老後資金や子どもの教育費、マイホーム費用などに備えて資産運用を始める人が増えています。運用で資産を増やせれば、将来の不安も軽減されるでしょう。
しかし、資産運用の経験が少ないと「1000万円の運用に適したポートフォリオは?」「どの運用方法を選ぶべき?」といった疑問が出てくることもあります。
リスクを伴う資産運用では、こうした疑問を解消しておくことが大切です。
この記事では、1000万円のポートフォリオの組み方について解説しています。ポートフォリオや運用方法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1000万円あったら資産運用すべき理由
1000万円を資産運用する理由としては、銀行預金よりも高い利回りが期待できること、インフレでお金の価値が減少すること、複利効果で資産が大幅に増える可能性があることなどが挙げられます。
資産運用には損失リスクも伴いますが、これらの理由から多くの人が運用を始めています。
ここでは、1000万円あったら資産運用すべき理由について詳しく見ていきましょう。
銀行へ預けるよりも高い利回りが狙える
1000万円を資産運用する理由の一つは、銀行預金よりも高い利回りを狙えることです。
すべての資産を銀行に預ける選択肢もありますが、預けていても資産はほとんど増えません。
例えば、三菱UFJ銀行の普通預金金利は0.1%(2024年9月5日時点)です。この場合、1000万円を1年間預けて受け取れる利息は1万円(税引き前)です。10年間預けても、資産は10万円しか増えません。
一方、資産運用では銀行よりも高いリターンを期待できます。例えば、「個人向け国債」は国が発行するため安全性が高く、元本割れのリスクが低い商品です。金利は0.38%〜0.61%(令和6年9月5日〜9月30日募集分)で、普通預金金利の3倍〜6倍程度です。
また、株式投資の市場別平均利回りは、東証プライム市場で2.22%、スタンダード市場で2.51%(2024年8月時点、加重平均利回り)となっています。銘柄によっては、配当利回りが5%を超えるものもあります。
例えば、1000万円を利回り3%で運用すると、年間で30万円のリターンを得ることが可能です。
銀行の普通預金は元本保証があり、破綻時にはペイオフで1000万円まで保証されますが、資産を増やすことが目的なら適しているとは言えません。
資産運用では、より高いリターンが期待できます。
参考:日本取引所グループ「株価平均・株式平均利回り」
財務省「個人向け国債」
金融庁「預金保険制度」
インフレでお金の価値が下がっている
インフレによって物価が上昇すると、お金の価値が相対的に下がり、日常生活にかかる費用が増加します。2024年7月の消費者物価指数は108.6(2020年を100)であり、前年同月の105.7から2.8%上昇しました。
前年同月比の主な寄与項目は、以下のとおりです。
・菓子類…+4.3%
・肉類…+3.7%
・生鮮果物…+9.6%
・生鮮野菜…+5.2%
・調理食品…+2.0%
・家庭用耐久財…+5.2%
・自動車等関係費…+2.5%
インフレが続くと、将来必要なお金がさらに増え、不足するリスクが生じます。十分な貯金や収入があれば問題ありませんが、そうでない場合は他の手段で補う必要があります。資産運用は、インフレ対策としても有効な手段です。
参考:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)7月分(2024年8月23日公表)」
日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」
長期投資で複利効果が狙える
長期間運用することで、複利効果を利用して資産を増やせます。複利とは、運用益を元本に加えて再運用することで、さらに多くの運用益が得られる効果です。時間をかけるほど、複利効果はより大きくなります。
一方、単利は運用益を元本に加えず、元本だけに利息がつく方法です。例えば、元本1000万円を利回り2%で運用した場合のシミュレーションは、以下のとおりです。
年 | 単利 | 複利 | 差 |
---|---|---|---|
1 | 10,200,00円 | 1,020,000円 | 0円 |
2 | 10,400,000円 | 10,404,000円 | 4,000円 |
3 | 10,600,000円 | 10,612,080円 | 12,080円 |
4 | 10,800,000円 | 10,824,322円 | 24,322円 |
5 | 11,000,000円 | 11,040,808円 | 40,808円 |
6 | 11,200,000円 | 11,261,624円 | 61,624円 |
7 | 11,400,000円 | 11,486,857円 | 86,857円 |
8 | 11,600,000円 | 11,716,594円 | 116,594円 |
9 | 11,800,000円 | 11,950,926円 | 150,926円 |
10 | 12,000,000円 | 12,189,944円 | 189,944円 |
※実際とは異なる場合があります。
※税金は考慮されていません。
資産運用では複利効果を活用できるため、効率的に資産を増やせる可能性があります。
1000万円でローリスクのポートフォリオを組むなら?
