「家を売るべきか、守るべきか」—この一大決断に迷う高齢者とご家族は少なくありません。
何十年もの思い出が染み付いた我が家は、単なる不動産ではなく、心の拠り所でもあります。
しかし、老後の生活を豊かにするためには、時にこの大切な資産との別れを選ぶことも必要かもしれません。
今回は、「家を売るべきではない」という一般論に惑わされず、あなたの状況に最適な判断ができるよう、老後の住まい選びの真実と落とし穴、そして意外な可能性まで、不動産のプロが徹底解説します。
築き上げた資産を老後の幸せにつなげる選択肢の全てを、ここからご覧ください。

なぜ老後に家を売ってはいけないのか

老後の住まいについて考える際、自宅を売却することには慎重になるべき理由がいくつかあります。
人生の最終章を迎えるにあたり、長年築き上げてきた自宅には金銭的価値だけでなく精神的な安心感も含まれており、簡単に手放すべきではないと言えるでしょう。
まずは、家を売ることで生じる可能性のある問題点を詳しく見ていきましょう。
住環境の変化が負担になる
長年住み慣れた家から引っ越すことは、高齢者にとって想像以上の精神的・身体的負担となります。
特に高齢になればなるほど、新しい環境への適応は難しくなるもので、これは単純な不便さだけでなく健康面にも影響を及ぼす可能性があります。
馴染みのある近所づきあいや、日常生活の動線、病院や買い物などの利便性を失うことは、生活の質を大きく低下させる可能性があり、このような環境変化によるストレスは抑うつ症状を引き起こすこともあります。
認知症リスクの観点からも、住み慣れた環境を維持することは脳の活性化を促し、記憶の維持に寄与すると多くの研究で指摘されています。
また、長年の生活で培った地域とのつながりは高齢期の孤立を防ぐ重要な社会的資本であり、これを失うことのリスクは計り知れません。
賃貸に引越した場合は毎月の家賃の支払いが発生する
自宅を売却して賃貸住宅に移る場合、これまでなかった「家賃」という固定費が毎月発生することになり、この経済的負担は想像以上に大きいものです。
年金収入だけで生活している高齢者にとって、この新たな出費は生活の質を下げる大きな要因となり得ます。
住宅ローンがすでに完済されている場合、固定資産税などの維持費と比較しても、家賃支出の方が一般的に高額であることが多く、特に都市部では家賃相場の上昇傾向も懸念されます。
売却益を取り崩しながら家賃を支払い続けることで、資産は徐々に減少していきまので、予想以上に長生きした場合などの長期的な視点でリスクも考慮すべきでしょう。
また、賃貸契約の更新時に家賃が上がる可能性もあり、高額な収入が見込めない高齢者にとっては将来的な不安要素となることも否めません。
築古物件は利益が出ない可能性も
築年数が経過した物件の場合、思ったほどの売却益が得られないケースが多々あり、期待していた老後資金が大幅に目減りする危険性があります。
特に地方の築古物件は需要が少なく、売却価格が低くなりがちで、都市部と比較すると資産価値の下落幅が大きい傾向にあります。
土地の価値が下がっている地域では、当初の購入価格よりも大幅に安い金額でしか売れないこともあり、老後の資金計画に狂いが生じる可能性が高まります。
また、売却にかかる仲介手数料や譲渡所得税、印紙税などの諸費用も無視できない金額となるため、手元に残る実質的な売却益は想像以上に少なくなることが多いのです。
さらに、市場環境や経済状況によっては売却自体に時間がかかり、その間の生活設計にも影響が出る可能性もあります。
賃貸住宅を借りるのが難しい
高齢者が新たに賃貸住宅を借りようとする場合、年齢を理由に入居を断られるケースが珍しくなく、これは住居選択の自由を大きく制限することになります。
「高齢者お断り」と明言されることは法的な問題もあり少ないものの、保証人の問題や将来的な介護・医療ニーズへの懸念、孤独死のリスクなどから、大家や管理会社が高齢入居者に消極的なのは現実的な問題として存在しています。
このため、自宅を売却してから理想的な賃貸物件が見つからず、住環境を大きく妥協せざるを得ないケースも少なくありません。
高齢者向けの家賃保証サービスなどもありますが、追加コストがかかることや、利用できる物件が限られるといった課題もあります。家を売却する前に、実際に住める賃貸物件があるのかを十分にリサーチすることが極めて重要なのです。
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老後に家を売るメリットはある?

