「貯蓄から投資へ」というスローガンや新NISAの導入により、資産運用に関心を持つ人が増えています。その中で、近年注目されているのがIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)です。
IFAに相談することで、自身の条件や目的に合った資産運用プランの提案やアドバイスを受けることができます。
本記事では、IFAの役割や相談する際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。IFAや資産運用に関心がある方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは?
IFA(Independent Financial Advisor)とは、資産運用の専門家のことであり、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれています。
IFAは、個人のニーズやライフステージに合った資産運用プランを提案し、株式や債券、投資信託などの金融商品の選定やアドバイス、売買支援を行います。IFAは、FP(ファイナンシャルプランナー)とは違い、金融商品仲介業者であるため、金融商品の選定や売買支援などが可能です。
※金融商品仲介業者とは…証券会社などから委託を受け、売買の媒介や募集・売り出しなどを行う業者。特定の会社に属さず、中立的な立場でアドバイスや提案を行う。金融商品仲介業者は、内閣総理大臣の登録と日本証券業協会の外務員登録が必要。
金融商品仲介業者の登録状況は金融庁が公表しており、
2024年4月30日時点で、法人が653業者、個人が30業者、合計で683業者が登録されています。
また、日本証券業協会によれば、2023年12月末時点で金融商品仲介業者の登録外務員数は7,760名です。
参考:金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」
引用元:金融庁「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」の公表について
日本証券業協会「協会員の従業員数等」
みずほ総合研究所株式会社「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」
金融機関・証券会社・FPとの違い
IFAと金融機関、証券会社、FPの違いを理解することで、IFAの業務内容や立ち位置をより明確に把握できます。
ここでは、それぞれの特徴や違いについて見ていきましょう。
銀行
銀行は、株式や債券、保険など、自社の商品を顧客に提案・販売するのに対し、IFAは複数の金融機関や証券会社からの委託を受けて中立的な立場で顧客に金融商品を仲介します。
また、顧客のライフステージや資産状況なども考慮して、資産運用プランを提案します。
銀行は顧客から直接報酬を得るのに対し、IFAは金融機関や証券会社から報酬を得る仕組みです。
IFA | 銀行 | |
---|---|---|
取り扱う商品 | 複数の金融機関や証券会社の商品 | 自社で取り扱う商品 |
提案方針 | 中立的な立場で顧客のニーズに応じて最適な商品を提案 | 顧客のニーズや会社の都合に合った商品を提案 |
ノルマ | なし | あり |
転勤 | なし | あり |
報酬 | 金融機関や証券会社から得る | 顧客から得る |
証券会社
証券会社には楽天証券やSBI証券、野村證券などがあり、自社で取り扱う金融商品を販売しています。
IFAは金融商品仲介業者として、金融機関や証券会社と業務委託契約を結び、金融商品の仲介を行うのが特徴です。
IFAは、複数の金融機関や証券会社の商品から、中立的な立場で顧客に最適な商品を提案します。そのため、顧客のニーズに応じて、複数の商品を組み合わせたオーダーメイドのプランを提案することもあります。
また、IFAは金融機関や証券会社から報酬を得て、ノルマや転勤はありません。
IFA | 証券会社 | |
---|---|---|
取り扱う商品 | 複数の金融機関や証券会社の商品 | 自社で取り扱う商品 |
提案方針 | 中立的な立場で顧客のニーズに応じて最適な商品を提案 | 顧客のニーズや会社の都合に合った商品を提案 |
ノルマ | なし | あり |
転勤 | なし | あり |
報酬 | 金融機関や証券会社から得る | 顧客から得る |
FP
FP(ファイナンシャルプランナー)は、ライフプランニングの専門家です。顧客の資産状況やライフプランにもとづいて、教育資金の準備方法、適切な住宅ローン、老後資金計画、家計改善法などをアドバイスします。
また、FPは金融商品仲介業者ではないため、金融商品の売買支援などのサポートは提供しません。
一方、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は資産運用の専門家として、資産運用プランの提案や売買支援を行いますが、FPのように家計改善法のアドバイスやサポートは行いません。
IFA | FP | |
---|---|---|
専門 | 資産運用の専門家 | ライフプランニングの専門家 |
業務内容 | 資産運用プランの提案金融商品の売買支援など | 家計改善教育資金や老後資金の準備プランなど |
資産運用のアドバイス | あり | なし※資格が必要 |
金融商品の売買支援 | あり | なし |
IFAに相談するメリット
IFAに相談することで、中立的なアドバイスを受けることができ、長期的なサポートを得られるなどのメリットがあります。
これらのメリットを理解しておくことで、IFAに相談すべきかどうかを判断しやすくなります。
ここでは、IFAに相談する3つのメリットについて確認してみましょう。
中立的立場による幅広い商品の提案
IFAに相談するメリットの一つは、顧客に対して中立的な立場から幅広い商品を提案できる点です。金融機関や証券会社の場合、自社の都合に合わせて商品を提案することがあります。
