投資用マンションの売却を検討していて「売り時がいつなのかわからない」「高く売るためのコツや注意点を知りたい」と悩む方も少なくありません。
同じ物件でも、タイミングや方法によって売却までのスピードや価格が大きく変わることがあります。
そのため、より有利な条件で売却するためには、事前に売却に関する知識やノウハウを押さえておくことが大切です。
本記事では、投資用マンションを売却する最適なタイミングや高く売るためのコツ、注意点について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

投資用マンションを売却する主なきっかけ

投資用マンションを売却するきっかけとして「まとまった現金が必要」「管理や維持が負担」「空室による収益悪化」「ローンなどの返済が困難」といったことが挙げられます。
どのような状況で売却を決断する人が多いかを知っておくと、自分自身が売却するかどうか判断する際の参考になります。
ここでは、投資用マンションを売却する主なきっかけについて見ていきましょう。
まとまった現金が必要になった
投資用マンションを売却するきっかけの一つに、まとまった現金が必要になるケースがあります。
例えば、子どもの進学や留学にかかる高額な教育費、住宅購入やリフォーム資金、ローンの繰上返済、結婚や出産といったライフイベントに伴う支出、身内の介護費用や医療費などが挙げられます。
突発的な出費が発生することも珍しくなく、手元の現金や金融資産だけでは対応できない場合には、不動産を売却して資金を確保することは有効な手段です。
特に投資用マンションは資産としての需要が高く、買い手が見つかりやすいため、比較的スムーズに資金を確保できる可能性があります。
数百万〜数千万円規模の現金が必要なときには、投資用マンションの売却を選択肢の一つとして検討してみてもよいでしょう。
物件の管理や維持が負担になってきた
物件の管理や維持に負担を感じることがきっかけで、投資用マンションを手放すケースも少なくありません。
投資用マンションを所有していると、定期的な修繕やリフォーム・リノベーション、共用部分の清掃、管理会社の対応や手数料の支払い、入居者対応、固定資産税や都市計画税など、さまざまな費用や手間がかかります。
特に複数の物件を所有している場合や築年数が古い物件では、設備の修繕や交換費用、大規模修繕費用といった大きな出費が発生しやすくなります。
管理や維持の負担が増すと、心身への負担や家計への影響が大きくなり、生活に支障が出ることも珍しくありません。
このような場合は、投資用マンションの売却を検討する適切なタイミングの一つといえます。
空室が続き収益が悪化した
空室が続き収益が悪化したことをきっかけに、投資用マンションを売却するケースも少なくありません。
多くの場合、投資用マンションは家賃収入(インカムゲイン)を目的としており、家賃収入がローン返済や修繕費、管理費などの支払いに充てられ、残りが利益となります。
しかし、空室が続くとこれらの支払いを他の収入や貯金でまかなわなければならず、家計に負担がかかります。
特に築年数の古い物件や立地条件が良くない物件では入居者が集まりにくく、空室期間が長引く傾向があるため注意が必要です。
さらに、周辺に新しい物件が建ったり賃料相場が下落した場合も、入居者を確保するのが難しくなります。
空室が続くことで、ローン返済や管理費、修繕費などの固定費が重くのしかかり、収支がマイナスになるリスクも高まります。
このように、収益の悪化や資産価値の低下などが懸念されるため、空室が続くときは売却を検討する一つのタイミングといえるでしょう。
税金の支払いやローンの返済が困難になった
投資用マンションを売却するきっかけの一つが、税金やローンの返済が困難になることです。
投資用マンションを所有すると、ローン返済や固定資産税、都市計画税、管理費、修繕費など、さまざまな費用が定期的に発生します。
これらの費用が想定以上にかさむ場合や金利の上昇によって返済負担が増えると、支払いが困難になる可能性があります。
仮にローン返済が滞ると、金融機関から一括返済を求められ、対応できなければ競売にかけられるリスクがあるため注意が必要です。
税金やローンの返済が困難な状況では、所有を続けたくてもやむを得ず売却せざるを得ないケースもあります。
そのため、支払いが厳しい場合には、早めに売却の手続きを進めて負担を軽減し、資金を有効に活用することも大事です。