1000万円でローリスクのポートフォリオを組むなら、定期預金、個人向け国債、個人年金保険などがおすすめです。これらの商品はリターンは低いものの、大きな損失リスクを抑えることができます。
ここでは、それぞれの商品のメリットやデメリットについて説明します。
定期預金
1000万円でローリスクのポートフォリオを組む場合、定期預金がおすすめです。
定期預金とは、預入期間が決まっている預金商品です。預入期間は、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、5年、10年など金融機関によって異なります。
定期預金のメリットは、普通預金よりも金利が高いことです。主要な金融機関の普通預金と定期預金の金利は、以下のとおりです。
金融機関 | 普通預金金利 | 定期預金金利 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.4% |
みずほ銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.35% |
三井住友銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.3% |
りそな銀行 | 0.1% | 0.105%〜0.2% |
横浜銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.3% |
福岡銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.35% |
※税引き前
※2024年9月5日時点
上記の金融機関では、定期預金の金利が普通預金の最大2倍〜4倍程度になります。今後、日銀が追加の利上げを行えば、定期預金の金利も上昇する可能性があります。
定期預金の預入期間は選ぶことができ、期間が長いほど金利が高くなるのが一般的です。また、ペイオフ制度(預金保険制度)により、金融機関が破綻した場合でも元本1,000万円とその日までの利息が守られます。
ただし、定期預金は原則として満期までお金を引き出すことができません。中途解約も可能ですが、その場合は利息が減少するため注意が必要です。投資信託や株式投資に比べると利回りは低く、一度にお金を大きく増やすのは難しいです。
メリット | ・普通預金より金利が高い ・預入期間を選べる ・ペイオフ制度(預金保険制度)の対象 |
---|---|
デメリット | ・満期までお金を引き出せない ・他の金融商品と比べて利回りが低い |
利回り | 0.105%〜0.4%程度 |
個人向け国債
個人向け国債は、1000万円でローリスクのポートフォリオを組む際におすすめです。
国が発行する債券で、安全性が高く、投資家に人気があります。銀行や証券会社の窓口、またはインターネットを通じて手軽に購入でき、保有期間中は半年ごとに利子が支払われ、満期には元本が返還されます。
個人向け国債には「変動金利型10年満期」「固定金利型5年満期」「固定金利型3年満期」の3種類があり、それぞれの詳細は以下のとおりです。
変動金利型10年満期 | 固定金利型5年満期 | 固定金利型3年満期 | |
---|---|---|---|
満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利タイプ | 変動金利 | 固定金利 | 固定金利 |
金利 | 0.61% | 0.51% | 0.38% |
利子の受け取り | 年2回 | 年2回 | 年2回 |
購入単価 | 1万円から(1万円単位) | 1万円から(1万円単位) | 1万円から(1万円単位) |
中途換金 | 可(発行から1年経過後) | 可(発行から1年経過後) | 可(発行から1年経過後) |
発行時期 | 毎月 | 毎月 | 毎月 |
※税引き前
個人向け国債のメリットは、国が発行するため安心で、元本割れのリスクが低い点です。経済情勢が変わっても、年0.05%の最低金利が保証されています。また、1万円から手軽に購入が可能です。
ただし、発行から1年経過しないと中途解約できません。中途解約時には直前2回分の利子が差し引かれます。また、株式投資や投資信託に比べて利回りが低いため、資金を大幅に増やすのには不向きです。
