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企業型確定拠出年金は入らない方がいい?その理由と加入するメリットをご紹介!

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この記事のポイント

  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)は自分で運用先を選ぶ

  • 運用成績によって将来受け取れる退職金や年金が変わる

  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)は60歳まで払い出しができません

「企業型確定拠出年金には入らないほうがいいって本当?」
「企業型確定拠出年金のしくみがわからない」
など、考える方もいるでしょう。

企業型確定拠出年金とは、企業が従業員のために掛金を出し、従業員がその掛金を自分で運用する制度です。
この記事では、企業型確定拠出年金(企業型DC)の仕組みやメリット、デメリットを解説します。
企業型確定拠出年金の制度の仕組みを知り活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?

企業型確定拠出年金(企業DC)とは、企業が従業員のために掛金を出し、従業員が拠出されたお金を運用する制度です。運用方法で60歳以降に受け取る金額が変わります。

従業員が60歳以降にまとまった資金が受け取れるのがメリットです。企業側も退職金準備や退職給付債務の圧縮、福利厚生の強化など、企業側と従業員の双方にメリットがあります。

厚生労働省「確定拠出年金統計資料」によると、2019年3月時点の事業所数は約3万社、加入者数は約690万人でした。2023年3月時点の事業所数は約4万7000社、加入者数は約800万人と順調に増加しています。
ここでは、企業型確定拠出年金(企業型DC)について解説します。

  • 企業が掛金を積み立てし社員が運用する企業年金制度
  • 企業の掛金に従業員が上乗せすることができる
  • 企業型確定拠出年金は「通常型」と「選択制」で制度が変わる
  • 「企業型確定拠出年金制度」と「退職金制度」の違い
  • 「個人型確定拠出年金(iDeCo)」との違い

順番にみていきましょう。

企業が掛金を積み立てし社員が運用する企業年金制度

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が掛金を毎月従業員の年金口座に拠出(積み立て)して、従業員が運用する企業年金制度です。
掛金の金額は、基本的に企業が設定し、企業が設定した範囲内で従業員が運用します。

従業員は拠出金をもとに金融商品を選び、資産配分を決めていきます。
確定拠出年金の運用商品は「元本確保型」「価格変動型」です。

元本確保型
・元本割れのリスクが少ない
・低金利で資産を大きく増やせない

「定期預金」「保険」が該当します。
積み立てた元本が確保されるタイプで、元本割れのリスクはありません。
保険商品は、満期をむかえずにスイッチング(運用商品の変更)をすると、解約控除金が差し引かれます。

価格変動型
・元本が保証されない
・運用により資産が大きく増える可能性がある

「投資信託」が該当します。
積み立てた元本が運用によって変動し、運用成績によっては大きく資産が増えるときもあります。ただし、値下がりして資産が減るときもあるため、運用成績によって、退職時の受取額が変動し掛金をしている間は受け取り金額の確定はできません。

企業型確定拠出年金の商品は、運営管理機関によって異なります。
参考までに、運用商品数をご紹介します。

元本確保型商品元本変動型商品
定期預金:2本投資信託:36本
参考:SBI証券「運用商品のご紹介


SBI証券は販売手数料無料、運用期間中のキャピタルゲイン(資産売却で得られる売買差益)は非課税です。
元本変動型商品で取り扱う投資信託は、国内株式や海外株式、国内債券、海外債券などでパッシブ運用、アクティブ運用の異なる運用スタイルもあります。
上記には入っていませんでしたが、運営管理機関によっては元本確保型商品に保険も含まれます。

企業型確定拠出年金は企業が決めた運営管理機関の取り扱う商品の中から、運用商品を選んで運用します。

一般社団法人投資信託協会「企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?
一般社団法人投資信託協会「確定拠出年金ではどんな運用商品が用意されている?

