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家の住み替えとは?3つの住み替え方法や費用など詳しく解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 住み替えには、売却先行型・購入先行型・同時並行型の3つの方法がある。

  • 住み替えには費用が多くかかるため、税金の特例の活用がおすすめ。

  • 住み替えの際には、融資を上手く活用することが重要。

転勤や入学など、さまざまな事情で住み替えを検討している方も多いでしょう。家の住み替えでは購入と売却を同時に行わなければならず、段取りで不安を感じている方も少なくありません。

住み替えを成功させるためには、融資や売りと買いのスケジュールを慎重に調整する必要があります。今回の記事では住み替えの方法について詳しく解説していきます。

目次

家の住み替えとは?

家の住み替えとは、名前の通り家を住み替えることをいいます。一口に住み替えといっても幅広く、持家から賃貸住宅へと住み替える場合もあれば、賃貸住宅から持ち家へと引っ越す場合もあります。住み替えといえば一般的には持家から持家へと住み替えるイメージが強いかもしれませんが、賃貸住宅から賃貸住宅へと引っ越す場合もあるでしょう。

さまざまな事情に応じて、現在住んでいる家を引っ越すことを住み替えといいます。住み替えをする理由はさまざまですが、ここでは住み替えを決断するにいたった主な理由を紹介していきます。

家を住み替える主な理由

家を住み替える主な理由として多いのは、次のような事由があります。

・結婚や離婚
・世帯から独立
・部屋を広くしたい・部屋数を増やしたい
・築浅の家に住みたい
・通勤・通学時間を短縮したい
・買い物や病院へのアクセスなど利便性を上げたい
・住居費用を抑えたい

住み替えをする理由は、人によってさまざまです。転勤や通学などによるやむを得ない事情もあれば、もっとよい環境に引っ越したいという個人的な事情もあります。しかしどのような理由であっても、引っ越す人にとっては譲れない大きな事情であることは間違いありません。ここからは引っ越しをする主な理由について、詳しく紹介していきます。

結婚や離婚

住み替えする理由の代表ともいえるのが、結婚や離婚です。一人暮らしで1Rに住んでいた方が、結婚を機にファミリータイプの部屋へと引っ越す方は多いでしょう。また実家で親と一緒に暮らしていた場合は、結婚を機に家を出るというケースはとても多いです。

独身であれば1Rの狭い部屋でも問題ありませんが、結婚して2人で暮らすとなれば大きい部屋に引っ越さなければなりません。また二人で暮らすだけではなく、将来的に子どもができた場合を想定して大きな部屋に引っ越すパターンもあるでしょう。結婚のタイミングでの引っ越しは、賃貸住宅から持家への引っ越しというケースも少なくありません。

お互い賃貸マンションに暮らしていて、結婚を機に戸建てに住み替えるという夫婦も多くいます。また結婚だけではなく、離婚も住み替えする理由の上位です。離婚が成立した場合、これまで一緒に住んでいた世帯を解消することになります。そのため住み替えをして、夫婦が別々に暮らすようになるのが一般的な離婚の流れでしょう。

離婚の場合は元々の住宅が持家であれば、売却するケースが多いです。しかし離婚のケースでは単純に不動産を売却する場合とは違います。マイホームを夫婦共有名義にしていると、売れない場合もあります。

不動産を売却するためには共有者全員の同意が必要になるため、離婚によって売却する際には夫婦間の同意が必要です。住宅ローンなどが残っている場合は、夫婦間の足並みが揃わず売却できないケースも少なくありません。結婚による住み替えと違って、離婚を理由とした住み替えは難航するケースが多いことが特徴です。

世帯から独立

就職や入学、単身赴任などの事情による住み替えも代表的な理由の1つです。世帯から独立を理由として住み替えの方法として多いのは、持家(家族の持家を含む)から賃貸住宅への引っ越しです。

