不動産の売買というと、多くの方は不動産会社を介して行うイメージがあるかもしれません。
しかし、実は不動産の個人売買も法律上可能です。
個人売買は仲介手数料が不要になるなどのメリットがある一方で、専門知識が必要な場面も多く、注意点も存在します。
今回は、不動産の個人売買の可能性から具体的な流れ、そして失敗しないためのコツまで詳しく解説します。
不動産売却を検討されている方はぜひ参考にしてください。

不動産の個人売買は可能なのか?

結論から言うと、不動産の個人売買は法律上、問題なく可能です。
日本の法律では、売主と買主が合意し、必要な手続きを踏めば、不動産会社を介さずに不動産を売買することができます。
実際に、知人や親族間での取引など、すでに買主が決まっているケースでは個人売買が選ばれることも少なくありません。
また、インターネットの普及により、個人間で不動産情報をやり取りする機会も増えています。
ただし、個人売買を選択する場合は、通常不動産会社が担当する業務をすべて自分で行う必要があるため、不動産取引に関する基本的な知識や法律の理解が求められます。
仲介での売却と個人売買の違い
仲介での売却と個人売買には、いくつかの大きな違いがあります。
【仲介での売却の場合】
・不動産会社が買主を探してくれる
・価格査定や広告活動を代行してくれる
・契約書類の作成や重要事項の説明を行ってくれる
・取引の全プロセスをサポートしてくれる
・仲介手数料が発生する(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)
【個人売買の場合】
・買主を自分で探す必要がある
・価格設定を自分で行う必要がある
・契約書類の作成も自分で行う(司法書士に依頼することも可能)
・すべての交渉や手続きを自分で進める必要がある
・仲介手数料は発生しない
このような違いを理解した上で、自分の状況に合った売却方法を選択することが重要です。
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不動産を個人売買するメリットとは?

不動産の個人売買には、多くの魅力的なメリットが存在します。
ここからは個人間で取引をする際に得られる主なメリットについて、より詳しく掘り下げていきましょう。
仲介手数料がかからない
個人売買における最大の経済的メリットといえば、何といっても不動産会社への仲介手数料が一切発生しない点でしょう。
宅地建物取引業法によれば、仲介手数料は売買価格の3%+6万円+消費税(上限)と明確に規定されており、例えば売却価格が3,000万円の物件の場合、約100万円もの仲介手数料が必要となります。
この点、個人間での直接取引では仲介業者を介さないため、この仲介手数料を丸ごと節約することが可能となり、売主側にとっても買主側にとっても大きな経済的メリットをもたらします。
特に都心部や人気エリアの高額物件になればなるほど、節約できる金額は膨大になるため、その恩恵も大きくなります。
実務的には、この節約できた仲介手数料分を売却価格から差し引くことで、市場価格よりも魅力的な条件設定が可能となり、買主にとっても価格面での大きなインセンティブとなるでしょう。
最近では、この経済的メリットに着目した個人間売買専用のプラットフォームも増えてきており、仲介手数料なしで取引できる環境も整いつつあります。
自身のペースで売却活動ができる
不動産会社による仲介販売では、担当者のスケジュールや会社の営業方針に合わせた売却活動が基本となりますが、個人売買の場合は自分自身のライフスタイルやスケジュールに合わせて、柔軟に販売活動を進められる点が大きな魅力です。
平日は仕事で忙しい方でも、週末や夜間など自分の都合の良い時間帯に内見対応や価格交渉といったプロセスを進めることができます。
また、不動産会社を通した販売では「早期売却のために価格を下げましょう」といった提案を受けることも少なくありませんが、個人売買であれば焦らず自分のペースで理想的な価格での成約を目指すことも可能です。
売却条件についても自分の希望を直接反映しやすく、「引っ越しの都合に合わせて引き渡し時期を調整したい」「ペット可の条件で住んでくれる買主を優先したい」「家具付きでの販売を希望する」など、細かな条件設定も自由自在です。
このように個人売買では、不動産会社のビジネス上の都合に左右されることなく、売主の意向を最大限に尊重した売却活動が実現できるのです。
買主が決まっている場合は取引までスムーズにできる
親族間や知人、あるいは職場の同僚や取引先企業など、すでに買主候補が明確に決まっている場合には、個人売買のメリットがさらに際立ちます。
こうしたケースでは買主との間で直接対話や交渉ができるため、第三者を介する場合に生じがちな意思疎通の齟齬や遅延が起こりにくく、スムーズな取引につながります。
特に両者の間に信頼関係がすでに構築されている場合は、物件の状態確認や価格交渉、支払い条件の調整なども円滑に進めやすいという大きな利点があります。
もし不動産会社を介した場合、買主が決まっているにもかかわらず、広告活動や市場分析といった通常の販売プロセスを踏む必要が生じたり、両者の意思疎通に仲介業者が入ることで余計な手間や時間がかかることが少なくありません。
近年では遠方に住む親族への不動産譲渡や、会社の同僚への住居売却など、「顔の見える相手」との取引において個人売買を選択するケースが増えているようです。
不動産を個人売買するデメリットとは?