投資用マンション売却に最適な5つのタイミング

投資用マンションをいつ売却すべきかを把握しておくと、実際に売却を検討する際の判断に役立ちます。
ここでは、売却に適した5つのタイミングについて見ていきましょう。
住宅ローンの金利が低い時期は買い手が見つかりやすい
住宅ローンの金利が低い時期は買い手が見つかりやすいため、投資用マンションの売却を検討する一つのタイミングです。
金利が低いと、ローンを組む際の月々の返済負担が軽くなるため、買い手にとって資金計画を立てやすく購入手続きもスムーズに進みやすくなります。
そのため、有利な価格での売却や早期売却が期待できます。
一方で、金利が高い時期には月々の返済額が増えるため、買い手が慎重になりやすく、売却までに時間がかかるケースがあるため注意が必要です。
例えば、借入金額が4,000万円、返済期間20年、元利均等の場合、月々の返済額は以下のとおりです。
・金利1.0%:約18万3,957円
・金利1.5%:約19万3,018円
・金利2.0%:約20万2,353円
このように、金利がわずかに変わるだけでも月々の返済額は大きく変動します。
買い手にとってローン金利は非常に重要で、多くの場合「できるだけ有利な時期に購入して返済負担を軽くしたい」と考えます。
そのため、投資用マンションの売却を検討する際は、金利が低いタイミングを狙うことが有効です。
所有期間が5年を超えると譲渡所得税の税率が下がる
投資用マンションの所有期間が5年を超えたタイミングで売却を検討する方も少なくありません。
なぜなら、不動産の売却益(譲渡所得)にかかる税率が、所有期間によって大きく変わるためです。
所有期間が5年を超えると税率が大幅に下がるため、手元に残る資金を増やしやすくなります。
売却益に課される譲渡所得税の税率は、以下のとおりです。
| 不動産の所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%内訳:所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 20.315%内訳:所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5% |
このように、所有期間が5年以下の場合は税率が39.63%ですが、5年を超えると20.315%まで下がります。
税負担を抑えたい場合は、所有期間が5年を超えてから売却を検討するとよいでしょう。
大規模修繕工事が計画される前に売却を検討する
大規模修繕工事が予定される前は、投資用マンションを売却するタイミングの一つです。
マンションは年数が経つにつれて老朽化が進むため、定期的に外壁や屋上の防水工事、給排水設備の修繕や交換といった大規模修繕が必要です。
これらの工事によって建物の安全性が高まり、資産価値の維持にもつながります。
しかし、毎月の修繕積立金だけでは不足することがあり、その際には追加費用をオーナーが負担する必要があります。
工事の規模によっては数百万円単位の出費になるケースもあるため、資金面で大きな負担となる可能性があるため注意が必要です。
そのため、大きな出費を回避するために、大規模修繕工事の前に売却するケースは少なくありません。
大規模修繕を終えてから売却すれば売却価格が上がる可能性はありますが、その間は資金が拘束され、流動性が下がるリスクもあります。
大規模修繕は通常12〜15年の周期で実施されるため、近い将来に工事が予定されている場合は、修繕前に売却することも選択肢の一つといえます。
※参照:令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省
減価償却が終わる前に売却すると税負担を抑えられる
投資用マンションなどの不動産は、購入後に毎年「減価償却」を経費として計上することができます。
減価償却とは、建物が年数の経過とともに価値が下がるとし、その分を経費として扱う仕組みです。
建物の構造によって、減価償却の期間(法定耐用年数)が異なります。
・木造:22年
・鉄骨造(厚さ3㎜以下):19年
・鉄骨造(厚さ3㎜超4㎜以下):27年
・鉄骨造(厚さ4mm超):34年
・鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
減価償却を活用することで、長期にわたり課税所得を圧縮でき、節税効果を得ることが可能です。
しかし、減価償却期間が終了すると経費計上できる部分がなくなり、その分税金の負担が増えてしまいます。
減価償却期間が残っている物件は、買い手にとっても節税メリットがある投資対象となります。
そのため、減価償却が残っているタイミングでの売却は、投資用マンションを手放す一つのタイミングとして検討しておくとよいでしょう。
不動産市場の価格が高騰している時期を狙う
不動産市場の価格が高騰している時期を狙うのも、投資用マンションを売却するタイミングの一つです。
不動産価格は景気動向や金利など、さまざまな要因で変動するため、同じ物件でも市場価値が非常に高い時期もあれば、低くなる時期もあります。
市場価値が高いときは需要が増える傾向があるため、高値での売却でも比較的スムーズに買い手が見つかる可能性があります。
一方で、市場価値が低い時期は値下げしても買い手がなかなか現れないことがあるため注意が必要です。
そのため、投資用マンションを売却する際は、市場の動向を見極めることが大事です。
信頼できる不動産会社に相談して価格が高騰しているタイミングを狙うことで、売却益の最大化につなげることができます。

