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空き家売却の流れまとめ!かかる費用や注意点を解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 空き家を放置すると経済的負担やクレームなどデメリットが多い

  • 空き家の売却方法には「仲介」と「買取」があり特徴が異なる

  • 補助金や特別控除を活用することで費用や税金の負担を軽減できる

空き家を放置すると、維持費の負担や資産価値の低下、倒壊リスクなど、さまざまなデメリットがあるため、売却を検討する方は多いです。

しかし、「売却の流れはどうなっているの?」「売却にかかる費用や税金は?」など、疑問を持っている方も少なくありません。空き家の売却には「仲介」や「買取」といった方法があり、それぞれに特徴や進め方、メリット・デメリットがあります。この記事では、空き家を売却する際の流れ、かかる費用と税金、注意点について詳しく解説します。
空き家を売却しようと考えている方は、ぜひ参考にして計画的に行動しましょう。

目次

空き家は売却しないのは損!

空き家を放置するくらいなら、売却を検討することをおすすめします。なぜなら、放置し続けることは、資産価値の低下や犯罪リスクなど、多くのデメリットを伴うからです。

売却すれば、これらのデメリットを回避できる上に、空き家の管理について悩む必要もなくなります。また、空き家の立地や物件の状態によっては、まとまった売却代金が手に入り、新居の費用や将来の資金に充てることができます。空き家を放置していると、多くの手間やコスト、責任がかかるため、特に必要がない場合は売却を検討してみましょう。

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空き家を放置するデメリット

空き家を放置するデメリットとして、維持管理費や固定資産税がかかること、資産価値が低下すること、近隣住民とトラブルになる可能性があることなどが挙げられます。

デメリットを把握することで空き家を放置するリスクを理解でき、将来的な対応や活用方法を判断する際に役立ちます。ここでは、空き家を放置するデメリットについて詳しく見ていきましょう。

維持管理費・固定資産税がかかる

空き家を放置するデメリットの一つは、維持管理費や固定資産税がかかることです。誰も住んでいなくても、建物を適切に管理しなければ、損傷や倒壊リスクが高まり、周囲に迷惑をかけたり予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。

屋根や外壁、クロス、フローリング、水回りの修繕費用が必要になるほか、敷地内の草刈りや清掃にも費用がかかります。さらに、水道、ガス、電気の基本料金は、利用していない場合でも支払いが必要です。また、固定資産税や都市計画税(対象エリアの場合)もかかります。

これらの費用は、現在住んでいる家の維持費に上乗せされる形で負担しなければなりません。維持管理費は大きな出費になることもあるため、空き家の管理や活用方法について早めに検討することが大事です。

なお、特定空き家に指定された場合は、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍になるリスクがあることにも注意が必要です。

参照:
住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省
空家等対策の推進に関する特別措置法 | e-Gov 法令検索

資産価値が低下する

資産価値が低下することも、空き家を放置するデメリットの一つです。
資産価値が下がる主な理由は、次の通りです。

・人が住んでいないと老朽化が進みやすい
・放置している間に築年数が経過して価値が下がる
・何らかのトラブルが発生して物件にマイナスのイメージがつく
・敷地が荒れて魅力が失われる

例えば、住宅の価値は築年数が新しいほど高く、古くなるにつれて低くなる傾向があります。一般的に、戸建て住宅が築20年以上経過すると、建物の価値はほぼゼロになるといわれています。

また、不審者が出入りして事件やトラブルが起きた場合、物件や土地にはマイナスのイメージがつき、口コミでも広まるため資産価値に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。資産価値が低下すると、売却してもほとんど価値がつかない場合があります。空き家を放置すると資産価値が下がるリスクがあるため、もし放置するのであれば、まだ価値があるうちに手放すことも一つの選択肢です。

参照:国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に係る指針(案)のポイント

自然災害による倒壊のリスクがある

空き家を放置するデメリットの一つは、自然災害による倒壊のリスクがあることです。日本には活断層が約2,000存在していると推定され、地球上で発生する大地震の20%が日本で起きているといわれています。近年でも、石川県能登地方や福島県沖、胆振地方中東部、熊本県熊本地方などで震度6を超える大地震が発生し、大きな被害をもたらしています。また、地震だけでなく台風も毎年のように上陸するなど、日本は自然災害が多い国です。