不動産の個人売買にはさまざまなメリットが存在する反面、見逃せないデメリットや克服すべき課題も少なくありません。
これから個人売買を検討される方は、以下に詳しく解説するデメリットをしっかりと理解し、自身の知識や経験、状況に照らし合わせて慎重に判断することが重要です。
売り出し価格の設定が難しい
個人売買において難しい課題の一つといえるのが、適正な売り出し価格の設定です。
プロフェッショナルである不動産会社の場合、豊富な取引実績データや独自の市場分析ツール、エリアごとの最新の成約事例など、様々な専門的情報を活用した精度の高い不動産査定が可能ですが、個人ではこうした情報へのアクセスが限られているため、客観的かつ正確な価格設定を行うのは非常に困難です。
例えば、同じマンションの別の部屋が最近いくらで売れたのか、近隣の類似物件の成約価格はどうだったのかといった重要な情報を個人で入手するのは容易ではありません。
また、不動産価格は地域の再開発計画や交通アクセスの変化、学区の評判、将来的な人口動態など、多角的な要素によって影響を受けるため、それらの要素を総合的に判断する専門知識も必要となります。
価格設定を誤ると、高すぎる場合は長期間売れ残って結果的に値下げを余儀なくされたり、逆に市場価値よりも安く設定してしまうと数百万円単位の損失を被ることも珍しくありません。
さらに最近では相続税対策や投資目的の購入も増えており、そうした買主層の心理も理解した価格戦略が求められるなど、個人での価格設定はますます複雑化しています。
トラブルがあった際に自身で解決する必要がある
個人売買の大きなリスクとして見過ごせないのが、契約後に何らかの問題が発生した場合にすべて自分自身で対処しなければならない点です。
売買契約締結後に雨漏りや配管の不具合などの物件の瑕疵(かし)が発見された場合や、引き渡し直前になって買主から突然の条件変更を要求された場合、あるいは支払いに関するトラブルが発生した場合など、様々な問題場面においてすべて自分の責任で解決策を見つける必要があります。
通常の不動産会社を介した取引では、こうしたトラブル発生時に専門知識を持つ担当者が間に入って冷静な立場から解決策を提案してくれますが、個人売買ではそうした専門家のバックアップがないため、当事者同士の感情的な対立に発展しやすく、最悪の場合は法的紛争にまで発展するケースも少なくありません。
特に不動産取引の法律知識や契約実務の経験が少ない場合は、トラブル解決のためのノウハウも乏しいため、想定以上の時間や労力、精神的負担を強いられることになりかねません。
近年では不動産取引に関わる法的責任や告知義務の範囲も厳格化されており、素人判断でのトラブル対応はさらに難しくなっています。
買主側がローン審査に通りづらい
個人売買において見落としがちな問題として、買主が住宅ローンを利用する際に金融機関の審査が通りにくくなる傾向があります。
不動産会社が仲介する物件の場合、多くの金融機関と日常的に取引があり緊密な関係を構築しているため、ローン申請に必要な適切な書類準備や事前審査のアドバイス、審査進捗の確認など、様々な面でサポートが受けられますが、個人売買の場合はこうした専門的なバックアップがないため、必要書類の不備や提出タイミングの誤り、物件情報の不足などによって審査が円滑に進まないケースが頻発しています。
金融機関によっては個人間取引の物件に対して慎重な姿勢をとるところもあり、追加書類の要求や詳細な物件調査が入るなど、審査ハードルが高くなることも少なくありません。
また、不動産会社を通さない取引では物件価格の妥当性を金融機関が確認しづらいため、ローン融資額が希望額より低く抑えられたり、最悪の場合は審査そのものが否決されるリスクもあります。
このように買主のローン審査に支障が出れば、当然ながら売買契約自体が白紙に戻る可能性もあるため、ローン特約条項の設定や審査状況の確認など、買主とのきめ細かなコミュニケーションと準備が必要になるでしょう。
特に近年は金融機関の審査基準が厳格化する傾向にあり、個人売買における融資面でのハードルはさらに高まっています。

