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マンション評価額とは?6種類の評価額と調べ方を解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士のアバター

檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • マンションの評価額には、6つの種類がある

  • それぞれの評価額の調べ方は、この記事を読めばわかる

  • マンションの評価額を調べる際には、目的に合わせた評価額を調べることが重要

マンションの相続や売買で、評価額を調べることも多いでしょう。しかしマンションの評価額にはさまざまな種類があり、どの評価額を調べればよいかわからない方も多いでしょう。

マンションの評価額は、調べる目的に合わせて確認する必要があります。今回の記事ではマンションの評価額の種類や、それぞれの評価額の調べ方について詳しく紹介します。

目次

マンションの評価額とは?

マンションの評価額とは、名前の通りマンションの資産価値を評価して価格で表したものをいいます。マンションに限らず不動産には、決められた価格がありません。マンションを売却する際には価格を決めて売り出しますが、売り出し価格は売主の希望で決めることが可能です。

相場とかけはなれた価格であっても買主との合意ができれば、売買は成立します。株式のように市場価格が決められているわけではなく、売買価格は当事者同士の合意で決まります。しかし不動産の資産価値を測るためには経済的な価値を算出しなければなりません。

そこで使われるのが評価額で、評価額はさまざまな目的で使用されます。

・相続税や固定資産税などの税金を計算するとき
・マンションを担保にして借入をするとき
・中古マンションの売値を決めるとき
・離婚時の財産分分与のとき
・火災保険に加入するとき

このようにさまざまな目的で、マンションの評価額が資産価値の目安として利用されています。中でも、とくによく使われるのが税金の計算です。税金といっても種類はさまざまですが、たとえば不動産を取得した場合にかかる税金である不動産取得税があります。

不動産取得税の計算方法は売買価格ではなく、評価額の1つである固定資産税評価額をもとに計算します。不動産の売買価格は売主と買主の合意によって決まるため、相場より安い価格でも成立することが可能です。本来1億円の価値があるマンションでも、5,000万円で売買ができます。

売買価格を基準にして計算してしまうと、税金を安くすることができてしまいます。しかし固定資産税表評価額を基準にすれば、税金を安くすることはできません。このように公平に税金を計算するために、マンションの評価額が使われます。

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マンションの評価額6つの種類

一口にマンションの評価額といっても、目的に応じてさまざまな種類の評価額があります。主なマンションの評価額は、次の6種類です。

・実勢価格
・固定資産税評価額
・不動産鑑定評価額
・地価公示価格
・相続税評価額
・建物評価額

それぞれの評価額について、詳しく紹介していきます。

実勢価格

実勢価格とは、実際に不動産が売買された価格のことをいいます。不動産の価格は売主と買主の合意によって決まるため、必ずしも適正な相場価格で取引されるわけではありません。不動産の売買価格は物件の需要と供給や周辺の環境、経済状況などさまざまな要因の影響を受けます。

また同じ物件であっても売買のタイミングが半年ずれるだけで、価格は違います。そのため実勢価格を算出する際には、過去の取引実績における平均値を採用することが多いです。

このように実勢相場とは実際の売買事例を参考にした、「時価」ともいえる価格です。不動産に決められた価格はありませんが、売買価格を決める際に最も参考にされるのが実勢相場です。近隣の成約事例に基づいた実勢相場を参考にして、売主と買主は交渉を行うことは非常に多いです。不動産の売買を行う際には、実勢相場を抑えておくことが非常に重要です。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、名前の通り固定資産税を計算する際の基準になる価格です。固定資産税とは土地やマンションなどの不動産を保有していると課せられる税金で、固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算します。固定資産税だけでなく相続税の一部や都市計画税、不動産取得税や登録免許税などの計算にも使われます。

固定資産税評価額は、全国の市区町村が行います。算出方法は全国で統一されており、この後に紹介する公示価格の概ね7割程度が目安です。マンションなど建物の固定資産税評価額は、建物の再調達価格を基準にして計算します。再調達価格とは評価する建物と同一の建物を建築する際に必要になる価格です。

