックなどを提供している証券会社もあります。
ただし、取り扱う商品の種類は豊富ですが、定期預金や不動産投資などは扱っていません。
また、銀行と比べると店舗数は少なく、自宅や職場近くに店舗がない場合もあります。
メリット | ・取り扱う商品の種類が豊富 ・独自の特典を提供している |
デメリット | ・定期預金や不動産投資などを扱っていない ・近くに店舗がないこともある |
取り扱う商品 | ・株式 ・債券 ・投資信託 ・不動産投資信託(REIT) ・ETF ・先物取引 ・FX など |
IFA
IFAとは、独立系ファイナンシャルアドバイザーのことです。資産運用の専門家であり、相談者のライフステージや資産状況、目的に応じて適した資産運用プランを提案します。また、金融商品の紹介や売買支援も行うことがあります。
IFAは金融機関や証券会社と業務委託契約を結び、個人で活動しているため、特定の会社には属していません。そのため、中立的な立場からアドバイスや商品の紹介を受けることができます。また、転勤や異動がないため、長期にわたるサポートが期待できる点がメリットです。
ただし、銀行や証券会社ほどの社会的な信用性や知名度が高くないことや、相談時に手数料が発生する場合があることには注意が必要です。信頼できるIFAを選ぶことが大切です。
メリット | ・中立的な立場からアドバイスや商品の紹介を行う ・長期にわたるサポートが期待できる ・幅広い金融や経済に関する知識を持つ |
デメリット | ・銀行や証券会社に比べて規模が小さい ・手数料がかかる |
取り扱う商品 | ・株式 ・債券 ・投資信託 など |
FP
FP(ファイナンシャルプランナー)は、相談者のライフプランや資産状況にもとづき、老後資金や子どもの教育費、住宅資金などの準備方法や家計の改善策を提案する専門家です。
FPに相談することで、「将来の家の購入に備えて毎月◯◯円を貯蓄する」など、ライフプランに合わせた資金計画を立てることができます。さらに、光熱費や通信費、交際費など、節約できる費用を見つけ出し、具体的な節約方法についてアドバイスを受けることも可能です。
生命保険や個人年金保険など、ニーズに合った保険商品についてアドバイスを受けることもできます。
ただし、FPは資産運用の専門家ではないため、相談しても最適な運用方法や金融商品はわからない可能性があるため注意が必要です。
メリット | ・将来の資金計画を立てることができる ・家計改善に関するアドバイスを得ることができる ・ニーズに合った生命保険などが理解できる |
デメリット | ・資産運用の専門家ではない ・最適な資産運用プランや商品がわからない |
取り扱う商品 | ・生命保険 など |
おすすめはIFAか証券会社
資産運用の相談する際には、IFAまたは証券会社を選ぶことをおすすめします。理由は、以下のとおりです。
・資産運用に関する幅広い知識やノウハウを持っているため
・取り扱う商品の種類が豊富であるため
・ニーズや資産状況に合わせて最適な運用プランを提案してもらえるため
・独自の特典や長期的なサポートが期待できるため
どちらも幅広い専門知識を持ち、取り扱う商品の種類も豊富なため、最適な資産運用方法や金融商品を提案してもらうことができます。
相談先が決まっていない場合は、IFAや証券会社に相談することを検討しましょう。
まとめ
2000万円の運用方法には多くの選択肢があり、それぞれで特性が異なります。自身の運用目標や方針、リスク許容度に合った方法を選ぶことが大切です。
そのため、資産運用を始める際には専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、自身に適した運用方法がわかり、目標達成の可能性を高めることができます。
2000万円の資産運用を検討している方は、この機会に早速動き出しましょう。