インデックス投資は、分散投資による資産形成で運用できる方法の1つとされています。
インデックスは「指数」の意味で、インデックス投資は特定の指数に連動した運用成果を目指す投資方法です。
新NISAでもインデックス投資ができるため、2024年1月以降も人気が高まっています。
この記事では、インデックス投資の仕組みや平均利回り、注意点、などをわかりやすく解説しています。
人気のインデックスファンドもご紹介しますので、これからインデックスファンドを始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
インデックス投資と仕組みについて
インデックス投資の仕組みはシンプルでわかりやすいため、投資初心者にもわかりやすい仕組みです。
ここでは、インデックス投資と仕組みについて解説します。
インデックス投資とは?
インデックス投資とは、インデックス(指数)に連動することを目指す投資手法です。
特徴は、インデックスと連動により、分かりやすい値動きになっています。
インデックス(指数)とは、算出者の定めた市場やある一定のルールに基づき選出した銘柄の
株価を集約した指標です。
代表的なインデックス(指数)は下記の4つです。
日経平均株価(国内) | 東京証券取引所に上場している銘柄のうち、225銘柄の平均株価国内株式市場の代表的なインデックス |
---|---|
TOPIX(国内) | 東京証券取引所のプライム市場に登録されている銘柄で構成 |
NYダウ(米国) | NASDAQ市場やニューヨーク証券取引所の代表的な30銘柄で構成 |
NASDAQ総合指数(米国) | NASDAQ市場に上場している全銘柄で構成 |
上記以外には、MSCIコクサイ・インデックスやNOMURA-BPI総合指数、シティ世界国債インデックス、東証REIT指数、S&P先進国REIT指数などがあります。
インデックス投資とは、特定のインデックスに採用されている銘柄と同じ銘柄を同じ割合で購入し、値動きの連動を目指す投資のことです。
たとえば、日経平均株価と連動させるインデックス投資を目指す場合なら、日経平均株価に採用されている225銘柄の中から複数の銘柄を選びます。
しかし、インデックスに採用される銘柄は入れ替わることもあるため、自分で個別に購入して完全に一致させ続けるのはとても難しくなっています。
そのため実際にインデックス投資をする為の方法は、特定の指数に採用されている銘柄からいくつか選ぶか、インデックス投資を採用しているファンドへの投資です。
インデックス投資は、毎日のニュースでも取り上げられる日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動した運用のため、値動きが分かりやすく投資初心者でも始めやすい運用方法とも言われています。
本来、個別の株式に投資する際は、企業分析や業績分析、世界情勢の把握などある程度の金融知識が必要です。
しかしインデックス投資の場合は、インデックスに採用されている銘柄を組み合わせていくため、銘柄選びや運用の手間もかからないなどのメリットがあります。
さらにNISAで運用することにより、非課税で運用できます。
ただし、大きなリターンは難しく、元本割れの可能性もあります。
インデックス投資の場合は、元本割れ(含み損)の時期があったとしても、そのまま長期間運用で利益がでるカタチを目指す投資スタイルです。
そのため「損をしたくない」とあわててすぐに途中解約せず、状況を冷静に判断して、出来る限り長期間の運用になるよう、運用を続けてみるのもいいでしょう。
参考:日本証券業協会「金融・証券用語集」
インデックスファンドとの違い
インデックスファンドとは、日経平均株価やS&P500などの株価指数に連動した投資信託のことです。
インデックス投資とインデックスファンドの大きな違いは、下記のとおりです。
インデックス投資 | 特定のインデックスへの連動を目指す「投資手法」 |
---|---|
インデックスファンド | 株価指数に連動した「投資信託」 |
インデックス投資は投資の手法なのに対し、インデックスファンドは金融商品である投資信託です。
投資信託とは、投資家から集めた資金を運用のプロが運用して投資をおこなう仕組みです。
投資信託の運用成績は、市場環境により変動します。
そのため、投資信託を購入した後に運用益を得られることもあれば、運用がうまくいかず損益がでることもあります。
一方、インデックスファンドは投資信託ですが、特定の市場指数の再現を目指し、指数の銘柄をバランスよく保有して運用しています。
このことから、インデックスファンドは特定の指数の再現を目指す投資信託で、1つのインデックスファンドの購入でインデックス投資ができることがわかります。
インデックス投資は、特定の指数の連動を目指して運用するための方法という違いがあります。
インデックス投資の平均利回り(リターン)は?