企業の掛金に従業員が上乗せすることができる

企業の掛金だけでは足りないと考える従業員は、「マッチング拠出」制度を利用して従業員が掛金を上乗せできます。
上乗せした掛金は、全額所得控除の対象です。

マッチング拠出制度では、会社ごとに決められた金額の中から要件を満たす金額を選びます。
マッチング拠出の掛金の上限は、拠出限度額の枠内かつ事業主の掛金を超えない範囲で認められています。

下記の2つの要件を満たす金額が、マッチング拠出の要件です。

  1. 従業員が拠出する掛金の金額が、企業が拠出する掛金の金額を超えない
  2. 企業が拠出する掛金と従業員が拠出する掛金の合計額が、掛金の拠出限度額を超えない

企業の掛金が少ないと感じたら、事業主の掛金を超えない範囲でマッチング拠出で上乗せできます。

企業型確定拠出年金を導入している企業の中には、マッチング拠出の制度を採用していないことがあります。
掛金の上乗せを検討する際は、勤め先でマッチング拠出が利用できるかどうかを、総務や人事などの担当部署に確認しましょう。

企業型確定拠出年金は「通常型」と「選択制」で制度が変わる

企業型確定拠出年金には、「通常型」「選択制」があります。
通常型は、企業に属する厚生年金被保険者の全員が対象で、自動的な加入です。
一方、選択制は、あらかじめ企業が準備した一定の金額の範囲内で、従業員が給与の中から掛金を抽出する方法が選択できます。
従業員が事業主の拠出する掛金へ資金を上乗せする、マッチング拠出とは異なります。

通常型と選択制の違いは下記のとおりです。

通常型の企業型DC選択制の企業型DC
内容一般的な確定拠出年金加入するかどうかを自分で選択
加入者対象者全員が自動加入従業員が加入するかどうかを自分で決定
掛金企業が負担給与の一部を掛金として拠出

選択制のメリット
・所得税と住民税が軽減される
・社会保険料が軽減される

確定拠出年金の選択制は、企業と従業員の双方にメリットがあります。
企業側は、一般的な企業型確定拠出年金は企業の負担になりますが、選択制は従業員の給与から差し引くため、負担はありません。
従業員側でも、選択制確定拠出年金に加入するかどうかを自分で選択でき、将来に向けて資産設計していけます。
さらに、従業員は給与から掛金を差し引かれるため、所得税や住民税、社会保険料の自己負担分が減らせるなど、企業と従業員の双方にメリットがあります。

通常型の企業型確定拠出年金において対象者は全員加入ですが、選択制の企業型確定拠出年金は加入するかどうかを自分で選べるため、制度は異なります。

「企業型確定拠出年金制度」と「退職金制度」の違い

確定拠出年金も退職金も、受け取った資金を老後の生活保障に役立てられる制度です。

企業型確定拠出年金制度は、積み立てた資金を60歳以降に一時金または年金の形で資金がもらえます。
一方、退職金制度は、退職時に企業が従業員に支払う金銭のことです。

退職金制度は、全ての企業にあるわけではなく、それぞれの企業が退職金規程として独自に設定できます。退職金の金額は、勤続年数や役職などをもとに、企業が定めている退職金規程により異なります。

企業型確定拠出年金制度と退職金制度の違いは、下記のとおりです。

企業型確定拠出年金制度退職金制度
運用の責任従業員本人企業
掛金の負担企業(従業員が追加拠出可能)企業
受取金額運用元本+運用益退職金規定で決定
受取方法年金受取一括受取年金受取+一括受取基本的に一括受取
会社が倒産したとき保全される保全されないことがある
転職したとき資産の持ち運び可能(ポータビリティ)金蔵年数に応じて受給額が変動
税制・掛金:全額所得控除の対象
・利息、配当、運用益:非課税
・受給時:退職所得控除(一時金)、公的年金等控除(年金)の対象
受給時は退職所得控除の対象

企業型確定拠出年金制度と退職金制度には、運用責任や受取方法、企業倒産時の保全、転職時の対応が異なります。

退職金には、主に退職一時金、中小企業退職金共済、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金の4種類があり、内容は下記のとおりです。