特に築年数が古く、老朽化が進んでいる空き家は、地震や台風で大きな損傷を受けたり倒壊するリスクがあります。大地震では新しい建物でも倒壊することがあるため、古い家は特に注意が必要です。倒壊した場合、その後の片付けには責任を持って対応する必要があり、費用もかかります。また、空き家が倒壊して隣接する住宅に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う可能性もあります。

空き家を放置することは、自然災害のリスクを伴うことを理解しておきましょう。

参照:
地震の歴史 – 住宅構造研究所
地震の多い国、日本|国土技術研究センター
災害を受けやすい日本の国土 : 防災情報のページ – 内閣府

不法侵入など犯罪に巻き込まれる可能性がある

不法侵入など犯罪に巻き込まれる可能性があることも、空き家を放置するデメリットです。空き家には住人がいないため、不法侵入されて他人が住みつく可能性があります。さらに、犯罪者が隠れ家や犯行場所として利用して、犯罪に巻き込まれるかもしれません。また、ガラスが割られたり、外壁に落書きされたり、ごみが不法投棄されるなどの被害も考えられます。

もし犯罪に巻き込まれた場合、物件の資産価値が下がる可能性がある上に、所有者はその後の対応に多大な手間やストレスを抱えることになるでしょう。空き家はセキュリティがほとんどない状態で放置されることが多いため、不法侵入などの犯罪リスクには注意が必要です。

近隣住民とトラブルになる可能性がある

空き家を放置するデメリットの一つは、近隣住民とトラブルになる可能性があることです。
近隣住民とのトラブルの主な原因は、次のとおりです。

・空き家に不法投棄されたごみの処理問題
・空き家から発生する異臭
・敷地内で伸び放題の雑草
・隣地に越境した庭木の枝や葉
・自然災害で損傷や倒壊した建物が放置されている状態
・不審者が出入りして治安への不安が高まる状況
・外壁に増え続ける落書きによる景観の悪化

空き家の維持管理不足や治安、景観に関する問題で近隣住民からクレームが入ることがあります。近隣住民からのクレームにすぐに対応しないと、将来的に空き家をリフォームやリノベーションして住み続ける際に支障をきたす恐れがあります。また、近隣で悪い噂が広がると、売却する際に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。

地域住民とのトラブルを避けるには、適切な維持管理や防犯対策を徹底すること、もしくは早めに売却を検討する方法があります。

空き家の活用方法

空き家の活用方法には「売却」と「賃貸」があり、それぞれで特徴が異なります。
売却と賃貸のメリット・デメリットを理解することで、自分に合った方法で空き家を活用でき、放置によるリスクを避けることができます。

ここでは、空き家の活用方法について見ていきましょう。

空き家を売却する

空き家の活用方法の一つが、売却することです。
売却することで、維持管理の手間や経済的負担から解放されます。空き家を売却するメリットは、次のとおりです。

・維持管理の手間がなくなる
・近隣住民からのクレームを心配する必要がなくなる
・維持管理費や税金の負担が軽減される
・空き家が犯罪に巻き込まれるリスクを回避できる
・まとまった資金を得られる可能性がある

売却することで、空き家を放置するリスクを避けることができます。クレームや犯罪に巻き込まれる心配もなくなり、空き家の管理を気にしながら生活する必要もなくなります。また、立地や物件の状態によっては、予想以上の高値で売却でき、新しい住居の頭金に充てることも可能です。

一方、売却には次のようなデメリットもあります。

・将来的に空き家を活用できなくなる
・売却に伴い費用がかかる
・思い出の詰まった家を手放すことになる
・希望どおりの価格で売れない可能性がある

空き家を売却すると、将来的にリフォームやリノベーションをして住むことや、子どもや孫に譲渡すること、賃貸に出すことなどができなくなります。思い出の詰まった家を手放すことになるため、寂しさを感じることもあるでしょう。また、不動産の売却には一般的に3〜6ヶ月程度かかるとされていますが、買主が見つからず売却が長引いたり、希望通りの価格で売れずに値下げを余儀なくされる可能性もあるため注意が必要です。

