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中古マンション売却方法まとめ!注意点やかかる費用も詳しく解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士のアバター

檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 中古マンションの売却方法には「仲介」と「買取」の2種類がある

  • 売却する際は事前の情報収集や相場確認、適切な業者選びが重要

  • 良い条件で売るには中古マンションに強い不動産会社を選ぶこと

中古マンションの売却を考えている方の中には、「どんな売却方法がある?」「注意点や費用、高く売るコツは?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

中古マンションの売却方法を事前に把握しておくことで、スムーズに手続きを進めやすくなります。

また、注意点や高く売るポイントを理解しておけば、リスクやトラブルを避けつつ、より好条件で売却することが可能です。

本記事では、中古マンションの売却方法や費用、注意点、高く売るコツについて詳しく解説します。

売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

中古マンションを売却する方法は2つ

中古マンションの売却方法は、大きく分けて「仲介で売る」と「買取業者に売る」の2つがあります。

売却方法内容
仲介で売る不動産仲介会社を通じて個人に売却する方法。一般的に売却完了までに3〜6ヶ月以上かかるが、市場相場に近い価格で売却可能。
買取業者に売る買取業者に直接中古マンションを買い取ってもらう方法。市場相場の7〜8割程度の価格になるが、数日〜数週間で現金化が可能。

それぞれ進め方が異なるため、事前に理解しておくとスムーズに進められます。

仲介と買取の売却の流れを紹介します。

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仲介で中古マンションを売却する流れ

仲介で中古マンションを売却する際は、事前に相場を確認し、複数の不動産会社を比較することが大切です。相場確認や不動産会社の比較により、有利な条件での売却が期待できます。

また、媒介契約は3種類あるため、それぞれの内容を理解して、自分にとって最適なものを選ぶことが重要です。

一般的に、仲介での売却には3〜6ヶ月ほどかかるとされていますが、物件や市場の状況によっては1〜2ヶ月で売れることもあれば、1年以上売れ残るケースもあります。

仲介で中古マンションを売却する流れについて、詳しく見ていきましょう。

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1.事前準備・相場確認

まず、中古マンションを売却する前に、以下の情報を確認しましょう。

・必要書類
・手数料や税金
・住宅ローン残高
売却価格の相場

これらを把握していないと、スムーズな売却が難しくなるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

売却時には、登記事項証明書(登記簿謄本)などの書類が必要となり、仲介手数料や印紙税などの費用が発生します。

また、住宅ローンを利用している場合、金融機関の抵当権が設定されているため、売却時にローンを一括返済して、抵当権を抹消する必要があります。そのため、事前に住宅ローンの残高を確認しておきましょう。残高は、金融機関のWebサイトや、自宅に送付される残高証明書、返済予定表で確認できます。

売却価格の相場については、以下の方法で把握できます。

・レインズマーケットインフォメーションを利用する
・不動産情報ライブラリで確認する
・不動産ポータルサイトで調べる

レインズマーケットインフォメーションは不動産流通機構が運営するサイトで、不動産情報ライブラリは国土交通省が提供するサイトです。どちらも過去の取引価格を確認できるため、類似物件の価格を参考に相場を把握することができます。

また、不動産ポータルサイトでは現在売却中の物件情報を閲覧でき、売出価格を確認することが可能です。

相場を把握することで、資金計画を立てやすくなるだけでなく、不動産会社の提示する査定額が適正かどうかも判断しやすくなります。

2.不動産会社へ査定の依頼

事前準備や相場の確認を終えたら、不動産会社にマンションの査定を依頼しましょう。

査定は、複数の不動産会社に依頼するのがポイントです。

なぜなら、不動産会社によって査定ポイントや得意分野が異なり、査定額に差が出るからです。そのため、同じ物件でも不動産会社によって査定額が100万円以上変わることもあります。

査定額は、不動産会社が「この価格なら売れるだろう」と考えた金額であり、実績やノウハウが豊富で強みを持つ不動産会社ほど、高い価格を提示する可能性があります。

一括査定サイトを活用すれば、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できるため効率的です。提示された査定額や担当者の対応、実績、評判をもとに、信頼できる不動産会社を選んで売却を依頼しましょう。

