定年後や老後の資金準備を見据えて、50代から資産運用を始める人が増えています。新NISAの導入や株価の高騰もあって、資産運用を始めるには良いタイミングかもしれません。
しかし、「50代からでは遅いのでは?」「50代に適した運用方法は?」といった疑問を抱える方も多いでしょう。
この記事では、50代から資産運用を始めるのが遅くない理由やおすすめの運用方法、注意点について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
50代からの資産運用が遅くない3つの理由
資産運用を50代から始めるのは決して遅くありません。理由としては、20代〜40代に比べて運用可能な資金が増える、投資の知識が身につけられる、平均寿命が延びていることなどがあります。
これらの理由を理解することで、50代から資産運用を始めても遅くないことやその重要性がわかります。
ここでは、50代からの資産運用が遅くない3つの理由について見ていきましょう。
20代〜40代よりもまとまった資金を運用できる
一般的に、50代は20代〜40代より収入が多いため、まとまった資金を運用できます。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年齢別の平均年収が最も高いのは50代です。詳細は、以下のとおりです。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 124万円 |
20歳〜24歳 | 273万円 |
25歳〜29歳 | 389万円 |
30歳〜34歳 | 425万円 |
35歳〜39歳 | 462万円 |
40歳〜44歳 | 491万円 |
45歳〜49歳 | 521万円 |
50歳〜54歳 | 537万円 |
55歳〜59歳 | 546万円 |
60歳〜64歳 | 441万円 |
65歳〜69歳 | 342万円 |
70歳以上 | 298万円 |
全体平均 | 458万円 |
また、50代は子育てが一段落し、比較的自由に使えるお金を確保しやすい時期でもあります。定年や老後について現実的に考えることができるため、資産運用を資金の使い道として選ぶ際にも、家族の同意を得やすいでしょう。
一般社団法人 投資信託協会の「投資信託に関するアンケート調査報告書 2023年」によると、老後の資産形成を始めた年代の中で最も多かったのは50代からで17.6%、次いで40代からの15.3%でした。
50代はまとまった資金を運用しやすいため、資産運用を始めるのに遅すぎることはありません。
定年退職前に投資の知識を身につけられる
50代から資産運用を始めるのが遅くない理由の一つは、定年退職前に投資の知識を身につけることができるからです。投資経験がないまま退職金を使って資産運用を始めるのはリスクが高く、おすすめできません。
未経験の状態でいきなり退職金を運用した場合に、自分に合った運用方法やリスクの高い商品を見極められず、大きな損失を招く恐れがあります。
50代から資産運用をスタートすることで、退職金を受け取るまでの間に多くの知識やノウハウを習得でき、退職金を自分に合った方法で運用することが可能になります。
また、退職金を受け取るまでに資産が大幅に増え、退職金を投資に使わずに済むこともあるでしょう。早めに資産運用を始めることで、将来のリスクを回避することができます。
平均寿命が伸びているため老後資金は多い方がいい
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳です。参考として、過去の平均寿命は以下のとおりです。
・昭和22年:男性50.06歳、女性53.96歳
・昭和45年:男性69.31歳、女性74.66歳
・昭和60年:男性74.78歳、女性80.48歳
・平成22年:男性79.55歳、女性86.30歳
・令和4年:男性81.05歳、女性87.09歳
男女ともに平均寿命が延びていることがわかります。
また、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の夫婦世帯と単身世帯の月の家計収支は、以下のとおりです。
可処分所得 | 支出 | 収支 | |
---|---|---|---|
夫婦世帯 | 21万3,042円 | 25万959円 | ▲3万7,916円 |
単身世帯 | 11万4,663円 | 14万5,430円 | ▲3万768円 |
上記のとおり、月々3万円以上、年間で約40万円の赤字が生じています。生活スタイルによっては、さらに赤字が拡大する可能性もあります。
また、平均寿命の延びにより、老後に必要な資金が増えることが予想されるため、より多くの資金準備が必要になるかもしれません。
そのため、老後資金を確保するための資産運用の重要性が高まっています。
50代から始めるおすすめの資産運用方法は?