退職一時金退職時に退職金の全てを一括で受け取れる制度
中小企業退職金共済中小企業における従業員の退職金や支払いをサポートする制度
確定給付企業年金制度(DB)企業と従業員が将来受け取る年金給付額を決め、必要な掛金を拠出していく制度
企業型確定拠出年金制度(DC)従業員や企業が拠出額(積立額)をあらかじめ確定している制度

もしも、勤務している企業が倒産しても、確定拠出年金で積み立てた資産は保全されます。
転職した際も、これまで拠出した掛金と資産を持ち運べます。
転職先に企業型確定拠出年金があれば引き継ぎ、企業型確定拠出年金がない場合は個人型確定拠出年金に引き継ぐことが可能です。
しかし、倒産すると退職金はもらえないリスクがあります。

企業型確定拠出年金は企業が拠出して従業員が運用する年金制度で、退職金は退職する際に企業が一括で支給する制度です。

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」との違い

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、国民年金や厚生年金など公的年金とは別に給付が受け取れる、私的年金制度の1つです。
加入者自身が積み立て60歳まで運用し、受け取る年金は、運用成果によって増減します。
iDeCoの老齢給付金の受給開始時期を60歳から75歳までの間で、自分で選択できます。

企業型確定拠出年金は掛金を企業が拠出しますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)は個人が掛金を抽出することが大きな違いです。

企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の違いは、下記のとおりです。

企業型確定拠出年金個人型確定拠出年金
実施主体企業国民年金基金連合会
主な加入対象者実施企業の会社員自営業者・会社員・専業主婦(主夫)
掛金の出し手企業加入者
将来給付金を受け取る人加入者本人加入者本人
加入できる人企業が制度に対応している人のみ国民年金の被保険者

個人型確定拠出年金(iDeCo)は加入できる年齢や要件があります。
iDeCoの加入資格は下記のとおりです。

国民年金の第1号被保険者・20歳以上60歳未満
・自営業とその家族、フリーランス、学生など
・農業者年金の被保険者・国民年金の保険料納付免除者(例外あり)
国民年金の第2号被保険者・厚生年金の被保険者(会社員、公務員)勤め先で企業型確定拠出年金の加入者(例外あり)
国民年金の第3号被保険者厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
国民年金の任意加入被保険者国民年金の任意加入者
・60歳以上65歳未満、国民年金保険料の納付済期間が480月に達していない方
・20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方
参考:iDeCo公式サイト「2022年制度改正について」を参考に筆者作成
※65歳以上の厚生年金被保険者で加入期間が120月以上ある方は国民年金の第2号被保険者とはなりません

iDeCoは加入区分に応じて、拠出できる掛金の上限が異なります。下限額は一律で月額5,000円です。

掛金の上限(拠出限度額)は下記のとおりです。

加入資格掛金の限度額
自営業月額6万8千円(年額81万6千円)
企業年金なし月額2万3千円(年額27万6千円)
企業型DCのみ加入月額2万円(年額24万円)
企業型DCと確定給付型に加入月額1万2千円(年額14万4千円)
確定給付型のみ加入月額1万2千円(年額14万4千円)
公務員月額1万2千円(年額14万4千円)
専業主婦(夫)等月額2万3千円(年額27万6千円)
参考:iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)「iDeCo(イデコ)の掛金の下限額と上限額は?」をもとに筆者執筆


企業型確定拠出年金(企業型DC)も個人型確定拠出年金(iDeCo)も、老後の生活を豊かにするための資金づくりの制度という点では同じです。
企業型確定拠出年金は掛金を企業が拠出し、個人型確定拠出年金(iDeCo)は個人が掛金を拠出します。

企業型確定拠出年金(企業型DC)に入らない方がいいと言われる理由

企業型確定拠出年金(企業型DC)は税制優遇などのメリットがありますが、入らないほうがいいのでしょうか。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社の規約に基づいて加入者も決めています。
そのため、加入対象であれば原則加入しなければならず、入らない選択肢はありません。

