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住宅ローン返済中に海外赴任になったら住宅ローン控除はどうなる?

この記事の監修者

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 海外赴任中は、単身の場合のみ条件付きで控除が可能

  • 家族全員で海外転居の場合は、控除対象外になる

  • 帰国後は再度控除を受ける手続きが必要

海外赴任が決まると、住宅ローン控除(住宅ローン減税)がどうなるか心配になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、住宅ローン返済中に海外赴任となった場合の、住宅ローン控除の取り扱いについて詳しく解説していきます。
住宅ローンの控除は、状況によって適用の有無が変わる可能性があり、節税メリットが大きいだけに適切な対応が求められます。

この記事を読めば、海外赴任時に控除が受けられるケースと手続き方法、一時的な渡航の場合の扱いなど、状況別の対処法がわかります。
控除を確実に受けるための必要な知識が身に付きますので、ぜひ一読くださいませ。

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目次

海外赴任中に住宅ローン控除は受けられるの?

住宅ローン控除は、住宅を取得してから一定の期間、所得税や住民税が控除される制度です。

この控除を受けるためには、納税者本人または生計を一にする配偶者や扶養親族などが、対象となる住宅に実際に居住していることが条件となります。
しかし、海外赴任が決まった場合、この居住要件を満たせなくなる可能性があり、この控除が受けられなくなるのではないかと心配になるところです。

家族全員で引越しした場合は住宅ローン控除は受けられない

家族全員で海外に渡った場合、日本国内に生計を一にする親族が住んでいないため、住宅ローン控除の要件を満たさなくなり、その年の控除を受けられなくなります。
住宅ローン控除の適用要件は、控除を受ける年の12月31日まで引き続き、納税者本人または生計を同じくする配偶者や扶養親族等が、対象となる住宅に実際に居住していることです。

したがって、海外赴任で家族全員が日本から離れ、対象住宅に誰も居住者がいなくなれば、この居住要件を満たせなくなるため、その年の住宅ローン控除は受けられなくなります。
夫婦と子供全員で海外に永住する場合はもちろんのこと、単身赴任者でも国内に扶養親族がいない場合は、住宅ローン控除の適用対象から外れてしまいます。

留意すべきは、単に国外に住所を移したということだけでなく、家族全員で対象住宅を実際に不在にしてしまうことが問題となる点です。
例えば、単身赴任者であっても、家族が対象住宅に住み続けていれば控除は維持できますが、家族全員で一時的にでも住まなくなれば、その年の控除は受けられなくなります。

また、生計を同じくする親族の範囲にも注意が必要です。
別居の親族や扶養から外れた子供など、生計を一にしていない親族の住居は居住要件を満たしません。
住宅ローン控除を受けられるのは、納税者本人または配偶者・扶養親族など、生計を同一にする親族のみが対象となります。

このように、家族全員で海外移住する場合、居住実態と生計の同一性の両面から、住宅ローン控除の適用要件を満たせなくなってしまうのです。
大切な節税メリットを失わないためにも、事前に専門家に相談して適切な対応をとることが重要になります。

海外赴任中でも単身赴任なら条件付きで住宅ローン控除を受けることができる

一方、単身で海外赴任となり、配偶者や扶養親族などの生計を一にする親族が日本国内の対象住宅に住み続ける場合は、
住宅ローン控除の適用要件を満たし続けられる可能性があります。

ただし、単に単身赴任であれば良いというわけではなく、以下の2つの条件を両方ともクリアする必要があります。

条件①2016年4月1日以降に住宅を取得していること

単身で海外赴任した際に住宅ローン控除を受けられるかどうかは、住宅の取得時期が大きな分かれ目となります。
2016年3月31日以前に住宅を取得していた場合、海外赴任すると同時に住宅ローン控除の適用要件を満たさなくなってしまうため、この点には注意が必要です。

この条件が設けられた背景には、2015年度の税制改正があります。
2015年度の改正前は、単身赴任でも海外に居住する本人自身が住宅ローン控除の適用対象から外れてしまう制度でした。
つまり、家族が国内にいたとしても、本人が海外にいれば控除を受けられませんでした。

しかし、2015年度の税制改正により、この適用要件が大きく変更されました。
改正後は、海外在住の本人ではなく、生計を同じくする家族が日本国内の対象住宅に居住していれば、住宅ローン控除の適用を受けられるようになったのです。

ただし、この新しい制度の適用は、2016年4月1日以降に取得した住宅が対象となりました。
それ以前の2016年3月31日以前に取得した物件については、従来の制度、つまり海外赴任者本人が適用対象から外れてしまう従来の制度が適用されてしまうのです。

つまり、単身で海外赴任した場合、2016年3月31日以前に取得していた住宅については、
家族が国内に残っていたとしても、本人が海外に居住することで住宅ローン控除の適用要件を満たせなくなってしまうという厳しい取り扱いがなされるのです。

