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投資信託で大損するリスクは?安全に資産運用をするためのポイントを解説!

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この記事のポイント

  • 投資信託はプロが運用し、分散投資が可能なため大損するリスクは低い

  • 大損するリスクを軽減するためには、時間分散や長期運用、NISAの活用などが効果的

  • 資産運用を始める前に、専門家に相談することがおすすめ

投資信託に興味がある方の中には、「大損するのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。一般的に、投資信託はリスクが低いとされていますが、適切でない運用方法や知識不足によっては、大損する可能性があるため注意が必要です。

事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることが大切です。

本記事では、投資信託で大損するリスクや大損する人の特徴、安全に資産運用をするためのポイントを解説します。投資信託に興味を持っている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

投資信託で大損するリスクは低い

投資信託は、少額から投資が可能であり、国内外の株式や債券に手軽に分散投資ができます。運用はプロに任せることができ、積立投資の設定も可能です。さらに、NISAでの運用にも対応しています。

基準価額が毎日公表され、決算時には監査法人による監査が行われるなど、高い透明性も確保されています。また、新興国の株式や債券、不動産など、個人では投資しにくい商品への投資も可能です。

一部の証券会社では、100円から投資を始めることができ、独自のポイントサービスなども提供されています。

このような特徴があることから、投資信託は大損するリスクが比較的低いとされています。

大損のリスクが低い理由① 分散投資のためリスクも分散されている

投資信託で大損するリスクが低いのは、分散投資ができるからです。分散投資とは、資産を1つの銘柄に集中させるのではなく、複数に分散して運用することです。

例えば、株式会社Aの株式に資産を集中して投資していた場合、Aの業績が悪化して株価が暴落した際には大きな損失が生じることになります。

しかし、複数の銘柄に分散投資をしていた場合、Aの株価が暴落しても、他の銘柄の株価が上昇していれば損失をカバーできる可能性があります。暴落以上の値上がりがあれば、利益を得ることも可能です。

投資の世界には、分散投資を推奨する格言として「卵は1つのカゴに盛るな」という言葉もあります。

1つの投資信託に投資するだけで、複数の銘柄に分散投資が可能です。例えば、TOPIX連動型の投資信託は、TOPIXを構成するさまざまな銘柄を投資対象としています。

投資信託はリスクを分散できるため、大損するリスクを軽減できます。

大損のリスクが低い理由② プロが運用している

投資信託は、「運用会社(委託者)」が設定し、証券会社や銀行などの「販売会社」が投資家に販売し、「信託銀行等(受託者)」が資産の管理を行います。

運用会社には、ファンドマネージャーやトレーダーなどの専門家が在籍し、投資先の選定や運用状況のモニタリング、市場での資産売買などを行っています。

多くの知識やノウハウを持ったプロが投資信託を運用するため、大損するリスクを軽減することが可能です。

また、組み入れ銘柄の入れ替えについても、プロがパフォーマンスなどを考慮して行います。

大損はしなくてもリスクはある

投資信託は、分散投資が可能でプロが運用するため、一般的に大損するリスクは低いとされています。しかし、損失リスクが完全にないわけではありませんので、そのことを理解しておくことが大切です。

投資信託に組み入れられた株式や債券、不動産などの価格が下落した場合、投資信託の基準価額も下がり、損失が生じます。また、外国株式に投資している場合は、為替変動リスクによって損失を被る可能性があります。

場合によっては、大きな損失を抱えるかもしれません。

投資信託は一般的に大損するリスクが低いとされますが、その可能性はゼロではないことを理解し、損失リスクを考慮した上で運用しましょう。

投資信託のリスクとは?

投資信託には、価格変動リスク為替変動リスク信用(デフォルト)リスク金利変動リスクなど、さまざまなリスクがあります。これらのリスクを事前に把握することで、適切な対策を講じやすくなります。

ここでは、投資信託のリスクについて一つずつ見ていきましょう。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、投資信託に組み込まれている国内株式や外国株式、国内債券、不動産などの価格が変動する可能性のことです。組み入れられている商品の価格変動は、投資信託の基準価額に影響を与えます。基準価額が下がると、投資家の資産価値も減少し、場合によっては元本割れが生じることがあります。