投資用マンション売却の具体的な7ステップ

投資用マンションを売却する際は、以下の7つのステップで進めます。
- 不動産会社に物件の価格査定を依頼する
- 売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を開始し購入希望者を探す
- 購入希望者と価格や引き渡し時期などの条件を交渉する
- 買主と売買契約を正式に締結する
- 物件の引き渡しと残代金の受領を行う
- 売却で利益が出たら忘れずに確定申告をする
事前に流れを把握しておくことで、売却手続きを計画的かつスムーズに進めやすくなります。
それぞれの内容について見ていきましょう。
1. 不動産会社に物件の価格査定を依頼する
まずは、不動産会社に物件の価格査定を依頼します。
査定には大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
・机上査定:過去の取引事例や周辺相場をもとに価格を算出する方法で、結果がすぐにわかるのが特徴
・訪問査定:実際に物件を確認して詳細な状態を踏まえて価格を算出する方法で、精度が高いのが特徴
査定を依頼する際は、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。
不動産会社によって評価基準が異なり、査定価格に数百万円から場合によっては1,000万円以上の差が出ることもあるためです。
査定価格は最終的な売却価格の目安となるため、慎重に選ぶことが重要です。
2. 売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定の結果を踏まえ、売却を依頼する不動産会社が決まったら、次に媒介契約を締結します。
媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれ契約内容や売却活動に関する条件が異なります。
| 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
|---|---|---|---|
| 複数の不動産会社との契約 | ◯ | ✕ | ✕ |
| 売主と買主の直接取引 | ◯ | ◯ | ✕ |
| 不動産会社の活動報告 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| レインズへの登録 | 任意 | 7日以内 | 5日以内 |
| 契約期間 | 任意 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
このように、契約形態によって、他の不動産会社に依頼できるかどうかや売却活動の報告義務、契約期間などが変わるため、自分の状況や希望に合った媒介契約を選ぶことが大事です。
契約が締結されると、正式に売却活動がスタートします。
3. 売却活動を開始し購入希望者を探す
不動産会社は、物件情報を不動産ポータルサイトや自社のWEBサイト、折込チラシ、ポスティング、地域情報誌、メールDMなど、さまざまな媒体で広く告知します。
また、オープンハウスの開催情報も積極的に発信し、購入希望者を探します。
売主としては、内覧対応や問い合わせへの対応など、不動産会社としっかり連携することが大事です。
特に投資用マンションは、立地や利回り、築年数などが購入者の判断材料となるため、メリットや注意点を正確に伝えることが重要です。
例えば、物件の魅力を引き立てる写真や資料を事前に準備しておくことで、購入希望者に好印象を与え、有利な条件での売却につながる可能性があります。
不動産会社と協力して、より良い条件での売却を目指しましょう。
4. 購入希望者と価格や引き渡し時期などの条件を交渉する
購入希望者が現れると、多くの場合、価格や条件の交渉に進みます。
買い手は「できるだけ安く購入したい」と考えるのが一般的であるため、価格の値引き交渉は想定しておくことが必要です。
また、引き渡し時期や手付金の額・支払い方法など、さまざまな条件も調整します。
不動産会社が仲介に入って、双方が納得できる条件を整理しながら交渉をスムーズに進めてくれます。
交渉では、希望価格にこだわりすぎると買い手が離れる可能性もありますが、安易に値下げすると売却益が減るため注意が必要です。
そのため、不動産会社とよく相談し、価格と条件のバランスを見極めて判断することが大事です。
5. 買主と売買契約を正式に締結する
買主との条件交渉がまとまったら、次は売買契約の締結です。
売買契約では、売却価格や引き渡し時期、手付金の金額、ローン特約、瑕疵担保責任など、合意した内容を契約書に明確に記載します。
契約締結時には、売主・買主の双方が契約内容を確認し、署名・押印を行うことが必要です。
また、手付金の受領も同時に行われます。
不動産会社や司法書士のサポートを受けることで、契約内容の抜け漏れやトラブルを防ぎ、安全に手続きを進めることが可能です。
売買契約をスムーズに進めるためにも、本人確認書類や収入印紙、登記済証(権利証)または登記識別情報、固定資産税・都市計画税納税通知書などの必要書類を事前に確認し、しっかりと準備しておきましょう。
6. 物件の引き渡しと残代金の受領を行う
売買契約の締結が完了したら、決済日(引き渡し日)に物件の引き渡しと残代金の受領を行う流れです。
引き渡しの際には、鍵や書類を渡し、物件の現状確認などを行います。
また、決済が無事に完了すると、所有権の移転登記を行い、不動産は正式に買主へ引き渡されます。
登記手続きは司法書士に依頼して進めるのが一般的です。
引き渡しと決済をスムーズに進めるために、事前に書類や鍵の準備、清算項目の確認を行っておきましょう。
7. 売却で利益が出たら忘れずに確定申告をする
投資用マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、確定申告を行う必要があります。
譲渡所得税は、売却価格から取得費や売却にかかった経費を差し引いた課税譲渡所得額に対してかかります。
計算式は以下のとおりです。
課税譲渡所得額=収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除
「収入」は不動産売却による収入、「取得費」は購入時にかかった費用(購入代金や手数料、税金など)、「譲渡費用」は売却時にかかる手数料や税金などを指します。
譲渡所得税の税率は、所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年を超える場合は20.315%です。
確定申告は所定の期間内に手続きを行う必要があり、申告を怠ると延滞税や加算税が発生することがあるため、必ず期限内に申告を済ませましょう。
投資用マンションの売却で発生する諸費用