たとえば親元に住んでいた子供が就職や進学を契機に、一人暮らしを始めるケースも多いでしょう。ほかにも家族で持家に住んでいたものの、会社の異動によって遠方で一人暮らしを始めることもあります。世帯からの独立、という意味では先ほど紹介した離婚も大きな理由の1つです。

世帯からの独立を理由とした住み替えの特徴としては、住み替え先が1Rなどの狭い部屋が多いことがあげられます。理由はどうあれこれまで家族で住んでいた家から、一人暮らしを始めることになるでしょう。それぞれの事情によって資金計画は異なりますが、賃料の金額を相場の費用よりも抑えるケースが多いでしょう。

部屋を広くしたい・部屋数を増やしたい

今の家が手狭になったため、部屋数の多い家や広い家に引っ越すケースも多いでしょう。子どもが生まれて家族が増えたタイミングや、親と同居することになったため住み替えを検討するようなパターンが典型的です。このような理由で住み替えする場合は、持家を買い替えるというケースも少なくありません。ほかにも相続で引き継いだ実家を建て替える場合もあるでしょう。

またマンションから戸建てへ引っ越すケースも多いです。マンションに比べると戸建ては交通アクセスが劣ることが多いですが、部屋数が多かったり広かったりすることがメリットです。住み替えに伴って元々住んでいた自宅を売却する場合、売却する価格によっては利益が出てしまう場合があります。不動産を売却して売却益が出た場合は、利益に対して税金がかかるため注意が必要です。

個人であれば所得税が課税されるため、売却した翌年に確定申告をしなければなりません。会社員の方にとっては、確定申告の手続きは不慣れな場合も多いでしょう。また確定申告には期日があるため、うっかり忘れてしまわないように注意が必要です。期日までの納税していない場合、延滞税などが科されてしまう場合があるので注意しましょう。

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築浅の家に住みたい

住んでいる家が古くなってしまったので、新築や築浅の物件に住み替えるというケースもあるでしょう。戸建てでもマンションでも、築10年を超えてくるとさまざまな箇所が傷んできます。いくら適切に修繕を行っていても、老朽化は避けられません。

新築時から期間が経過するほど建物は傷んでくるため、引っ越しを検討するケースも多いでしょう。築年数の経過した家は地震などの災害などに不安があることから、大きな災害が起こったことをきっかけに引っ越しを考える方も少なくありません。氾濫の可能性のある河川の近くや、土砂災害の可能性のある山のそばなどに住んでいる方は尚更でしょう。

築浅の家は災害に強いだけでなく、設備も新しいため快適に暮らせます。新しい家を注文住宅で建築すれば、間取りも自由に考えられます。また新しいマンションは顔認証など最新の防犯設備を導入しており、セキュリティ面でも安心です。

分譲マンションであればコンシェルジュなどのサービスも充実しています。老後の住まいを失敗しないためにも、新築マンションに住み替えるという方も多いでしょう。

通勤・通学時間を短縮したい

通勤や通学の時間短縮も、引越しの理由として多いです。仕事の都合で転勤になり、引越しを経験した方は少なくないでしょう。持家の場合は簡単には引っ越せませんが、社会人であればそもそも社宅に住んでいることも少なくありません。このようなケースでは部署の異動に伴って、引越しを余儀なくされることも多くあります。

また地方の学生が都市部の大学へ入学した場合なども、住み替えをしなければなりません。実家から通うのが大変な距離の大学に行く学生にとっては、一人暮らしを経験するきっかけになることが多いです。このように通勤・通学を理由に、引越しを検討するケースも少なくありません。

買い物や病院へのアクセスなど利便性を上げたい

買物や病院へのアクセスなど、利便性を上げたいために引っ越す方も多いです。とくに多いのが年齢を重ねて車の運転をあまりしなくなった方が、病院などに通いやすい駅前のマンションなどに引っ越すケースです。東京などの都市圏では移動は電車が中心ですが、地方部では車がなければ自由に移動できません。