株式や債券、不動産などの価格変動の主な要因は、以下のとおりです。

・国内外の政治情勢
・国内外の経済情勢
・企業の業績
・自然災害
・紛争、内戦、テロ など

投資信託を選ぶ際には、組み込まれている商品の価格が将来的に上昇するか、あるいは下落しないかを事前に確認することが大切です。商品の価格が持続的に上昇すれば、投資信託の基準価額も上昇し、資産を増やすことができます。

投資信託の目論見書には組み込まれている商品の詳細が記載されているため、しっかりと目を通して投資判断をすることをおすすめします。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替の変動によって損失が生じる可能性のことです。投資信託に限らず、米ドルやユーロなど外貨建て資産への投資には、為替変動リスクが伴います。

外貨建て資産に投資する場合、円を外貨に両替して購入し、売却時には外貨を円に両替するため、為替変動によって損益(為替差損益)が変動します。

例えば、1ドル100円のときに1万ドル(100万円)分の投資信託を購入し、1ドル150円になったときに1万ドル(150万円)分を売却すると、為替差益として50万円が発生します。

逆に、1ドル90円になったときに1万ドル(90万円)分を売却すると、10万円の為替差損が生じるため注意が必要です。

通常、円高になると投資信託の基準価額にはマイナスの影響があり、円安になるとプラスの影響があります。

円安時に外国株式などの投資信託を購入する際は、慎重な判断が必要です。

信用リスク

信用リスク(デフォルトリスク)とは、投資信託に組み込まれている国内株式や外国株式、国内債券などの発行体が破綻する可能性のことです。例えば、「株式の発行体である●●株式会社が倒産した」「債券を発行した海外のA国がデフォルトを起こした」などです。

発行体が破綻すると、株式や債券の価値が失われ、投資資金の回収が難しくなる可能性があります。さらに、株式や債券の価値が低下することで、投資信託の基準価額が急激に下がり、投資家の資産も減少します。

そのため、投資信託を選ぶ際には、投資先の信用リスクを十分に評価することが大切です。特に、新興企業や新興国が投資先の場合は、リスクが高まるため、慎重な判断が求められます。

投資初心者には、大手企業や先進国が発行体である商品を組み入れた投資信託がおすすめです。

金利変動リスク

金利の変動によって、投資信託に組み入れられている債券の価格が下落する可能性のことです。債券価格の下落は、基準価額の低下の要因となります。

債券価格は、金利と逆の動きをする性質があります。

金利債券価格
上昇下落
低下上昇

例えば、金利が1%の債券が100円で販売されているとします。
この場合、年間で1円(利回り1%)の収益を得ることができます。しかし、金利が上昇し、金利3%の債券が販売された場合、後者の方が魅力的です。なぜなら、年間で3円(利回り3%)の収益を得られるからです。
その結果、先に販売された金利1%の債券の魅力が低下し、債券価格が下落します。

債券の投資信託を検討する際には、金利変動リスクを理解し、運用やリスク管理を行うことが大切です。

流動性リスク

投資信託の流動性リスクとは、市場の流動性が低く、希望の価格やタイミングでの売却が困難になる可能性のことです。

希望の価格で売却ができない場合、利益が予想よりも低くなる可能性があります。また、希望のタイミングで売却できないと、売却までに時間がかかることがあります。適切な価格やタイミングでの売買には、一定の流動性が必要です。

投資信託は、解約申込が短期間で集中すると、保有資産の一部を売却して解約資金を確保することがあります。しかし、流動性が低い場合は、売却価格が大幅に低下して損失を被る可能性があり、基準価額の下落要因となります。

投資信託に組み込まれている商品の流動性が十分かどうかは、事前に確認しておくことが重要です。

カントリーリスク

カントリーリスクは、投資対象の国や地域において、経済情勢や政治情勢の変化などが価格に大きな影響を与える可能性のことです。特に新興国は、経済情勢や政治情勢が不安定であるため、カントリーリスクが高いとされています。

カントリーリスクの主な事例は、以下のとおりです。

・政権交代による政策や規制の大幅な変更
・急激なインフレやデフレが発生する
・国の債務不履行
・テロ、紛争、クーデターの発生
・他国からの経済制裁
・疫病の流行
・自然災害による大規模な被害 など