50代からの資産運用には、NISA、iDeCo、個人年金保険、株式、投資信託、債券などがおすすめです。
NISAやiDeCoでは税制優遇を受けながら資産を形成でき、個人年金保険は生命保険料控除の対象になります。
株式や投資信託では配当金や分配金、株主優待を得ることができ、積立投資や分散投資も可能です。また、債券は、ディフェンシブな投資戦略が取れます。
ここでは、各商品や運用方法の特徴やリスクについて説明していますので、ポートフォリオをつくる際の参考にしてください。
NISA
50代からの資産運用には、NISAの活用をおすすめします。
NISAは、2014年に始まった少額投資非課税制度です。通常、株式や投資信託の運用益には20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかりますが、NISA口座での利益は非課税となります。
2018年には、長期積立投資向けの「つみたてNISA」も導入されました。そして2024年には、従来のNISAよりも非課税期間や非課税枠が大幅に拡充された「新NISA」がスタートしました。
新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。つみたて投資枠は年間の非課税投資枠が120万円で、金融庁の基準を満たした投資信託が対象です。成長投資枠は年間の非課税投資枠が240万円で、株式や投資信託が対象となります。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税保有期間 | 無制限 | 無制限 |
口座開設期間 | 恒久化 | 恒久化 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円※成長投資枠は内数1,200万円 | |
投資対象商品 | 金融庁の基準を満たし、長期・積立・分散投資に適した投資信託 | 上場株式、投資信託など |
非課税対象 | 売却益、配当金、分配金 | |
併用 | 可 | 可 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
新NISAの口座は、証券会社や金融機関で無料で開設できます。投資信託であれば100円程度から運用を始められるため「少額からスタートしたい」という方も安心です。
ただし、元本割れのリスクがあることを理解しておく必要があります。また、損失が発生した場合、損益通算や繰越控除で税負担を軽減することはできません。
【損益通算】
損失(赤字)を他の所得(黒字)と相殺し、課税所得額を減らす方法
【繰越控除】
その年の利益から損失を控除しきれない場合、翌年以降の利益から最大3年間控除できる制度
新NISAは従来のNISAとは別の口座で管理されるため、資産の移管(ロールオーバー)はできません。
いくらから運用できるのか? | 100円程度(投資信託) |
---|---|
リスク | ・元本保証ではない ・損益通算や繰越控除ができない ・従来のNISAからロールオーバーはできない |
リターン | ・20.315%の税金がかからないことで、資産形成がより効率的 |
参考:金融庁「NISAを知る」
金融庁「2023年までのNISA」
国税庁「損益通算」
国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
iDeco
50代からの資産運用には、個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)もおすすめです。iDeCoは、節税しながら資産を形成できる私的年金制度で、多くの方に利用されています。iDeCoの主な特徴は、以下のとおりです。
・自分で掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用
・掛金は全額が所得控除の対象
・運用益は非課税
・運用資産の受け取りは原則60歳以降
・受け取り方法は年金または一時金から選択可能
・受け取る際にも控除が適用される
iDeCoでは、自分で設定した掛金を選んだ商品で運用し、資産を形成します。投資対象には、投資信託、定期預金、保険などがあります。
掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、課税所得額を軽減し、所得税や住民税を節約できます。また、運用益は非課税で、通常かかる20.315%の税金はかかりません。非課税で再投資されるため、複利効果をより高く得られます。
運用資産は原則60歳以降に受け取ることができ、老後資金の形成に役立ちます。受け取り方法は年金または一時金から選択でき、どちらも公的年金等控除や退職所得控除の対象となるため節税が可能です。
ただし、損失リスクがある点に注意が必要です。定期預金などの元本保証商品もありますが、投資信託の場合は元本が保証されません。