入らないほうがいいと言われる理由に、60歳まで受け取れない、年金として受け取るときの手続きが少し面倒などがあげられます。
急に資金が必要になった場合でも、企業型確定拠出年金(企業型DC)は中途解約もできないため、不便に感じる方もいるでしょう。

さらに運用成績によって、将来受け取れる金額が変わり、場合によっては元本割れのリスクも生じます。
毎月決まった拠出額で運用していても、将来受け取る金額の確定はしていないことも不安要素になるでしょう。

企業型確定拠出年金での不利益を避けるために、自分のリスク許容度に合った商品選びや、定期的にポートフォリオの見直しをして、税制優遇を活用しましょう。

次の章では企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリットやデメリットを解説します。

企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリット

企業型確定拠出年金(企業型DC)には、税制優遇をうけつつ全額が従業員の老後資金になります。ここでは2つのメリットを解説します。

  • 3つの税制優遇が受けられる
  • 離職時・転職時に積み立て金を移換できる

順番にみていきましょう。

3つの税制優遇が受けられる

企業型確定拠出年金は、「積立時」「運用時」「受取時」と3つのタイミングで税制優遇が受けられます。

【掛金】積み立ての掛金が非課税になる

企業型確定拠出年金の掛金は非課税です。
企業が支払う事業主掛金は、従業員の給与とみなされないため、所得税や住民税が非課税になります。
また、掛金の分だけ給与が減るため、社会保険料も減少します。

一方、マッチング拠出で従業員が給与天引きで支払う加入者掛金は、一旦給与とみなされます。しかし、全額所得控除で税金算出の元になる所得はゼロで非課税となり、社会保険料も減少しません。

【運用】運用益に対して非課税になる

企業型確定拠出年金(企業型DC)の運用で得た利益は、全額非課税になります。
通常であれば、投資信託などで運用した場合、運用益に対して約20%の税金が差し引かれます。
しかし、企業型DCで投資信託や元本確保型の商品での運用益は非課税です。そのため、大きな利益が出た場合でも税負担は増えず、利益を全て受け取れます。

参考:国税庁「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

【受取】受取方法によっては税軽減になる

企業型DCで積み立てた資産は、60歳以降に「一時金」か「年金」のどちらかで受け取れます。どちらの受取方法でも、税を軽減できます。

一括で受け取る「一時金」と分割で受け取る「年金」の税制優遇の違いは、下記のとおりです。

一時金(一括で受け取る)年金(分割で受け取る)
所得退職所得雑所得(公的年金等)
税軽減の仕組み退職所得控除2分の1課税公的年金等控除
※一時金と年金の併用も可能

一時金で受け取る際の、退職所得額と退職所得控除額の計算方法をご紹介します。

退職所得の金額の計算式は下記のとおりです。

(収入(額面)-退職所得控除)×1/2

参考:国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)

退職所得控除額は、勤続年数によって計算式が変わります。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×掛け金の払込年数(80万円に満たない場合は、80万円)
20年超800万円+70万円×(掛金の払込年数-20年)
参考:国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)

次に、年金で受け取る際の雑所得の速算表です。
雑所得は、65歳未満と65歳以上で計算式が異なります。

収入(額面)所得
60万円以下0円
60万円超~130万円未満収入(額面)-60万円
130万円以上~410万円未満収入(額面)×0.75-27万5000円
410万円以上~770万円未満収入(額面)×0.85-68万5000円
770万円以上~1000万円未満収入(額面)×0.95-145万5000円
1000万円以上収入(額面)-195万5000円
参考:国税庁「公的年金等の課税関係
※公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下

雑所得(公的年金等)の速算表(65歳以上)(令和2年分以後)

収入(額面)所得
110万円以下0円
110万円超~330万円未満収入(額面)-110万円
330万円以上~410万円未満収入(額面)×0.75-27万5000円
410万円以上~770万円未満収入(額面)×0.85-68万5000円
770万円以上~1000万円未満収入(額面)×0.95-145万5000円
1000万円以上収入(額面)-195万5000円
出所:国税庁「公的年金等の課税関係
※公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下