投資用マンションを売却する際には、仲介手数料や印紙税、抵当権抹消登記費用などが必要になります。
これらの費用の内容や目安を理解しておくことで、より正確な資金計画を立てやすくなります。
ここでは、各費用の詳細について確認していきましょう。
不動産会社に支払う仲介手数料
投資用マンションを売却する際、最も大きな費用となるのが仲介手数料です。
仲介手数料は、売買を仲介する不動産会社に支払う成功報酬です。
売買価格に応じて手数料の上限額が定められています。
上限額の詳細は、以下のとおりです。
| 不動産の売買価格 | 手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 売買価格×5%+消費税 |
| 200万円超400万円以下の部分 | 売買価格×4%+消費税 |
| 400万円超の部分 | 売買価格×3%+消費税 |
また、仲介手数料は以下の速算式でも計算できます。
・売却価格×3%+6万円+消費税
例えば、売却価格が5,000万円の場合、仲介手数料は約171万6,000円(税込)となります。
売却後の手取り額を正しく把握するためにも、仲介手数料を含めて資金計画を考えることが重要です。
売買契約書に必要な印紙税
投資用マンションを売却する場合、売買契約書には「印紙税」が課されます。
印紙税は契約書の記載金額によって税額が決まり、売却価格が高額になるほど必要な税額も大きくなります。
詳細は、次のとおりです。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
| 10億円超50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
| 50億円を超えるもの | 600,000円 | 480,000円 |
仮に、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円を超え1億円以下の場合は3万円の印紙税がかかります(軽減税率適用時)。
売主・買主それぞれが契約書に印紙を貼り納付する必要があります。
※参照:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
ローン完済時に必要な抵当権抹消登記費用
投資用マンション売却時に住宅ローンが残っている場合は、売却代金などでローンを完済し「抵当権抹消登記」を行う必要があります。
抵当権とは、金融機関が融資の担保として設定する権利であり、抹消しなければ売却手続きを進めることができません。
抹消登記の費用としては、登録免許税が不動産1件につき1,000円(建物と土地がある場合は合計2,000円)かかります。
さらに、司法書士へ依頼する際には、報酬(手数料)を支払う必要があります。
日本司法書士会連合会の調査によると、報酬額の平均は1万7,470円です。
売却をスムーズに進めるために、これらの費用を把握して、資金計画に盛り込んでおくことが大切です。
※参照:報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)|日本司法書士会連合会
投資用マンション売却にかかる税金の種類

投資用マンションを売却する際に、譲渡所得税や消費税などの税金が発生する場合があります。
どの税金がどの程度かかるのかを事前に確認しておくことで、売却後に手元に残る資金の見通しを立てやすくなります。
ここでは、投資用マンション売却にかかる主な税金について見ていきましょう。
売却益に対して課税される譲渡所得税・住民税
投資用マンションを売却して利益が出た場合、譲渡所得税や住民税が課されます。
これらの税金は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた課税譲渡所得額をもとに計算されます。