家を売ることにはデメリットだけでなく、状況によっては大きなメリットもあります。
特に高齢になってからの生活スタイルや経済状況を考慮すると、家を売却することが最適解となるケースも少なくありません。
ここでは、老後に家を売ることで得られる主なメリットを詳しく解説しますので、ご自身の状況に合わせて検討する材料としてください。
維持費やローンの負担がなくなる
家を所有し続けるには、固定資産税や都市計画税などの税金、建物の修繕費、火災保険料、管理費や修繕積立金など様々な維持費がかかるものであり、これらの支出は年金生活に入ると想像以上の負担となることがあります。
特に築年数が経過した物件では、屋根や外壁の劣化、給排水設備の老朽化などに伴う大規模修繕が突然必要になることもあり、数百万円規模の予想外の高額出費が発生するリスクを常に抱えています。
また、住宅ローンが残っている場合は、その返済負担から解放されることで毎月の生活にゆとりが生まれるだけでなく、心理的な安心感も得られるでしょう。
退職後の収入減に伴い、これまで問題なく払えていたローンが重荷になるケースも多く、収入と支出のバランスを考えた場合、維持費の負担から解放されることは大きなメリットとなります。
相続問題を予防できる
複数の相続人がいる場合、不動産をどのように分割するかで争いが生じることは珍しくなく、家族間の関係悪化につながる深刻な問題となることが少なくありません。
現金化しておくことで相続時の分割がスムーズになり、子どもたちの間のトラブルを未然に防ぐことができるため、家族の和を守るという観点からも重要な選択となります。
また、相続税の支払いのために急いで不動産を売却するよりも、計画的に売却することで市場環境を見極めながら有利な条件での取引が可能になり、相続人への最大限の資産継承を実現できるでしょう。
さらに、不動産の相続には名義変更や登記など複雑な手続きが伴いますが、現金であればそうした煩雑さもなく、特に遠方に住む子どもたちにとっては大きな負担軽減となります。
売却代金を生活費に活用できる
住宅の売却で得た資金は、老後の生活資金として柔軟に活用できるため、経済的な安心感を大きく高めることができます。
年金だけでは十分な生活ができない場合や、将来的な医療・介護費用の備えとして、まとまった資金があることは精神的な余裕をもたらし、不測の事態にも対応できる安全網となります。
また、長年我慢していた趣味や旅行など、人生を豊かにする活動に投資することも可能になり、これまで住宅費に回していた費用を自分自身の充実や楽しみに使えるようになることで、第二の人生を積極的に楽しむ余裕が生まれるでしょう。
資産の現金化によって選択肢が広がり、より自由度の高い老後生活を送ることができるという点は、多くのシニア層にとって魅力的なメリットと言えます。

より住みやすい家に移ることができる
老後の身体状況に合わせて、バリアフリーや介護設備が整った住居へ移ることは、将来的な生活の質を大きく左右する重要な選択肢となります。
階段の多い家や広すぎる家は、高齢になると掃除や管理が困難になるだけでなく、転倒リスクも高まり、日常生活の中で思わぬ事故につながる可能性も否めません。
売却資金を活用して、段差の少ないワンフロアの暮らしができる平屋や、エレベーター付きマンション、あるいは介護サービスが充実した高齢者向け住宅など、より生活しやすい住環境に移ることで、長く自立した生活を続けられる可能性が高まるとともに、家族の介護負担も軽減できるという側面もあります。
また、コンパクトな住まいに移ることで、掃除や管理の手間が減り、趣味や交友関係など、より充実した時間の使い方ができるようになるという生活の質の向上も期待できるでしょう。
老後に家を売る方法

家を売却する決断をした場合、いくつかの方法があります。
それぞれには独自の特徴とメリット・デメリットが存在するため、ご自身の経済状況や健康状態、将来設計などを総合的に考慮した上で、最適な選択をすることが大切です。
自分に合った売却方法を見つけることで、老後の生活をより安心で豊かなものにすることができるでしょう。
不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社に仲介を依頼することは、高齢者を含む多くの方が選択する最も一般的かつ実績のある売却方法です。
この方法の最大の魅力は、市場価格に近い、あるいはそれを上回る金額で売却できる可能性が高い点にあります。