メリット | ・元本割れリスクが低い ・年0.05%の最低金利が保証されている ・1万円から購入可能 |
---|---|
デメリット | ・発行から1年経過しないと中途解約できない ・中途解約時には直前2回分の利子が差し引かれる ・他の金融商品と比べて利回りが低い |
利回り | 0.38%〜0.61%程度 |
個人年金保険
1000万円のポートフォリオでリスクを抑えたい場合、個人年金保険もおすすめです。個人年金保険は、老後の公的年金(国民年金、厚生年金など)の不足を補う私的年金の一つです。
年金の受け取り方によって「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類に分類されます。
●個人年金保険の受け取り方
確定年金 | 被保険者の生死に関係なく、契約で決められた期間中は年金を受け取ることができます。年金受取開始後に被保険者が亡くなった場合は、遺族が年金または一時金を受け取ることができます。 |
---|---|
有期年金 | 被保険者が生存している場合、契約で決められた期間中は年金を受け取ることができます。年金受取開始後に被保険者が亡くなった場合は、遺族は年金を受け取ることはできません。 |
終身年金 | 被保険者が生存している限り、年金を受け取ることができます。年金受取開始後に被保険者が亡くなった場合は、遺族は年金を受け取ることはできません。 |
また、個人年金保険の運用方法は、以下の2種類に分けられます。
●個人年金保険の運用方法
定額個人年金保険(定額型) | 契約時に設定された利率で運用されるため、将来受け取る年金額はあらかじめ決まっています。 |
---|---|
変額個人年金保険(変額型) | 保険料の運用実績に応じて、将来受け取る年金額が変動します。 |
個人年金保険のメリットは、老後資金を計画的に準備できる点です。口座振替やクレジットカードで保険料が支払われるため、ほぼ自動的に老後資金の準備が進められます。貯金が苦手な方でも安心です。
さらに、保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減が可能です。
ただし、中途解約すると元本割れのリスクがあります。また、受け取る年金は課税対象となるため、注意が必要です。
メリット | ・計画的に老後資金を準備できる・所得税や住民税の軽減が可能 |
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デメリット | ・中途解約は元本割れのリスクがある・受け取る年金は課税対象 |
利回り | 1%〜10%程度 |
国税庁「保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
1000万円でミドルリスクのポートフォリオを組むなら?
1000万円でミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオを組むなら、投資信託、債券投資、不動産投資、REIT、外貨預金がおすすめです。
これらの投資商品にはリスクが伴いますが、相応のリターンも期待できます。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分に合った商品を選びましょう。
ここでは、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品について説明します。
投資信託
1000万円でミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオを組む場合は、投資信託がおすすめです。
投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が株式や債券、不動産などに投資し、その運用益を投資家に分配する商品です。運用や管理は以下の3つの機関がそれぞれ担当します。
・販売会社:投資信託を販売する
・信託銀行(受託者):投資家から集めた資金を保管・管理する
・運用会社(委託者):投資信託の設定や運用を行う
投資信託のメリットは、運用をプロに任せられることです。また、証券会社によっては100円程度から始められるため、「初めから大金を投入したくない」という方も安心です。