一方、IFAは複数の金融機関や証券会社と業務委託を結んでいるため、自社商品の販売にとらわれることがありません。そのため、会社の都合ではなく、顧客のニーズに合った商品を提案することが可能です。
このように、IFAは金融機関や証券会社の利益ではなく、顧客の利益を最優先に考えた資産運用プランを提供するため、顧客は自身に最適な金融商品を見つけることができます。
担当者が変わらず長期的なサポートが見込める
長期的なサポートを受けられる点も、IFAに相談するメリットです。
IFAは個人で活動しているため、部署異動や転勤がなく、顧客を継続的にサポートすることが可能です。
一方、金融機関や証券会社では、部署異動や転勤があり、担当者が数ヶ月で交代することもあります。担当者によって提案内容が変わることで、顧客は混乱することがあります。
資産運用は中長期的な視点で取り組むべきものであり、個人のデリケートな話題にも触れるため、長期的なサポートを提供できるIFAは相談相手として魅力的な選択肢です。
専門的な知識と経験がある
専門的な知識と経験がある点も、IFAに相談するメリットです。IFAは資産運用の専門家であり、金融や経済に関する幅広い知識を持っています。
専門的な知識や経験があるからこそ、顧客のニーズに適した資産運用プランを提案することが可能です。過去に銀行、証券会社、保険会社での経験を持つ方も多数います。
IFAは金融アドバイザーの一種であり、専門的な知識と経験にもとづいたアドバイスを受けることができます。
IFAに相談するデメリット
IFAに相談する際のデメリットには、手数料が発生すること、金融機関や証券会社に比べて規模が小さいこと、選ぶための情報が少ないことなどがあります。
メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
ここでは、IFAに相談するデメリットについて確認してみましょう。
手数料がかかる
IFAに相談するデメリットの一つが、手数料がかかる点です。IFAは以下のような手数料を通じて報酬を得ています。
・コミッション型:金融商品の手数料にIFAの報酬が上乗せされている
・フィー型:顧客の資産額に応じて手数料が決定される
・コンサルティング型:相談時に手数料(相談料)が発生する
IFAは金融アドバイザーとして、資産運用プランの提案や金融商品の取引支援を行うため、無料というわけにはいきません。コミッション・フィー・コンサルティングなどの形でIFAの報酬となる手数料が発生します。
例えば、コミッション型であれば、ネット証券などを通じて取引するよりも手数料が高くなることがあります。
IFAを選ぶ際は、手数料体系やその金額を事前に確認しておくことが重要です。
金融機関・証券会社に比べて会社の規模が小さい
金融機関や証券会社に比べて規模が小さい点も、IFAに相談するデメリットです。一般的に、金融機関や証券会社は広く知られ、社会的信用性も高いため、利用する際には比較的安心感があります。
一方で、IFAは主に個人で営業していることが多く、「この人に自分の資産を預けても大丈夫か」「銀行の担当者に直接相談した方がよいのでは」といった不安を感じることもあるでしょう。
しかし、IFAは金融商品仲介業者として金融機関や証券会社の商品を紹介し、投資した資金はIFAではなく、金融機関や証券会社に渡るため、安心して利用できます。
信頼できるIFA選びが難しい
IFAに相談するデメリットの一つが、信頼できるIFAを見つけるのが難しい点です。
IFAはそれぞれキャリアや知識、得意分野が異なるため、どのIFAに相談するかによって、得られるアドバイスや資産運用プラン、方針、サポート内容、取り扱う金融商品などに違いがあります。
しかし、IFAに関する情報は限られており、多くが個人で活動しているため、ネットで比較するのが難しいのが現状です。
一部のIFAはセミナーや無料相談会を開催していることがあるので、そのような場に参加して考え方や特徴を聞くこともおすすめです。信頼できるIFA選びに役立つことがあります。
IFAの利用がおすすめの人は?
IFAは、中立的な立場での商品提案が欲しい人や、長期的なパートナーを見つけたい人に特におすすめです。どのような人に向いているかを知ることで、自身に適しているかどうかを判断しやすくなります。
ここでは、IFAの利用がおすすめの人について確認してみましょう。
中立的な立場での商品提案が欲しい人
中立的な立場で商品提案を希望する方には、IFAの利用をおすすめします。
なぜなら、IFAは複数の金融機関や証券会社と業務委託契約を結び、特定の金融機関や証券会社に所属していないため、偏りのない商品提案が可能です。特定の金融機関や証券会社に所属していると、提案できる商品が限られ、会社の都合で商品を提案することがあります。
一方、IFAはさまざまな商品の中から、顧客のニーズに適したものを選び、会社の都合を考慮せずに提案できます。
そのため、中立的な立場でのアドバイスや商品提案を受けたい方には、IFAの利用が適していると言えるでしょう。
長期的なパートナーを見つけたい人
IFAは、長期的なパートナーを見つけたい人にもおすすめです。
なぜなら、IFAには部署異動や転勤がないため、担当者が変わる心配がありません。
金融機関や証券会社の社員は、部署異動や転勤によって数ヶ月で担当者が代わることがあります。資産運用には中長期的な視点が必要であり、担当者が頻繁に変わると適切なサポートを受けにくくなる可能性があります。
一方で、IFAは個人で活動することが多く、異動の心配がないため、長期的に継続したサポートを提供できます。
そのため、資産運用に関する長期的なパートナーを望む人には、IFAの利用が適していると言えるでしょう。
信頼できるIFAを選ぶポイント
信頼できるIFAを選ぶことで、自身に適したサポートを受け、資産運用の目的や目標を達成できる可能性が高まります。
ここでは、信頼できるIFAを選ぶポイントについて確認してみましょう。
実績や経歴などの情報を開示してくれるか?
