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土地と建物を売却するには?売り方や税金の注意点を解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 土地と建物を売却する際は、事前に不動産会社に査定してもらい、適切な価格設定と売却戦略を立てることが重要

  • 売却には、住宅ローンの完済、建物の解体、測量など、さまざまな準備と注意点がある

  • 売却時の税金は複雑で、3000万円特別控除や消費税の取り扱いなど、慎重な対応が求められる

人生の大きな転換点や資産活用のタイミングで、土地や建物の売却を検討する方は少なくありません。
しかし、不動産売却は複雑で、多くの人が陥りがちな落とし穴が潜んでいます。
正しい知識と準備がないと、せっかくの貴重な資産も、思わぬ損失や税金の罠にはまってしまう可能性があるのです。

この記事では、土地と建物を売却する際の最新の実践的ノウハウを、豊富な経験に基づいて徹底解説します。
売却価格を最大化する方法、陥りがちな失敗、税金の基本、そして円滑な売却プロセスまで、あなたが知るべき重要なポイントをお伝えしましょう。

目次

土地と建物を売却する流れ

土地と建物の売却は、複雑で慎重さが求められるプロセスであり、専門家のサポートと適切な準備が成功の鍵となります。
これから説明するステップを丁寧に進めることで、スムーズな売却が実現できるでしょう。

不動産会社に査定してもらう

まず、専門の不動産会社に土地と建物の現在の市場価値を査定してもらうことが重要です。

経験豊富な不動産会社は、地域の不動産市場の動向、周辺の開発状況、建物の築年数や設備、土地の立地条件などを総合的に評価し、最適な売却価格を提案してくれます。
不動産査定では、単に物件の広さや外観だけでなく、近隣の交通利便性、周辺の教育環境、将来的な開発可能性なども分析されます。

また、複数の不動産会社から査定を受けることは、より客観的で正確な市場価値を把握でき、売却戦略の立案に役立ちます。
各不動産会社の査定額の差異を比較することで、より精度の高い価格設定が可能となるのです。

媒介契約を締結

査定後は、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結します。
この契約は、不動産会社が物件の販売活動を代行し、買主を見つけるためのマーケティング活動を包括的に行うことを定めたものです。

契約には、仲介手数料、販売条件、契約期間などの詳細が明記され、売主と不動産会社の役割と責任を明確にします。
専属媒介契約一般媒介契約かによって、不動産会社の営業努力や売主の自由度が大きく異なることを理解しておきましょう。
契約期間や解約条件についても事前に十分な確認が求められます。

売却活動を開始

不動産会社は、物件の魅力を最大限に引き出すための綿密な販売戦略を立案します。
プロのカメラマンによる高品質な写真撮影、物件の特徴を効果的に伝える詳細な紹介資料の作成、不動産ポータルサイトでのオンラインリスティング、さらにはSNSを活用したターゲット広告など、多角的なマーケティング手法を駆使して、潜在的な買主に効果的にアプローチします。

単なる物件情報の掲載にとどまらず、その物件の魅力を最大限に引き出すストーリー性のあるプレゼンテーションが重要となります。
また、最近では3Dバーチャルツアーや詳細な間取り図、周辺環境の分析情報なども積極的に活用され、遠方の購入検討者にも魅力的な物件紹介が可能となっています。

売買契約を締結

その後、興味を示した買主との慎重な交渉を経て、両者の条件が合致した時点で売買契約を締結します。
この段階では、売却価格はもちろん、引き渡し日、決済方法、物件の現状引き渡しや契約不適合責任、契約解除条件など、取引に関わるあらゆる細部を丁寧に確認し、双方が納得できる公平な契約内容を作り上げることが求められます。

不動産取引における売買契約は法的拘束力を持つ重要な文書であり、専門家の立ち会いのもとで慎重に作成される必要があります。
また、契約書には物件の具体的な状態、特殊な設備や権利関係、可能性のある瑕疵についても明確に記載し、将来的なトラブル防止に努めることが重要となります。