・課税譲渡所得額=収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除
税率は、マンションの所有期間に応じて異なります。
・所有期間が5年以下:39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
・所有期間が5年超:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
投資用マンションを売却する際は事前に税金の負担をシミュレーションを行い、税負担を踏まえた資金計画を立てておくことが大切です。
課税事業者が受け取る建物代金にかかる消費税
課税事業者が投資用マンションを売却する場合、建物部分にかかる消費税を納付する必要があるため注意が必要です。
課税事業者とは、個人事業主の場合は前々年の課税売上高が1,000万円超、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が1,000万円超の事業者を指します。
土地には消費税はかかりませんが、建物部分については売買価格の10%が消費税として課税されます。
課税事業者は、この消費税を納付する義務があるため、売却に伴う資金計画を立てる際には消費税の負担も考慮しておくことが大切です。
投資用マンションを相場より高く売るための3つのコツ

投資用マンションを相場より高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼して比較すること、満室の状態でオーナーチェンジ物件として売り出すこと、投資用物件の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶことがポイントです。
ここからは、それぞれの内容について紹介します。
複数の不動産会社へ査定を依頼して比較検討する
投資用マンションをできるだけ高く売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することが大事です。
不動産会社によって評価基準や査定方法が異なるため、同じ物件でも査定額に差が出ることがあります。
例えば、A社では3,000万円、B社では3,300万円、C社では3,400万円といったこともよくあります。
1社だけの査定額に頼ると、相場より低い価格で売却してしまう可能性があるため注意が必要です。
また、査定額だけでなく、担当者の対応やサービス内容、実績なども比較することで、より有利な条件で売却できる不動産会社を選ぶことが可能になります。
オーナーチェンジ物件として満室の状態で売り出す
投資用マンションを売却する際、オーナーチェンジ物件として満室の状態で売り出すと、相場より高く売れる可能性があります。
満室であれば、買主はすぐに最大限の家賃収入を得られるため、収益性が明確になり購入意欲が高まるからです。
また、売主としても安定した収入があることをアピールできるため、より好条件での売却が期待できます。
逆に空室がある場合は、買主は入居者募集や家賃収入の不安を考慮して価格交渉を行うため、相場より低い価格での売却になることがあります。
投資用物件の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ
投資用マンションを相場より高く売却するには、投資用物件の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶことも大事です。
一般の不動産会社でも売却は可能ですが、売却実績が豊富な不動産会社は、多くの顧客を持ち、売却ノウハウを備えています。
そのため、効果的な売却戦略で、より良い条件での取引が期待できます。
また、売却後のトラブル回避や条件交渉にも慣れているため、安心して任せられる点も魅力です。