また、査定方法には「机上査定」「訪問査定」の2種類があり、それぞれ特徴が異なるため、事前に理解しておくことが大切です。

査定方法内容
机上査定類似物件の過去の取引データをもとに査定額を算出する方法。訪問査定ほど精度は高くないが、最短で即日査定結果がわかる。
訪問査定過去の取引データに加え、実際に現地で物件や周辺環境を調査して査定額を算出する方法。査定結果が出るまでには時間はかかるが、精度の高い査定が可能。

中古マンションの査定を依頼しながら、信頼できる不動産会社を見つけましょう。

3.媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ契約内容が異なります。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数の不動産会社との契約できるできない(1社のみ)できない(1社のみ)
売主が見つけた買主との直接取引できるできるできない
売却活動の報告義務任意2週間に1回以上1週間に1回以上
レインズへの登録任意7日以内5日以内
契約期間定めなし3ヶ月以内3ヶ月以内

一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼できるため、さまざまな販売網を活用して広く買主を募ることが可能です。ただし、レインズへの登録義務や売却活動の報告義務はありません。

専任媒介契約は、1社のみに依頼する契約で、レインズへの登録義務や売却活動の報告義務があります。管理の手間を省けるほか、売主が直接見つけた買主との取引も可能です。ただし、信頼できる不動産会社を選ばないと、納得のいく売却が難しくなる可能性があります。

専属専任媒介契約も1社のみの契約ですが、専任媒介契約よりもレインズへの登録や売却活動の報告義務が厳格に定められているため、よりスピーディーな対応が期待できます。ただし、売主が見つけた買主との直接契約はできません。また、信頼できる不動産会社に依頼する必要があります。

媒介契約ごとの違いを理解した上で、自分にとってメリットの大きい契約を選びましょう。

4.売却活動中の内見対応

不動産会社と媒介契約を結ぶと、いよいよ売却活動がスタートします。
売却活動の中でも特に重要なのが内見です。

内見で良い印象を与えられれば、購入につながる可能性が高まります。反対に、第一印象が悪いと、その後どれだけアプローチしても購入につながりにくくなるため注意が必要です。

内見時に良い印象を与えるためのポイントは、以下のとおりです。

・室内をしっかり掃除しておく
・特に水回りはキレイにする
・ニオイ対策をしておく
・生活イメージがしやすいように家具を配置する
・バルコニーも整理整頓する
・日当たりや風通しを確認しやすくする
・スリッパを用意する
・過ごしやすい室温を保つ
・隅々まで見れるようにする

特に、キッチンや浴室、トイレなどの水回りに汚れやサビ、カビがあると、悪い印象を与える可能性があります。必要に応じてハウスクリーニング業者の利用も検討して、しっかりキレイにしておきましょう。

また、不動産会社によっては、室内をモデルルームのように演出するホームステージングのサービスを提供している場合もあります。

いつでも内見に対応できるよう準備しておくことで、機会損失を防ぐことができます。

不動産会社とも相談しながら、万全の準備を整えましょう。

5.売買契約の締結

買主との交渉がまとまり、条件に合意すれば、売買契約の締結に進みます。

売買契約は、売主も同席するのが一般的です。

契約時には、宅地建物取引士による重要事項説明や売買契約書の読み合わせが行われ、内容に問題がなければ、売主・買主双方が署名・捺印をします。

契約書や重要事項説明書は、不動産会社が準備してくれるので安心です。

契約時には、本人確認書類や固定資産税・都市計画税納税通知書、設備表などの必要書類がありますので、早めに準備しておきましょう。

また、売買契約が成立した後、仲介手数料を不動産会社に支払います。通常、契約成立時に手数料の半分を支払い、残りは引き渡し後に支払う形です。

仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」不動産会社はこの範囲内で手数料を設定しますので、事前に金額を確認しておきましょう。