しかし最近では高齢者ドライバーのトラブルも多く、一定の年齢を過ぎると免許の返納を考える方も増えています。車の運転ができなくなると日々の買物や病院通いが不便になってしまうため、元の家を手放して利便性のよい物件への住み替えを検討する方も少なくありません。

ほかにも山間部など地方部に住んでいる方が、利便性のよい物件へと住み替えるケースもあります。地方部では採算の悪い電車やバスなどが廃止になることも多く、これまでのような生活が出来なくなってしまうケースもあります。そのため生活に支障が出ないように利便性のよい市街地へと引っ越すケースも多いでしょう。

住居費用を抑えたい

住居費用を抑えるために引っ越す方も多いです。住居費用を抑えるための引っ越しは、賃貸でも持ち家でも発生します。賃貸の場合は今よりも家賃の安い物件に引っ越すことで、住居費用を抑えます。賃料の低い物件への住み替えは家賃負担を抑えることのメリットがありますが、利便性や住環境が悪化してしまうリスクがあります。

持ち家の場合は今の自宅を売却して、住宅ローンの残債を減らすことで毎月の返済額を圧縮することが可能です。住宅ローン残債がある場合は、ローン残高以上の価格で売却できれば、手元資金を残せます。残った資金を活かして新しい住居を購入することで、ローン返済を抑えることができるでしょう。

しかし住宅ローンの残債よりも高い価格で売れなかったら、住宅ローンが完済できません。そのため完済するために手元資金を出さなければいけない点が、デメリットです。購入時に諸費用などを含めたオーバーローンで借入していると、残債が残ってしまう可能性が高いです。持家を売却する際にはネットの無料査定などを活用して、しっかりとシミュレーションをおくことが成功のコツです。

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家を住み替える3つの方法

持ち家を住み替える場合、先に売ってしまうのか買ってしまうのかで悩む方も多いでしょう。家を住み替える場合には、次の3つの方法があります。

・売却先行型
・購入先行型
・同時並行型

それぞれの方法の特徴やメリット・デメリット、向いている人について紹介していきます。

売却先行型

売却先行型とは、マンションや一戸建てなど今の自宅を先に売却してしまう方法です。売り先行にすることで、予算を明確にできる点が特徴です。売却先行型の手順は、次の通りです。

1.売却活動、買主との契約
2.売却完了、資金確定
3.新居探し、購入契約
4.新居への引越し

売却先行のメリットは、次の通りです。

・住み替え費用を工面しやすい
・家の売却に時間をかけられる

売却先行型の一番のメリットは、売却額を確定してから新居を探すため資金計画をたてやすい点です。住み替えローンやつなぎ融資を利用する必要もなく、資金計画に余裕を持てます。売却額を確定させたうえで購入を検討できるため、購入にかかる費用をはっきりできる点が魅力です。

また売却先行の場合はスケジュールにも余裕があるため、じっくりと売却することができます。不動産の売却で失敗しないやり方は、売り急がないことです。急いで住み替えたいと焦ってしまうと売り急いでしまって、安く売却してしまうかもしれません。売却先行であればじっくりと売却できるため、高く売れる可能性が高まります。

一方で売却先行には、次のようなデメリットもあります。

・手間と費用が増える可能性がある
・家の購入に時間をかけにくい

売却先行の一番のデメリットが、新居が決まるまでに仮住まいが必要になる点です。一時的に仮住まいに住むため、引越しの回数やさまざまな手数料などの費用が余計にかかってしまいます。元々の家→仮住まい→新居、と引っ越しの回数も増えるため手間もかかってしまうでしょう。

また仮住まいに住んでいることから、新居の購入にあまり時間をかけられない点もデメリットです。焦って決めてしまうと、後で後悔することにもなりかねません。新居選びに失敗してしまうとせっかく引っ越したのに、日々の生活にストレスを感じてしまいます。このようなデメリットについては、事前にしっかりと把握しておきましょう。

