「今年も固定資産税の請求書が届いたけど、なんでこの金額なの?」
「よくわからないけど、実は払いすぎているんじゃない?」
みなさまもこのような疑問を抱えていませんか?
固定資産税は不動産の所有者なら誰もが支払う税金ですが、実はその仕組みを知ることで、最大1/6まで税額を減らせる可能性があります。
この記事では知っているだけでお得な計算方法や、見逃しがちな減税措置まで、プロの不動産会社ならではの視点でわかりやすく解説します。
あなたの大切な資産を守るための税金知識を、今すぐ手に入れましょう。
固定資産税って?

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地・建物・償却資産(事業用の機械や設備など)を所有している方に対して課される地方税であり、日本の不動産所有者であれば必ず関わることになる基本的な税金制度です。
地方税法に基づいて市区町村が徴収し、その使い道は私たちの日常生活に密接に関連する道路や公園、学校などの公共施設の整備や維持管理はもちろん、ゴミ処理や消防、上下水道の整備といった欠かせない行政サービスの財源となっており、地域インフラを支える重要な役割を担っています。
また、都市計画税と一緒に請求されることが多く、特に都市部では両方を合わせた税額を把握しておく必要があります。
固定資産税は市区町村という比較的小さな行政単位が課税する税金であるため、同じ評価額の不動産であっても所在地によって税額が異なる場合があり、その土地や建物が所在する市区町村に納めることになります。
所有している固定資産の価値(評価額)に比例して税額が決まる仕組みのため、資産価値が高ければ高いほど税額も大きくなるという性質を持っています。
なお、不動産の所有者に課される税金であるため、賃貸物件に住んでいる方はオーナーが支払い、その費用の一部が家賃に上乗せされている場合もあります。
相続で不動産を取得した場合も、名義変更が完了していれば新しい所有者に課税されることになるため、相続登記は速やかに行うことが重要です。

固定資産税の計算方法は?

固定資産税の計算方法は基本的に「固定資産の評価額×標準税率1.4%」という非常にシンプルな構造となっていますが、実際にはこの計算式だけでは理解しきれない様々な要素が絡んできます。
自治体によっては標準税率を超える税率を設定している場合もあるため、お住まいの地域の正確な税率を市区町村のホームページや窓口で確認することをオススメします。
また、固定資産税と合わせて徴収されることの多い都市計画税については、税率は標準で0.3%(最大0.5%まで)となっており、都市部では両方を合わせた実質的な税率を把握しておくことが賢明です。
①固定資産の評価額を調べる
固定資産の評価額は、毎年4月頃に市区町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されており、これが最も簡単な確認方法です。
専門的により詳しく知りたい場合は、1月1日から3月末日までの期間に限り市区町村の固定資産税課窓口で閲覧できる「固定資産課税台帳」でも確認することが可能です。
固定資産課税台帳の閲覧には本人確認書類の提示が必要となり、代理人が閲覧する場合は委任状も必要となるので事前に準備しておきましょう。
土地の評価額は、公示価格の約7割を目安に算定されるのが一般的であり、この評価額は3年に一度の評価替えで見直されます。
特に地価が上昇傾向にある地域では、評価替えの年に税額が上がることがあるため注意が必要です。
一方、建物の評価額は、新築時の建築費用をベースに経年による減価償却を考慮して算出されるため、築年数が経過するほど評価額は下がり、それに伴って税額も減少していきます。
建物の構造(木造・鉄骨造・RC造など)によって耐用年数が異なるため、減価償却の速度も変わってくることも覚えておくと良いでしょう。
②固定資産税額を求める
固定資産税額は「固定資産評価額 × 1.4%(標準税率)」という計算式で求めることができますが、実際の計算ではこの後に様々な特例や減額措置が適用される複雑な仕組みになっています。
例えば、評価額2,000万円の土地であれば単純計算では2,000万円 × 1.4% = 28万円が固定資産税額となりますが、住宅用地であれば特例措置により大幅に減額される可能性があります。
なお、固定資産税は地方税のため、自治体の財政事情によって標準税率の1.4%より高い税率を設定している場合もあり、最大で1.7%まで引き上げることが法律で認められています。
同様に都市計画税も最大0.5%まで設定可能であり、両方合わせると最大で2.2%の税率となる可能性があるため、自治体ごとの税率設定には注意が必要です。
土地と建物は別々で求める
固定資産税は土地と建物で別々に計算することになっており、それぞれの評価額に税率をかけてから、その合計額が最終的な納税額となるシステムです。
具体的には「土地の固定資産税額 = 土地の評価額 × 税率」と「建物の固定資産税額 = 建物の評価額 × 税率」を計算し、「固定資産税納税額 = 土地の固定資産税額 + 建物の固定資産税額」として合算します。
計算過程において特に重要なのは、土地に対しては住宅用地の特例が、建物には新築住宅の減額措置などが適用される場合が多く、これらの特例を適切に活用することで税負担が大きく変わってくる点です。
たとえば200㎡以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準額が評価額の1/6に軽減されるという大きな特例があり、同じ評価額の土地でも用途によって税額が最大で6倍近く変わることもあります。
建物についても、省エネやバリアフリー対応など、政策的に促進したい要素に対して減税措置が設けられており、これらの制度をしっかり理解して活用することが、不動産所有者にとって賢明な選択と言えるでしょう。
固定資産税に減額措置はある?