また、iDeCoには以下の手数料がかかります。
・加入時・移換時の手数料
・事務手数料
・資産管理手数料
・運営管理機関手数料
・給付手数料
・還付手数料 など
手数料は証券会社や金融機関によって異なります。なお、運用資産の引き出しは原則60歳以降に行えますが、60歳以降に初めてiDeCoに加入した場合は、加入から5年間は引き出せません。
いくらから運用できるのか? | 掛金は月々5,000円から(1,000円単位) |
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リスク | ・すべての商品が元本保証ではない ・手数料がかかる ・60歳までは運用資産の引き出しができない ・60歳以上で加入した場合、受け取りは5年経過後から |
リターン | ・掛金が全額所得控除 ・運用益が非課税 ・受け取り時にも控除が適用 |
参考:iDeCo公式サイト
国税庁「小規模企業共済等掛金控除」
個人年金保険
50代からの資産運用には、個人年金保険もおすすめです。個人年金保険は、所定の年齢(65歳など)まで保険料を払い込み、受け取り開始時期になると、毎年一定額を受け取れる私的年金です。
個人年金保険には、以下のような特徴があります。
・亡くなるまで年金を受け取り続けることが可能
・定額型と変額型の運用方法が選べる
・円建てや外貨建ての選択が可能
・保険料は生命保険料控除の対象
・健康状態に不安がある方でも加入しやすい
個人年金保険の受取方法は、「確定年金」「有期年金」「終身年金」の主に3種類です。
確定年金 | 被保険者の生死に関わらず、契約で定められた期間(3年、5年、15年など)にわたり年金が支払われます。被保険者が亡くなった場合、その遺族が年金を受け取ることができます。 |
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有期年金 | 被保険者が生きている場合は、契約で定められた期間中に年金が支払われます。ただし、被保険者が亡くなった場合、年金の支払いは終了します。 |
終身年金 | 被保険者が亡くなるまで年金が支払われます。ただし、被保険者が亡くなった場合、年金の支払いは終了します。 |
また、運用方法は定額型(定額個人年金保険)と変額型(変額個人年金保険)の2つに分けられます。
【定額型】
契約時に決めた予定利率で運用され、受け取る年金額が確定しています。
【変額型】
保険料を債券や株式などで運用し、その運用結果によって受け取る年金額が変動します。
個人年金保険は、円建てだけでなく、外貨建て(米ドルやユーロなど)の商品の選択も可能です。保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の節税にも役立ちます。
ただし、保険を途中で解約すると元本割れする可能性があるため注意が必要です。また、インフレによってお金の価値が低下すると、受け取る年金の価値も減少します。
個人年金保険の保険料やリターン(返戻率)は、保険商品や年齢などによって異なります。
いくらから運用できるのか? | 月々の保険料3,000円程度〜 |
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リスク | ・途中解約すると元本割れのリスクがある ・インフレリスクがある |
リターン | 1%〜10%程度 |
参考:国税庁「生命保険料控除」
株式投資
50代からの資産運用には、株式投資もおすすめです。株式投資の主な特徴は、以下のとおりです。
・配当金や株主優待が受け取れる
・企業の経営に参加できる
・知識や経験を活かせる
・仕事にも役立つ
・短期間で大きな利益を得るチャンスがある
・単元未満株で少額から投資が可能
・新NISAを利用すれば運用益が非課税
銘柄によっては、年に1回または2回、配当金や株主優待が受け取れます。株主優待には、企業の自社商品、割引券、QUOカード、限定商品、カタログギフトなどがあります。
また、議決権が付与されるため、企業の経営に参加することが可能です。
株式投資を通じて、金融や経済、成長企業、新商品・サービス、財務分析などの情報や知識を得ることができ、それを本業に活用することもできるでしょう。これまで得てきた知識や経験が銘柄選びに役立つ可能性もあります。
通常、株式投資の売買単位は100株ですが、単元未満株なら1株から取引できるため、1,000円以下で有名企業の株を購入することも可能です。
新NISAの枠内で株式投資を行えば、配当金や売却益に税金はかかりません。
ただし、相場の暴落により短期間で大きな損失を被るリスクがあるため、資金管理が重要です。また、投資先が倒産したり、上場廃止になるリスクもあります。
いくらから運用できるのか? | 1,000円以下(単元未満株の場合) |