特に「一括査定」と呼ばれる複数の不動産会社への査定依頼を活用することで、物件の適正価格を正確に把握しながら、より有利な条件を引き出せます。
不動産会社は独自の顧客データベースや不動産ポータルサイト、実店舗での集客など多様なチャネルを駆使して広く買い手を探してくれるため、競争原理が働き、最終的な売却価格を最大化できる可能性が高まるのです。
また、価格交渉や契約書作成など専門知識を要する手続きをプロが代行してくれる安心感も大きなメリットです。
ただし、立地や状態、価格設定によって異なりますが、一般的に買い手が見つかるまでには3〜6ヶ月程度の時間を要することを念頭に置く必要があります。
また、成約までの間には内覧対応や各種書類の準備など様々な手続きが発生するため、特に高齢者の方は体力的な負担を考慮したスケジュール設定が重要です。
最近では「売主不在型内覧」などのサービスを提供する不動産会社も増えており、こうしたサポート体制の充実度も選択の基準となるでしょう。
仲介手数料は売買価格の3%+6万円(税別)が上限と法律で定められており、例えば3,000万円の物件であれば最大96万円(税別)となりますが、物件価格によっては思ったほどの負担にならないケースも多いでしょう。
この費用対効果は、専門家のサポートを受けることで得られる売却価格の上昇や精神的な安心感を考えると、十分見合うと言えます。
地域での実績、対応の丁寧さ、高齢者向けサービスの充実度などを基準に信頼できる不動産会社を選ぶことで、煩雑な売却手続きをスムーズに進められるだけでなく、市場価値を最大化しながら心理的・体力的な負担を最小限に抑えた売却が実現できるでしょう。
業者に買い取ってもらう
不動産会社や買取専門業者に直接物件を買い取ってもらう方法は、近年特に注目を集めており、時間的制約のある高齢者を中心に選択されるケースが増加しています。
この売却方法は、市場に物件を公開せず、査定後すぐに売買契約を締結できるため、最短2週間、通常でも1〜2ヶ月程度で確実に現金化できるという圧倒的なスピード感が最大の魅力となっています。
一般的な仲介売却では必須となる内覧対応や価格交渉などの煩わしい手続きも不要なため、心身の負担を大幅に軽減できる点も高齢者にとって重要なメリットです。
また、買取業者は物件の状態を問わず購入するため、老朽化が進んだ築古物件や、間取りや立地に難があるいわゆる「訳あり物件の買取」であっても、リフォームやクリーニングなどの費用と手間をかけることなくそのままの状態で売却できます。
これは相続で突然不動産を取得したものの維持管理が難しい場合や、介護施設への入居資金が急に必要になった場合など、緊急性の高い状況においては非常に心強い選択肢となるでしょう。
一方で買取価格は市場価格と比較して2〜3割程度低くなるのが一般的です。
これは業者が買い取った後にリフォームや改装を施し、再販するためのコストと利益を確保する必要があるためです。
例えば、仲介売却であれば3,000万円で売れる物件が、買取では2,100〜2,400万円程度になる可能性があることを理解しておく必要があります。
ただし仲介手数料が不要である点や、確実に売却できる安心感を考慮すると、状況によっては十分に検討の価値がある選択肢と言えるでしょう。
不動産の買取を選択する場合は、信頼できる業者を選ぶことが極めて重要です。
実績の乏しい業者や過度に安い買取価格を提示する業者の中には、契約後に様々な理由をつけて減額を迫るといった悪質なケースも報告されています。
必ず複数の業者から査定を取得し、その価格差や根拠を比較検討すること、宅地建物取引業の免許番号や過去の取引実績、顧客評価などを丁寧に確認することが必要です。
また、査定額や条件に納得がいかない場合は、無理に契約せず、仲介売却や住み替え専門の相談窓口などの別の選択肢を検討することも賢明でしょう。
売却後も賃貸で住み続けるリースバック
リースバックは、所有する自宅を投資会社や不動産会社に売却した後、同時に賃貸借契約を締結し、これまでと変わらず同じ住まいに住み続けることができる売却方法です。
この手法は特に年金収入のみで生活するシニア層において、住環境を維持しながら資産の現金化を実現できる選択肢として、近年急速に認知度が高まっています。
最大の特徴は、引っ越しという高齢者にとって身体的・精神的負担の大きい作業が不要で、長年かけて築いた近隣関係や医療機関とのつながりをそのまま維持できる点です。