不動産を個人売買する流れ

個人売買を成功させるためには、基本的な流れを理解し、各ステップを確実に進めていくことが重要です。
ここからは、不動産を個人売買する一般的な流れを説明します。
1.売り出し価格を決める
まず最初に行うべきことは、適切な売り出し価格の設定です。
売り出し価格を決める際には、以下のような方法で情報を集めると良いでしょう。
・近隣の類似物件の売り出し価格をチェックする
・不動産ポータルサイトで同じエリア・条件の物件価格を調査する
・国土交通省の「土地総合情報システム」で過去の取引事例を調べる
・必要に応じて不動産鑑定士に査定を依頼する
価格設定は売却活動の成否を大きく左右するため、できるだけ客観的な情報に基づいて決定することが重要です。
2.販売活動(買主を探す)
価格が決まったら、次は買主を探す販売活動を行います。
個人売買の場合、以下のような方法で物件情報を広めることができます。
・インターネットの個人間売買サイトに掲載する
・SNSを活用して情報を拡散する
・知人や地域のコミュニティに情報を共有する
・チラシを作成して近隣に配布する
問い合わせがあれば、内見の対応や条件交渉を行いますが、この段階でも専門知識が求められます。
特に「告知義務」があるリスク事項については、買主にしっかりと説明する必要があります。
3.売買契約書の作成
買主が決まったら、売買契約書を作成します。
不動産の売買契約書は法的に重要な文書であり、後々のトラブルを防ぐためにも正確な内容で作成する必要があります。
個人で作成するのは困難なため、司法書士や行政書士などの専門家に依頼することをオススメします。
特に以下の項目は、契約書に明確に記載することが重要です。
・物件の詳細情報(所在地、面積、構造など)
・売買代金と支払方法・時期
・引き渡し条件と時期
・契約不適合責任に関する事項
・契約解除の条件
・違約金に関する取り決め
4.売買契約の締結
契約書が完成したら、売主と買主が対面して契約を締結します。
この際、通常は手付金の授受も行われます。
手付金は一般的に売買価格の5〜10%程度とされていますが、当事者間の合意で決めることができます。
契約締結の際には、以下の点に注意しましょう。
・契約書の内容を双方でしっかり確認する
・重要事項について口頭でも説明し、理解を得る
・手付金の受け渡しは領収書を発行する
・必要に応じて立会人を置く
5.引き渡し
最終的な代金の決済と物件の引き渡しを行います。
この段階では以下のことを行います。
・残金の受け渡し
・所有権移転登記に必要な書類の引き渡し
・鍵や物件の引き渡し
・各種名義変更手続きの確認
引き渡し時には、物件の状態や付帯設備の動作確認なども行うと良いでしょう。
また、所有権移転登記は基本的に買主側の責任で行いますが、売主も必要な協力を行う必要があります。
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不動産の個人売買を失敗しないコツ

