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住宅ローン返済中でも売却は可能!売却方法をケース別にご紹介

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 住宅ローン返済中でも自宅の売却は可能だがローンの一括返済が必要

  • 売却代金でローンを完済できない場合は自己資金などで補填することが必要

  • 売却時にかかる費用や手数料、税金、特別控除を把握しておくことは重要

自宅の売却を考えていて「住宅ローンを返済中でも売却できる?」「家を売る際、住宅ローンはどうなるの?」などの疑問を持っている方もいるでしょう。

住宅ローン返済中に自宅を売るには、ローンを完済し、抵当権を抹消する手続きが必要です。また、売却後も残債が残る「オーバーローン」の状態の場合、自己資金などで不足分を補う必要があります。
本記事では、住宅ローン返済中に自宅を売却する際のポイントや注意点、売却手順について詳しく解説します。

目次

住宅ローン返済中の家を売却する前にまず確認すべきこと

住宅ローン返済中の家を売却する際は、事前にローン残債や売却価格を確認し、売却代金でローンを完済できるかシミュレーションしておくことが必要です。これらを事前に把握しておくことで、売却の判断がしやすくなり、スムーズに計画を立てることができます。

ここでは、住宅ローン返済中の家を売却する前にまず確認すべきことを紹介します。

住宅ローンの残債を確認する

住宅ローン返済中の家を売却する際は、まずローンの残高を確認しておくことが大切です。

なぜなら、住宅ローンのある家は金融機関の抵当権(担保)が設定されており、売却時にはローンを完済し、抵当権を抹消しなければならないからです。
抵当権…住宅ローンを組む際、金融機関が土地や建物に設定する権利です。ローンの返済が滞った場合、抵当権により不動産を売却して回収することが可能になります。

つまり、売却するには住宅ローンを一括で返済する必要があるため、事前に残債を確認しておくことが重要です。

住宅ローンの残債を確認する方法は、次のとおりです。

●残高証明書で確認する
住宅ローンの残高証明書(住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書)は、年末時点のローン残高が記載された書類です。金融機関から発行され、住宅ローン控除の手続きに必要となります。残高証明書を確認することで、年末時点のローン残債がわかります。

●返済予定表で確認する
返済予定表は、住宅ローンの毎月の返済額や内訳(元金・利息)、残高などが記載された書類です。住宅ローンの契約後に金融機関から発行され、一部の金融機関ではWeb上で確認できる場合もあります。返済予定表は、住宅ローンの借り換えや繰上返済時にも確認が必要です。もし紛失した場合は、金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。

●金融機関のWebサイトで確認する
金融機関によっては、Webサイトで住宅ローンの残高を確認できます。ログインにはIDやパスワードが必要です。残高証明書や返済予定表とは異なり、ほぼリアルタイムの残債を把握できるのが特徴です。

●金融機関の窓口で確認する
金融機関の窓口でも住宅ローンの残債を確認できます。営業時間内に店舗を訪れて相談しましょう。また、電話で残高照会が可能な金融機関もあります。窓口や電話で確認する際は、本人確認のため、契約内容のわかる書類や通帳、キャッシュカードなどが必要になります。

このような方法で、住宅ローン残債を事前に確認し、売却を進めるかどうか判断しましょう。

売却価格を調べる

住宅ローンの残債を確認すると同時に、売却価格も調べておきましょう。
戸建て、マンション、土地など、不動産の売却価格や相場を調べる方法は、以下のとおりです。

●レインズマーケットインフォメーション(REINS)で調べる
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営するサイトで、都道府県や地域ごとにマンションや戸建ての取引価格を検索できます。約48万件(※)の情報が掲載されており、類似物件の過去の取引価格を参考に自宅の売却相場を予測できます。※2025年3月13日時点

●不動産情報ライブラリで調べる
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営するサイトで、不動産の取引価格や地価を調べることができます。類似物件の実際の売買価格を参考に、自宅の売却相場を把握できます。

●不動産ポータルサイトで調べる
不動産ポータルサイトには、現在販売中の不動産情報が掲載されています。不動産ポータルサイトをチェックすることで、類似物件の売り出し価格を確認できます。詳細な条件で検索することができ、掲載されている情報も豊富です。

●不動産情報誌やチラシで調べる
不動産情報誌やチラシに掲載されている情報を参考にすることで、売却相場を予測できます。Webサイトには載っていない物件が紹介されていることもあり、サイトとあわせて確認することで、相場をより正確に把握できます。

●不動産会社に査定を依頼する
不動産会社に家の査定を依頼すると、売却価格を把握することができます。不動産会社は、物件の住所や築年数、広さ、間取り、設備などの情報をもとに、類似物件の取引や市況を参考にして売却価格を算出します。査定を依頼する際は、複数の不動産会社にお願いするのがよいでしょう。各会社で特徴や強み、査定のポイントが異なるため、査定価格に差が出ます。また、比較することで、実際に売却を依頼する不動産会社選びにも役立ちます。