平均利回り(リターン)は、投資家が投資する際に参考にする基本的な指標です。
過去の実績としてインデックスファンドがどのような値動きをしたのか、各資産の増え方の特徴を知るために必要な数値です。
インデックス投資は、ミドルリスクミドルリターンの商品に分類されています。
資産クラスや対象のインデックスによって、平均利回りは異なります。
利回りの計算方法
利回りとは、投資した金額に対してどのくらいの利益が得られるかを示す数値です。
利回りは「平均利回り」「年率平均利回り」の意味を持ち、過去の実績をもとに評価されます。
一般的には過去3年や5年の期間での実績をみて、平均利回りを算出します。
利回りの算出は、金融商品選びやリスク評価に役立ちます。
利回りの計算式は下記のとおりです。
利回り=特定期間のリターン÷運用年数
たとえば、100万円の投資が10年後に150万円になった場合の平均利回りを考えてみましょう。
この場合、平均利回りは5%になります。
この値はあくまで期間を1年あたりのリターンを求めた数字のため、今後の利回りを保証するものではありません。
株式投資など、価格の値動きが大きい投資は短期的な利回りに惑わされずに、長期的視点で利回りを求めましょう。
株式を運用する投資信託の場合、実際に1年あたり何%増えるかはその年によって異なります。
上昇する年もあれば、変化しない年、下降することもあります。
インデックスファンドで幅広い分散投資をしても、利回りは一定にはなりません。
5年、10年と長期的な利回りの計算から、投資対象の資産の性質が理解できます。
ただし、利回りが高いからといって、かならずしも良い投資先とは限りません。
一般的に利回りが高い投資先は、リスクが高い事が多く、ハイリスクハイリターンとなります。
インデックスファンドは幅広く分散投資をしますが、一定の利回りにはなりません。
長期的な利回りの計算をすることで、投資対象の資産の性質が理解できます。
利回りの計算によりファンドの特性が理解できたら、自分の投資リスクや目的に合った投資先を選びましょう。
インデックス投資の平均利回り(リターン)
投資信託の利回りは、10%を超えるものからマイナスになるものまで、さまざまな銘柄があります。
理由は、投資信託を運用するファンドマネージャーの手腕や、組入れている銘柄により平均利回りに差が出るからです。
下記は、主要株価指数のリターン表です。
インデックス名 | 1年リターン | 5年平均リターン | 10年平均リターン | 20年平均リターン |
---|---|---|---|---|
日経平均株価 | 19.3% | 12.5% | 9.7% | 6% |
TOPIX | 25.6% | 15.4% | 10.8% | 6.5% |
S&P500 | 39.6% | 23.7% | 17.9% | 12.3% |
ダウ平均 | 29.3% | 16.8% | 13.9% | 8.9% |
※2024年6月末時点
国内株式指数の日経平均株価やTOPIXから、安定的に6~9%程度の利回りが期待できます。
海外株式指数のダウ平均よりS&P500の利回りが高い理由は、成長しているIT企業の比率が高いためとなっています。
次に債券のリターン表をみてみましょう。
インデックス名 | 1年リターン | 5年平均リターン | 10年平均リターン | 20年平均リターン |
---|---|---|---|---|
NOMURA-BPI総合(日本債券) | -5 | -1.9 | 0.1 | 1 |
JPモルガンEMBIグローバル(円)(外国債券) | 26.5 | 8.6 | 7.3 | 8 |
※2024年6月末時点
NOMURA-BPI総合は、日本債券市場の代表的なインデックスで、ファンドや公的機関の債券運用のベンチマークとして採用されています。
1年の利回りは「-5」、5年の利回りは「-1.9」のマイナスの値です。
低金利政策の日本では、円建ての債券投資で大きなリターンを得るのは難しいでしょう。
次は不動産のリターン表をみてみましょう。
インデックス名 | 1年リターン | 5年平均リターン | 10年平均リターン | 20年平均リターン |
---|---|---|---|---|
東証REIT指数(配当込み)(日本不動産) | -3.2 | -1.6 | 4.7 | 5.8 |
S&PグローバルREIT指数(円)(外国不動産) | 21 | 10 | 9 | 8.5 |
※2024年6月末時点
投資法人が投資家から資産を集めて不動産を購入する投資方法をREIT(不動産投資信託)といいます。
東証REIT指数(配当込み)の1年リターンは「-3.2」、5年平均リターンは「-1.6」のマイナス値ですが、長期投資する場合はプラス転換となります。
上記のように、インデックス投資の平均利回りは、株式だけでなく債券、不動産、外国債券などの種類があります。
具体的に利回りは「どの国に投資するか」「どの資産クラスに投資するか」によって変わってきます。
人気のインデックスファンド5選
インデックスファンドで人気の5銘柄をご紹介します。
ファンド名 | トータルリターン(3年) | 信託報酬(税込)/年 | 純資産額(百万円) | 分類 |
---|---|---|---|---|
三菱UFJ-eMAXIS SLIM全世界株式(オール・カントリー) | 19.60% | 0.05775%以内 | 3,8388,275 | 国際株式 |
三菱UFJe-MAXIS Slim米国株式(S&P500) | 24.57% | 0.09372%以内 | 4,998,145 | 国際株式 |
SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 24.47% | 0.0938%程度 | 1,710,316 | 国際株式 |
大和-iFreeNEXT FANG+インデックス | 30.65% | 0.7755% | 250,985 | 国際株式 |