不動産の個人売買を成功に導くためには、綿密な準備と専門知識が欠かせません。
ここからは、数多くの取引事例から得られた教訓をもとに、個人売買で失敗しないための重要なポイントについて詳しく解説していきます。
これらのコツを押さえることで、リスクを最小限に抑えながら、スムーズな取引を実現することができるでしょう。
事前に相場を確認して価格を決める
不動産の個人売買において最も重要な成功要因の一つが、市場実勢に即した適切な価格設定です。
前述したように、価格設定を誤ると長期間売れ残ったり、逆に本来得られるはずだった利益を逃してしまったりするリスクがあります。
そのため、複数の情報源を活用して徹底的に相場調査を行うことをオススメします。
具体的には国土交通省が運営する「土地総合情報システム」で過去の取引事例を確認したり、主要な不動産ポータルサイトで同じエリア・同じ条件の物件価格を調査したり、さらには実際に近隣で売り出されている物件を見学して設備や状態を比較検討するなど、多角的なアプローチで相場感を養いましょう。
また多くの専門家が推奨しているのが、実際に2〜3社の不動産会社に家の無料査定を依頼し、プロの目線からの評価を参考にする方法です。
この際、単に査定額だけでなく、その根拠となる周辺相場や売却見込み期間、市場動向などについても詳しく質問しておくと、価格設定の参考になります。
そして実際に価格を決める際には、感情的な判断や「思い入れ」による過大評価を避け、あくまで客観的なデータに基づいた冷静な判断をすることが大切です。
さらに価格交渉を見据えて、最初から最終的な希望価格ぴったりではなく、ある程度の交渉余地を残した価格設定をしておくと、買主とのネゴシエーションもスムーズに進みやすくなるでしょう。
近年ではAIを活用した不動産価格査定サービスなども増えているため、そうした最新ツールも併用することで、より精度の高い価格設定が可能になります。
契約書は司法書士に依頼する
不動産売買契約書は、物件の詳細情報から代金の支払方法、契約不適合責任、違約金条項に至るまで、多岐にわたる重要事項を網羅した複雑な法律文書です。
法的知識が不足している状態で契約書を作成すると、重要な条項の漏れや表現の不明確さ、あるいは最新の法改正に対応できていないなどの問題が生じる可能性があり、将来的に深刻なトラブルに発展するリスクがあります。
例えば、契約不適合責任の範囲や期間が不明確だと、引き渡し後に発見された不具合について責任の所在が曖昧になったり、支払い条件の詳細が不十分だと入金トラブルの原因になったりします。
こうしたリスクを回避するためにも、不動産登記の専門家である司法書士に契約書の作成を依頼することを強くオススメします。
司法書士は不動産取引に関する豊富な知識と経験を持ち、最新の法律改正にも精通しているため、法的に安全かつ明確な契約書を作成することができます。
司法書士への依頼費用は物件価格や契約内容の複雑さによって異なりますが、一般的には5〜10万円程度が相場とされています。
一見すると費用負担に感じるかもしれませんが、数千万円規模の取引における将来的なトラブルや損失を防ぐための「保険」と考えれば、非常に合理的な投資といえるでしょう。
特に不動産取引の経験が少ない場合や、親族間取引など特殊な条件がある場合は、なおさら専門家のサポートが重要です。
司法書士は契約書作成だけでなく、重要事項の説明や登記手続きのアドバイスなど、取引全般にわたる法的サポートも提供してくれるため、安心して取引を進めることができます。
個人売買に不安を感じたら不動産会社へ依頼する
個人売買は経済的なメリットがある一方で、前述したようにさまざまな専門知識や労力が求められるため、取引を進める中で不安や困難を感じることも少なくありません。
そのような場合は、自分のスキルや状況を冷静に見極め、必要に応じて不動産会社への依頼に切り替えることも賢明な選択です。
特に、販売開始から数か月経っても問い合わせや内見希望者が少なく、買主が見つからない状態が続いている場合や、物件の法的な複雑さや権利関係に不安がある場合、また買主候補が見つかっても価格や条件面での交渉が難航している場合などは、プロの力を借りることで状況を打開できる可能性があります。
加えて転勤や住み替えなどのライフイベントにより時間的な余裕がなく、早期売却を最優先しなければならない場合も、豊富な顧客ネットワークを持つ不動産会社の力を借りた方が効率的でしょう。
確かに不動産会社に依頼すれば仲介手数料は発生しますが、適正価格での成約や安全な取引の実現、さらには自分の時間や労力の節約という観点から見れば、十分に価値のある投資と考えることができます。
最近では「片手仲介」と呼ばれる、売主または買主のどちらか一方のみに仲介する形態も増えており、このケースでは通常の両手仲介に比べて手数料を抑えることができます。
他にも不動産会社ごとに得意分野や強みが異なるため、自分の物件タイプやエリアに強い会社を選ぶことで、より効率的な売却が可能になります。
投資用物件が得意な会社、マンション専門の会社、あるいは地域密着型で古くからそのエリアで営業している会社など、物件特性に合わせた不動産会社選びも成功のカギとなるでしょう。
まとめ
今回は不動産の個人売買について詳しく解説しました。
個人売買には仲介手数料の節約や自由度の高い取引といった大きなメリットがある一方で、専門知識を必要とする場面も多く、様々なトラブルリスクが潜んでいます。
成功のためには、適切な価格設定、丁寧な販売活動、正確な契約書作成など、各ステップを確実に進めることが重要です。
特に契約書類の作成や法的手続きについては、専門家のサポートを受けることを強くオススメします。
大切な資産である不動産を売却する際には、メリット・デメリットをしっかり理解した上で、ご自身の状況に最も適した方法を選択してください。
恵比寿不動産では個人売買をお考えの方へのアドバイスも承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