引き渡し

売買契約締結後は、いよいよ土地と建物の引き渡しプロセスに入ります。
登記変更の手続き、売主から買主への鍵の引き渡し、物件の詳細な状態確認、清掃、不要な家財道具の処分など、細やかな作業を丁寧に実施し、買主が安心して物件を受け取れる環境を整えます。
また、近隣住民への挨拶や引き継ぎ事項の伝達も、スムーズな引き渡しには重要な要素となります。

引き渡し時には、建物の使用状況や設備の取り扱い方法、修繕履歴、近隣との関係性など、買主が知っておくべき重要な情報を詳細に伝えることで、スムーズな所有権移転と良好な関係性の構築につながります。
さらに、引き渡し後の契約不適合責任の範囲や、万が一の際の対応方法についても事前に明確にしておくことが大切です。

確定申告

忘れてはいけないのが確定申告で、土地と建物の売却によって生じた収益は、税法に従って適切に申告する必要があります。
譲渡所得税、特別控除の適用、消費税の取り扱いなど、税務上の複雑な問題があるため、収入や利益の状況に応じて、税理士や専門家に相談し、正確かつ合法的な確定申告を行うことが重要です。

売却による利益が一定額を超える場合や、特別控除を受ける場合は、関連書類の保管や正確な収支計算が求められます。
また、譲渡所得税の計算には、取得費、改良費、譲渡費用などの詳細な記録が必要となるため、売却に関わるすべての証憑(しょうひょう)類を大切に保管しておくことが重要です。

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家が建っている土地を売却する際の注意点

家が建っている土地を売却する際は、通常の土地売却とは比較にならないほど複雑な検討事項が存在します。
単に土地と建物を売却するだけではなく、建物の物理的状態、法的制約、潜在的なリスク、市場性など、多角的かつ専門的な視点から慎重に評価する必要があります。
そのような中、これから紹介するようなことが求めることもありますので、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンを完済している必要がある

住宅ローンが未完済の状態で売却を進めることは、ほぼ不可能と言っても過言ではありません。
売却を成功させるためには、事前に住宅ローンを全額返済することが絶対的な条件となります。

ローン残高が売却予定価格を上回ることもあるため、金融機関との綿密な事前相談が不可欠です。
追加の自己資金の調達や、銀行との柔軟な返済交渉が必要となる場合もあり、早い時期からの計画的かつ戦略的なアプローチが求められます。

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解体を求められる可能性がある

古い建物や経年劣化が顕著な建物を売却する際には、買主から解体を条件とされることが珍しくありません。
解体費用は一般的に高額で、戸建ての場合、数百万円程度かかることがあり、地域や建物の規模、解体の複雑さによって大きく変動します。
事前に建築士や不動産の専門家に建物の状態を診てもらい、解体の必要性や概算費用を把握することで、売却価格の適正な設定や交渉において有利な立場を築くことができます。

測量を求められる場合がある

土地の境界線や正確な面積は、売却プロセスにおいて重要な要素となります。
隣地との境界に不明確な部分や、登記簿上の面積と実際の面積に差異がある場合、買主から正式な測量を要求されることがあります。
専門の測量士による正確な測量は、5万円から20万円程度の費用がかかりますが、将来的なトラブル回避と売却価格の適正化に大きく貢献するでしょう。
事前に測量を行い、正確で透明性の高い土地情報を提供することで、買主との信頼関係を構築し、スムーズかつ有利な売却交渉を実現することができるのです。

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土地と建物を売却する際の仲介手数料

不動産売却における仲介手数料は、売却プロセスで避けて通れない重要な費用項目です。
適切に理解し、事前に把握しておくことで、予期せぬ金銭的負担を最小限に抑えることができます。
仲介手数料は、不動産会社が提供する専門的なサービスの対価であり、売却において重要な役割を果たしています。

仲介手数料の上限額

仲介手数料には法律で定められた上限額があります。
不動産会社が自由に決められるものではないため、過剰な請求をされる心配はありません。

仲介手数料の上限額は、以下の計算式で求められます。

【仲介手数料の上限計算】

売却価格 : 手数料率(税別)