売却先行が向いている人

売却先行が向いているのは、次のような人です。

・住宅ローンの残債がある人
・住み替えで費用面に不安がある人
・時間をかけて売却したい人

売却先行型は、資金計画をたてやすい点が魅力です。そのため住宅ローンの残債がある方には、おすすめの方法です。じっくりと時間をかけて売却できるため、住宅ローンの残債と相談しながら売却価格を決められます。中々家が売れない場合でも、焦る必要はありません。

中々よい買主が見つからない場合は、不動産会社の買取を検討することも可能です。このようにじっくりと時間をかけられるため損失を出してしまう可能性が少なく、費用面に不安のある方におすすめの方法です。

購入先行型

購入先行型は、先に新居を購入してしまう方法です。手元資金に余裕のある方や、理想の物件をすぐに確保しておきたい場合に適しています。購入先行型の手順は次の通りです。

1.新居探し・新居の決定
2.新居の購入・引き渡し
3.旧自宅の売却活動
4.旧自宅の引き渡し

買い先行のメリットは、次の通りです。

・手間と費用を抑えられる
・家の購入に時間をかけられる

買い先行では、売り先行のように仮住まいを準備する必要はありません。そのため、引越しや仮住まいの準備にかかる手間や費用はかかりません。先に新居を押さえておくことで、引越しも1回ですみます。

また新居の購入に時間をかけられる点も、買い先行のメリットです。いつまでに買わなければいけない、という期限がないため家族のニーズにあった物件を選定できるでしょう。自由に間取りを選べる戸建てと違い、中古マンションを前提としている場合は、買い先行のメリットは大きいでしょう。

続いて、購入先行のデメリットを紹介します。

・二重ローンになる可能性がある
・資金計画を立てにくい

買い先行では資金計画を立てやすい反面、二重ローンになってしまう可能性があります。二重ローンとはローンが二つ重なる状態で、返済負担も重く審査も厳しいです。

さらに売却金額が確定する前に新居を購入するため、資金計画を立てにくい特徴があります。旧自宅を売るにしても貸すにしても、資金計画がわかりにくい点がデメリットです。

購入先行が向いている人

購入先行が向いている人は、次のようなケースです。

・住宅ローンの残債がない人
・自己資金に余裕がある人
・新居をじっくり選びたい人

買い先行では先に新居を購入するため、購入の資金を先に捻出する必要があります。そのため住宅ローンの残債がないなど、資金計画に余裕のある方に向いています。また新居を時間をかけてじっくり選びたい、もしくはよい物件があるのですぐに押さえておきたい、というケースでも購入先行になるでしょう。

購入先行で注意したいのが、資金的に余裕がなくなってしまう可能性がある点です。もし売却に時間がかかるようであれば、旧自宅を賃貸に出すことを検討してもよいでしょう。賃貸に出すことで家賃収入が入り、キャッシュフローを改善できます。

同時並行型

同時並行型は、今の自宅の売却と新居の購入を同時に行う方法です。売却と購入を同時に行う必要があるため売却先行型と購入先行型のメリットを両方享受できますが、スケジュール調整が大変です。同時並行型なのであれば下記の通りです。

1.現在の住まいを売りに出すと同時に、新居を探す
2.現在の住まいの売買契約を締結
3.住み替え先の自宅の売買契約を締結する
4.住宅ローンの完済、および借入の手続きをする
5.現在の自宅の引き渡しを行い、代金を受領
6.新居の引き渡しを受けて引っ越す

同時並行型は、スケジュール調整がとにかく大変です。とくに住み替え先の購入と、今の自宅の売却を合わせる必要があるため両方の手続きを平行して行わなければなりません。住宅ローンを利用する場合、新しい住宅ローンを借りる条件として、旧住宅ローンの返済をしなければならない場合もあります。

その場合は先に今の住宅を売却するか、同日に決済しなければなりません。同日に決済するためには家を売るスケジュールと購入のスケジュールを逆算して、計画的に進める必要があります。調整が大変ですが、同時並行型にはメリットも多くあります。