6.決済・引き渡し

売買契約締結後は、決済と引き渡しが行われます。

買主から売買代金の残金を受け取り、固定資産税などの精算が行われます。

さらに、中古マンションの抵当権抹消や所有権移転登記などの手続きも必要です。

登記手続きは自分で行うこともできますが、通常は司法書士に依頼します。この場合、登記手続きの費用に加えて、司法書士への手数料も発生します。

決済や登記手続きが完了した後、買主に鍵を渡し、引き渡しが完了です。

引き渡しが完了したら、不動産会社に仲介手数料の残り半分を支払いましょう。

7.確定申告

中古マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税が発生するため確定申告が必要になります。

譲渡所得税の計算方法は以下のとおりです。

・譲渡所得税:課税譲渡所得額×税率

また、課税譲渡所得額は次の計算で求められます。

・課税譲渡所得額:収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除

※収入:中古マンションを売却して得る収入
※取得費:物件を購入した際にかかった費用
※譲渡費用:売却時にかかった費用
※特別控除:3,000万円の特別控除など

譲渡所得税の税率は、中古マンションの所有期間によって変動します。

不動産の所有期間税率
5年以下(短期譲渡所得)39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
5年超(長期譲渡所得)20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

確定申告の時期は、例年2月16日〜3月15日です。忘れずに申告しましょう。

※参照:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

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買取で中古マンションを売却する流れ

中古マンションを買取で売却する際は、必要書類やスケジュールを事前に確認し、複数の買取業者を比較して良い条件を選ぶことが大切です。また、相場を把握することで、査定額や買取価格が適正か判断できます。

仲介での売却は完了までに3〜6ヶ月以上かかるのが一般的ですが、買取なら数日〜数週間で売却・現金化が可能です。

ここでは、買取で中古マンションを売却する流れについて、詳しく見ていきましょう。

1.事前準備・相場確認

まず、買取の特徴や必要書類、スケジュール、住宅ローン残高、相場を確認しましょう。

買取は専門業者が直接物件を買い取るため、短期間で売却・現金化できるのが特徴です。内装や設備の修繕・リフォームは不要で、レインズや不動産ポータルサイトに掲載されないため周囲に知られずに売却できるメリットもあります。

ただし、買取価格は仲介相場の2〜3割程度低くなる点に注意が必要です。

また、買取に出す際は、登記済権利証(登記識別情報)、購入時の売買契約書、管理規約などの書類が必要になるため、早めに準備しておきましょう。

買取の場合も金融機関の抵当権を抹消する必要があるため、住宅ローンの一括返済が必要です。

そのため、残高証明書や返済予定表を確認し、現在の住宅ローン残高を把握しておきましょう。また、一括繰上返済の手数料は金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

売却資金だけでローンを完済できない場合は、不足分を貯金などで補填する必要があります。買取価格の相場は、レインズマーケットインフォメーション不動産情報ライブラリなどで仲介相場を調べ、そこから2〜3割低くなることを想定しておきましょう。買取業者によっては3割以上低くなるケースもあるため、慎重に検討することが大切です。

2.査定依頼・買取業者を決める

情報収集が終わったら、査定依頼と買取業者の選定に進みます。

査定は複数の買取業者に依頼するのがポイントです。

買取業者によって査定額に100万円以上の差が出ることも珍しくないため、しっかり比較することが大切です。

査定には「机上査定」「訪問査定」があり、内容が異なります。

・机上査定:類似物件の過去の取引データをもとに査定額を算出する方法。スピーディーに査定結果がわかるのが特徴。
・訪問査定:過去の取引データや現地調査をもとに査定額を算出する方法。実際に建物をチェックするため精度の高さが特徴。

一括査定サイトを活用すれば、1回の情報入力で複数の業者にまとめて査定依頼ができるため、効率的に比較できます。

また、提示された査定額だけでなく、業者の対応やサービス内容、実績、評判もチェックしましょう。

実績が豊富で評判が良く、対応が丁寧な買取業者を選べば、スムーズに売却が進み、納得のいく取引ができるでしょう。

3.買取条件の確認

買取業者が決まったら、買取条件の詳細をしっかり確認しましょう。

主な確認ポイントは、次のとおりです。

・買取価格
・入金スケジュール
・手数料の有無と金額
・物件の引き渡し日
・必要書類
・家財の処分範囲

例えば、業者によっては1〜2日で現金化できるところもあれば、入金まで1週間以上かかるケースもあります。また、売却時に手数料がかかるかどうか、その金額も事前に確認しておきましょう。