そのため当初の建築費が高い物件は固定資産税評価額は高くなり、建築費が安い物件は評価額も低くなる傾向があります。さらに土地と違って建物は年数の経過による劣化も考慮されるため、築年数の経過とともに評価額は下がりますが0円になることはありません。

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士による鑑定評価で算出された価格です。不動産の鑑定評価とは、名前の通り不動産の経済的価値を鑑定して評価することをいいます。実際に「不動産の鑑定評価に関する法律」の第2条第1項には、次のように記載されています。

「不動産の鑑定評価とは、不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。」
参照:法令リード「不動産の鑑定評価に関する法律

つまり不動産の鑑定評価は不動産鑑定士が評価基準に従って、対象物件に適した評価方法を用いて算出した価格です。国家資格である不動産鑑定士の資格所有者でなければ、鑑定業務は行えません。不動産鑑定評価は主観的な事情ではなく、客観的なデータに基づいて公平に行った信頼できる価格といえます。

法令に基づいた厳格な手続きと根拠を明確に示し、不動産の価値を中立的な第三者の目で「適正」に評価したものが、不動産鑑定評価です。そのため不動産鑑定評価は売買の際だけでなく、金融機関が担保に設定する際や企業のM&A、不動産に関する裁判などで利用されます。数あるマンション評価額の中でも、権威のある信頼できる価格が鑑定評価といえます。

地価公示価格

公示価格(地価公示)は、1969年(昭和44年)に制定された「地価公示法」に基づいて国土交通省が発表している不動産価格です。
公示価格は不動産取引の目安になることを目的として評価されている価格です。

そのため公示価格は固定資産税評価額や相続税評価額などの不動産価格に比べると、実勢相場に一番近い数字と言えます。実際の取引では、近隣の公示価格を参考にして不動産ごとの個別の条件などを踏まえて価格が決定されることも多いでしょう。

公示価格は毎年1月1日時点の価格を、全国の不動産鑑定士が評価を行い3月に開示されます。令和6年の公示価格では、全国26,000地点の公示価格が発表されました。公示価格は国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」で検索できます。

公示価格は毎年発表されていることもあり、不動産相場の推移を図る指標としてもよく採用されます。そのため日本の不動産価格の推移や平均なども含め、土地の価格を調べるには公示価格が参考になるでしょう。

また公示価格を補完する評価額として、基準値価格があります。基準値価格は各都道府県が主体となって発表している、土地の価格のことです。先ほど紹介した公示価格は国土交通省が発表していましたが、基準地価格は各自治体が評価をしている点が違います。

しかし基準値価格は公示価格と同様に取引の指標となることを目的としているため、同じ評価方法を採用しているため評価額は同水準です。また公示価格は毎年1月1日時点の価格を3月に発表するのに対し、基準地価格は毎年7月1日時点の価格を9月に発表します。

評価方法はどちらも同じですが、公示価格は2人以上の不動産鑑定士が鑑定を行うのに対し、基準地価格は1人で行ないます。また公示価格は都市計画区域内のみでしか調査が行われません、基準値価格は都市計画区域外でも行われるといった違いもあります。

相続税評価額

相続税評価額とは、名前の通り相続税の計算をする際に使われる評価額です。相続税評価額の算出は、土地と建物で違います。マンションの評価方法は、固定資産税評価額が相続税評価額になります。

しかし必ずしも、固定資産税評価額と相続税評価額が同じになる訳ではありません。建物の使い方によって、相続税評価額は固定資産税評価額よりも安くなります。典型的な例が建物を第三者に賃貸している場合で、物件の価格から借り手の権利を控除した価格が相続税評価額です。具体的には固定資産税評価額から、借り手の権利である借家権割合の3割を控除した価格が相続税評価額となります。

また土地の場合は、固定資産税評価額ではなく路線価を基準にします。路線価とは相続税評価額の計算のために国税庁が算出している土地の価格で、公示価格の8割程度が目安です。一般的に土地の相続税評価額を算出する場合は、路線価に面積をかけて算出します。

しかし建物と同じように第三者に賃貸している場合は、借り手の権利を控除するため評価額が低くなります。そのため相続税対策では、保有している不動産を賃貸にするケースが多くあるでしょう。