200万円以下の部分 : 5%

200万円超~400万円以下の部分 : 4%

400万円超 : 3%

次に具体的な計算方法を確認していきましょう。

仲介手数料の計算式

仲介手数料は、売買価格によって段階的に上限金額が変動する料率が適用されますが、一般的な計算式として「(売買価格 × 3%)+6万円(税別)」という形で求められます。これは国土交通省が定めた上限額に基づいた計算方法です。

【計算例】売却価格が4,000万円の場合

  • 200万円 × 5% = 10万円
  • (400万円-200万円)× 4% = 8万円
  • (4,000万円-400万円)× 3% = 108万円

合計:10万円+8万円+108万円 = 126万円(税別)

つまり、最終的な仲介手数料は「3%+6万円」に相当する金額になります。

このように、売却価格の段階ごとに計算されるため、「一律◯%」ではなく、段階的な計算によって成り立っている点にご注意ください。

土地と建物を売却した際の税金の注意点

土地と建物の売却における税金の問題は、非常に複雑で専門的な知識を要する領域です。
単純に物件の売却額だけでなく、所有期間、使用目的、売却理由など、多岐にわたる要因が税金の計算に影響を与えます。
適切な税務対策と専門家のアドバイスが、予期せぬ税負担を軽減する鍵となります。

税金が発生する場合と発生しない場合がある

土地と建物の売却による利益に対する課税は、個人の具体的な状況によって複雑に変化します。
所得税や譲渡所得税の課税対象となるか否かは、所有期間、居住状況、譲渡の目的、そして個人の総合的な所得状況など、多岐にわたる要件によって慎重に判断されます。

例えば、自己居住用の不動産を一定期間以上所有し、特定の条件を満たす場合には、課税対象から完全に除外されることもあり、このような微妙な税務上の判断には、専門知識と経験を持つ税務専門家による検討が必要となるでしょう。
さらに、近年の税制改正や地域特有の税務規定も、課税判断に重要な影響を与える要素として注意深く考慮する必要があります。

3000万特別控除とは?

居住用財産の売却における最も魅力的な税制優遇措置が3,000万円特別控除です。
この革新的な制度は、一定の条件を満たす個人が自己居住用の不動産を売却する際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる画期的な税制支援策として設計されています。
適用するためには、売却する不動産に一定期間以上自己が居住していたことや、売却後の一定期間内に新たな住宅を取得するなど、複雑な要件を満たす必要があります。

3,000万円特別控除は、多くの納税者にとって大幅な税負担軽減の機会となり、戦略的な不動産売却と資産管理の重要なツールとして機能します。
さらに、この控除制度は単なる税務上の恩恵だけでなく、住宅市場の活性化や個人の住宅取得支援という、より広範な社会経済的な目的も併せ持っているのです。

建物のみ消費税が発生し、土地には消費税が発生しない

消費税の取り扱いは、土地と建物において根本的に異なる様相を呈しています。
土地の売却には原則として消費税は課されませんが、建物の売却では基本的に消費税が発生します。

課税の有無は、売却者が課税事業者であるか、売却の目的が事業的なものであるかなどの観点から慎重に判断されます。
特に、事業用の不動産や不動産販売を業として行う事業者の場合は、消費税の取り扱いがさらに複雑な様相を帯び、税務上の解釈や適用が極めて専門的になります。
そのため、税理士や専門家による確認が不可欠となり、わずかな判断の違いでも税務上の影響を及ぼす可能性があるのです。

まとめ

今回は、土地と建物を売却する際の複雑な手続きや重要なポイントについて詳しく解説してきました。
不動産売却は単なる取引以上に、慎重さと専門的な知識が求められる複雑なプロセスです。
査定、媒介契約、税金、仲介手数料など、いずれの段階においても専門家のサポートが不可欠といえます。
土地と建物の売却に不安や疑問がある方は、ぜひ恵比寿不動産ご相談ください。
経験豊富な専門スタッフがお客様一人ひとりの状況に合わせた最適な売却戦略をご提案させていただきます。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士