投資信託を買うだけで、国内外の株式や債券などに分散投資ができるため、投資のリスクを広く分散できます。例えば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動することを目指すインデックスファンドです。オール・カントリーに投資することで、日本を含む先進国と新興国の約50ヵ国の株式に分散投資できます。
「毎月10日に1万円分購入する」といった形で、定期的に一定額を自動で買い付ける積立投資が設定できるため、購入タイミングを心配する必要がありません。
新NISAを利用すると、利益が非課税になるため、資産形成をより効率的に進めることができます。
ただし、投資信託には購入時手数料や信託報酬、信託財産留保額といった手数料がかかります。また、基準価額は1日に1回しか公表されないため、株式のようにタイムリーな売買はできません。
メリット | ・運投資のプロが運用を担当 ・少額(100円程度)から始められる ・分散投資でリスク軽減 ・積立投資と相性が良い ・分配金を受け取れる ・新NISAで運用益が非課税になる |
---|---|
デメリット | ・信託報酬などの手数料が発生する ・タイムリーに売買できない ・短期間で大きな利益を得るのは難しい |
利回り | 3%〜10%程度 |
金融庁「NISAを知る」
債券投資
債券投資も、1000万円をミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオで運用したい場合にはおすすめです。債券は資金調達のために発行される有価証券で、国が発行する「国債」、自治体が発行する「地方債」、企業が発行する「社債」などがあります。
債券には「利付債」や「割引債」といった種類があります。
・利付債:保有中に利子が支払われ、満期時に元本(額面価格)が戻ってくる
・割引債:利子は支払われないが、発行価格が額面価格より低い
また、市場で新たに発行される債券は「新発債」、既に発行され流通市場で売買されるものは「既発債」と呼ばれます。
債券投資のメリットは、利益を事前に計算しやすい点です。あらかじめ利払いと償還が決まっているため、運用開始前に将来の利益を見積もることができます。
また、利回りが3%〜4%を超える債券もあります。
・ソフトバンク株式会社第2回社債型種類株式:3.2%〜3.5%
・三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第22回無担保社債:1.927%
・米国国債(ストリップス債)米ドル建:4.191%
・オラクル 米ドル建 普通社債:5.311%
・ニュージーランド国債 NZドル建:3.79%
※2024年9月5日時点
※税引き前
※SBI証券より
ただし、中途解約する場合は元本割れの可能性があるため注意が必要です。また、発行体が破綻する信用リスクや為替変動リスクにも十分注意する必要があります。
メリット | ・事前に利益を計算しやすい ・満期を迎えると元本が戻ってくる |
---|---|
デメリット | ・中途解約は元本割れのリスクがある ・外貨建ては為替変動リスクがある |
利回り | 1%〜5%程度 |
不動産投資
ミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオで1000万円を運用したい場合、不動産投資もおすすめです。
不動産投資では、マンション、アパート、戸建てなどを購入し、賃貸で家賃収入を得たり、売却して売却益を得ることができます。
不動産投資のメリットは、長期的な収益が見込める点です。入居者を確保できれば、毎月安定した収入が得られます。
また、不動産投資ローン(アパートローン)には、団体信用生命保険が付帯するため、ローン契約者が死亡や高度障害状態になった場合は、保険金で残りのローンが支払われます。そのため、ローンのない収益物件を家族に残せて、家族は家賃収入を得ながら生活することが可能です。
また、ローンを利用することで、手元資金の何倍もの額を運用することができます。物価が上昇すると家賃も上がる傾向があり、不動産はインフレに強い資産としての特性も持っています。