不用品の取り扱いも確認しておく必要があります。買取業者によってはそのまま引き取ってくれる場合もあれば、売主側で処分が必要なこともあります。

買取条件に少しでも不明点があれば、業者に確認して納得したうえで進めましょう。

4.売買契約の締結

買取条件を確認して、問題がなければ売買契約を締結します。

売買契約時には内容の読み合わせが行われるため、不明点があればその場で質問しましょう。

また、署名・捺印が必要となるため、本人確認書類や印鑑、印鑑証明書などをあらかじめ用意しておきましょう。

売買契約を結ぶと、買取業者から売主に手付金(売却価格の約10%)が支払われます。

ただし、契約後に売主の都合で解約する場合は、手付金の2倍を支払う必要があるため、慎重に検討し、契約内容を十分に確認してから締結しましょう。

5.決済・引き渡し

売買契約を締結した後は、決済と引き渡しへ進みます。

マンションの掃除や不用品の処分など、契約で決まっている状態にして引き渡しの準備を整えましょう。

業者から買取代金が振り込まれたら、住宅ローンを一括返済して、抵当権の抹消手続きを行います。

もし買取代金だけでローンを完済できない場合は、不足分を補う資金計画(貯金や親族からの援助など)を事前に立てておくことが大切です。

また、抵当権抹消登記や所有権移転登記は、通常、司法書士に依頼します。

司法書士によって費用が異なるため、事前に確認して依頼先を決めておくとスムーズです。

参考までに、日本司法書士会連合会が2024年3月に実施した「報酬に関するアンケート」によると、抵当権抹消登記と所有権移転登記の平均報酬は以下のとおりです。

・抵当権抹消登記:1万7,470円
・所有権移転登記:5万6,678円

決済と引き渡しが完了すれば、買取業者との取引も終了となります。

6.確定申告

中古マンションの売却で利益が出て譲渡所得税が発生する場合、確定申告が必要です。

譲渡所得税は「課税譲渡所得額×税率」で計算され、課税譲渡所得額は以下の式で求められます。

課税譲渡所得額:収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除

「収入」は売却金額、「取得費」は購入時の費用、「譲渡費用」は売却時にかかった費用を指します。「3,000万円の特別控除」などの適用後に課税譲渡所得が発生する場合は、期限内(通常2月16日〜3月15日)に確定申告を行い、譲渡所得税をきちんと納めましょう。

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間に応じて変わります。

不動産の所有期間税率
5年以下(短期譲渡所得)39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
5年超(長期譲渡所得)20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

例えば、課税譲渡所得額が2,000万円の場合、所有期間が5年以下なら約792.6万円、5年を超える場合は約406.3万円の譲渡所得税がかかります。

ただし、3,000万円の特別控除などが適用され、課税譲渡所得が発生しない場合は、譲渡所得税はかかりません。

※参照:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

中古マンション売却にかかる費用一覧

中古マンションを売却する際には、仲介手数料や司法書士報酬、譲渡所得税、印紙税などの費用がかかります。

事前にどの費用がどのくらいかかるのかを把握しておくことで、売却に向けて具体的な資金計画を立てることができます。

売却にかかる費用

中古マンションを売却する際にかかる費用は、以下のとおりです。

・仲介手数料
・印紙代
・登記費用
・司法書士報酬

それぞれの費用の内容や金額について見ていきましょう。

不動産会社へ支払う仲介手数料

中古マンションを売却する際にかかる費用の一つが、仲介手数料です。

仲介手数料は、不動産売買が成立した際に不動産会社に支払う手数料です。

仲介手数料の金額は不動産会社が決めますが、宅地建物取引業法によって上限が定められており、売買価格に応じて計算式が異なります。

売買価格仲介手数料の上限
200万円以下の部分売買価格の5%以内+消費税
200万円超400万円以下の部分売買価格の4%以内+消費税
400万円超の部分売買価格の3%以内+消費税