カントリーリスクが起きると、市場の流動性が著しく低下したり、投資資金が引き上げられたりして、価格の急落や投資信託の基準価額の低下につながる要因となります。

外国株式や外国債券が投資信託に組み込まれている場合は、カントリーリスクに注意が必要です。

特に、中南米、中東、アフリカなどの新興国への投資は、慎重に判断する必要があります。スタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズなどの主要格付け会社が付けたランクも参考にすることもおすすめします。

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投資信託で大損する人の特徴5選

投資信託で大損する人の特徴には、短期的な相場変動で損切りをしてしまう、リスクの高い商品を選ぶ、十分な知識がないまま投資を行うなどが挙げられます。

これらを理解することで、投資信託のリスクヘッジがしやすくなります。

ここでは、投資信託で大損する人の特徴について見ていきましょう。

短期的な相場変動で損切りをしている

投資信託で大損する人の特徴の一つが、短期的な値動きに振り回されて損切りをすることです。
主な理由は、以下のとおりです。

・投資信託は短期売買に向いていない
・短期的な相場変動は予測が難しい
・売買のたびに手数料が発生する
・福利効果を得にくい

投資信託は基本的に短期売買には向いていません。プロの投資家が、長期的な運用を前提として投資先を選定し、ベンチマークする指数(TOPIX、NYダウなど)と同等もしくはそれ以上のパフォーマンスを目指して運用する商品です。短期的な売買は、投資信託の性質とは合いません。

また、投資信託の基準価額は、株価のようにタイムリーに変動するのではなく、通常は1日に1回算出されます。そのため、投資信託の短期売買では正確な取引価格がわからない状態で売買することになるため注意が必要です。

さらに、短期的な相場の動きは、長期的なものよりも不安定で予測が難しいとされています。

投資信託には、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額の3つの手数料があり、購入時手数料と信託財産留保額は、売買回数が増えるほどかさみます。取引コストの負担が増えると、その分損失が生じやすくなるので注意してください。

短期売買は複利効果が得づらくなるため、その点も考慮しておく必要があります。

リスクの高い商品を選んでいる

リスクの高い商品を選ぶことも、投資信託で大損する人の特徴です。「投資信託=リスクが低い」というイメージを持つ人もいますが、すべての商品が低リスクというわけではありません。

投資信託にはローリスク・ローリターンの商品もあれば、ハイリスク・ハイリターンの商品もあります。

リスクの高い商品はボラティリティが大きく、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、大きな損失を抱える恐れもあるため、特に投資初心者にはおすすめできません。

一般的に、ハイリスク・ハイリターンの投資信託には次のようなものがあります。

新興国に投資する商品新興国は政治や経済が不安定で、地政学リスクやカントリーリスクなどがあるため、ハイリスク・ハイリターンの投資先です。
レバレッジ型の商品ベンチマーク指標の騰落率の2倍や3倍のパフォーマンスを目指す投資信託です。値動きが非常に大きく、ハイリスク・ハイリターンで手数料も高めです。
REIT国内外の不動産を投資対象とする投資信託です。地域や対象とする不動産によっては、ハイリスク・ハイリターンとなります。海外REITについては、為替変動リスクにも注意が必要です。

大きなリターンが見込める商品には、それ相応のリスクが伴うことを理解し、ハイリスク・ハイリターン型の投資信託は避けた方がよいでしょう。

レバレッジ型投資信託をしている

投資信託で大損する人の特徴の一つが、レバレッジ型投資信託をしていることです。
レバレッジ型投資信託は、ベンチマークとなる指標(日経平均、S&P500など)の値動きに連動し、その2倍や3倍の値動きを目指す投資信託です。

例えば、大和アセットマネジメントの「NYダウ・トリプル・レバレッジ(3σ)」は、NYダウの値動きの3倍を目指す商品です。また、SOMPOアセットマネジメントの「SOMPOスイッチ NASDAQ100レバレッジ2.5倍」は、NASDAQ100指数の2.5倍のリターンを目指しています。

レバレッジ型投資信託は、値動きが大きくなる傾向があり、ハイリスク・ハイリターン型の商品です。ベンチマークとなる指標が上昇すれば大きなリターンが期待できますが、下落した場合には大きな損失を被る可能性もあります。