ただし、不動産投資には空室リスク、災害リスク、家賃滞納リスク、金利上昇リスクなどがあるため、リスクを考慮した資金計画や運営計画を立てることが大切です。また、修繕やリフォーム費用、固定資産税、都市計画税などのコストも発生します。
売却には通常3ヶ月以上かかることが多く、現金化には時間がかかる可能性もあります。
メリット | ・長期的な収益が期待できる ・団体信用生命保険が付いている ・節税効果が期待できる ・レバレッジを活用できる ・インフレに強い |
---|---|
デメリット | ・空室リスク、災害リスク、家賃滞納リスクなどがある ・維持管理にコストがかかる ・流動性が低く現金化に時間がかかる |
利回り | ・区分マンション:6.58%(※) ・一棟アパート:8.15%(※) ・一棟マンション:7.65%(※) |
REIT
REITとは、不動産投資信託のことです。多くの投資家から集めた資金で不動産を取得し、運用して得た利益を投資家に分配する仕組みで、国内のREITは「J-REIT」と呼ばれます。
REITのメリットは、手軽に不動産投資ができる点です。
国内外のさまざまな不動産に、1万円程度から投資することが可能で、分散投資により空室リスクや災害リスクを軽減できます。
不動産の管理や運用はプロに任せられるため、時間や手間を取られず、本業に支障をきたす心配もありません。また、通常の不動産投資は流動性が低いですが、REITは投資信託であるため、比較的スムーズに現金化できます。
さらに、新NISAを利用してREITを購入し運用することで、利益は非課税となります。
ただし、REITは投資信託であるため、実際の不動産を所有することはできません。また、災害リスク、上場廃止リスク、価格変動リスクなどに注意が必要です。不動産投資ローンを利用できないため、レバレッジを効かせることもできません。
メリット | ・手軽に不動産投資ができる ・1万円程度から投資可能 ・分散投資ができる ・運用や管理をプロに任せられる ・新NISAを利用すると非課税 |
---|---|
デメリット | ・不動産の所有権はない ・投資法人の上場廃止リスクがある ・ローンの利用ができない |
利回り | 4.72% ※2024年7月時点 ※J-REITの場合 |
外貨預金
1000万円でミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオを組む際、外貨預金も選択肢の一つです。
外貨預金とは、米ドルやユーロ、豪ドル、ポンドなど、外国通貨で行う預金のことです。1ヶ月、6ヶ月、1年など、預入期間を選ぶことができます。
外貨預金のメリットは、円預金より金利が高い点です。円預金と比べてより高いリターンを見込めます。以下は、主な銀行における円預金と外貨預金の金利です。
円預金金利(普通預金) | 円預金金利(定期預金) | 外貨預金金利(米ドル) | |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.1% | 0.125%〜0.4% | 4.6%〜10% ※2024年7月1日~9月30日適用分 |
住信SBIネット銀行 | 0.02%〜0.03% | 0.03%〜0.1% | 4.4%〜6% ※円からの預け入れ限定 |
※2024年9月5日時点
外貨預金の金利は、円預金と比べて10倍以上の水準に設定されています。
また、外貨預金は為替差益を得ることも可能です。例えば、1ドル100円のときに100万円(1万ドル)を預け、1ドル120円のときに円に換えれば、120万円を受け取ることができ、20万円の為替差益を得ることになります。※手数料等は考慮していません。
ただし、外貨預金では、預入時と払戻時に為替手数料が発生します。
さらに、預入時よりも円安・ドル高が進めば為替差益を得られますが、逆に円高・ドル安になると為替差損が生じ、元本割れのリスクがあります。
外貨預金は、預金保険制度の対象外です。そのため、金融機関が破綻した場合、預金等は保護されない点にも注意が必要です。
メリット | ・金利が高い ・為替差益を狙える |
---|---|
デメリット | ・為替手数料が発生する ・為替変動リスクがある ・預金保険の対象外 |
利回り | 4%〜10%程度 ※米ドルの場合 |
1000万円でハイリスクのポートフォリオを組むなら?