・一度に全ての手続きが完了する
・手間と費用を抑えられる

売却と購入を平行して行うため、すべての手続きを一度で終わらせることが可能です。引っ越しも一度ですませられるため、手間や費用を抑えることが可能です。一方同時並行型には、次のようなデメリットもあります。

・新居選びを焦る可能性がある
・売却を焦る可能性がある

同時並行型では購入と売却スケジュールを合わせる必要があるため、スケジュール調整が何より重要です。スケジュールを優先しすぎるあまり、購入にも売却にもじっくりと時間をかけられない可能性があります。そのため焦って安く売ってしまったり、急いで新居を選んだりしてしまう可能性があります。

同時並行が向いている人

同時並行型が向いているのが、次のような人です。

・手間を省きたい人
・費用を抑えたい人

一度に売却も購入を行うため、買い先行や売り先行に比べると引っ越しなどの手間が少ないです。そのためできるだけ手間や費用を抑えたい方には、同時並行型が向いています。売り先行や買い先行に比べると同時並行型は、一番手間や費用が少なくできる住み替え方法です。

メリットが多い反面、スケジュール調整が大変というデメリットがあります。売り・買い。それぞれの不動産会社や、住宅ローンを返済する銀行担当者・新たに住宅ローンを借りる銀行担当者など、多くの方と連携を密にする必要があるでしょう。綿密に多くの人と連携ができて、スケジュール調整などに割く時間のある方でなければ同時並行型は成立しません。

住み替えにかかる費用

住み替えを成功させるためには、資金計画は欠かせません。購入代金と売却代金は金額も大きくわかりやすいためしっかりと計算する方が多いですが、諸費用を見落としてしまう方も少なくありません。ここでは住み替えにかかる、費用を見ていきましょう。

購入にかかる費用

不動産を購入する際に必要な費用は、下記の通りです。

・仲介手数料
・印紙税
・借入にかかる費用
・火災保険料
・登記に関する費用
・固定資産税・都市計画税
・不動産取得税
・登録免許税

仲介手数料は、宅地建物取引業によって下記のように上限が定められています。

・売買価格(税抜)×3%

さらに不動産購入の税金として、印紙税・固都税・不動産取得税・登録免許税があります。購入にかかる税金のほか、火災保険などの費用も忘れてはなりません。ほかにも購入した物件をリフォームするのであれば、リフォーム費用も見積もっておくようにしましょう。

ほかにも、間接的ではありますが住宅ローンの金利負担がかかる点も注意点の1つです。購入にかかる費用すべてを住宅ローンで賄えれば問題ありませんが、場合によっては頭金が必要なこともあるでしょう。しかし住宅ローンを組むことで、住宅ローン控除を受けられるメリットもあります。

住宅ローン控除は居住用不動産を購入した際の特例で、毎年年末に控除を受けられます。特例を受けるためには必要書類を準備して確定申告を受ける必要がありますが、大きな節税が可能です。購入にかかる費用を計算する際は、住宅ローン控除も織り込んでおきましょう。

売却にかかる費用

不動産を売却する際には、下記のような費用がかかります。

・印紙税
・借入返済費用
・抵当権抹消費用
・譲渡所得税
・解体費・測量費
・仲介手数料

不動産を売却する際には売買契約書を作成するため、印紙代がかかります。また売却する不動産に借入が残っている場合は、売却と同時に借入を返済する必要があります。金融機関にもよりますが、繰上返済の費用として1~3万円程度がかかる場合が多いでしょう。

借入が残っている場合は、抵当権の抹消費用も必要になります。借入を利用して購入した物件には金融機関の抵当権が設定されているため、売却の際には抵当権を抹消する必要があります。抵当権の抹消は司法書士に依頼しますが、費用は5,000~2万円程度が一般的でしょう。