さらに、レバレッジ型投資信託は通常の投資信託よりも手数料が高い点に注意が必要です。

以下は、先に紹介した2つのレバレッジ型投資信託と一般的な投資信託の信託報酬です。

・NYダウ・トリプル・レバレッジ:1.1%
・SOMPOスイッチ NASDAQ100レバレッジ2.5倍:0.759%
・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー):0.05775%以内
・ニッセイNASDAQ100インデックスファンド:0.2035%
・eMAXIS Slim国内株式(TOPIX):0.143%以内
※2024年6月21日時点
※SBI証券より

レバレッジ型投資信託は、投資経験を積んでから選ぶことをおすすめします。

参考:大和アセットマネジメント SOMPOアセットマネジメント

手数料を意識せず短期的に売買を重ねている

投資信託を売買する際には、手数料が発生していることを忘れてはいけません。

投資信託にかかる手数料の詳細は、以下のとおりです。

購入時手数料投資信託を購入する際に発生する手数料です。投資家が販売会社(証券会社など)に支払います。ノーロード(購入時手数料が0円)の商品もあります。
信託報酬
(運用管理費用)
投資信託の運用や管理にかかる費用で、投資信託を保有中に発生します。信託財産の中から間接的に支払われます。
信託財産留保額投資信託を解約(換金)する際に発生する手数料です。解約時に代金から差し引かれます。

「手数料はまったく気にしていない」「1回あたりの手数料は低いから問題ない」といった考え方では、短期的な売買を繰り返すことで、思わぬ大きなコスト負担を抱えることがあります。

手数料が増えると、その分利益が減少したり、損失が大きくなったりする恐れがありますので注意が必要です。

同じ投資先でも、販売会社や運用会社によって手数料が異なる場合があります。投資信託を選ぶ際には、手数料の金額を事前に確認することが大切です。

知識がないまま投資信託をしている

投資信託で大損する人の特徴の一つが、知識がないまま投資信託をしていることです。投資信託には非常に多くの商品があり、それぞれ投資対象や運用方針、過去のパフォーマンスが異なります。

主要な証券会社における投資信託の取扱数は、以下のとおりです。

・楽天証券:2,571本
・SBI証券:2,617本
・マネックス証券:1,774本
※2024年6月21日時点

投資信託を検索する際の項目や指標として、次のようなものがあります。

項目内容
取引種別取引方法の選択。
積立、NISAつみたて投資枠、NISA成長投資枠、iDeCo、ブル・ベアなど
ファンド分類投資対象の選択。
国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、国内REIT、外国REIT、バランス、コモディティなど
投資地域投資地域の選択。
日本、米国、欧州、アジア、オセアニア、中南米など
購入時手数料購入時手数料の有無の選択。
ノーロード(購入時手数料が0円)など
信託報酬信託報酬の選択。
0.55%以下、1.1%以下など
分配(決算)回数決算の頻度(分配金の頻度)を選択。
毎月、隔月、年4回など
トータルリターン
投資信託のパフォーマンス、騰落率の選択。
10%以上、20%以上など
純資産総額ファンドの大きさを選択。
500億円以上、1,000億円以上など

為替ヘッジ
為替変動による損失の回避について。為替ヘッジありの場合はコスト(為替ヘッジコスト)がかかる。
ヘッジあり、ヘッジなし、一部ヘッジありなど
基準価額投資信託の売買価格の選択。
1万円以下、2万円超など
チャート形状チャートの形状から選択。

投資信託はプロが運用するとはいえ、パフォーマンスが芳しくないものやハイリスク・ハイリターン型の商品も多く存在します。

何も知らずに選ぶと損失リスクが高まるため、注意が必要です。

自分の資産を投じる前に、投資信託の仕組みや基本的な知識を身に付けることをおすすめします。

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投資信託で大損しないためのポイント

投資信託で大損しないためには、分散投資や長期運用、NISAの活用などが重要です。

これらのポイントを事前に理解し、実践することで、損失リスクを軽減できる可能性があります。

ここでは、投資信託で大損を避けるためのポイントについて見ていきましょう。

分散投資をする

投資信託で大損するリスクを軽減するために、分散投資を検討しましょう。

投資信託は、複数の国内株式に投資するなど、分散効果が期待できる投資商品です。

しかし、「国内株式型」「国内債券型」「外国株式型」など、各商品の投資先が特定の資産クラスに限定されることが一般的です。

例えば、TOPIX連動型の投資信託を選択した場合、多数の国内株式に投資することになります。この場合、個別銘柄に投資するよりもリスクを分散できますが、日本株全体が下落した場合には、資産が大きく減少するリスクがあります。