投資用マンション売却で失敗しないための注意点

投資用マンション売却における注意点を理解しておくことで、不利な条件での売却を避けやすくなり、より良い条件での取引につなげることができます。
それぞれの注意点について見ていきましょう。
オーバーローンになっていないか事前に確認する
投資用マンション売却で失敗しないための注意点の一つが「オーバーローン」です。
オーバーローンとは、ローン残高が物件の売却価格を上回ってしまう状態を指します。
物件を売却する場合、ローンを完済して抵当権を抹消する必要があるため、売却代金だけで残債を返済できない場合には不足分を自己資金などで補わなければなりません。
もし自己資金などで補えない場合には、売却そのものが難しくなる可能性があります。
売却前に、現在のローン残高と査定価格を必ず確認して、差額を把握しておくことが大事です。
不動産会社の査定額の根拠を詳しく質問する
不動産会社に査定を依頼すると、会社ごとに提示される査定額が異なることがあります。
その際に大切なのは、提示された金額の「根拠」をしっかりと確認することです。
周辺の成約事例や空室率、建物の築年数や立地条件など、査定額を算出した具体的な理由を聞くことで、信頼できる査定かどうかを判断できます。
反対に、根拠が曖昧なまま高額査定を提示する不動産会社は、契約を取るためだけに数字を操作している可能性もあるので注意が必要です。
そのような不動産会社に売却を依頼しても、満足のいく結果は得られないでしょう。
売却を成功させるためには、客観的なデータをもとに査定を行う信頼性の高い不動産会社を選ぶことが大事です。
納得のいく説明をしてくれる不動産会社なら、安心して売却を任せることができます。
空室でも安易に家賃を下げて募集しない
投資用マンション売却で失敗しないための注意点の一つが、空室があるからといって安易に家賃を下げて入居者を募集しないことです。
早く入居者が決まれば安心感は得られますが、家賃を下げすぎると利回りが低下し、投資用物件としての収益性が下がります。
その結果、買主からの評価が下がり、売却価格も相場より低くなる可能性があります。
空室が続いている場合は、不動産会社や管理会社に相談し、家賃を下げる以外の対策(広告の見直しやリフォームなど)を検討しましょう。
投資用マンションの買主は、収益性・利回りを重視するため、家賃を維持しながら収益性を高めることが、より良い条件での売却につながります。
また他にも、賃貸中の物件を売却する際は、現在の契約内容が分かる書類の準備も重要です。
具体的には、賃貸借契約書や保証会社加入の有無が確認できる書類、さらにサブリース契約を結んでいる場合は解約の可否や条件などを事前に確認しておくことで、査定額や売却期間をより正確に把握しやすくなります。

まとめ
投資用マンションの売却条件は、売却のタイミングや事前準備、依頼する不動産会社の選び方などによって大きく変わります。
そのため、売却を検討する際は、なんとなく進めるのではなく、計画的にステップを踏むことが重要です。
事前に相場や物件の状態を把握し、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することで、より好条件での売却が期待できます。
また、信頼できる不動産会社や専門家に早めに相談しながら進めることで、トラブルを回避しながら安心して取引を進められます。
投資用マンションの売却を検討している場合は、早速、査定や専門家への相談を始めてみましょう。