また、不動産売却の費用で忘れてはいけないのが、譲渡所得税です。譲渡所得と聞いてもわかりにくいかもしれませんが、譲渡は売却という意味で、所得は利益です。譲渡所得税は売却によって利益を得た際にかかる税金で、下記の計算式で計算します。

【譲渡所得】
物件を売った金額等(譲渡収入金額)–物件を買った費用(取得費)+売却時の諸費用(譲渡費用)

譲渡所得に対して、下記の税率をかけて税金を計算します。

  • 物件の所有期間が5年以下:39.63%
  • 物件の所有期間が5年超:20.315%

住み替えを成功させるために減税措置を利用しよう

家の住み替えには、どうしても税金がかかってしまうことがあります。とくに現在のように不動産価格が上昇している局面では、売却に伴って譲渡所得税が発生します。税金をできるだけ節約して、住み替えを成功させるには減税措置の活用が重要です。住み替えの際に使える減税措置には、次のようなものがあります。

3000万円の特別控除
・譲渡損失が出た場合の特例
・買い替え特例

3000万円の特別控除

居住用財産の3000万円特別控除とは、マイホームを売却した際の譲渡所得税を節税できる特例です。住み替えに伴う売却の場合でも、売却で利益が出た場合は譲渡所得税がかかります。しかし税金を気にして売却をためらう方が増えてしまうと、不動産の円滑な取引ができません。そこで作られたのがこの特例で、名前の通りを自宅を売却した場合の所得を、3,000万円控除できます。

この特例を適用すれば、所得が3,000万円までなら税金がかからないなど、大きな節税が可能です。しかし特例を適用するためには、要件を満たす必要があります。3,000万円特別控除を満たす要件や、適用除外となる要件を見ていきましょう。

・所有者が居住している家屋(土地、借地権を同時に売った場合も含む)を売却した場合であること
・所有者が居住しなくなった日以後3年を経過する日の12月31日までに家屋(土地、借地権を同時に売った場合も含む)を売った場合
・買主が売主の配偶者、直系血族等の特殊関係者でないこと
・3000万円控除を受ける不動産につき他の一定の特例制度の適用を受けていない
・売主が一定の期間に住宅ローン控除の適用を受けていないこと

まず理解しておいて頂きたいのは、この特例は居住している家を売る際に利用できるという点です。そのため土地のみや借地権だけを売却した場合や、建物を取り壊した場合はこの特例の対象にはなりません。一方居住用であればマンションはもちろん、店舗併用住宅であっても自宅部分の床面積に相当する金額は対象になります。

また売却する期間にも制約があります。この特例を適用するためには、住まなくなってから3年を経過する日の12月31日までの譲渡に限られ、10年も前に売却したものは対象になりません。さらに、売却した相手が夫婦や親族などの場合は適用要件を満たさない点にも注意しましょう。

譲渡損失が出た場合の特例

売却して利益が出た場合だけでなく、損失が出た場合でも利用できる特例があります。マイホームの売却によって損失が出た場合、一定の要件を満たせば下記の所得と損益通算が可能です。

・総合譲渡
・一時所得
・経常所得(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)
・山林所得
・退職所得

損益通算とは譲渡損失をほかの所得から差し引くことで、所得全体を圧縮する効果があります。そのため所得税を節税できます。

さらに損益通算しても損失が残ってしまう場合は、3年間に限って損失を繰り越すことが可能です。翌年以降の所得から損失を控除できるため、複数年にわたって所得税を節税できます。

買い替え特例

買換え特例とは正式には、「特定の居住用財産の買換えの特例」といいます。名前の通り一定の条件を満たす物件を買い替えた場合に利用できる制度で、譲渡益に対する税金を将来に繰り延べることが可能です。わかりやすくいうと本来売却したタイミングで払うべき税金を、買い替えで購入した物件を売却する時まで先延ばしにできる制度です。

税金を先伸ばしにするだけなので、税金自体を節税できるわけではないですが、税負担を軽減できます。買い替え特例を適用するための要件の1つに、物件の所有期間が10年を超えていること、があります。長く保有していたマイホームを住み替えた際に使える制度ということを理解しておきましょう。

よくある質問

ここからは住み替えに関して、良くある質問を紹介します。

住宅ローン残債があっても住み替えは可能なのか?