投資信託の投資対象は1つの資産クラスに限定されることが多いため、複数の資産クラスに分散投資することで、リスクをより軽減することが可能です。

運用開始以降の累積収益額が130兆円を超える(※)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、「1位になる資産クラスは当てられない」とし、資産クラスの分散を推奨しています。

2023年12月末時点のGPIFの資産構成割合は、以下のとおりです。

・国内債券:25.77%
・外国債券:24.44%
・国内株式:24.66%
・外国株式:25.14%

このように、4つの資産クラスでリスクを抑えながら運用しています。
投資信託を運用する際には、複数の資産クラスに分散することも検討しましょう。
※2001年度~2023年度第3四半期
参考:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

時間分散をする

投資信託で大損しないためのポイントの一つが、時間分散をすることです。

時間分散とは、投資するタイミングを複数に分散させる方法です。投資のタイミングを分散することで、平均購入価格を下げることができます。

時間分散の代表的な方法の一つがドルコスト平均法です。ドルコスト平均法は、「毎月1日に1万円分購入する」など、定期的に一定額を購入し続ける方法です。

投資信託の基準価額が低いときには多くの数量を購入し、価額が高いときには購入できる数量が減ります。定期的な購入を続けることで、平均購入価格を抑えるだけでなく、高値づかみのリスクを軽減することができます。

以下は、毎月10万円分購入する場合のシミュレーションです。

購入金額価格(1口あたり)購入口数
1回目10万円1万円10口
2回目10万円8,000円12.5口
3回目10万円1万2,000円8.3口
4回目10万円9,000円11.1口
5回目10万円1万1,000円9口
合計50万円50.9口
※手数料は考慮していません。
※実際とは異なる場合があります。

この場合、平均購入価格は9,823円となります。

投資信託における大損リスクを軽減するためには、ドルコスト平均法などを用いて投資タイミングを分散させることが有効です。

長期運用する

投資信託で大損するリスクを軽減するために、長期運用を検討することも大切です。

長期運用のメリットは、以下のとおりです。

・売買コストを抑えやすい
・日々の値動きに一喜一憂しなくて済む
・短期的な売買による失敗を回避できる
・複利効果を活かせる
・収益が安定しやすい

長期運用は、売買回数が少なくなるため、購入時手数料や信託財産留保額などの売買コストを抑えることができます。また、日々の値動きを頻繁にチェックする必要がないため、ストレスを感じることが少なくなり、冷静さを保ちやすくなります。

さらに、長期運用よりも難易度が高いとされる短期売買での失敗リスクを回避することが可能です。
短期売買に比べて収益の振れ幅が小さくなる傾向があり、安定した収益が期待できます。
参考:一般社団法人 投資信託協会「第3回 長期投資のメリットとは」

資産運用の目的を明確にする

資産運用の目的を明確にすることは、投資信託の大損リスクを軽減するのに役立ちます。

例えば、「老後資金のために20年間で2,000万円まで増やす」という目的があれば、その目的を達成するために必要な資金計画や運用戦略を逆算して立てることができます。

具体的な道筋が描けるため、途中で上手くいかない場合の課題も明確になり、適切な対策を講じることが可能です。
また、「●●のため」と目的がはっきりしていれば、長期的な運用に対する忍耐力が生まれ、複利効果を最大限に活かすことができます。

一方で、資産運用の目的が不明確だと、具体的な判断基準を設けられず、一貫性がなくなり、行き当たりばったりの運用になりがちです。長期的な視点での運用も難しくなるでしょう。

事前に資産運用の目的を明確にし、目的達成のための効率的な運用を目指しましょう。

投資の知識を身に付ける

投資信託で大損しないためのポイントの一つが、投資の知識を身に付けることです。

投資に関する知識がないと、適切な運用計画の策定や投資信託の選択、購入タイミングの見極めなどが難しくなり、大損するリスクが高まります。また、どのようなリスクがあるのかを理解していないため、的確な判断ができません。