固定資産税には様々な特例や減額措置があり、これらを知っておくことで大幅な節税効果が期待できます。
多くの不動産所有者が見落としがちなこれらの制度は、適切に活用することで家計への負担を軽減するだけでなく、将来的な資産価値の維持にもつながる重要な要素です。
条件に当てはまる場合は税負担が軽減されるため、自分の所有する不動産がどの特例に該当するか確認し、申請漏れがないようにしましょう。
なお、これらの減額措置は自動的に適用されるものと申告が必要なものがあるため、期限や必要書類についても把握しておくことが大切です。
住宅用地での特例・減額措置
住宅用地には、小規模住宅用地と一般住宅用地の2種類の特例措置があり、これは固定資産税の中でも特に大きな軽減効果をもたらす制度として知られています。
住宅の供給を促進し、居住環境の向上を図るという政策的な目的を持っており、土地に建物を建てて居住用に使用することで受けられる恩恵です。
なお、この特例は自動的に適用されるため申告は不要ですが、建物の用途や使用状況が変わった場合には市区町村への届出が必要となることがあります。
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)については、固定資産税の課税標準額が評価額の1/6に軽減され、都市計画税についても課税標準額が評価額の1/3に軽減されるという大きな特例があります。
この1/6という数字は他の税金と比較しても極めて大きな軽減率であり、土地の固定資産税負担を大幅に軽減する効果があります。
特に都市部の地価が高い地域では、この特例による節税効果は顕著です。
一方、一般住宅用地(200㎡を超える部分)については、固定資産税の課税標準額が評価額の1/3に軽減され、都市計画税については課税標準額が評価額の2/3に軽減されます。
小規模住宅用地ほどではありませんが、それでも大きな減税効果があると言えます。
この二段階の軽減措置により、比較的広い土地を所有していても、最初の200㎡部分については手厚い保護を受けられる仕組みになっています。
重要なポイントとして、この住宅用地の特例は「住宅用地」として認められることが条件であり、更地や事業用の土地には適用されません。
また、アパートやマンションなどの共同住宅の場合は、敷地面積を戸数で按分して1戸あたりの面積を計算し、200㎡以下かどうかを判定します。
さらに、住宅の床面積が敷地面積の10%以上であることも要件となっているため、極端に小さな建物を建てただけでは特例は適用されないこともあります。
新築住宅での特例・減額措置
新築住宅には一定期間、固定資産税が減額される特例があり、これは住宅の新規供給を促進し、住環境の質を向上させるための政策的な措置です。
この特例は自動的に適用されるわけではなく、新築した翌年の1月31日までに市区町村への申告が必要となるため、期限を逃さないように注意しましょう。
申告には、固定資産税減額申告書のほか、建物の登記簿謄本や図面などの添付書類が必要となるケースが多いです。
一般の住宅の場合、減額割合は固定資産税額の1/2で、減額期間は新築後3年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年間)となっています。
ただし、この減額が適用されるのは居住部分の床面積が120㎡までの部分のみであり、それを超える部分については通常通り課税されます。
例えば、150㎡の住宅を新築した場合、120㎡分については半額、残りの30㎡分については減額されずに課税されることになります。
また、この特例が適用される住宅には、専用住宅だけでなく店舗や事務所との併用住宅も含まれますが、その場合は居住部分の床面積が全体の1/2以上であることが条件です。
新築住宅の特例を受けるには、新築後の翌年の1月31日までに市区町村の税務課などに申告を行う必要があります。
期限を過ぎると特例が受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。
新築時に不動産会社や住宅メーカーから案内があることも多いですが、最終的な申告責任は所有者にあるため、忘れずに手続きを行いましょう。
建て替えやリフォームをした際の特例・減額措置
建て替えやリフォームを行った場合にも、条件によっては減税措置が適用されます。
これらの特例は、既存住宅のストック活用や住環境の質の向上、耐震化の促進、高齢者や障害者の住みやすい住環境の整備、地球環境への配慮といった様々な政策目的を持っており、社会的に推進したい住宅改善に対するインセンティブとなっています。
これらの特例措置はいずれも申告が必要であり、工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告を行わなければならないため、リフォーム工事を行う際には事前に制度の内容を把握し、必要書類を準備しておくことが重要です。
耐震改修については、1982年1月1日以前に建築された住宅が対象となり、現行の耐震基準に適合させるための改修工事を行った場合に適用されます。
減額割合は固定資産税額の1/2で、減額期間は改修工事が完了した年の翌年から1年間(2022年3月31日までに改修工事が完了した住宅については翌年から2年間)となっています。対象床面積は120㎡までの部分です。
この特例の適用を受けるためには、耐震診断の結果や耐震改修工事の内容を証明する書類、工事費用の領収書などが必要となります。
