相談するとさまざまなメリットが得られるIFAですが、「IFAに相談しても資産は増えない」「相談はやめた方がいい」という声もあります。
IFAは資産運用の商品選びやアドバイスする専門家です。
運用商品の情報収集やアフターフォローもしてくれるため、相性のいいIFAがみつかれば心強い味方となり的確なアドバイスももらえるでしょう。
今回は、IFAの概要や相談するメリット、デメリットを解説します。
大切な資産の運用相談先を慎重に選びたい人やIFAに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
IFAとは?
IFAは「Independent Financial Advisor」の略で、「独立系フィナンシャルアドバイザー」とも呼ばれています。
金融アドバイザーの1つで、資産運用に関する相談に乗ってくれます。
ここではIFAについて下記2点を解説します。
- IFAに相談できる内容
- 銀行や証券会社との違い
順番にみていきましょう。
IFAに相談できる内容
IFAは、資産形成や資産運用の専門家です。
それぞれが得意な専門領域や分野、対応できる業務範囲があります。
まずはIFAに相談できる内容をチェックしておきましょう。
相談できる主な内容は下記のとおりです。
ライフプラン | ・将来の資産形成計画・年齢、年収、家族構成などを加味したトータルプランニング |
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資産運用 | ・株式、投資信託、債券、NISA、iDeCoなどの資産形成・効果的な商品の選び方、銘柄選定、運用相談 |
老後・年金 | ・老後の準備資金、備えがテーマの相談・保険の見直し、資産運用、節税について |
保険 | ・生命保険、損害保険の見直しや相談・家族を守るための最適な保障の手当に関する相談 |
不動産・住宅ローン | ・保有不動産の活用、整理、住宅ローン切替など・不動産や住宅購入、ローン、資産活動について |
税制・相続・贈与 | ・節税、相続税対策、生前贈与、事業承継について・資産形成や運用の視点から税理士や弁護士と連携した対応の相談 |
上記以外にも相談できる分野や業務があるため、IFAに確認してみましょう。
銀行や証券会社との違い
IFAは、自由度高く複数の会社から幅広く商品を提案するのに対し、銀行や証券会社では自社の商品を中心に限られた金融商品の中から提案する違いがあります。
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーで、中立的な立ち位置で顧客に合った商品の提案やさまざまな観点による助言などがおこなえるからです。
一方、銀行や証券会社では、注力している商品や同じ系列会社の商品を軸に勧める傾向があり、時に顧客目線で商品の提案ができないことがあります。
たとえば、顧客が投資リスクも理解したうえで投資信託の資産運用をしたいとき、IFAと銀行や証券会社では下記のような違いがあります。
IFA
IFAが提携している複数の証券会社が取り扱う投資信託の中から、顧客の希望に合ったファンドを選び提案できます。
銀行、証券会社
同じ系列会社や注力している商品を軸に、自社で取り扱うファンドの中から顧客に提案します。
顧客が希望するファンドの取扱いがないこともあります。
IFAは銀行や証券会社と異なり、複数の会社から顧客に合った商品の提案ができます。
参考:みずほ総合研究所株式会社「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」
参考:厚生労働省・職業情報提供サイトjobtag「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」
IFAに相談するデメリット
IFAは特定の会社に依存することなく、顧客に合わせた商品の提案や助言ができます。
ただしIFAに相談する際、気を付けなければいけないこともあります。
IFAに相談する際のデメリットは下記のとおりです。
- 手数料が割高になる場合がある
- 金融機関・証券会社に比べて企業規模が小さい
- IFAによって知識やサービスの品質に差がある
- 自分に適したIFAを見つける必要がある
順番に詳しく解説します。
手数料が割高になる場合がある