一時金と年金のどちらの方法で受け取っても、税軽減になります。

離職時・転職時に積み立て金を移換できる

企業型確定拠出年金(企業型DC)加入中に離職や転職した場合、iDeCoやほかの企業型確定拠出年金に年金資源を移換して、継続して積立できます。
ただし、6ヵ月以内に一定の手続きが必要です。

・転職先に企業型確定拠出年金があるとき
新たに転職先の制度に加入します。
転職前の企業で積み立てた年金資産の移換手続きが必要です。

・転職先に企業型確定拠出年金がない・離職して就職しないとき
転職前に積み立てていた企業型確定拠出年金をiDeCoに移換して、積み立ての継続ができます。
新たに加入するiDeCoの運営管理機関である金融機関は、転職前の企業型確定拠出年金と同じにする必要はありません。
iDeCoは1人につき1つの金融機関で、手続きが可能です。
iDeCoの運営管理機関を決める際は、運用商品などを調べて自分に適した金融機関を選びましょう。

もし、6ヵ月以内に移換手続きをせずに放置してしまうと、離職前・転職前に運用していた年金は現金化され、国民年金基金に自動的に移換されてしまいます。

離職時や転職時には、手続きを忘れずにして、積み立て金を移換しましょう。

参考:企業年金連合会「年金資金の持ち運び(ポータビリティ)」
参考:iDeCo公式サイト「就職(転職)・退職された型へ」

企業型確定拠出年金(企業型DC)のデメリット

企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリットだけでなく、デメリットを理解しておきましょう。

  • 資産運用のためリスクがある
  • 60歳まで原則引き出すことができない
  • 従業員が運営管理機関を選べない
  • 退職の際に移換手続きが必要

順番に解説します。

資産運用のためリスクがある

運用商品には「元本確保型」の定期預金や保険、「価格変動型」の投資信託があります。
元本保証型の定期預金や保険は、元本が守られているため価格変動のリスクの心配はありません。
しかし、価格変動型の投資信託は、資産運用のため状況によっては試算が増減するリスクが生じます。
投資信託に元本保証の商品はなく、価格変動の影響を受けます。

企業型確定拠出年金で価格変動型の投資信託で運用する場合、投資信託のリスクを理解しておくといいでしょう。
一般的に、投資信託で大きなリターンを期待すると、リスクも大きくなります。
たとえば、3%のリターンと10%のリターンが期待できる投資信託では、3%より10%の投資信託のほうがより振れ幅が大きく、リスクも大きくなります。
つまり、小さなリターンならリスクは小さく、大きなリターンならリスクも大きくなるのです。
このリスクとリターンは、投資信託の国内株式や海外債券などの投資対象や投資地域によって変わります。

投資信託の主なリスクをご紹介します。

価格変動リスク国内外の政治、経済状況、市場動向、個別企業の業績により日々価格が変動していること基準価額が変動するリスク
為替変動リスク為替レートによって基準価額が変動するリスク
信用リスク(デフォルト)投資した会社、組織、国家が財政破綻して価値が失われるリスク
金利変動リスク(債券市場)金利が上昇すると債券価格が下がり、金利が下落すると債券価格が上がる傾向があるリスク
カントリーリスク投資先の国や地域の経済状況や政情により投資している資産価値が変動するリスク
REIT(不動産投資信託)の価格変動リスク不動産の市場価値が落ちて基準価額が下落するリスク
流動性リスク市場規模が小さい、取引される機会が少ない資産が購入や売却のタイミングを逃すリスク

投資信託は、投資資産が広く分散されているため、個別株式や債券に比べるとリスクが分散しています。
長期間で積み立てるなら、複利の効果もあります。
ただし、リスクを避けたい場合は、元本確保型の定期預金や保険を選び、大きなリターンはないものの確実に資産を積み上げる方法をえらびましょう。