建物評価額

建物評価額とは建物の評価額の1つで、火災保険に加入される際に使われます。評価する建物と同程度の建物を建築する際に必要な「再調達価格」を基準にして、築年数の経過による消耗などを加味して算出します。建物価格は再調達価格の5~7割程度になることが多く、実勢価格などと比べると低い金額になることが多いです。

火災保険は災害にあった建物を原状回復するために加入します。そのため再度建物を建築するための再調達価格を基準に評価するため、一般的なマンション相場に比べると金額は乖離しています。売却価格の目安などを調べる場合には、建物評価額は向いていません。

マンションの評価額それぞれの調べ方

ここまで説明してきたようにマンションの評価額には、複数の種類があります。ここからはそれぞれのマンションの評価額の調べ方を紹介していきます。

マンションの実勢価格を調べる方法

実勢相場は実際に取引された価格であるため、物件ごとの成約事例を調べることで確認できます。不動産売買の取引事例は、国土交通省が運営する、下記のサイトで確認が可能です。
国土交通省「不動産情報ライブラリ

  1. 不動産情報ライブラリへアクセスする
  2. 「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」をクリック
  3. 検索したい地域・種類・時期を選択して検索
    (種類は「中古マンション等」を選択)

条件を入力して検索すると、条件に一致した取引内容が一覧で表示されます。条件を入力する際には、「種類」の項目に「中古マンション等」を選択することで、マンションの事例が確認できます。

一覧には取引価格や駅距離、建物がある場合は築年数や構造・床面積などが表示されています。また一覧の一番右端にある「詳細結果表示」をクリックすれば、取引の詳細の確認が可能です。詳細画面には前面道路の状況や用途地域、建ぺい率や容積率などの細かい条件が記載されています。

実勢価格を調べるには、ほかにも不動産会社などに聞いて成約事例を参考にする方法もあります。簡単に調べたいのであれば、不動産会社の無料査定を活用するのもよいでしょう。不動産会社の無料査定を利用する場合は、一括査定などを使って複数の不動産会社から査定をとりましょう。

不動産会社にも得手不得手があるため、同じ物件でも価格にバラつきがあります。複数の会社の見積を比較することでより精緻な価格がわかりますし、売却する際に頼む不動産会社も見つかるでしょう。

マンションの固定資産税評価額を調べる方法

固定資産税評価額を調べる方法は、次の3つです。

・納税通知書から調べる
・固定資産税評価証明から調べる
・固定資産課税台帳から調べる

毎年5月頃に各自治体から、不動産の所有者に対して固定資産税の納税通知書が送られてきます。納税通知書には固定資産税評価額が記載されているため、簡単に確認できます。納税通知書が手元にない場合は、固定資産税評価証明を取得することも可能です。固定資産税評価証明にも、固定資産税評価額や固定資産税の金額が記載されています。

固定資産税評価証明は不動産がある場所の市区町村役場に申請をする必要がありますが、本人以外が申請する場合は委任状が必要になるため注意しましょう。市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧することで、固定資産税評価額の確認が可能です。固定資産課税台帳とは、固定資産税の課税対象となる土地や建物の所有者、所在、固定資産税評価額などが記載された帳簿のことです。台帳の閲覧は不動産の所有者か、相続人などの一定の関係者しか行えません。

マンションの相続税評価額を調べる方法

先ほども説明したように相続税評価額は、土地と建物で基準となる価格が違います。それぞれの価格の調べ方を紹介します。

土地評価額を調べる方法

土地の相続税評価額は、路線価を使います。相続税の計算の基になる数値であることから、路線価の算出は国税庁の管轄で、毎年1月1日時点の評価額を7月1日に発表しています。路線価は一般的に実勢相場よりも価格は低く、公示価格の8割程度になります。

路線価を調べるには、国税庁の財産評価基準のサイトにアクセスします。

国税庁「財産評価基準

調べる手順は下記の通りです。

  1. 国税庁「財産評価基準」のサイトにアクセスする
  2. 調べたい都道府県を地図から選択する
  3. 財産評価基準書目次のページで「路線価図」を選択する
  4. 調べたい市区町村を指定する
  5. 調べたい町名を指定する
  6. 調べたい場所の前面道路の数字を確認する

