「不動産を売却したのに、まだ固定資産税の納付書が届いた…。」
「売却前に一括納付しちゃったけど大丈夫?」
不動産取引で意外と見落とされがちな固定資産税の精算問題、このような疑問を持つ方も多いのでは?
固定資産税の精算は、適切に処理しないと数十万円の損失につながることも…。
今回は、知っているだけで安心できる固定資産税の精算方法を、実例を交えてわかりやすく解説します。
あなたの不動産取引をスムーズに進めるための必須知識を身につけましょう。

固定資産税とは?

固定資産税は、土地・建物などの固定資産を所有している人に対して課せられる地方税です。
毎年1月1日時点で固定資産を所有している人に対して、その年の4月から翌年3月までの期間分が課税されます。
固定資産税の税率は一般的に1.4%で、課税標準額(評価額に特例措置を適用した額)に対して計算されます。
固定資産税は自治体の重要な財源となっており、通常は年4回(5月、7月、12月、2月)に分けて納付します。
なお、都市計画税も同様の仕組みで課税され、固定資産税と一緒に納付することが多いため、両方を合わせて精算するケースが一般的です。
固定資産税は誰が支払う?

では、固定資産税は誰がいつ、どのように支払い、またどういった性質を持ったものなのでしょうか。
固定資産税は地方自治体の重要な財源となる税金であり、その仕組みを理解することは不動産取引を行う上で非常に重要です。
ここから詳しく解説していきます。
1月1日時点の所有者に納税義務がある
固定資産税は、その年の1月1日(賦課期日)に固定資産を所有している人に納税義務があります。
これは地方税法第343条に明確に定められており、この日付が税務上の重要な基準点となります。
地方自治体はこの日時点の所有者情報をもとに課税台帳を作成し、4月以降に納税通知書を発送します。
このルールは土地や建物などすべての固定資産に適用され、例外はありません。
また、登記簿上の所有者名義と実際の所有者が異なる場合でも、実質的な所有者に納税義務が生じるため注意が必要です。
日割り計算することができる
法律上は1月1日の所有者に納税義務がありますが、実務上は不動産の売買時に所有期間に応じて日割り計算し、売主と買主で精算するのが一般的です。
これは「固定資産税清算金」として取り扱われ、公平な負担を実現するための実務上の工夫といえるでしょう。
この仕組みがあるおかげで、年の途中で不動産を取得した買主も、実際に所有していない期間の税金を負担する必要がなくなります。
日割り計算の方法としては、1年を365日(うるう年は366日)として、実際の所有日数に応じて計算するケースと、月割りで計算するケースがあります。
このように計算方法によって負担額が変わるため、いずれの方法を採用するかは、売買契約書に明記しておくことが望ましいでしょう。
決算日で負担が変わる
不動産の決済日(引渡日)によって、固定資産税の負担は変わります。
したがって、決済日をいつにするかという選択は、固定資産税の負担額にも直接影響してくるため、売買交渉の際のポイントになることもあります。
また決済日を含めるかどうかは契約によって異なりますが、多くの場合、「決済日を含めて買主の負担」とするケースが多いようです。
つまり、7月10日が決済日であれば、7月10日分の固定資産税は買主が負担するという考え方です。
これも売買契約書に明確に記載しておくべき事項であり、特に高額な物件では日割りの違いが数千円から数万円の差になることもあるため、細かな取り決めが重要です。
さらに、都市計画税がある地域では、固定資産税と合わせて精算することになるため、その点も忘れずに確認しておく必要があります。
固定資産税の精算に関しては地域ごとの慣習も存在するため、不動産業者や司法書士などの専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
特に初めての不動産取引では、こうした細かな点も含めて事前に確認することをオススメします。
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固定資産税はどうやって計算する?

固定資産税の計算方法は以下の通りです。
- 固定資産の評価額を確認する(固定資産課税台帳に記載)
- 評価額に対して、特例措置がある場合はそれを適用して課税標準額を算出
- 課税標準額に税率(通常1.4%)を掛けて固定資産税額を計算
- 都市計画税がある場合は、同様に計算して合算(通常0.3%)
例:土地の評価額が2,000万円、建物の評価額が1,000万円の物件(特例措置がない場合)
・土地の固定資産税:2,000万円 × 1.4% = 28万円
・建物の固定資産税:1,000万円 × 1.4% = 14万円
・合計固定資産税:42万円
この年税額を日割りまたは月割りで計算します。
例:6月30日に引き渡しした場合の売主負担
・日割り計算:42万円 ÷ 365日 × 180日 = 約20.7万円
・月割り計算:42万円 ÷ 12か月 × 6か月 = 21万円
固定資産税清算金って?