IFAに相談する際、まずは手数料について理解しておきましょう。
誰のサポートもなく、ネット証券などを利用して自分で金融商品を選んで資産運用をすることに比べると、手数料は高くなります。
IFAに相談する際にかかる手数料は、大きく分けると下記の2つです。
コミッション型 | 顧客が金融商品を購入時に支払う取引手数料から支払う |
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フィー型 | IFAが顧客の資産を運用し、運用結果に対して顧客が支払う |
コミッション型は、資産運用のプロのIFAが金融商品に関して分析や情報を集め、顧客に商品提案してくれます。
資産運用は情報収集や分析が必要不可欠です。
しかし、複数の金融商品を自分で分析したり情報を集めたりする時間が取れないない私たちにとって、IFAを介して有益な情報が得られることはメリットといえるでしょう。
フィー型は、顧客の預かり資産残高に応じて手数料を支払います。
たとえば、IFAが預かり資産の2%を報酬としている場合、資産5,000万円を預けると年間100万円支払います。
資産を増やしたい顧客と、資産が増えることで報酬が上がるIFAにとって、双方の利害が一致するといえるでしょう。
投資商品に詳しくない人や資産運用がわからない人が素人判断で金融商品を購入するより、手数料が割高だったとしてもプロのアドバイスを受けながら資産運用をすすめるほうが良いこともあります。
手数料の金額だけでなく、IFAに運用のアドバイスやサポートをしてもらえることも含めて依頼するかどうかを考えていきましょう。
金融機関・証券会社に比べて企業規模が小さい
IFAは独立した個人が営み、企業規模が小さいケースがあります。
しかし金融機関や証券会社は、企業規模が大きく知名度も高くなっています。
そのため、「この人に資産運用を任せられるのか」「証券会社の担当者に相談したほうがよいのでは」と不安に感じることもあるでしょう。
顧客が証券会社やIFA法人に預けた資金や有価証券は、会社の資産とは別に管理する「分別管理」の仕組みが企業規模に関係なく適用されます。
第四十三条の二
金融商品取引業者等は、次に掲げる有価証券(次項の規定により管理する有価証券を除く。)を、確実にかつ整然と管理する方法として内閣府令で定める方法により、自己の固有財産と分別して管理しなければならない。
引用:e-GOV法令検索「金融商品取引法第四十三条の二」
IFAの仕組みは下記のとおりです。
預けた資産の安全性は、企業規模の大きさは関係ありません。
そして、万が一法人が潰れても顧客の資産は守られる仕組みになっています。
IFA法人は企業規模は小さいですが、トラブルが起きたときでも資産は守られます。
参考:日本証券業協会「金融商品取引業者等の分別管理Q&A」
IFAによって知識やサービスの品質に差がある
IFAによっては、専門分野やサービス内容に差が出ることがあります。
それぞれキャリアや知識、得意分野が異なり、相談するIFAによって資産運用プランやサポート内容、方針、取り扱う金融商品もかわってくるためです。
IFAの収入源や提案商品内訳をみると、経歴によって構成比率が異なっています。
証券会社の出身者は証券の仲介手数料が多く、保険代理店や生命保険会社の出身者は生命保険関連が半数を占めています。
提案商品をみても、証券会社出身者は、国内株式が4割、投資信託3割、保険の取り扱いはごくわずかになっています。
一方、保険代理店や生命保険出身者は保険が4割、投資信託3割になっています。
このように、IFAの経歴によって提案する商品も異なることから、知識やサービスの品質に差がでることがわかります。
古くから米国や英国では、IFAは個人への投資アドバイスを含む金融サービス提供者として、地位も確立しています。
米国の独立系IFAは約12.7万人ですが、日本のIFAは約3,800人にとどまっています。
そのため、国内では人数も少なく、情報も限られていて知識やサービスの品質などの比較が難しいのが現状です。
参考:みずほ総合研究所株式会社「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」
自分に適したIFAを見つける必要がある
自分がはじめてみたい運用や、資産形成に詳しいIFAを見つける必要があります。