路線価図を調べると、道路ごとに数字とアルファベットが記載されていることがわかります。たとえば路線価を調べたい土地の前面道路に「130D」と記載があれば、1平米(㎡)あたりの路線価は13万円です。路線価の評価は1平米(㎡)あたりの価格が、千円単位で表記されている点には注意しましょう。

建物評価額を調べる方法

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額を使います。

固定資産税評価額を調べる方法は、次の3つです。

・納税通知書から調べる
・固定資産税評価証明から調べる
・固定資産課税台帳から調べる

毎年5月頃に各自治体から、不動産の所有者に対して固定資産税の納税通知書が送られてきます。納税通知書には固定資産税評価額が記載されているため、簡単に確認できます。また、納税通知書が手元にない場合は、固定資産税評価証明を取得することで確認できます。固定資産税評価証明にも、固定資産税評価額や固定資産税の金額が記載されています。

市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧することでも、固定資産税評価額の確認が可能です。固定資産課税台帳とは、固定資産税の課税対象となる土地や建物の所有者、所在、固定資産税評価額などが記載された帳簿のことです。台帳の閲覧は不動産の所有者か、相続人などの一定の関係者しか行えません。

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マンションの地価公示価格を調べる方法

公示価格は国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」で検索できます。

公示価格を調べる手順は、下記になります。

  1. 不動産情報ライブラリへアクセスする
  2. 「地価の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索」をクリックする
  3. 「地価公示」にチェックを入れる
  4. 地域や用途区分を検索する
  5. 調査年を選択し、検索する

検索すると、選択した条件に一致する公示価格が一覧で表示されます。詳細を確認するためには、「標準地番号または基準地番号」の欄に記載されている、「新宿-1」のような地名数字の部分をクリックしましょう。そうすると、選択した公示価格の詳細が表示されます。

詳細の表示画面では所在地のほか、最寄り駅の名称や最寄り駅からの距離、土地の形状や前面道路の状況など、土地の価格に影響を及ぼすような要素が詳しく記載されています。また表示されている公示価格は㎡あたりの単価です。坪単価ではないため、注意しましょう。

不動産情報ライブラリでは上記の方法以外にも、地図から検索することもできます。

  1. 「地図から探したい方へ」をクリックする
  2. 日本地図が表示されている画面で、左上の「価格情報」タブを選ぶ
  3. 「国土交通省地価公示」をクリック(同時に基準値価格や、成約情報などを調べることも可能です)
  4. 「地域検索」や画面スクロールで調べたいエリアを表示する
  5. 「黄色いの〇地名数字」をクリックする
  6. 詳細画面を確認

公示価格は毎年発表されていることもあり、不動産相場の推移を図る指標としてもよく採用されます。そのため日本の不動産価格の推移や平均なども含め、不動産の価格を調べるには公示価格が参考になるでしょう。

マンションの不動産評価額を調べる方法

不動産鑑定評価額を知るには、不動産鑑定士に評価を依頼します。不動産鑑定評価を依頼するためには、まず依頼する不動産鑑定事務所を探します。事務所によっては無料の事前相談を行ってくれることもあるでしょう。

不動産の鑑定を行うには、費用がかかります。費用の相場は20~50万円程度ですが、物件の立地や種類などによっても変わります。依頼して鑑定評価が出来上がる期間は、事務所や物件にもよりますが1ヶ月程度はかかる場合が多いでしょう。完成した鑑定評価書を確認すれば、評価額やその根拠を確認できます。

まとめ

分譲マンションの売却や購入を検討しており、評価額が知りたい方も多いでしょう。売買だけでなく遺産分割などのケースでも、評価額が必要になります。マンションの評価額と一口にいっても、さまざまな評価額があります。

同じ物件でも評価する方法によって、価格は大きく違います。マンションの評価額を調べる際には、調べる目的に合わせた評価額を知る必要があります。たとえば相続に関することであれば、相続税評価額を調べるとよいでしょう。マンションの評価額を調べる際は、ぜひ今回の記事で紹介している評価額の種類と調べ方を参考にしてください。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士