このように、さまざまな方法で相場や売却価格を調べることができます。REINSや不動産情報ライブラリなどで相場を確認しつつ、不動産会社に査定を依頼して売却価格を確認するのがおすすめです。

自分で相場を理解していれば、提示された売却価格が適正かどうかを判断しやすくなります。

売却見込み金額で住宅ローンの完済ができるかシミュレーションをする

住宅ローンの残債と売却価格を把握した後は、売却代金でローンを完済できるかどうかを具体的にシミュレーションします。

自宅を売却する際は、抵当権を抹消するためにローンを完済することが必要です。売却価格が残債を上回れば売却代金で一括返済が可能ですが、下回る場合は不足分を別の資金で補う必要があります。

売却の判断や資金計画に関わる重要な部分なので、できるだけ早くシミュレーションを行うことが大切です。

シミュレーションを行う際には、売却に伴う諸費用も考慮する必要があるため、不動産会社に相談することをおすすめします。

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残債が残るオーバーローン(残債割れ)で売却する場合

不動産を売却する際、抵当権を抹消するために住宅ローンの一括返済が必要ですが、売却代金だけで完済できるとは限りません。

もし売却代金が残債を下回る「オーバーローン(残債割れ)」の状態になった場合、不足分を別の方法で補う必要があります。主な対策として、以下の2つがあります。

・手出し金で残債を返済する
・住み替えローンで返済する(銀行次第)

これらの方法でローンを完済すれば、不動産を売却し、残債の負担からも解放されます。
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。

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手出し金で残債を返済する

オーバーローンの状態になった場合は、不足分を自己資金で補う方法があります。例えば、ローン残債が3,000万円あり、売却代金で返済に充てられるのが2,800万円の場合、不足する200万円を貯金などから補い、完済する方法です。

この方法ならローンを完済できるため、抵当権の抹消も可能になります。手出し金で残債を返済するメリットとデメリットは、以下のとおりです。

■メリット
・ローンを完済できて返済の負担から解放される
・売却手続きをスムーズに進められる

■デメリット
・まとまった資金を準備する必要がある
・不足分が大きい場合は自己資金だけでは難しいこともある

自己資金で不足分を補うため、審査がなくスムーズに売却を進められます。ただし、残債が多く不足額が大きい場合は、自己資金だけでは対応が難しく、別の方法を検討する必要があります。

そのため、この方法は自己資金にある程度の余裕がある場合におすすめです。不足分を補うために貯金をすべて使ってしまうと、売却後の生活に支障をきたす可能性があります。

自己資金での返済を検討する場合は、早めに売却シミュレーションを行い、どのくらいの自己資金が必要になるかを把握しておきましょう。

住み替えローンで返済する(銀行次第)

オーバーローンの状態になった場合、住み替えローンを利用して残債を返済する方法もあります。住み替えローンとは、売却する不動産の残債と、新しく購入する不動産の資金をまとめて借り入れできるローンのことです。そのため、住み替えローンを利用することで、残債を完済でき、オーバーローンの状態を解消できます。

住み替えローンで返済するメリットとデメリットは、以下のとおりです。

■メリット
・自己資金を使わなくて済む
・残債が大きくても対応しやすい

■デメリット
・これまでより借入額が増える可能性がある
・金融機関の審査に通らないことがある

住み替えローンを利用すれば、手出し金が不要なため、自己資金が少ない方でも不動産を売却できます。ただし、売却する不動産の残債と新居の購入資金を合わせて借り入れるため、これまで以上に借入額が増え、返済負担が大きくなる可能性があります。

また、住み替えローンを取り扱っていない金融機関もあり、通常の住宅ローンより審査が厳しくなる傾向があるため、利用できないケースもある点に注意が必要です。

住み替えローンを検討する際は、事前に金融機関の取り扱い状況を確認し、返済シミュレーションを行いましょう。また、審査に通らなかった場合の対策もあらかじめ考えておくことをおすすめします。

売却金額で完済ができるアンダーローンで売却する場合

住宅ローンの残債が売却代金を下回る「アンダーローン」の場合、売却代金だけでローンを完済でき、抵当権の抹消が可能です。さらに、完済後に売却益が残れば、新居の頭金や他の用途に活用できます。アンダーローンであれば、自己資金を用意したり、住み替えローンを検討する必要はなくなります。

事前に売却の手順やポイントを押さえておくことで、よりスムーズに進めることが可能です。ここでは、アンダーローンでの売却手順やポイントについて詳しく見ていきましょう。