例えば、売買価格が4,000万円の場合、仲介手数料は次の3つを合計した金額になります。

・200万円×5%=10万円
・200万円×4%=8万円
・3,600万円×3%=108万円
・合計126万円+消費税

また、以下の速算式を使えば簡単に求められます。

・仲介手数料速算式:売買価格×3%+6万円+消費税

この場合、「4,000万円×3%+6万円+消費税=126万円+消費税」となります。

仲介手数料の支払いは、通常「契約時」と「引き渡し時」の2回に分けて行われます。中古マンションを売却する際の諸費用の中で、仲介手数料が最も高額になることが多いです。

売却を検討している場合は、早めに不動産会社に確認して、仲介手数料の金額や支払いスケジュールをしっかり把握しておきましょう。

印紙代

中古マンションを売却する際には、売買契約書に貼る印紙代が必要です。

印紙代とは、「印紙税」と呼ばれる税金の一種で、契約書に記載された売買金額によって税額が決まります。

収入印紙は法務局や郵便局で購入でき、契約書に貼付して消印することで納付が完了します。

登記費用

中古マンションを売却する際には、登記費用がかかります。登記費用とは、抵当権抹消登記や所有権移転登記にかかる費用のことです。

抵当権抹消登記は、金融機関が設定した抵当権を抹消するための手続きで、通常は売主が負担します。

所有権移転登記は、物件の所有者が変わったことを登記する手続きで、買主が支払うことが一般的です。

抵当権抹消登記にかかる費用は、以下の2点です。

・登録免許税
・司法書士報酬

抵当権抹消登記の手続きを自分で行えば司法書士報酬は不要となるため、費用を抑えられます。

ただし、手続きには手間や時間がかかり、ミスのリスクもあるため、一般的には司法書士に依頼することが多いです。司法書士によって報酬額が異なるため、事前に依頼先や費用を確認しておきましょう。

司法書士報酬

司法書士報酬は、登記手続きを司法書士に依頼する際の手数料です。

日本司法書士会連合会が2024年3月に実施した「報酬に関するアンケート」によると、抵当権抹消登記の平均報酬額は1万7,470円でした。
有効回答数は1,090件で、最も多いのは1万円台、次いで2万円台、3万円台と続き、20万円以上という回答もありました。

物件の状況(土地が数筆あるなど)によっても報酬は異なるため、事前によく確認しておくことが大切です。

クリーニングや引越し費用

中古マンションを売却する際は、クリーニング費用や引越し費用も考慮する必要があります。

仲介での売却では、内見時の第一印象が購入の決め手になることが多いため、室内の清潔感は重要です。汚れやサビ、カビがあると印象が悪くなり、購入を見送られる可能性が高まります。

キッチン、浴室、トイレ、洗面化粧台などの水回りは特にチェックされやすいため、ハウスクリーニングでプロに掃除を依頼すると効果的です。

ハウスクリーニングでプロに掃除してもらうことで、室内や設備の状態がキレイになり、購入意欲を高めることができます。

ハウスクリーニングの費用は業者や間取り、掃除範囲によって異なりますが、目安として3LDKで4万円~、4LDKで5万円〜かかります。場合によっては10万円以上かかることもあるため、早めに見積もりを取ると安心です。

また、引越し費用は荷物の量や移動距離、時期によって変動します。特に3~4月や9~10月はハイシーズンで料金が高く、業者の予約も取りにくくなるため、早めの手配をおすすめします。

売却にかかる税金

中古マンションの売却にかかる税金は、次のとおりです。

・印紙税
・登録免許税
・譲渡所得税

物件や売却額によっては税負担が大きくなることがあり、確定申告が必要になる場合もあります。

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

印紙税

印紙税は、売買契約書などの課税文書にかかる税金で、収入印紙を貼付し消印することで納付します。税額は契約書に記載された契約金額によって異なります。

契約金額ごとの税額は、以下のとおりです。

契約金額本則税率軽減税率
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円
5億円超10億円以下20万円16万円
10億円超50億円以下40万円32万円
50億円超60万円48万円
※軽減税率は平成26年4月1日〜令和9年3月31日までに作成される契約書に適用