三菱UFJe-MAXIS Slim国内株式(日経平均) | 13.25% | 0.143%以内 | 106,456 | 国内株式 |
※2024年7月28日時点
現在の人気の銘柄は「eMAXIS SLIM全世界株式(オール・カントリー)」です。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する投資信託です。
信託報酬などの手数料や安く低コストが魅力で、日本を含む先進国および新興国の株式等への投資がおこなわれています。
リスク分散と安定成長がかなう投資信託です。
「e-MAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、S&P500指数の値動きに連動しています。
主に対象インデックスに採用されている米国の株式に投資します。
ソフトウェアやメディア、金融など比率の高い米国株式です。
投資する際は、1ヵ国の集中投資のリスクを理解しておきましょう。
2024年7月29日に発表された「『eMAXIS Slim(イーマクシススリム)』シリーズの資金流入が急増オルカンの保有者数は424万人を超え、半年間で約169万人以上増加」によると、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の保有者数が424万人、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は420万人を超えています。
2024年1月から始まった新NISAの影響もあり、2024年年明け以降急増しています。
「SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」はS&P500に連動しています。
ETF(上場投資信託)の投資割合が多いため、インデックスファンドではあるもののややリスクは高めです。
米国を代表する企業500社の株式に、まとめて投資しています。
「大和-iFreeNEXT FANG+インデックス」は、米国主要ハイテク企業に投資するインデックスファンドです。
「FANG」はFacebook(現Meta)、Amazon、Netflix、Google(現Alphabet)の頭文字をとった造語です。
「FANG+」とは、FANG4社に+6社を加えたもので、ハイテク大手企業の株式から構成されている指数です。
コストは高めですが、近年のAIブームによりリターンが大きく人気です。
「三菱UFJ e-MAXIS Slim国内株式(日経平均)」は日経平均株価に連動した投資信託、日本株のインデックスファンドです。
日経平均株価の225銘柄に分散投資することで、個別銘柄のリスクが軽減され、安定した成長が期待できます。
人気のインデックスファンドは世界株式が多くなっています。
インデックスファンドを選ぶ際、人気ランキングを参考にするのもいいでしょう。
ただし、まずは投資の目的やリスクの許容、運用期間を明確にしておきましょう。
そのうえで、純資産額や手数料を証券会社のホームページなどでチェックして購入しましょう。
インデックス投資の注意点
インデックス投資は、コストが低かったり少額から始められたりするため、投資しやすい金融商品です。
しかし、インデックス投資をする際は注意点があります。
注意点は以下の3つです。
- インデックス投資の平均利回りは長期間での平均ということ
- 短期投資には不向き
- ハイリターンは期待できない
順番に解説していきます。
インデックス投資の平均利回りは長期間での平均ということ
インデックス投資は、日経平均株価やS&P500など特定の市場指数に連動するファンドを選んで投資する方法です。
これらの指数は、企業の株式や債券のパフォーマンスを総合的に示しています。
投資期間が長くなるほど、年間のリスクが下がり平均リターンは安定する傾向です。
長期的にみると株式市場は右肩上がりで推移していますが、リーマンショックやパンデミック、ウクライナ事情などの時期では停滞期を経験しています。
そのため、継続的に利回りが良いというわけではなく、世界情勢などで上がったり下がったり停滞期を過ごしながら、長期間目線でいくと上がっています。
そのため、インデックス投資の平均利回りは、長期的な投資を前提としていて、短期的な市場変動には左右されません。
長期に保有し続けると、着実に資産形成できる可能性が高くなります。
短期投資には不向き
インデックス投資は、長期的に見て右肩上がりの傾向にある株価指数の投資で、長期投資に向いています。
しかし短期間では、個別の株式やセクターの価格変動が大きいためリスクが高まります。
そのため、短い期間で儲けたいと考えている方や使い道が決まっている資金を使うような短期投資には向いていません。
さらに、売買の際は手数料や税金がかかります。
短期売買を繰り返すと、換金代金から解約時に差し引かれる「信託財産留保額」が利益を圧迫します。
インデックス投資をする際は、余剰資金や長期間使い道が決まっていない資金を利用して長期運用しましょう。
ハイリターンは期待できない
インデックス投資は、ローリスクローリターン型の投資を目指す金融商品です。
個別銘柄投資のような、リスクを負ってでも短期間でハイリターンを期待する人には向いていません。
組み込まれた銘柄の中で株価が急激に上昇したものがあっても、インデックス投資の中には他の銘柄も組み込まれています。
そのため、価格の上げ幅はそこまで大きくなりません。
インデックス投資は、複数の銘柄を組み合わせてつくる金融商品で、ハイリターンは期待できません。
インデックス投資よりも高い利回りで運用したい人はアクティブファンド投資もおすすめ
インデックス投資はインデックスに連動した資産運用に対し、アクティブファンドは特定の指数を上回る運用成績を目指す投資方法です。
アクティブファンド投資は、高い利回りで運用したい人におすすめです。
アクティブファンド投資とは?