売却時の費用や手数料を計算する

不動産を売却する際は、費用や手数料がかかるため、事前に把握しておくことが大切です。例えば、売却が成立すると、不動産会社への仲介手数料をはじめとする諸費用がかかるため、売却価格の全額がそのまま手元に残るわけではありません。

実際に手元に入る金額は、売却価格から諸費用や手数料を差し引いた後の金額となります。

また、売却によって利益が出た場合は、譲渡所得税などの税金がかかることもあるため、注意が必要です。

売却後に手元に残る金額を正確に把握するためにも、かかる費用や手数料、税金を確認し、早めにシミュレーションを行うことが重要です。

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売却時にかかる費用と手数料

不動産売却時にかかる費用や手数料、税金は以下のとおりです。

●仲介手数料
売却が成立した際に不動産会社へ支払う手数料です。宅地建物取引業法により、手数料の上限額は「売買価格×3%+6万円+消費税」と定められています。例えば、売却価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は約105.6万円となります。

●住宅ローン返済手数料
住宅ローンを一括返済する際に、金融機関へ支払う手数料です。金額は金融機関によって異なり、無料の場合もあれば、2〜3万円程度かかることもあります。例えば、三菱UFJ銀行では、インターネット申込は1万6,500円、テレビ窓口は2万2,000円、店舗窓口では3万3,000円の手数料がかかります。一方、住宅金融支援機構のフラット35では、繰上返済手数料は無料です。住宅ローンを利用する金融機関の手数料は、事前に確認しておく必要があります。

●印紙税
印紙税は、契約書類に貼付して納付する税金で、売買金額によって税額が異なります。平成26年4月1日〜令和9年3月31日までの間に作成される書類は、軽減税率が適用されます。例えば、不動産の売却価格が3,000万円の場合、税額は1万円です。
参照:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

●抵当権抹消費用
抵当権が設定された不動産を売却する際は、住宅ローンを完済し、抵当権の抹消手続きを行う必要があります。抵当権抹消費用は、不動産1件につき1,000円かかります。例えば、売却する不動産が土地と建物の2件の場合、合計で2,000円の費用が必要です。

●司法書士手数料
登記手続きを司法書士に依頼する場合、手数料が発生します。司法書士によって金額は異なりますが、抵当権抹消登記の依頼費用はおおよそ5,000円〜2万円程度が相場です。

●譲渡所得税
不動産を売却して利益(課税所得)が発生した場合にかかる税金です。課税所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算され、課税譲渡所得は「譲渡所得−特別控除」で算出されます。譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間に応じて異なります。

  • 短期譲渡所得(所有期間が5年以下)
    税率39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
  • 長期譲渡所得(所有期間が5年超)
    税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

例えば、課税譲渡所得が2,000万円で不動産の所有期間が3年の場合、譲渡所得税は約792.6万円となり、所有期間が7年の場合は約406.3万円になります。

※概算であり、実際の税額とは異なる場合があります。
参照:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

●ハウスクリーニング費用
売却時にハウスクリーニングを依頼する場合、費用がかかります。料金は業者や間取り、広さ、掃除箇所によって異なりますが、数万円程度が目安です。

●引っ越し費用
自宅を売却する際には、新しい住まいへの引っ越し費用もかかります。費用は業者や荷物の量、移動距離によって異なるため、事前に見積もりを取ることが大事です。

このように、不動産を売却する際には多くの費用や手数料、税金が発生します。また、新しい住まいの購入費用や賃貸費用、売却時のリフォーム・修繕費用なども考慮する必要があります。
早めにこれらの費用や税金の金額を把握しておくことが大切です。

売却準備・売却活動を行う

不動産会社に依頼して、売却準備や売却活動を進めます。

不動産会社ごとに特徴や強みが異なるため、複数の会社を比較して依頼先を決めることが大事です。特に、実績が豊富で売却する不動産の種類や地域に強みがある会社を選ぶことで、良い条件での売却が期待できます。
査定を依頼する際には、査定価格だけでなく、担当者の対応や実績、特徴、評判も比較してみましょう。

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不動産会社が決まったら、媒介契約を結び、売却活動がスタートします。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ契約内容に違いがあります。

一般媒介契約専任媒介契約複数社との契約
複数社との契約できるできないできない
売主と買主の直接取引できるできるできない
活動報告任意義務(2週間に1回以上)義務
(1週間に1回以上)
レインズへの登録任意義務義務
契約期間定めなし3ヶ月以内3ヶ月以内

媒介契約を結んだ後、売却する不動産の情報は、レインズやポータルサイト、情報誌、チラシ、不動産会社の自社サイトなどに掲載されます。その後、問い合わせがあれば内覧が実施され、交渉も行われます。内覧や交渉の対応は基本的に不動産会社が行うので安心です。