また、家具や思い出の品々を整理・処分する必要がなく、生活スタイルを変えずにまとまった資金を手に入れられるという安心感も大きな魅力となっています。
このリースバック方式は特に、持ち家はあるものの現金資産が少ない「ハウスリッチ・キャッシュプア」と呼ばれる状態の高齢者や、医療・介護費用の捻出に悩む方、子供への生前贈与や相続税対策を考えている方にとって有効な選択肢となります。
不動産を所有していることで発生する固定資産税や修繕費などの負担から解放される点も、高齢者の生活設計においては重要なメリットです。
近年では健康寿命の延伸に伴い、70代後半や80代になってからの住み替えが体力的に難しくなるケースも増えており、その意味でも早めの資金化策として検討する価値があるでしょう。
一方で、売却後は新たに家賃という固定支出が発生するため、長期的な家計への影響を綿密に試算することが不可欠です。
特に契約期間や家賃改定条件、将来的な建物の建て替えや大規模修繕時の対応、契約更新時の条件などについては細部まで確認し、不明点は書面で明確にしておくことが重要となります。
また、買取価格は一般的な売却価格よりも10〜20%程度低く設定されることが多いため、通常の売却との比較検討や、別の選択肢として高齢者向け住宅への住み替えなども含めた総合的な判断が必要でしょう。
リースバック専門の業者も増加していますが、サービス内容や条件は会社によって大きく異なります。
契約期間は10年以上の長期間を保証している業者から3年程度の短期間しか保証しない業者まで様々です。
必ず複数の会社から提案を受け、家賃設定や契約期間、将来的な買戻し条項の有無など、細部にわたって比較検討することが賢明です。
また、弁護士や司法書士などの専門家に契約内容を確認してもらうことも、安心して住み続けるための重要なステップと言えるでしょう。
シニア向けローンのリバースモーゲージ
リバースモーゲージは、所有する自宅を担保として融資を受けられる高齢者向けの独特な金融商品です。
通常の住宅ローンとは逆の仕組みとなっており、居住したまま資金を引き出せる点が最大の特徴となっています。
欧米では高齢者の生活資金確保策として数十年の歴史があり、日本においても近年は都市銀行や信託銀行、地方銀行、信用金庫など幅広い金融機関が取扱いを始めることで選択肢が広がりつつあります。
契約者は自宅に居住を続けながら毎月一定額または必要時に資金を引き出すことができ、借入金の返済は契約者が亡くなった後に自宅を売却して清算するため、生存中の返済負担がないという画期的な仕組みを持っています。
この金融商品の最大のメリットは、自宅という最大の資産を維持したままで現金化できる点にあります。
年金だけでは十分でない生活費の補完や、介護・医療費の備え、住宅のバリアフリーリフォーム資金として活用でき、高齢期の安定した生活設計を可能にします。
また、一般的な金融商品と比較して担保価値の範囲内であれば所得証明が不要であったり、使途が自由であったりと、高齢者にとって利便性の高い特徴を持っています。
さらに、融資金に対する利息は実際に引き出した金額にのみ発生するため、計画的に利用すれば金利負担を最小限に抑えることも可能です。
しかしながら、金融機関によって融資可能な物件条件や融資限度額、金利設定、契約可能年齢などが大きく異なる点には注意が必要です。特に築年数が古い物件や木造住宅、地方の市場性が低い地域の物件については審査が厳しくなる傾向があり、利用できないケースも少なくありません。
一般的には担保価値の40〜60%程度が融資限度額となるため、高額な資金需要がある場合は十分に満たせないこともあります。また、不動産価値の下落リスクを考慮して変動金利が設定されることが多く、長期的な利用では金利負担が増加する可能性もあるでしょう。
将来的に自宅を相続人に残したいと考える場合は、事前に家族間での十分な話し合いが不可欠です。
多くの金融機関では契約者死亡時に相続人が融資残高を一括返済すれば物件を相続できる「代位弁済」のオプションを用意していますが、そのための資金計画も含めた家族全体の資産設計が重要になります。
金融機関の提案を鵜呑みにせず、自分の生活設計や相続計画に合わせて複数の商品を比較検討し、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家にも相談しながら慎重に判断することが賢明でしょう。
老後に家を売る際の注意点