このように、単身赴任時の住宅ローン控除適用は、住宅取得時期によってまったく異なる制度が適用されます。
2016年3月31日が大きな区切りとなっているため、自身の住宅取得時期を確認し、確実に控除を受けられるよう対応する必要があります。

条件②生計を一にする親族が住み続けること

単身で海外赴任した際に住宅ローン控除の適用を維持するためには、生計を一にする配偶者や扶養親族などの親族が、
納税者が不在の間も引き続き、対象住宅に実際に居住し続けること
が必要不可欠な条件となります。

単に住民票上の住所が対象住宅になっているだけでは不十分で、親族が実際にその住宅で生活し、生活の本拠を置いていることが求められます。
つまり、家族全員が一時的にでも対象住宅を不在にしてしまえば、この条件を満たせなくなり、住宅ローン控除の適用を受けられなくなってしまいます。

この条件が課される理由は、住宅ローン控除の根本理念が、「居住用の自宅を持つこと」を税制面から後押しするためです。
住宅ローン控除は、自分や家族が実際に住む居住用住宅の取得を支援する制度なので、誰も居住していない住宅については、控除する必要性がないと考えられているのです。

実際に家族が対象住宅に居住し続けていることを確認するため、税務署では家族の住民票の確認や実地調査なども行う場合があります。
厳格に審査されるため、単に住民票上の住所が対象住宅になっているだけでは要件を満たせません。

さらに、生計を一にする親族の範囲にも注意が必要です。
生計を同一にしている配偶者や扶養親族であれば居住を求められますが、別居している親族や扶養から外れた子供など、生計を一にしていない親族の居住は認められません。

このように、単身赴任時の住宅ローン控除適用要件は厳しく、住宅取得時期に加えて、家族構成や生活実態まで細かく確認されます。
大切な節税メリットを確実に維持できるよう、適切に対応することが重要です。

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家族全員で引越ししても、帰国後に住宅ローン控除が再適用できる

家族全員で海外に渡り、住宅ローン控除がはずれたとしても、その後に日本国内の同じ住宅に戻った場合、適切な手続きを行えば、住宅ローン控除を再度受けられるようになります。

住宅ローン控除の再適用を受けるための条件

帰国後に住宅ローン控除の再適用を受けるには、出国前と帰国後にそれぞれ所定の手続きを行う必要があります。
出国前と帰国後に必要な手続きは以下のとおりです。

  1. 出国前の手続き

海外赴任に伴い住居を離れる前に、以下の書類を居住物件の所在地を管轄する税務署長に提出する必要があります。


(1)「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」
この届出書には以下の事項を記載する必要があります。
・届出者の氏名・住所(国内に住所がない場合は居所)
・給与等の支払者の名称・所在地
・居住しなくなる事情の詳細
・居住しなくなる年月日
・居住しなくなった後の居住場所・給与支払者
・対象住宅の最初の居住開始年月日
・その他参考事項(一時的な住宅の用途、再入居予定日など)

(2)税務署から交付された「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」および「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の未使用分

上記書類を居住を止める日までに提出する必要がありますが、提出が遅れた場合でも、やむを得ない事情があると税務署長が認めれば、後日提出することで住宅ローン控除の再適用を受けられる可能性があります。

  1. 帰国後の手続き

日本に帰国後、以前と同じ住宅に再入居したら、住宅ローン控除の再適用を受けるための手続きが必要です。

(1)再適用を受ける最初の年の確定申告書に、住宅借入金等特別控除を受ける金額に関する記載をすること。
(2)上記に加え、以下の書類を添えて提出すること。
・住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書((特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書)
・金融機関から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

確定申告書にこれらの書類を添付し、海外から帰国し生活拠点を日本に移した経緯を税務署に説明することで、住宅ローン控除の再適用要件を満たすことを確認してもらえます。
書類の添付がない場合でも、やむを得ない事情があると認められれば、後日書類を提出することで再適用を受けられる可能性があります。

適用要件を満たせば、その年から住宅ローン控除を再開できますが、再入居した年に一時的に賃貸に出していた場合は、翌年から再適用を受けることができます。

期限に注意が必要で、通常は翌年3月15日までに確定申告を済ませる必要があります。
書類の準備や要件確認、申請には手間がかかるため、早めに対策を立てましょう。

※参考 国税庁ホームページ
●住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続1(転居前における手続)
住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続2(再び居住の用に供したときの手続)

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よくある質問

最後によくある質問に回答していきます。

海外赴任中だけ住宅ローンのまま賃貸に出すことは可能か?