ただし、内覧に向けて室内の清掃や片付け、日程調整などは売主が行う必要があります。また、買主が値下げ交渉をしてくる可能性があるため、事前にどの程度の値下げまで可能か決めておくとスムーズです。

売買契約・抵当権抹消の手続きを行う

買主との交渉が成立したら、売買契約へと進みます。契約は通常、売主・買主双方が同席して行われます。
売却契約時の主な流れは、以下のとおりです。

1.重要事項の説明
契約時には、宅地建物取引士が重要事項説明を行います。取引条件や物件の詳細について買主に説明されます。

2.売買契約の締結
売買契約書の内容を確認し、問題がなければ売主・買主双方が署名・捺印します。

3.手付金の受領・仲介手数料の支払い
買主から手付金を受け取り、売主は不動産会社へ仲介手数料の半額を支払います。

4.決済・抵当権抹消手続き・引き渡し
買主が住宅ローンを利用する場合、契約から決済・引き渡しまでに約1ヶ月かかります。

買主の住宅ローン審査が通り、決済が完了したら、引き渡し前に抵当権の抹消手続きが必要です。売主はローンを完済し、抵当権を抹消した上で買主に引き渡します。

スムーズに進めるために、事前に仲介手数料の金額や住宅ローン残債の返済方法を確認しておきましょう。 また、抵当権抹消手続きを司法書士に依頼する場合は、あらかじめ依頼先を決めておくと安心です。

売却時に利用できる税金の特例

不動産売却時に利用できる税金の特例には「3,000万円の特別控除の特例」「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」などがあります。

これらの特例を利用することで、税負担を軽減できます。
ここでは、それぞれの特例の内容について詳しく見ていきましょう。

3,000万円の特別控除の特例

3,000万円の特別控除の特例は、一定の条件を満たす自宅を売却した場合に適用される特例です。
この特例が適用されると、譲渡所得から最大3,000万円が控除されるため、売却して譲渡所得が発生しても、3,000万円以下であれば非課税になります。

3,000万円の特別控除の特例を受けるための主な要件は、以下のとおりです。

・売却するのは自分が住んでいる不動産であること
・売却年の前年または前々年に同じ特例や譲渡損失の損益通算、繰越控除を受けていないこと
・不動産の売却先が親族でないこと など

一方、次のような住宅を売却した場合は、特例の対象外となるため注意が必要です。

・3,000万円の特別控除の特例を受けることを目的に居住している住宅
・別荘など趣味や娯楽、保養を目的で所有する住宅
・仮住まいなど一時的な入居を目的とした住宅

特例の適用を受ける場合には「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を添付して、確定申告を行う必要があります。

参照:マイホームを売ったときの特例|国税庁

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、売却価格がローン残債を下回り、譲渡損失が発生した場合に適用される特例です。

損益通算とは、発生した損失を給与所得や事業所得などの他の所得から差し引くことで、全体の課税所得を抑え、税負担を軽減できる仕組みです。また、損益通算で控除しきれなかった損失は、不動産を売却した翌年から最長3年間、繰り越して控除することができます(繰越控除)。

特例の適用を受けるための主な要件は、次のとおりです

・売却する不動産が自分の居住用であること
・返済期間10年以上の住宅ローンを利用していること
・売却する不動産の所有期間が5年以上であること
・売却した年の前年または前々年に「3,000万円の特別控除」や「居住用財産の長期譲渡所得に対する軽減税率の特例」を適用していないことなど

この特例を受けるには、確定申告が必要です。申告の際には「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」などの書類を添付する必要があります。

参照:住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホーム売却時の軽減税率の特例は、所有期間が10年を超えるマイホームを売却する際に、税率が軽減される特例です。
通常、所有期間が5年を超える不動産には、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率が適用されます。

しかし、この特例が適用されると、税率は以下のように軽減されます。

  • 譲渡所得が6,000万円以下の部
    14.21%(所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%)
  • 譲渡所得が6,000万円超の部分
    20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

このように、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は、大幅に税率が軽減されます。さらに、この特例は「3,000万円の特別控除の特例」との併用も可能です。

参照:マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

まとめ

住宅ローン返済中の自宅を売却する際には、抵当権を抹消するためにローンを一括返済する必要があります。売却代金で完済できれば問題ありませんが、残債が残る場合は、自己資金で補填するか住み替えローンを利用するなどの対策が求められます。

また、売却前に物件の売却価格や残債、手数料、税金などを把握しておくことで、具体的な資金計画を立てられ、売却をスムーズに進めることが可能です。住宅ローン返済中の自宅売却を検討している場合は、まず残債や売却価格を調べてみましょう。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士