企業型確定拠出年金を投資信託で運用する際は、投資信託の内訳をみて自分のリスク強度に合わせて選びましょう。
投資信託は価格変動があり元本が保証されていないため、リスクがあります。

60歳まで原則引き出すことができない

原則、60歳まで引き出すことはできず、途中解約もできません。
もし急に資金が必要になった場合でも、早くとも60歳にならなければ受給可能年齢に達しないため、資金の引き出しができません。
もしも60歳から受給したいのに10年未満の加入期間であれば、60歳時点の通算加入者期間から受給可能年齢が変わります。
60歳から受給したいときは、50歳までに企業型確定拠出年金に加入しておく必要があります。

受け取りを開始できる年齢は、60歳時点の通算加入者等期間に応じて決まっています。

確定拠出年金の受給開始年齢

60歳時点の通算加入者等期間受給可能年齢
10年以上60歳
8年以上~10年未満61歳
6年以上~8年未満62歳
4年以上~6年未満63歳
2年以上~4年未満64歳
1月以上~2年未満65歳
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要

規定の年齢になった後も、60歳から75歳までの間で受け取るタイミングを自由に選べます。
ただし、75歳を過ぎても受け取りをしない場合は、強制的に一時金として受け取ります。
一時金ではなく、年金で受け取りたい方は、75歳に達する前までに手続きをしておきましょう。

企業型確定拠出年金は10年以上加入していても、60歳以上にならなければ引き出しはできません。

従業員が運営管理機関を選べない

企業型の確定拠出年金は、運営管理機関を従業員は選べません。
企業型確定拠出年金(企業型DC)の運営管理機関は、企業が選定して運営を委託しています。

運営管理機関とは、確定拠出年金を運営する専門的な金融機関のことです。
投資商品のラインアップや手数料、特徴などは運営管理機関ごとに異なります。
従業員が運営管理機関を選べないため、希望する商品で運用できないケースもあります。

退職の際に移換手続きが必要

60歳前に転職するなどのため、今働いている企業を退職する際は、企業型確定拠出型年金(企業型DC)の移換手続きが必要です。
確定拠出年金は原則、資産を途中で引き出せません。
そのため、退職から6ヵ月以内に年金資金の移換が必要です。
6ヵ月以内に移管手続きを取らなければ、資産は国民年金基金連合会(特定運営管理機関)へ自動的に移されます。このことを自動移管といいます。
自動移管のデメリットは、運用が止まる、かつ事務手数料がかかるため、資産が目減りすることです。
自動移管中の期間は加入期間に不算入のため、受給可能年齢が送れる可能性があります。

転職した場合は、転職先の企業の企業型拠出型年金(企業型DC)、退職して働く予定がない場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)への手続きをしましょう。

参考:iDeCo公式サイト「転職・退職された方へ

まとめ

企業型確定拠出年金(企業DC)は、老後資金を準備する私的年金の1つです。
企業が掛金を拠出し、従業員が資金を運用します。
運用先は、自由度は少ないものの運営管理機関の取り扱う商品の範囲内での運用です。
60歳まで途中解約できないデメリットはありますが、着実に老後資金を準備できます。
転職や60歳未満で退職をした時は、個人型確定拠出年金(iDeCo)へ資金の移換手続きをします。
運用に慣れない方にとっては、制度や仕組みの理解に時間がかかるでしょう。
そのため、わからない事がある場合は、専門家に相談してみましょう。
資産運用の相談がしたい」「iDeCoやその他の資産運用方法が知りたい」方は、IFAの相談を検討するのもいいでしょう。

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恵比寿不動産 資産コンサルティング事業部

大手証券会社・信託銀行出身のメンバーで資産運用に関わる様々な情報を発信。「資産運用の相談窓口」では、株式・債券・投資信託など今までの経験を生かした資産運用に関するあらゆる悩みや疑問を解消し、全てのお客様にマッチした資産アドバイザー(IFA)を紹介することをミッションに掲げている。

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