住み替えとなると、多くの方が気になるのは住宅ローンに関することです。現在住んでいる自宅に住宅ローンがある場合でも、住み替えは可能でしょうか。

住宅ローンの残債があっても住み替えはできる

結論から言うと、住宅ローンの残債があっても住み替えは可能です。残債がある場合の住み替え方法には、次の3つのやり方があります。
・住み替えローン
・つなぎ融資
・ダブルローン
それぞれのやり方について、詳しく紹介していきます。

住み替えローン

住み替えローンは名前の通り住み替えの際に利用する住宅ローンです。住み替えをする場合は新居の購入後に、旧自宅を売却するケースが多いです。旧自宅が売却できたタイミングで旧住宅ローンを完済しますが、どうしてもタイムラグが出てしまいます。

現実的に同時決済できるケースは少なく、一時的に新旧の住宅ローンが走ってしまうケースは珍しくありません。このようなケースに対応しているのが住み替えローンで、新住宅ローン借入後に1年以内に旧住宅ローンを完済する、というような条件が付いています。

住み替えローンでは旧住宅ローンを完済するまでは、新しい住宅ローンの返済を据え置きすることも可能です。審査の際にもダブルローン状態で審査されるのではなく、旧住宅ローンは完済するという前提で審査をしてくれます。そのためダブルローンに耐えられる収入やお金がない場合でも、住み替えできる点が魅力です。

つなぎ融資

住み替えの購入と売却のタイミングが合わず、一時的に資金が必要な際に使われるのがつなぎ融資です。たとえば新居の購入が決まったものの、旧自宅売却が間に合わない場合などにつなぎ融資が使われます。つなぎ融資を利用することでタイミングを逃さずに住み替えが可能になる点が、大きなメリットです。

一方で住宅ローンに比べるとつなぎ融資は金利が高い場合が多いです。そのため費用負担が増えてしまうデメリットがあるといえるでしょう。つなぎ融資を利用する際には、借入金利や手数料にも注意するようにしましょう。

ダブルローン

住み替えの際にはダブルローンを利用する方法もあります。ダブルローンとは名前の通り旧自宅の住宅ローンと併用して、新しい新居の住宅ローンを組むことをいいます。住み替えローンと違ってダブルローンの場合は、旧自宅の住宅ローンをいつまでに返済する、といった制約がありません。

そのためダブルローンで住み替えをすれば旧自宅をじっくりと売却できるため、できるだけ高い価格で売れる可能性があります。一見ダブルローンは便利に見えますが、ダブルローンを利用するためには二つの住宅ローンの審査に通過しなければなりません。

住宅ローンの審査は、収入に対して住宅ローンなどの返済額の割合を重視します。つまりダブルローンの審査に通過するためには、収入が高くなければなりません。相当の高収入の方でなければ、ダブルローンは難しいと考えておきましょう。

まとめ

さまざまな理由で家の住み替えを検討される方も多いでしょう。家を住み替える際には、売却先行型・購入先行型・同時並行型の3つの方法があります。それぞれメリット・デメリットがあり、進め方の手順がちがいます。そのため住み替えの際には、自分に合った方法を選び慎重にスケジューリングをしなければなりません。

また住み替えの際には税金が課税されることも多いため、特例を上手く活用するようにしましょう。税金の特例だけでなく、融資を上手く活用することが住み替えの成功には欠かせません。住み替えローンだけでなく、つなぎ融資を活用する方法もあります。収入が高いのであれば、ダブルローンの利用もおすすめです。住み替えをする際には、ぜひ今回の記事を参考にして効率よくすすめるようにしましょう。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士