固定資産税清算金とは、不動産売買における固定資産税の精算のために授受される金銭のことです。
不動産取引の現場では非常に重要な概念であり、取引の公平性を確保するための仕組みといえるでしょう。
固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課税されますが、年の途中で不動産売買が行われた場合、買主は実際に所有する期間分の税金を負担するのが公平であるという考え方に基づいています。
買主が支払うもの
固定資産税清算金とは、通常、不動産売買時に買主から売主へ支払われます。
これは、売主がすでに支払った(または支払う予定の)固定資産税のうち、買主の所有期間に対応する部分を清算するためです。
不動産取引の実務では、この清算金の授受が一般的なプロセスとして定着しており、決済時の重要な項目として認識されています。
この精算により、実質的な負担者と実際の所有期間が一致するため、双方にとって公平な取引が実現します。
また、年度の途中で納税通知書がまだ届いていない場合は、前年度の税額を参考に仮精算を行い、確定後に再精算するケースもあります。
なお、マンションなどの区分所有建物の場合、管理費や修繕積立金と一緒に固定資産税の精算も行われることが多く、複数の清算項目をまとめて計算することで、決済手続きの効率化が図られています。
固定資産税清算金はどうやって決まる?
固定資産税清算金の金額は、主に年間の固定資産税額、売買契約の決済日(引渡日)、そして計算方法(日割りか月割りか)によって決まります。
これらの要素が組み合わさることで、具体的な清算金額が算出されることになります。
固定資産税額は、納税通知書または固定資産税評価証明書で確認できます。
自治体から送付される納税通知書には、その年度の固定資産税額が記載されていますので、これをもとに所有期間に応じた計算を行います。
納税通知書がまだ届いていない場合は、前年度の金額をもとに概算で計算し、正式な金額が確定した後に差額を精算するという方法も実務ではよく行われています。
また、日割り計算と月割り計算では結果が異なることがあります。
日割り計算では、実際の日数に応じて細かく計算するため、より正確な負担割合となりますが、計算が煩雑になるというデメリットもあります。
一方、月割り計算は計算が簡単である反面、月の途中で決済する場合に若干の不公平が生じる可能性があります。
どちらの方法を採用するかは、取引の当事者間の合意によって決まりますが、日割り計算を採用するケースが多いようです。
さらに、地域によっては都市計画税も合わせて精算することが一般的です。
固定資産税と都市計画税は通常一緒に請求されるため、両方を合わせた金額で清算金を計算することになります。
特に都心部の物件では、都市計画税も無視できない金額になるため、正確な計算が求められます。
法律的な規定はない
固定資産税の精算について、民法や不動産取引に関する法律で具体的に規定されているわけではありません。
これは、売主と買主の間の「合意」によって行われる商慣習であり、長年の取引実務の中で確立されてきたものです。
法的な強制力がないからこそ、明確な取り決めが重要になります。
そのため、売買契約書に固定資産税の精算方法を明記しておくことがとても重要です。
具体的には、清算の対象となる税目(固定資産税だけでなく都市計画税も含めるかなど)、計算方法(日割りか月割りか)、決済日の取り扱い(決済日は買主負担か売主負担か)などを明確にしておくべきでしょう。
標準的な不動産売買契約書には、固定資産税の精算に関する条項が設けられていることが多いですが、契約書の内容を十分に確認し、必要に応じて条項を追加・修正することをオススメします。
また、実際の取引では、宅地建物取引業者が仲介する場合、業者が精算計算書を作成して当事者に提示し、その内容に基づいて清算が行われるのが一般的です。
この精算計算書の内容を十分に確認することも、トラブル防止のために重要です。
固定資産税清算金には消費税がかかるケースも
固定資産税清算金自体は、基本的に消費税の課税対象ではありません。
これは、固定資産税という税金の立替払いの精算という性質を持つためです。
しかし、売主が法人で、不動産の譲渡が事業として行われる場合には、固定資産税清算金に対しても消費税が課される可能性があります。
この扱いの違いは、固定資産税清算金を「不動産の譲渡対価の一部」と見なすか、「立替金の精算」と見なすかによって生じます。
国税庁の見解によれば、不動産の譲渡に付随して授受される清算金は、原則として譲渡対価の一部と見なされます。
ただし、納税義務者である売主が立て替えた税金を買主が精算するという実態に着目すれば、消費税の課税対象外と考えることもできます。
このように解釈が分かれる問題については、実務上は個別案件ごとに税理士や不動産の専門家に確認しましょう。
特に事業用不動産の取引や法人が関与する取引では、固定資産税清算金の消費税の取り扱いについても、事前に専門家の助言を求めることが重要です。
また、売買契約書に消費税の取り扱いについても明記しておくことで、後々のトラブルを防止することができるでしょう。
固定資産税を経費にすることはできる?

固定資産税を経費として計上できるかどうかは、不動産の所有目的によって異なります。
1.事業用不動産の場合
固定資産税は全額を必要経費または損金として計上することができます。
例えば、賃貸物件として運用している場合や、事業に使用している不動産の固定資産税は経費になります。
2.居住用不動産の場合
自宅として使用している場合は、原則として経費にはなりません。
ただし、一部を事業に使用している場合は、その使用割合に応じて経費計上が可能です。
3.売買目的の不動産の場合
不動産業者が販売目的で所有している物件の固定資産税は、その物件の原価(取得費)に算入されます。
なお、固定資産税清算金については、買主側は不動産の取得費として処理され、売主側は不動産の譲渡収入から差し引かれるのが一般的です。
ただし、具体的な会計処理は税理士に相談することをオススメします。
まとめ
今回は不動産売却後の固定資産税精算について詳しく解説してきました。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されますが、売買時には所有期間に応じた日割り計算で精算するのが一般的です。
この精算方法や計算方法は法律で明確に定められているわけではなく、売買契約書に明記して取り決めることが重要になります。
固定資産税の精算は複雑に思えるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解しておくことで、スムーズな不動産取引が可能になります。
不動産の売買をご検討の際は、この記事を参考に、事前に固定資産税の精算方法についてしっかり確認しておきましょう。
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