海外赴任の際によく聞かれる質問に、「海外赴任中だけ住宅ローンのまま賃貸に出すことは可能か?」というものがあります。
この質問への回答には、原則と例外の両面があります。

原則住宅ローンのまま貸し出すことはできない

まず原則として、住宅ローンを利用して購入した物件を、第三者に賃貸することはできません。

住宅ローンは、居住用不動産の取得資金として、住宅購入者個人に対して金融機関から融資されるものです。
つまり、借り手が自ら居住することが大前提となっているのです。

そのため、住宅ローンの契約条件として、「借主または同居の親族が居住すること」が明記されていることがほとんどです。
契約違反となれば、金融機関から住宅ローンの契約を解除されるリスクがあります。

加えて、住宅ローンを利用すると、税制面での優遇措置である「住宅ローン控除」の適用を受けられます。
しかし、この控除は本人または家族が実際に居住していることが前提とされています。
賃貸の場合は居住要件を満たせないため、不適切な受給と見なされてしまいます。

このように、住宅ローンの利用目的は、借主自身の居住を想定しているため、第三者への賃貸は想定されていません。
そのため、ローン契約を遵守し、節税メリットを適切に受けるためにも、原則として住宅ローンで購入した住宅を賃貸に出すことはできないのが実情です。

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例外的にできるケースも

ただし、一時的な留学や単身赴任など、一定期間に限っては、融資会社から承認を得れば、住宅ローンのまま賃貸に出すことが可能なケースもあります。

住宅ローンを利用した物件の賃貸は原則NGですが、借主の状況によっては例外的に許可される場合があるのです。
具体的には、借主本人が一時的に不在となるものの、後に必ず自ら居住する予定がある場合などが想定されます。

例えば、単身で数年間の海外赴任や、子供の海外留学などで、一時的に住宅を空けざるを得ない状況でも、
融資会社に説明し承認を得れば、その間だけ賃貸が認められる可能性があります。

ただし、永久的に不在となるような場合や、帰国する予定がない場合は認められません。
あくまでも一時的で、かつ自己居住を前提としている必要があります。

また、融資会社の判断で、賃貸可能期間に一定の上限が設けられたり、賃貸による収入から一部徴収されたりする場合もあります。

つまり、ローン契約の精神に反しない範囲で、融資会社の理解が得られれば、例外的に一時的な賃貸が認められる可能性はあるということです。
ただし、事前の承認が必須であり、勝手には賃貸はできませんので注意が必要です。

賃貸に出すなら減価償却として節税も可能

住宅ローン契約上、一時的な賃貸が例外的に認められた場合、それに伴い発生する賃料収入から必要経費を差し引いた残りの金額が、不動産所得として課税対象となります。

その際、毎年の減価償却費を必要経費として計上することで、節税を図ることができます。
減価償却費とは、建物が年数の経過とともに価値を失っていく分を、費用として認められる制度です。

具体的には、建物の取得価額を耐用年数で割った金額が、毎年の減価償却費となります。
この金額を必要経費に計上できるため、課税対象となる不動産所得から控除され、結果的に支払う税金が減額されるのです。

例えば、取得価額4,000万円の住宅を40年の耐用年数で割ると、毎年の減価償却費は4,000万円÷40年=100万円になります。
賃料収入が年200万円で、修繕費など他の必要経費が30万円の場合、不動産所得は200万円-30万円-100万円=70万円となり、
70万円分の所得に対してのみ税金がかかることになります。
※上記は減価償却の考え方がお伝えしやすいように記載しており、実際はもう少し複雑となりますことにご留意ください。

このように、例外的に賃貸が認められた場合、減価償却による節税を適切に活用することで、確実に節税対策ができます。
ただし、計算は複雑で制度も変更があるため、取得価額や再調達価額の査定、耐用年数の見積もりなど専門家に相談するのがベストです。

また、長期にわたる賃貸となる場合は、不動産収入からの課税の問題もあり、節税対策として別の選択肢を検討する必要もあります。
状況に合わせて、最善の手段を見極めましょう。

まとめ

この記事では、住宅ローン控除をめぐる海外赴任時の取り扱いについて詳しく解説しました。
住宅ローン控除は大きな節税メリットがあるため、海外赴任となった際の対応を誤ると多額の損失が発生するリスクがあります。

確認してきたとおり、住宅ローン控除の適用については、海外赴任の内容によって判断が分かれます。
家族全員で移転する場合は控除を受けられませんが、単身赴任で条件を満たせば控除は維持できます。
また、一時的な家族全員での移転であれば、手続きにより帰国後に再度控除を受けられます。

状況に応じた住宅ローン控除の有無や、例外的に認められる一時的な賃貸の取り扱い、
減価償却による節税の活用などを再度確認し、適切な対策を怠らないようにしてください。

このように、海外赴任の状況によって住宅ローン控除の取り扱いは大きく異なります。
確実に控除メリットを受けられるよう、できるだけ早い段階で専門家に相談し、的確な対策を立てることが重要です。

この記事を参考に、状況に応じたきめ細かい対応をしていただければと思います。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士

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