通常、収入印紙は不動産会社が用意して、売主がその費用を負担します。

※参照:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁

登録免許税

登録免許税は、登記手続きの際にかかる税金です。

所有権移転登記の税額は「固定資産税評価額×税率」で算出されます。
税率は、登記の種類によって異なります。

■土地

登記の種類税率(本則)
売買2.0%
相続0.4%
贈与2.0%

■建物

登記の種類税率(本則)
新築の所有権保存0.4%
売買2.0%
相続0.4%
贈与2.0%

また、抵当権抹消登記の税額は不動産1件につき1,000円です。

例えば、建物と土地それぞれの抵当権を抹消する場合、登録免許税は合計で2,000円かかります。
ただし、登記手続きは一般的に司法書士に依頼するため、登録免許税に加えて司法書士報酬も必要になる点を押さえておきましょう。

※参照:登録免許税の税額表|国税庁

譲渡所得税

譲渡所得税は、中古マンションの売却益に対してかかる税金です。

譲渡所得税の計算方法および税率は、以下のとおりです。

●譲渡所得税の計算方法
課税譲渡所得額×税率

●課税譲渡所得額の計算方法
収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除

※収入:売却金額
※取得費:購入時の費用
※譲渡費用:売却時の費用

●税率
売却する不動産の所有期間によって、税率が異なります。

・5年以下(短期譲渡所得):39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
・5年超(長期譲渡所得):20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

例えば、課税譲渡所得額が3,000万円だった場合、譲渡所得税は所有期間が5年以下だと約1,188.9万円、所有期間が5年超の場合は約609.45万円となります。

※参照:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

中古マンションを売却で必要な書類

中古マンションの売却で必要な書類は、以下のとおりです。

書類申込時売却活動時契約・引渡時
売主関連書類本人確認書類必要必要
実印・印鑑証明書必要
登記済権利証・登記識別情報必要必要
住民票必要
物件関連書類物件の売買契約書・重要事項説明書必要
物件の間取り図必要
管理規約・使用細則必要必要
リフォーム履歴証明書類必要必要必要
お金関連書類固定資産税納付書・固定資産税評価証明書必要必要
ローン残高証明書・返済予定表・抵当権抹消書類必要必要
通帳必要
※上記以外の書類が必要になる場合もあります。

必要書類は早めに準備しておきましょう。

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中古マンションを売却する際の注意点

中古マンションを売却する際は、事前にローン完済のシミュレーションを行うこと、買主に不利益な情報も正直に伝えること、確定申告を期限内に済ませることに注意が必要です。

これらを把握しておけば、リスクやトラブルを防ぎやすくなります。

ローン残債を完済できるかシミュレーションを行う

中古マンションを売却する際には、事前にローン残債を完済できるかどうかシミュレーションしておくことが大切です。

住宅ローンを返済中の物件を売却する場合、物件には金融機関の抵当権が設定されているため、売却するには住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。

そのため、売却代金がローン残債を上回る場合は問題ありませんが、下回る場合は不足分を自己資金などで補う必要があるため注意が必要です。

売却代金がローン残債を上回る(アンダーローン)売却代金でローンを完済でき、さらに手元に資金が残る
売却代金がローン残債を下回る(オーバーローン)不足分を自己資金などで補い、ローンを完済しなければならない

金融機関から送られてくる残高証明書や返済予定表、Webサイトなどでローン残高を確認し、査定額をもとにローン完済が可能かシミュレーションしましょう。もし売却代金でローン完済が難しい場合は、不動産会社に相談して、早めに具体的な資金計画を立てることをおすすめします。