信頼できるIFAを選ぶために、実績や経歴などを開示してくれるかどうかを確認しましょう。実績や経歴は、IFAの信頼性を判断する上で重要な要素となるからです。
例えば、同じIFAでも実績のある人とそうでない人では、信頼性が異なります。自身の資産を預ける際には、実績が豊富なIFAに依頼することで安心感が得られます。また、IFAとしても実績や経歴は自己アピールのポイントとなるため、これらの情報を開示しないIFAは信頼できないと判断できるでしょう。
実績や経歴などの情報をきちんと開示するIFAを選ぶことをおすすめします。
資産運用の目的に沿った提案をしてくれるか?
信頼できるIFAを選ぶポイントの一つが、資産運用の目的に沿った提案をしてくれるかどうかです。
顧客の目的に沿った資産運用プランを提案してもらえない場合、目的との不一致が生じてしまい、良い結果が得られない可能性があります。
例えば、「20年後に老後資金を2,000万円築きたい」「リスクを取ってもよいので高いリターンが期待できるポートフォリオにしたい」など、顧客のニーズは多岐にわたります。
IFAが顧客のニーズを汲み取らず、自身の考えを押し付けるようなアプローチを取ると、顧客が目標を達成するのが難しくなるので注意が必要です。
IFAを選ぶ際には、自身の資産運用の目的や目標に沿ったサポートを受けられるかどうかを事前に確認することが重要です。
中立的な立場で安全性の高い商品提案をしてくれるか?
IFAの最大の魅力は、特定の金融機関や証券会社に縛られることなく、中立的な立場で資産運用プランを提案できることです。中立的な立場が確保されなければ、IFAに相談する価値が薄れてしまいます。
さらに、特に投資初心者にとっては、安全性の高い商品を提案してくれるかどうかも重要です。投資初心者にハイリスク・ハイリターンの商品を提案するIFAは、顧客の利益を第一に考えているとは言えず、信頼性に欠けるでしょう。
長期的なサポートは見込めるか?
IFAを選ぶ際の重要なポイントの一つは、長期的なサポートが期待できるかどうかです。資産運用は長期的な視点でプランを立て、着実に進めることが重要です。また、経済や政治、市場の動向などに応じて、プランを柔軟に調整する必要もあります。
そのため、IFAが顧客の資産状況や目的を理解し、長期にわたってサポートしてくれることが大切です。
しかし、長期的なサポートを受けられず、途中でIFAを変更すると、異なるプランやアドバイスに接することになり混乱を招く可能性があります。
長期的なサポートが見込めるIFAを選ぶことをおすすめします。
IFAを探すならマッチングサービスがおすすめ
IFAを探す際には、マッチングサービスの利用をおすすめします。
マッチングサービスを利用すると、自身の条件や資産運用の目的に合ったIFAを効率的に見つけることが可能です。適切なIFAを見つけることで、最適な資産運用プランの提案やアドバイスを受けることができます。
個人の力で最適なIFAを見つけるのは容易ではないため、マッチングサービスをうまく活用しましょう。
よくある質問
ここでは実際によく聞かれる質問について、現役のIFAスタッフが回答いたします。
ファンナンシャルプランナー(FP)の人の方が人生の資産形成の計画も作ってくれるのでいいと思うのですが、どうですか?
確かに資産計画を細かく作ってくれたり、支出面も見直してくれるのでいいとは思います。
ただ給料以外に収入を増やすとしたら運用になるので、具体的な運用の話や商品取引の仲介ができないので、あまりお勧めはしないです。
IFAのお客様はどんな人たちが多いですか?
幅広いですね。でもやっぱり1000万以上のまとまった運用考えられてる方が一番多いですかね。
若い方々はNISAやiDeCoみたいな少額から積み立てを始められるのでご自分でネットでやるのがいいと思います。
1000万以上からだと投資する金額も大きくなってリスクも増えるので、自分だけの判断よりプロと相談した方がいいと思います。
まとめ
IFAは、金融機関や証券会社などの社員ではないため、企業の利益を優先して顧客に商品を提案する必要がありません。そのため、中立的な立場から顧客のニーズに適した資産運用プランを提案できます。
また、IFAは異動や転勤がないため、長期的なサポートが期待できます。ただし、相談料などの費用が発生する場合があるため、事前にIFAの報酬体系を確認しておきましょう。
また、自力で適したIFAを見つけるのは難しいため、マッチングサービスの利用をおすすめします。
「自分に合った資産運用方法を知りたい」「専門家に資産運用の相談がしたい」といった方は、IFAへの相談を検討してみてください。