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リスク | ・元本保証ではない ・価格変動リスク ・倒産や上場廃止リスク など |
リターン | ・プライム市場:2.03% ・スタンダード市場:2.36% ・グロース市場:0.42% ※2024年7月、加重平均利回り ※日本取引所グループ(JPX)より |
参考:日本取引所グループ(JPX)「株価平均・株式平均利回り」
投資信託
投資信託も50代から始める資産運用におすすめです。投資信託は、投資家から集めた資金をプロが運用する商品です。
投資信託には、設定・運用を行う「運用会社(委託者)」、資産を保管・管理する「信託銀行(受託者)」、投資信託を投資家に販売する「販売会社」という3つの機関があり、それぞれが異なる役割を担っています。
投資信託の主な特徴は、以下のとおりです。
・分散投資でリスクを軽減
・プロに運用を任せられる
・積立投資が可能
・100円程度から投資できる
・新NISAの活用で運用益が非課税
投資信託は、国内外の株式、債券、不動産などに分散投資することができます。例えば、日経平均に連動する投資信託なら、日経平均を構成する多くの企業に分散して投資することが可能です。運用はプロに任せられ、商品によっては年に数回、分配金を受け取ることもできます。
また、「毎月◯日に△円分購入」といった積立投資の設定も可能なため、自分のペースで無理なく投資を続けられ、相場の変動にあまり影響されません。
証券会社によっては100円程度から投資を始められるので、気軽に始められます。さらに、新NISAを活用すれば、運用益が非課税となり、より効率的な資産形成を目指すことができます。
ただし、投資信託は購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額などの手数料が発生するため注意が必要です。
【購入時手数料】
購入時に発生する手数料(手数料が0円の商品もある)
【信託報酬】
投資信託を保有している間にかかる手数料で信託財産から支払われる
【信託財産留保額】
投資信託を解約する際に発生する手数料
分散投資によってリスクを軽減できますが、元本の保証はありません。価格変動リスクや、債券などの発行体が財政難に陥るデフォルトリスクも存在します。
いくらから運用できるのか? | 100円程度 |
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リスク | ・価格変動リスク・金利変動リスク・デフォルトリスク など |
リターン | 3%〜10%程度 |
債券投資
債券とは、資金調達のために国(国債)、自治体(地方債)、企業(社債)などが発行する有価証券です。債券に投資すると、保有期間中に利子が支払われ、満期時には額面金額が返還されます(利付債の場合)。
債券投資の主な特徴は、以下のとおりです。
・定期的に利子を受け取れる
・償還日に額面金額で返還される
・スケジュールが事前に決まっている
・手間がかからない
・国債は比較的安全性が高い
債券は、購入前に利子の支払時期や償還日、利率が決まっているため、先の見通しが立てやすいのが特徴です。
例えば、個人向け国債は年2回利子が支払われ、償還日は選択する商品によって3年〜10年後となります。利率は以下のとおりです。
【固定金利型3年満期】
利率 0.28%、償還期限 令和9年9月15日
【固定金利型5年満期】
利率 0.39%、償還期限 令和11年9月15日
【変動金利型10年満期】
利率 0.61%、償還期限 令和16年9月15日
※令和6年8月8日〜8月30日募集分の場合
※税引前
債券は、投資後は償還日を待つだけなので、運用の手間がかかりません。特に国債は、国が発行しているため比較的安全で、元本部分の価格も変動しません。
ただし、債券によっては途中解約により元本割れが発生する可能性があるため注意が必要です。また、外国債には為替変動リスクが伴います。ハイリスク・ハイリターンの債券も存在するため、投資先を決める際には条件をよく確認することが大切です。
いくらから運用できるのか? | 1万円〜(個人向け国債の場合) |
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リスク | ・途中解約すると元本割れの可能性がある ・信用リスク ・為替変動リスク など |
リターン | 0.28%〜0.61%※個人向け国債の場合(令和6年8月8日〜8月30日募集分) |
参考:個人向け国債
50代からの資産運用で気を付けるポイント
50代からの資産運用で気をつけるポイントには、ハイリスクハイリターンの投資を避けることや、出口戦略をしっかり考えておくことなどが挙げられます。
50代からの資産運用では、近い将来に向けて安全策を優先しながら運用することが大事です。事前に気をつけるべきポイントを把握することで、リスクを抑えた資産運用が実現できます。