買主に不利益になる情報は必ず伝える

中古マンションを売却する際は、買主に不利益となる情報も正直に伝えましょう。

雨漏りなどの物理的瑕疵や、近隣トラブルといった心理的瑕疵があると「伝えると売れにくくなるのでは」と不安に思うかもしれません。

しかし、売主には契約不適合責任があるため、隠したまま売却すると、後にトラブルとなり、契約解除や損害賠償請求につながる可能性があります。

また、不動産会社にも告知義務があるため、不利益な情報であっても正しく伝えることが大切です。

確定申告は必ず行う

不動産を売却して利益が出た場合や特別控除を受ける場合は、確定申告が必要です。

もし確定申告が必要にもかかわらず期限内に手続きをしなかった場合、無申告加算税や延滞税が課されるため注意しましょう。

例えば、確定申告が遅れて税金を期限内に納められなかった場合、延滞税が発生します。延滞税の加算割合は、納付期限の翌日から完納までの期間によって変動します。

・2ヶ月以内に完納した場合:「年率7.3%」または「特例基準割合+1%」のどちらか低い割合
・2ヶ月を超えて完納した場合:「年率14.6%」または「特例基準割合+7.3%」のどちらか低い割合
※特例基準割合…延滞税や延滞金などの計算に用いられる数値

確定申告の期間は通常、2月16日〜3月15日です。申告が必要な場合は、早めに準備し、期限を忘れないようにしましょう。

※参照:確定申告を忘れたとき|国税庁
延滞税について|国税庁

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中古マンションを高く売るためのコツ

中古マンションを高く売るためのコツには、マンション売却に強い不動産会社を選ぶこと、売れやすい時期を選ぶこと、内見時の印象を良くすることなどがあります。
これらを実践することで、通常より高値で売却できる可能性が高まります。

場合によっては、数百万円から1,000万円以上高く売れることもあるため、しっかりと押さえておきましょう。

マンション売却に強い不動産会社を選ぶ

中古マンションを高く売るには、マンション売却に強い不動産会社を選ぶことが大切です。

マンション売却に強い不動産会社は、豊富な取引実績を持ち、販売ノウハウや広いネットワーク、顧客基盤を活かせるため高値で売却できる可能性が高いです。
さらに、担当者の知識や経験も豊富なため、買主からの信頼を得やすいでしょう。

一方、売却実績の少ない不動産会社では、適切な販売戦略が取れず、相場より低い価格で売れたり、売却までに時間がかかったりすることもあるため注意が必要です。

マンション売却に強いかどうかを見極めるために、実績や口コミをしっかり確認しましょう。

売れやすい時期を選ぶ

中古マンションを高く売るには、売れやすい時期を選ぶことが大事です。
マンションを探す人が多いタイミングを狙えば、通常より高値で売れる可能性があります。

一般的に、不動産の需要が高まるのは2〜3月頃です。

この時期は入園・入学、転勤などのライフイベントが重なり、新年度に向けて住宅を購入する人が増えます。

さらに、最近は日銀の政策転換により金利が上昇しており、今後も上昇が続く可能性があります。
そのため「これ以上金利が上がる前に購入したい」と考える人が増えており、売却のチャンスといえるでしょう。

内見時の印象をよくする

内見時の印象を良くすることも、中古マンションを高く売るための重要なポイントです。

内見の印象は購入判断に大きく影響するため、事前の準備が欠かせません。
水回りを中心にしっかり掃除をして、荷物を整理整頓する、バルコニーをキレイにする、ニオイ対策をするなど、清潔感を意識しましょう。

さらに、家具や照明を配置して生活のイメージがしやすい空間を演出することで、物件の魅力を引き出せます。
汚れがひどい場合は、ハウスクリーニングを利用するのも一つの方法です。

また、不動産会社によっては、モデルルームのように家具や小物で演出するホームステージングサービスを提供していることもあります。

中古マンションを好条件で売却するためにも、買主目線で内見の準備を整えることが大切です。

まとめ

中古マンションの売却方法には「仲介」と「買取」があり、それぞれ手続きの流れが異なるため、事前に把握しておくとスムーズに進められます。

売却時には、必要書類の準備や手数料・税金の支払いなどが発生するため、早めに確認しておくことが大切です。

中古マンションを高く売りたい場合は、実績が豊富でマンション売却に強い不動産会社を選ぶことが重要です。また、第一印象が購入意欲を左右するため、買主の視点に立って内見の準備をしっかり整えましょう。

中古マンションの売却を検討している方は、まず相場を確認し、不動産会社に査定を依頼することから始めてみてください。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士