1000万円でハイリスク・ハイリターンのポートフォリオを組む場合、おすすめなのは株式投資です。
株式投資には多くのリスクがありますが、資産を大きく増やす可能性もあります。大きなリターンを狙いたいなら、株式投資を検討してみるとよいでしょう。
株式投資
株式投資は、企業が資金調達を目的に発行する株式を売買して値上がり益を得たり、保有中に配当金や株主優待を受けることができます。
株式投資のメリットは、多くの値上がり益を得られる可能性がある点です。買った株式の株価が上がることで、売買差益が発生します。テンバガーとも呼ばれ、株価が10倍上がる銘柄もあるなど、資産を大きく増やすことも可能です。
また、年に1〜2回配当金を受け取ることもできます。以下は、主な銘柄の配当利回りです。
・ガイアックス:9.64%
・日産自動車:6.02%
・タマホーム:4.88%
・JT:4.64%
・大林組:4.29%
・みずほフィナンシャルグループ:3.93%
※2024年9月6日終値時点
一部の銘柄では高配当が期待できます。なお、日本取引所グループ(JPX)によると、市場別の株式平均利回りは以下のとおりです。
・東証プライム市場:2.22%
・東証スタンダード市場:2.51%
・東証グロース市場:0.46%
※2024年8月時点
※加重平均利回り
銘柄によっては、株主優待が提供されることがあります。優待内容には、自社製品、割引券、クオカード、カタログギフトなどがあります。また、新NISAを利用すれば、非課税で運用することが可能です。単元未満株を利用すれば、有名企業の株を1,000円以下で購入することもできます。
ただし、株価が下落し、元本割れするリスクがあります。「◯◯ショック」などの暴落によって大きな損失を被る可能性もあるため、リスク管理や資金管理が重要です。また、流動性が低い銘柄では希望の価格で取引できないことがあります。企業の破綻や上場廃止のリスクにも注意が必要です。
メリット | ・短期間で大きなリターンを得る可能性がある ・配当金や株主優待が受け取れる ・新NISAで非課税になる ・1,000円以下で購入することも可能 |
---|---|
デメリット | ・元本割れのリスクがある ・信用リスクや上場廃止リスクがある |
利回り | 東証プライム市場:2.22% 東証スタンダード市場:2.51% 東証グロース市場:0.46% ※2024年8月時点 |
1000万円の資産運用に向かない投資
1000万円の資産運用で避けるべき投資商品も把握しておくことが大切です。
FXや仮想通貨(暗号資産)は、リスクが非常に高く投資上級者向けです。初心者が手を出すと、大きな損失を被り資産が大幅に減少する可能性があります。
ここでは、FXと仮想通貨(暗号資産)のメリットやデメリット、リスクについて紹介します。
FX(外国為替証拠金取引)
FXでは、円や米ドル、ユーロなど、2国間の通貨を売買し利益を狙います。例えば、1ドル140円のときに1万ドル(140万円)を買い、1ドル150円のときに売れば、10万円の為替差益が得られます。
また、2国間の金利差によるスワップポイント(金利差調整分)を受け取ることも可能です。
FXのメリットは、買いからでも売りからでも取引ができる点です。株式投資(現物取引)の場合、買いからしか始められないため上昇相場でしか利益を狙えませんが、FXでは下落相場でも利益を得るチャンスがあります。
さらに、FXは東京、ニューヨーク、ロンドンなど世界の市場で取引が行われており、平日はほぼ24時間取引が可能です。そのため、日中仕事で忙しい方でも、夜の時間を使って取引を行うことができます。
また、最大25倍のレバレッジを利用することで、資金効率を大幅に高めた取引が可能です。
ただし、ボラティリティが高いため、短期間で大きな損失を被るリスクもあります。証拠金維持率が一定水準を下回ると、ロスカット(強制決済)が行われるため、資金管理には十分な注意が必要です。
1000万円の運用には、FXはおすすめできません。
メリット | ・買い・売りの両方で取引可能 ・平日ほぼ24時間取引できる ・レバレッジを活用した取引が可能 |
---|---|
デメリット | ・短期間で大きな損失を被るリスクがある ・寝てる間にロスカットが発生する可能性がある |
利回り | ー |
仮想通貨(暗号資産)
1000万円の資産運用には、仮想通貨(暗号資産)はおすすめできません。