ここでは、50代からの資産運用で気をつける5つのポイントを見ていきましょう。
分散投資をする
50代から資産運用を始める際には、分散投資を心がけることが重要です。
もし投資先を一つだけにしていると、その商品の価格が急落した場合に資産が大幅に減少する恐れがあります。しかし、複数の投資先に分散することで、一つの商品の価格が下がっても、他の投資先の価格が上昇すれば、資産の大幅な減少を防ぐことができます。
分散投資の重要性を教えてくれる「卵は一つのカゴに盛るな」という格言は有名です。
多くの著名な投資家や機関投資家も分散投資を行っており、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や金融庁も分散投資を推奨しています。
参考までに、GPIFの基本ポートフォリオ(投資先と資産構成割合)は以下のようになっています。
・国内債券:25%
・外国債券:25%
・国内株式:25%
・外国株式:25%
投資初心者の方は、特に分散投資を活用してリスクを軽減することが大切です。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「基本ポートフォリオの考え方」
金融庁「資産形成の基本」
長期で運用する
50代からの資産運用では、長期的な視点を持つことが重要です。長期運用には以下のメリットがあります。
・毎日チャートを確認する必要がない
・短期的な市場の変動で一喜一憂せずに済む
・配当金や分配金を受け取ることができる
・複利効果を得やす
・積立投資と相性が良い
・新NISAやiDeCoとの相性が良い
長期運用をすることで、日々の価格変動に過度に反応せずに済み、ストレスを軽減し、仕事への影響を減らすことができます。
また、株式や投資信託などを保有していると、配当金や分配金を受け取ることができ、これらを再投資することで複利効果を得やすく、効率的な資産形成が可能です。積立投資を設定することで、購入タイミングに悩む必要がなく、注文の手間も省けます。
さらに、新NISAやiDeCoを活用して長期運用を行うと、運用益が非課税になるなど、税制上のメリットを享受できます。
今後成長が見込まれる銘柄や高配当株など、投資先を分散させながら長期的な視点で運用しましょう。
参考:金融庁「資産形成の基本」
ハイリスクハイリターンの投資はしない
50代からの資産運用では、ハイリスクハイリターンの投資は避けましょう。
ハイリスクハイリターンの投資は成功すれば大きなリターンがありますが、大損するリスクも伴います。
20代や30代であれば損失を取り戻す時間がまだありますが、50代からは時間的な余裕が少ないため、そのリスクを負うのは難しくなります。
例えば、FX、仮想通貨、先物取引、信用取引など、リスクの高い投資商品での運用はおすすめできません。レバレッジや高いボラティリティが魅力的に思えるかもしれませんが、これらは上級者向けであり、初心者が手を出すと痛い目に遭います。
定年後の生活が具体的に見えてくる年齢だからこそ、慎重な運用が重要です。
貯金と分けて資産運用を行う
資産運用は余剰資金で行うことが基本です。
投資には損失リスクがあるため、生活資金を使って損失が出ると生活に支障をきたす恐れがあります。公共料金やローン、クレジットカードの支払いにも影響が出るかもしれません。
損失リスクを考慮し、余剰資金だけを運用に回しましょう。余剰資金で運用すれば、損失が発生しても生活への影響は限定的です。
もし余剰資金が不足している場合は、生活費を節約したり、副業をしたりして投資資金を作ることも大切です。
生活資金を使った無理な運用は、くれぐれも避けてください。
出口戦略を考えて運用する
50代から資産運用を始める際は、事前に出口戦略を考えておくことが重要です。出口戦略が明確になれば、具体的な方針をもとに運用できます。
例えば、出口戦略には以下のようなものがあります。
・70歳ですべて売却する
・65歳で◯万円を取り崩し、残りの◯万円は75歳まで運用する
・10年間は定率で取り崩し、その後の10年間は定額で取り崩す
・S&P500と国内高配当株で15年間運用し、70歳で半分、75歳で残りを売却する
出口戦略は、自分の目的やライフプランに合わせて設定することが大切です。そして、決まった出口戦略にもとづき、運用する商品や方法を選びましょう。明確なゴールを持って、運用をスタートしてください。
まとめ
50代から資産運用は決して遅くありません。
定年までの時間を活かし、複利効果を得ながら資産を増やすことが可能です。
迷ったら一度、プロに資産運用の相談をしてみるのがおすすめです。
資産運用ではリスクを抑えるために、分散投資と長期投資を心がけ、ハイリスクな投資は避けましょう。新NISAやiDeCoを活用すれば、非課税で効率的に運用できます。
早速、資産運用の準備を始めてみましょう。