多くのIFAのなかから、自分に適した担当者は簡単にはみつかりません。
2024年6月時点でIFAは法人、個人を合わせると約680あります。
金融商品仲介業者の、2024年6月末現在の登録数は下記のとおりです。
種別 | 登録数 |
---|---|
金融商品仲介業者(法人)の登録外務員数(登録外務員を有する金融商品仲介業者数(法人)) | 653 |
個人金融商品仲介業者の登録外務員数(登録外務員を有する個人金融商品仲介業者数) | 1 |
個人金融商品仲介業者数(個人金融仲介業者の代表者) | 25 |
IFAによって、得意分野や知識の深さも違います。
さらに、取り扱う金融商品の種類や投資傾向、サービス体制などの条件は異なります。
たとえば、株式や投資信託の運用を検討しているにもかかわらず、生命保険を専門とするIFAに相談しても望む助言は得られないでしょう。
まずは自分が相談したい内容を明確にして、専門知識を持つIFAへの相談が必要です。
無料相談やセミナーを活用して、IFAの考え方や方針、自分の希望があっているかどうかをチェックしましょう。
IFAに相談するメリット
IFAに相談する際のデメリットを解説しました。
ここでは、IFAに相談するときのメリットを4つ解説します。
- 幅広い金融商品を紹介してもらえる
- 中立的な立場でアドバイスを受けられる
- 専門的な知識や実績豊富な人が多い
- 長期的なサポートが見込める
順番にみていきましょう。
幅広い金融商品を紹介してもらえる
IFAは幅広い金融商品のなかから顧客のニーズに沿った金融商品の紹介が可能です。
IFA法人は経営が独立していて、多くは複数の金融機関と業務提携を結んでいます。
取り扱う商品は投資信託、株式、債券、ETF、リート(不動産投資)、国債、社債、劣後債など種類も豊富です。
生命保険や損害保険の販売資格があるIFAなら、保険全般も提案します。
宅地建物取引士の資格を持つIFAは、不動産の売買に関する専門的な業務も合わせて対応可能です。
顧客のニーズを細やかにヒアリングし、目的や期間、運用金額に応じて投資方針を決めていきます。
基本的に、IFAは幅広い金融商品の紹介ができます。
顧客が投資したいと考えている分野の金融商品で、取り扱うラインナップの豊富さは重要です。
中立的な立場でアドバイスを受けられる
IFAは独立した金融アドバイザーです。
そのため、特定の会社の経営方針に左右されることなく、中立的な立場でアドバイスをしています。
金融機関や証券会社のように販売ノルマに縛られていないため、顧客にとって不必要な商品を熱心に販売することはありません。
IFAは金融商品仲介業者にあたりますが、下記のような規定があります。
金融商品取引法第六十六条
銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者(第一種金融商品取引業(第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業をいう。以下この章において同じ。)を行う者及び登録金融機関の役員及び使用人を除く。)は、第二十九条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品仲介業を行うことができる。
引用:e-GOV法令検索「金融商品取引法第六十六条」
IFAは証券会社と業務委託契約を締結しますが、契約数の制限はありません。
そのため、一般的にIFAは複数の証券会社と取引しています。
契約する証券会社の販売方針に必ずしも従う必要はないため、顧客の目指す運用や要望、資産状況に合わせたプランを提案やアドバイスを中立的な立場でしています。
専門的な知識や実績豊富な人が多い
IFAは証券会社や保険会社、銀行出身者が多く、専門的な知識や実績が豊富な人材が揃っています。
日本におけるIFAの担い手は、下図のとおりです。
次に、IFAになる直前の経歴や比率もみてみましょう。
IFAになる直前の経歴は下記のとおりです。
証券会社出身のIFAが多く、42.0%になっています。
次いで、保険代理店の12.5%、税務・会計事務所の10.0%と続きます。
実務経験や実績、経験も豊富なことがわかります。
浅い知識での資産運用や金融商品の選定は難しく、これでいいのかと不安がでてきます。
よくわからないまま、損失リスクのある商品を購入することは避けたいものです。