仮想通貨取引では、ビットコインやイーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュ、ライトコインなどを売買して利益を狙います。
取引は24時間365日可能なので、仕事や家事で忙しい方でも空いた時間に売買できます。ボラティリティが非常に高く、1日に10%以上の値動きも珍しくありません。そのため、短期間で大きなリターンを得ることも可能です。また、低コストで海外送金ができ、一部の仮想通貨は支払いにも利用できます。
ただし、仮想通貨の利益は雑所得に分類され、総合課税が適用されるため、最大55%(所得税45%、住民税10%)の税金がかかります。
また、仕事や家事など、チャートをチェックできない間に、大きな損失を被るリスクもあるため注意が必要です。
ポートフォリオを作成する際のポイント
ポートフォリオを作成する際は、運用の目的や目標金額を設定し、リスクを分散させ、リスク許容度を把握することが重要です。
これらのポイントを事前に理解しておくことで、より目標実現度が高く、自分に合ったポートフォリオを作成できます。
ここでは、ポートフォリオを作成する際の4つのポイントについて見ていきましょう。
運用の目的や目標金額を決める
ポートフォリオを作成する際には、運用の目的や目標金額を設定することが大切です。目的や目標金額を決めることで、資産運用の具体的な方向性や戦略が定まり、それにもとづいたポートフォリオを構築できます。
例えば、「20年後に老後資金として3000万円を増やす」という目標を設定すると、目標達成のために「資産の30%を国内株式と米国株式、20%をインデックスファンド…」といった具体的なポートフォリオを考えられます。考えたポートフォリオをもとにシミュレーションを行い、最適な運用プランを決定することが可能です。
運用の目的や目標金額が定まっていないと、目標達成の実現可能性は低くなります。
目的や目標金額を設定し、達成するためにはどうすればいいのかを逆算してポートフォリオに反映させることが大事です。
リスク・リターンのバランスを見て決める
ポートフォリオを決める際は、リスクとリターンのバランスを考慮することが重要です。一般的に高いリターンを狙える投資商品は、リスクも大きくなります。
ハイリスク・ハイリターンの投資商品だけでポートフォリオを構築すると、短期間で大きな利益を得る可能性がありますが、同時に大きな損失を被るリスクも伴うため注意が必要です。
「どれくらいのリスクを許容できるか?」「どの程度のリターンを期待するか?」を事前に決めてからポートフォリオを設定しましょう。
特に投資初心者には、「株式投資のみで、国内のグロース株や新興国株式に集中する」といったハイリスク・ハイリターンなポートフォリオはおすすめできません。
リターンだけでなく、リスクにも注意を払うことが大切です。
参考までに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは、外国株式、国内株式、外国債券、国内債券が各25%ずつで構成され、2001年度から2024年度第1四半期までで162兆円以上の収益を上げています。
参考:GPIF「基本ポートフォリオの考え方」
リスク分散をしておく
ポートフォリオを組む際は、投資先を分散させてリスクを軽減することが大切です。投資先が1つだけだと、その商品が暴落した際に大きな損失を被る可能性があります。しかし、複数の投資先を持てば、1つの商品の暴落があっても、他の商品が上昇すれば全体の資産下落を抑えることができます。
「卵は一つのカゴに盛るな」という資産運用の格言は有名です。
分散投資は資産運用の基本であり、金融庁の「資産形成の基本」でも、長期投資、積立投資、分散投資の3つが推奨されています。また、GPIFも「大きな損失を避けるために分散投資が重要」としています。
「株式だけでなく、債券や金にも投資する」「株式は一つの銘柄ではなく、複数の銘柄に分散して投資する」など、分散投資を心がけましょう。
運用がうまくいかない場合も考慮し、リスク管理を徹底しておくことが重要です。
参考:金融庁「資産形成の基本」
GPIF「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」
リスク許容度を知っておく
ポートフォリオを決定する際は、リスク許容度を把握しておくことが大切です。リスク許容度とは、資産運用においてどの程度のリスクや損失を受け入れられるかを示すものです。