昨今の大規模地震の発生を受けて、耐震化の重要性が高まっていることから、古い住宅の所有者はこの制度を活用して耐震性能を高めることを検討してみると良いでしょう。
バリアフリー改修については、新築から10年以上経過した住宅が対象となり、高齢者等(65歳以上の方、要介護・要支援認定を受けている方、障害者の方)が居住する住宅において、廊下の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室・トイレの改良、手すりの設置、段差の解消などのバリアフリー改修工事を行った場合に適用されます。
減額割合は固定資産税額の1/3で、減額期間は改修工事が完了した年の翌年から1年間となっています。
対象床面積は100㎡までの部分です。近年の高齢化社会の進展に伴い、将来的なバリアフリー化は多くの住宅で必要となる可能性が高いため、リフォームを検討する際にはこの特例も視野に入れると良いでしょう。
特に介護保険のリフォーム補助金と併用することで、さらなる負担軽減も期待できます。
省エネ改修については、2008年1月1日以前に建築された住宅が対象となり、窓の断熱改修工事(二重サッシ、複層ガラス等の設置)と併せて、床・天井・壁の断熱改修工事、太陽光発電装置・高効率給湯器・高効率空調機の設置などの省エネ改修工事を行った場合に適用されます。
減額割合は固定資産税額の1/3で、減額期間は改修工事が完了した年の翌年から1年間となっています。
対象床面積は120㎡までの部分です。
近年、環境問題への意識の高まりと光熱費の上昇を背景に、住宅の省エネ性能向上へのニーズが高まっていることから、この特例を活用して省エネリフォームを行うことは、税負担の軽減だけでなく、長期的な住宅の光熱費削減にもつながる賢明な選択と言えるでしょう。
これらの減税措置を受けるためには、工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。
申告の際には、工事の内容や費用を証明する書類(工事請負契約書や領収書、施工証明書など)、改修後の住宅の図面、改修部分の写真などの添付が求められることが多いため、リフォーム業者に事前に相談し、必要書類を準備しておくことをおすすめします。
また、これらの特例は一定の工事費用(バリアフリー改修と省エネ改修は50万円超、耐震改修は工事費用の要件なし)を要件としているため、小規模な改修では適用されないこともあります。
認定長期優良物件の特例・減額措置
認定長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅法)に基づき、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅として、国土交通省の認定を受けた住宅のことです。
具体的には、耐久性(数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること)、耐震性(極めて稀に発生する地震に対して倒壊、崩壊等しないこと)、維持管理・更新の容易性(内装・設備の清掃・点検・補修・更新が容易に行えること)、省エネルギー性(必要な断熱性能等の省エネルギー性能を有すること)などの要件を満たし、さらに維持保全計画が策定されていることが条件となります。
認定長期優良住宅に対する固定資産税の特例としては、減額割合が固定資産税額の1/2で、減額期間は新築後5年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年間)となっており、対象床面積は120㎡までの部分です。
一般の新築住宅特例よりも減額期間が2年長く設定されており、その分だけ税負担が軽減されることになります。
仮に評価額2,000万円、床面積120㎡の住宅であれば、標準税率1.4%で年間の固定資産税額は28万円となりますが、この特例により半額の14万円となり、5年間で70万円の節税効果があることになります。
さらに、認定長期優良住宅を取得した場合には、固定資産税の軽減だけでなく、不動産取得税や登録免許税の軽減措置も受けられるという大きなメリットがあります。
不動産取得税については、一般住宅の控除額が1,200万円であるのに対し、認定長期優良住宅では1,300万円に拡充され、登録免許税については、所有権保存登記が一般住宅の0.15%に対して0.1%に、所有権移転登記が一般住宅の0.3%に対して0.2%に軽減されます。
また、住宅ローン減税においても、認定長期優良住宅は一般住宅よりも優遇された措置が設けられていることが多いです。
このように、認定長期優良住宅は環境に配慮した住宅の普及を促進するための制度であり、将来的な住宅コストの削減にもつながります。
新築住宅の購入や建築を検討している方は、初期費用は若干高くなりますが、長期的な視点で見ると税制優遇や維持管理コストの低減などのメリットが大きいため、認定取得を検討してみる価値があるでしょう。
認定を受けるためには、住宅の建築前に所管行政庁に申請を行い、必要な書類(設計内容証明書、長期優良住宅建築計画、各種図面など)を提出する必要があります。
近年では多くのハウスメーカーや工務店が認定長期優良住宅の実績を持っているため、住宅建築の際に相談してみることをオススメします。
固定資産税には免税点がある?