資産を預ける際は、自分が預けたい金融商品についての専門知識や実績が豊富なIFAに依頼できると安心感が得られるでしょう。
ホームページや口コミなどを活用し、実績や経歴の情報を開示するIFAを選ぶとよいでしょう。
長期的なサポートが見込める
IFAは個人で営業しているため、異動などにより担当者が変わることはなく、長期的に同じ方からのサポートが受けられます。
証券会社や金融機関は2~3年単位で人事による異動があるため、「情報がしっかりと共有されていない」「新しい担当者と馬が合わない」などのトラブルが発生するおそれがあります。
基本的に、資産運用は金融商品を購入して終わりではありません。
資産状況や市場動向をみながら定期的に見直し、状況に合わせて柔軟に運用方法を変更していく必要があります。
資産運用の効果を上げるためにも、最後まで責任をもった対応が必要です。
一人のIFAが長期的にアフターフォローすることにより、信頼関係を築きやすくなります。
失敗しないIFAの選び方
IFAへ相談する必要はない、用心したほうがいいなどの声もあります。
ここでは失敗しないIFAの選び方を解説します。
- 事前に手数料の確認をする
- 自分の相談したい金融商品に精通しているか
- 目的に沿ったアドバイスを受けられるか
- 自分と気が合うか
順番にみていきましょう。
事前に手数料の確認をする
金融機関や証券会社に相談した場合と同じように手数料が発生するため、事前に手数料を確認しておきましょう。
資産運用をしても手数料が多くかかると、運用益から差し引かれるため手元にあまり残らないと感じるかもしれません。
そのため、具体的な手数料の金額は必ずチェックしましょう。
- 相談やアドバイスが無料か有料か
- 金融商品を購入するときの手数料は必要なのか
- 金融機関への支払い以外で手数料や報酬が発生するのか
料金体系が明確になっていない場合、一見、無料と思える内容でも予定外の手数料がかかる可能性があります。
自分で納得できるまで、事前に手数料を確認しておきましょう。
自分の相談したい金融商品に精通しているか
自分の相談したい金融商品の知識が豊富かどうかを、過去の相談対応の数や実績数をチェックしておきましょう。
相談したい金融商品がある場合、実績や経験豊富であれば顧客ニーズ合う提案をしてくれる可能性は高くなります。
手数料が高い金融商品ばかりの紹介や、強引に資産運用を提案してくるIFAには注意しましょう。
目的に沿ったアドバイスを受けられるか
資産運用をしたい目的がある場合、的確で総合的なアドバイスがもらえるかどうかを確認します。
対応できる業務内容を確認し、「別のところに相談すれば良かった」と後悔しないようにしましょう。
もしもあなたが富裕層の場合、資産運用の商品選びだけでなく、相続や贈与、税金の対策など豊富な知識を持つIFAがいいでしょう。
必要に応じて税理士や弁護士、会計士、宅地建物取引士などの専門家と連携して支援することもあります。
相談する内容に応じて専門的な相談を受けられるか、希望にあった資産運用ができるか、などを整理すると、理想の相談先が見えてきます。
相談したいことを明確にして、その分野に詳しいIFAを探し的確なアドバイスをもらえるようにしましょう。
自分と気が合うか
長期的に運用や自分の資金について相談するため、コミュニケーションを取りやすいIFAを探しましょう。
長期的なおつきあいになるため、話しやすく気の合うIFA探しは不可欠です。
約680あるIFA法人のなかから、自分に合うIFAを見つけるのは決して簡単ではありません。
無料相談やセミナーを利用してIFAの考えや性格を見極めたり、口コミやレビューを参考にしたりしましょう。
実際にコンサルティングを受け、直接会って話して相性の良さを図るのもよいでしょう。
まとめ
IFAは、金融機関や証券会社での勤務経験を持つ人が独立して開業するケースが多く、専門的な知識と経験があるのが強みです。
特定の企業に属していないため、中立的な立場で顧客目線のアドバイスができるのが特徴です。
IFAによっては、資産運用だけでなく、税理士や弁護士などと連携した対応をしています。
自力で適したIFAを探すのは難しいため、IFAのマッチングサービスの利用もおすすめです。
「専門家に資産運用の相談がしたい」「自分に合う資産運用や金融商品が知りたい」という方は、IFAへの相談を検討してみてください。