例えば、リスク許容度が低い場合に、ハイリスク・ハイリターンのポートフォリオを組むことは避けるべきです。許容できない損失が発生し、生活に大きな支障をきたす恐れがあります。
リスク許容度は、年齢や家族構成、資産・収入、投資経験、性格などをもとに見極めます。
- 年齢:若いほど長期的な運用が可能で、損失もカバーしやすいため、リスク許容度は高く設定しやすいです。
- 家族構成:単身者と家族持ちでは必要な資金や生活費が異なり、単身者の方がリスク許容度を高く設定しやすいです。
- 資産・収入:資産や収入が多いほど余裕があり、損失をカバーしやすくリスクを取ることが可能です。
- 投資経験:投資経験が豊富なほど、リスクを取ることに慣れているため、リスク許容度は高く設定しやすいです。
- 性格:資産の減少に大きなストレスを感じる場合は、リスク許容度を高く設定しない方がよいです。
リスク許容度は人によって異なるため、自分のリスク許容度を正確に把握し、ポートフォリオ作成時に反映させることが大事です。身の丈に合わない運用を避けたり、リターンの機会を逃さないためにも、早い段階で自分のリスク許容度を確認しておくことをおすすめします。
1000万円の運用・ポートフォリオ作成の相談ならIFAがおすすめ
1000万円の運用やポートフォリオ作成について相談する際には、IFA(独立系金融アドバイザー)がおすすめです。
証券会社や金融機関とは異なり、中立的な立場でアドバイスを受けられ、自社に有利な商品を強く勧められる心配もありません。また、長期間にわたり継続的なサポートを受けることが可能で、無料相談を実施している場合もあります。
1000万円は大きな額であり、資産運用には損失リスクも伴うため、専門家に相談し、さまざまな情報を得ることが大切です。
以下では、IFAへの相談をおすすめする理由について詳しく解説します。
IFA(独立系金融アドバイザー)がおすすめの理由
1000万円の運用やポートフォリオ作成に関してIFA(独立系金融アドバイザー)への相談をおすすめする理由は、以下のとおりです。
・中立的な立場でアドバイスやプラン提案をしてくれるため
・長期的なサポートが期待できるため
・資産運用の豊富な経験を持っているため
・資産運用に役立つ情報やノウハウを提供してもらえるため
・新NISAなどの相談も可能なため
IFA(独立系金融アドバイザー)は、銀行や証券会社の社員ではなく、金融機関や証券会社と業務委託を結んで活動する金融商品仲介業者です。そのため、特定の金融機関に縛られず、中立的な立場から顧客のニーズに応じたアドバイスやプランを提案してくれます。
また、銀行や証券会社の担当者は異動や転勤が多く、同じ担当者から長期にわたるサポートを受けるのが難しいことがあります。担当者の変更によってアドバイスの方向性が変わり、戸惑うこともあるでしょう。
しかし、IFAは基本的に異動や転勤がないため、同じ担当者から継続的にサポートを受けることができ、一貫したアドバイスやプランを提供してもらえます。
また、IFAは金融や資産運用に関する豊富な知識とノウハウを持っているため、有益な情報を得ることができます。IFAから得た情報が、市場分析や投資先の選定、リスク管理において大いに役立つこともあるでしょう。
具体的な投資商品の特徴や運用方法、新NISAやiDeCoなどの制度についても話を聞くことができます。
ただし、IFAによっては無料で相談できる場合もあれば、相談料が発生することもあるため、事前に手数料の有無を確認しておくことをおすすめします。また、相談内容や解決したい悩みを整理しておくと、当日の相談がスムーズです。
相談できる内容
・自分に合った資産運用方法
・ポートフォリオの組み方
・各投資商品の特性
・市場分析や企業分析
・リスク許容度の判断方法
・運用シミュレーション
・退職金の活用方法
・投資資金の目安 など
特にこんな人におすすめ
・資産運用について専門家に相談したい人
・自分に合った運用方法がわからない人
・投資が初めての人
・証券会社や新NISA、iDeCoの選択で迷っている人
まとめ
1000万円の資産運用を始める際は、自分に合ったポートフォリオを組むことが大切です。資産運用の目的や目標金額、リスク許容度に応じてポートフォリオを設定し、リスク管理のために投資先を分散しましょう。
運用方法やポートフォリオの組み方、証券会社や投資商品の選択に不安がある場合は、専門家に相談してから始めることをおすすめします。有益な情報を得て、不安を解消できます。
将来の成功に向けて、しっかりと準備を整えてから進めましょう。