固定資産税には「免税点」と呼ばれる課税最低限度額が設定されています。
市区町村の区域内に同一人が所有する固定資産の課税標準額が次の金額に満たない場合は、固定資産税は課税されません。
•土地:30万円未満
•家屋:20万円未満
•償却資産:150万円未満
例えば、所有している土地の課税標準額が29万円であれば、固定資産税は課税されません。
ただし、土地と家屋を両方所有している場合は、それぞれの区分ごとに免税点を判定します。
免税点は課税標準額で判定するため、住宅用地の特例などで軽減された後の金額で判断されます。
そのため、評価額が高くても、特例によって課税標準額が免税点未満になれば課税されないケースもあります。

固定資産税のシミュレーション例

実際の固定資産税がどのように計算されるのか、具体的な例で見てみましょう。
①土地の固定資産税額を求める
例:300㎡の土地(評価額2,000万円)に住宅を建てている場合
1.住宅用地の特例を適用
•200㎡分:小規模住宅用地として評価額の1/6
•残り100㎡分:一般住宅用地として評価額の1/3
2.課税標準額を計算
•小規模住宅用地部分:2,000万円 × (200㎡÷300㎡) × 1/6 ≒ 222万円
•一般住宅用地部分:2,000万円 × (100㎡÷300㎡) × 1/3 ≒ 222万円
•合計課税標準額:444万円
3.固定資産税額を計算
•444万円 × 1.4% = 62,160円
②家屋の固定資産税額を求める
例:新築3年目の木造住宅(床面積150㎡、評価額1,800万円)の場合
1.新築住宅の減額措置を適用
•120㎡までの部分に対して固定資産税額の1/2が減額
2.課税標準額を計算
•減額対象部分(120㎡):1,800万円 × (120㎡÷150㎡) = 1,440万円
•減額対象外部分(30㎡):1,800万円 × (30㎡÷150㎡) = 360万円
3.固定資産税額を計算
•減額対象部分:1,440万円 × 1.4% × 1/2 = 100,800円
•減額対象外部分:360万円 × 1.4% = 50,400円
•合計:100,800円 + 50,400円 = 151,200円
土地と家屋の固定資産税額を合計すると、62,160円 + 151,200円 = 213,360円となります。
固定資産税の支払い方法は何がある?

固定資産税の支払い方法は主に以下の3つがあります。
自分のイフスタイルに合わせて選びましょう。
①現金払い
市区町村から送付される納税通知書を持参して、金融機関の窓口やコンビニエンスストアで支払う方法です。
②インターネットで支払い
パソコンやスマートフォンを使って、オンラインで納税する方法です。
クレジットカードやスマホ決済アプリでの支払いに対応している自治体も増えています。
③口座振替
指定した銀行口座から自動的に引き落とされる方法です。
口座振替を利用するには、金融機関または市区町村の窓口で申し込み手続きが必要です。
通常、申込書、通帳、届出印が必要となります。

まとめ
今回は固定資産税の計算方法や様々な減税措置について詳しく解説しました。
住宅用地の特例や新築住宅の減額措置、リフォーム時の特例など、知っているだけで大きな節税効果が期待できる制度がたくさんあります。
資産を所有し続ける限り毎年かかる重要な税金ですので、お持ちの不動産に適用できる特例や減額措置を最大限活用することをオススメします。
固定資産税について疑問や不安がある方は、ぜひ恵比寿不動産へお気軽にご相談ください。
私たちがお客様の大切な資産を守るお手伝いをいたします。
賢い税負担の管理で、将来に向けた資産価値の維持・向上を目指しましょう。