老後の住まいに関する決断は、その後の生活の質や経済状況に大きく影響するため、感情的な判断ではなく、様々な角度から冷静に検討することが大切です。
焦らずじっくりと情報収集を行い、専門家のアドバイスも参考にしながら、後悔のない選択をすることがポイントとなります。
では最後に、家の売却を検討する際の注意点について解説していきます。
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家族に相談する
家の売却は、本人だけでなく家族にも大きな影響を与える重要な決断であり、特に長年家族で暮らしてきた住まいの場合、感情的な側面も無視できません。
配偶者や子どもたちとは事前によく話し合い、それぞれの意見や感情を尊重しながら合意形成を図ることが望ましいでしょう。
相続の問題や将来の介護の可能性も視野に入れ、家族全体の将来設計の中で最適な判断をすることが重要であり、時には専門家を交えた家族会議を開くことも効果的です。
また、認知症などで判断能力が低下してからでは、不動産の売却手続きには成年後見人の選任など非常に複雑な法的手続きが必要になるため、元気なうちに家族との話し合いや必要な対策を講じておくことをオススメします。
家族の理解と協力があれば、売却後の生活も心理的に安定したものになりやすく、特に配偶者がいる場合は、二人で納得できる決断をすることが将来の関係性にも良い影響を与えるでしょう。
周辺環境をしっかり確認する
新しい住まいに移る場合は、周辺環境の確認が欠かせず、この点は高齢期の生活の質を左右する非常に重要な要素となります。
特に、総合病院や専門医のいるクリニックへのアクセス、日常的な買い物の利便性、バスや電車などの公共交通機関の充実度、夜間の明るさや防犯カメラの設置状況など治安の良さは、高齢期の生活の質と安全に直結するため、実際に訪れて確認することをオススメします。
また、将来的に介護が必要になった場合の訪問介護サービスの充実度や特別養護老人ホームなどの施設の待機状況、自治体の高齢者向け支援サービスの内容なども重要なポイントであり、事前に自治体の窓口で情報収集しておくと安心です。
可能であれば、移住を検討している地域に短期滞在して、季節や天候による生活のしやすさの変化も含め、実際の生活感を体験してみることも非常に良い判断材料になります。
近隣住民との交流の機会や、高齢者向けのコミュニティ活動の有無なども、孤立を防ぎ充実した老後を送るために確認しておきたいポイントでしょう。
住宅ローンは組まない
高齢期に新たな住宅ローンを組むことは、基本的に避けるべきであり、特に返済期間が長期にわたる場合はリスクが高まります。
定年退職後は収入が減少する時期に新たな借金を負うことで、将来の生活を圧迫するリスクがあるだけでなく、健康状態の変化や予期せぬ出費に対する経済的な余裕も失われがちです。
また、高齢者向けの住宅ローンは審査基準が厳しく、金利も一般的なローンより高めに設定されていることが多いため、経済的に不利になる可能性が高く、返済途中で万が一のことがあった場合、遺族に負担をかけることにもなりかねません。
住み替える場合も、できるだけ売却資金の範囲内で購入できる物件を選ぶか、初期費用は発生するものの月々の負担が予測しやすい賃貸を検討することをオススメします。
どうしても住宅ローンを利用する必要がある場合は、返済期間をできるだけ短く設定し、団体信用生命保険が付いた商品を選ぶなど、リスクを最小限に抑える工夫が必要です。
老後の住まいは「資産形成」ではなく「生活の質の向上」を第一に考え、無理のない資金計画を立てることが何よりも重要です。
まとめ
今回は、老後の家の売却について、メリットとデメリットの両面から詳しく解説しました。
住み慣れた環境を離れることの精神的負担や、賃貸への引っ越しによる継続的な支出増加などのデメリットがある一方で、維持費の軽減や資金化による生活の充実、相続問題の予防といったメリットもあります。
最適な選択は個人の状況によって大きく異なるため、家族との十分な話し合いや専門家へのご相談をおすすめします。
また、売却方法についても、通常の仲介、買取り、リースバック、リバースモーゲージなど複数の選択肢があり、それぞれの特徴を理解した上で判断することが重要です。
私たち恵比寿不動産では、高齢者の方々の住まいに関する様々なご相談に対応しています。
老後の住まいについてお悩みの方は、ぜひ一度恵比寿不動産へお問い合わせください。
お客様の状況に合わせた最適な提案をさせていただきます。