アクティブファンド投資とは、特定のインデックスを上回る運用成果を目指す投資手法です。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーやアナリストと呼ばれる投資の専門家が、企業調査や経済分析等をしたうえで銘柄を選びます。
景気の影響を受けにくい銘柄への入れ替えや、現金の比率を引き上げるなど、平均リターンを上回ることを目指して運用しています。
そのため、インデックス投資よりも高い利回りで運用したい人は、アクティブファンド投資での運用もいいでしょう。
下記は、インデックス運用とアクティブ運用の値動きを表した図です。
上記のように、アクティブ運用は株価指数等のベンチマークを上回る運用成果を目指しますが、ベンチマークを下回ることもあると理解しておきましょう。
さらに、アクティブファンドはファンドマネージャーやアナリストなどプロがファンド内の銘柄を組み合わせていくため、インデックスファンドより高い手数料がかかります。
インデックスファンドとアクティブファンドの信託報酬手数料の違いは、下記のとおりです。
ファンド名 | 信託報酬(税込)/年 | |
---|---|---|
インデックス投資信託 | 三菱UFJ-eMAXIS SLIM全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775%以内 |
アクティブ投資信託 | 野村ー野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | 1.65% |
※2024年7月29日時点
投資信託によって信託報酬は異なりますが、上記表に記載の銘柄で比較するとアクティブ投資信託の信託報酬はインデックス投資信託の約28倍です。
信託報酬は、投資信託を保有中にファンドが保有している資産の「信託財産」から毎日差し引かれている手数料です。
アクティブファンドを選ぶ際の注意点は下記2つです。
①運用実績に着目する
過去の運用実績をみて、ファンドマネージャーの技量を理解して運用しましょう。
運用実績を見る際に参考にする数値は、主に下記の3つです。
トータルリターン | 1年、3年などある一定期間の運用成績が年率(複利)で示される |
---|---|
リスク(標準偏差) | 価格のぶれ幅を表している |
シャープレシオ | リスク1単位あたりの超過リターンを測るものシャープレシオが大きいほど一般的には優れた商品と示している |
証券会社や銘柄のホームページに数値は記載されているので、基準価額などを見る際にチェックしておきましょう。
②ファンドの純資産や推移に注目する
純資産が右肩上がりで、増加傾向にあるファンドが望ましいです。
基準価額が下落し、純資産総額も下がっている場合は、見通しが悪いと投資家が判断して途中解約が相次ぎます。
このように、アクティブファンド投資をする際は、ある程度の投資知識や経験を必要とします。
ただしアクティブファンド投資はコストがかかりますが、さまざまな業界や企業規模、地域に投資でき、インデックスファンド投資より大きなリターンの期待ができるメリットがあります。
アクティブファンド投資をする際は、リスク軽減のためにもインデックスファンド投資と併用して投資をするなどして分散投資をしていきましょう。
まとめ
この記事では、インデックス投資の仕組みや平均利回りについて解説しています。
インデックス投資は、特定のインデックスに連動した投資信託で、簡単に分散投資できます。
インデックス投資は「銘柄選びや運用の手間がかからない」「運用コストがかからない」など専門的な知識がなくても始められるため、投資初心者にもおすすめの運用方法です。
インデックス投資や資産運用に興味がある人は、まずは少額投資から始めてみましょう。
NISAの相談や資産運用の相談を専門家にしたい方は、IFAへの相談も検討してみましょう。