株式投資、不動産投資、債券投資など、投資信託だけでなく、資産運用を始める前には一定の知識を身に付けておくことが大切です。

投資信託を始める場合には、次のような知識を身に付けることをおすすめします。

・投資信託の仕組み
・投資信託にかかる手数料
・投資信託の選び方
・基準価額や純資産総額、騰落率などの意味や見方
・チャートの見方
・投資対象(国内株式、外国債券など)別の特徴
・投資信託のリスク など

投資に関する知識は、書籍や動画、Webサイト、セミナー、個別相談などを通じて身に付けることができます。
投資信託などを始める前に、しっかりと準備を行うことが大切です。

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NISAを利用する

投資信託を運用する際には、NISAを有効活用しましょう。

NISAは、少額投資非課税制度で、運用益が非課税になることが特徴です。

通常、投資信託や株式投資の利益(譲渡益、分配金など)には、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金がかかります。

例えば、譲渡益が30万円の場合、6万945円の税金が発生し、手元に残る金額は30万円から減ってしまいます。
しかし、NISAで運用する場合は、利益に対して税金がかからないため、30万円すべてを手元に残すことが可能です。
税金がかからない分、より効率的に資産運用できるため、損失リスクを軽減することができます。

NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれで年間投資枠や投資対象商品が異なるため、事前に把握しておきましょう。

つみたて投資枠成長投資枠
非課税保有期間
無制限
年間投資枠

120万円240万円
非課税保有限度額
1,800万円
※成長投資枠は内数1,200万円
投資対象商品
長期・積立・分散投資に適していて、
金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託
上場株式、
投資信託など
併用併用可
対象年齢18歳以上
※金融庁「NISAを知る」を参考に筆者が作成

NISA口座は、各証券会社で無料で開設できます。

プロに相談をする

プロに相談することで、投資信託などの資産運用における大損リスクを軽減できます。

専門家は豊富な知識や経験を持っており、自分の条件に合った運用プランや投資商品を提案してくれます。また、投資に役立つスキルやノウハウについてもアドバイスを受けられます。

主な相談先は、以下のとおりです。

相談先特徴
銀行普段利用する店舗で相談できる
規模が大きく、安心感がある
お金に関する豊富な知識を持っている
投資信託の商品数は少なく、手数料は高めである
証券会社株式投資、投信、債券など取り扱う商品の種類が豊富
資産運用に関する豊富な知識とノウハウを持っている
独自の特典やキャンペーンがある
相談できる店舗の数が少ない
IFA
(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
資産運用に関する豊富な知識とノウハウを持っている
中立的な立場から運用プランの提案やアドバイスを受けられる
長期的なサポートが期待できる
銀行や証券会社と比べると規模が小さく、知名度は低い

定期預金などを検討している場合は、銀行に相談するのがおすすめです。銀行は投資信託も取り扱っていますが、手数料が高めであることが一般的です。

株式投資や債券投資など、さまざまな投資を検討している場合は、証券会社に相談するとよいでしょう。証券会社は取り扱う商品の種類が豊富なため、条件に合った商品が見つかる可能性が高いです。

IFAは、金融機関や証券会社と業務委託を結んで活動している独立系ファイナンシャルアドバイザーです。金融機関や証券会社に属していないため、中立的な立場から運用プランの提案やアドバイス、売買支援などを受けられます。また、転勤がないため、長期的なサポートが期待できるでしょう。

プロに相談することで、投資に関する知識やノウハウを習得でき、資産運用の目的がより明確になることがあります。

資産運用を始める前に、一度相談してみましょう。

まとめ

投資信託は分散投資が可能で、プロが運用するため、大損するリスクが比較的低いとされています。ただし、大損するリスクが完全にないわけではなく、元本割れのリスクもありますので、計画的な運用が大切です。

長期投資や時間分散、NISAなどを活用することで、損失リスクを軽減させましょう。また、自分に合った資産運用の方法が知りたい、専門家に資産運用の相談NISAの相談がしたい方は、IFAへの相談も検討してみましょう。

この機会に自分に合った運用プランを設定し、資産運用を始めてみましょう。

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恵比寿不動産 資産コンサルティング事業部

大手証券会社・信託銀行出身のメンバーで資産運用に関わる様々な情報を発信。「資産運用の相談窓口」では、株式・債券・投資信託など今までの経験を生かした資産運用に関するあらゆる悩みや疑問を解消し、全てのお客様にマッチした資産アドバイザー(IFA)を紹介することをミッションに掲げている。

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