「今後の空き家の維持管理に不安がある」「これ以上資産価値が下がる前に手放したい」と考えている方には、特に売却がおすすめです。

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空き家を賃貸に出す

空き家を賃貸に出す方法もあります。賃貸に出すことで、空き家を所有したまま収入を得ることが可能です。
空き家を賃貸に出すメリットは、次のとおりです。

・毎月の家賃収入を得られる
・空き家を所有したまま活用できる
・将来的に空き家に住むことができる
・空き家の老朽化を遅らせることができる

賃貸に出すことで、毎月の家賃収入が得られます。家賃収入を維持管理費用や固定資産税の支払いに充てれば、空き家を放置していた頃と比べて経済的負担が軽減される可能性があります。

また、所有権を保持したままのため、将来的に空き家に住んだり子どもに譲渡したりすることも可能です。賃貸に出して人が住むことで、室内がきれいに保たれて、放置していたときよりも老朽化を遅らせることができます。

一方、賃貸には次のようなデメリットもあります。

・入居者が決まらず経済的負担が増える可能性がある
・入居者トラブルが起きることがある
・自分の好きなタイミングで住むことができない

賃貸に出してすぐに入居者が決まり、空室率が低ければ問題ありませんが、そうでない場合は経済的負担が増える可能性があります。

なぜなら、空室が続くと家賃収入が途絶え、賃貸に伴う維持管理費用(管理委託手数料など)を本業の給与や貯金から支払わなければならなくなるためです。さらに、リフォームやリノベーションにローンを利用している場合は、その返済も必要です。

また、入居者がいても家賃滞納などのトラブルが発生するリスクがあります。入居者を希望通りに退去させることはできないため、自分が住みたいと考えても、長期間待たなければならない場合もあります。

「空き家を所有したまま活用したい」「思い出があるため売却だけは避けたい」といった方には、特に賃貸がおすすめです。

空き家の売却方法

空き家の売却方法には「仲介」と「買取」があり、どちらを選択するかで売却スケジュールや価格、負担するコストに違いがあります。そのため、各方法のメリットとデメリットをしっかり理解して、自分に合った売却方法を選ぶことが大事です。

ここでは、空き家の売却方法について紹介します。

仲介で売却する

空き家の売却方法の一つが、仲介です。不動産会社が販売活動を行い、買主を見つけてくれる方法です。媒介契約には以下の3種類があり、それぞれで特徴が異なります。

専属専任媒介契約・契約:1社とのみ
・売主が見つけた買主との契約:不可
・売却活動の報告義務:7日に1回以上
レインズへの登録:契約から5日以内
・契約期間:3ヶ月以内
専任媒介契約・契約:1社とのみ
・売主が見つけた買主との契約:可
・売却活動の報告義務:14日に1回以上
レインズへの登録:契約から7日以内
・契約期間:3ヶ月以内
一般媒介契約・契約:複数社
・売主が見つけた買主との契約:可
・売却活動の報告義務:規定なし
レインズへの登録:任意
・契約期間:任意

また、仲介で売却するメリットは、次のとおりです。

・市場相場に近い価格で売却できる
・販売戦略や買主との交渉を不動産会社に任せられる

仲介は市場相場に近い価格で売却できるため、買取よりも高値で売れる傾向があります。そのため、より多くの売却代金を受け取ることが可能です。また、基本的に不動産会社が対応してくれるため、売主は手間を感じることなく進めることができます。

一方で、仲介のデメリットは次のとおりです。

・売却までに時間がかかることがある
・売却を周囲に知られるリスクがある
・売却期間中も維持管理費用が発生する
・仲介手数料などの諸費用がかかる

仲介での売却は3〜6ヶ月程度で完了することもありますが、買主が見つからず、1年以上かかる場合もあります。また、物件情報がWEBサイトや地域情報誌、チラシに掲載されるため、空き家を売却していることが近隣住民や知人に知られるリスクがあります。

さらに、売却が完了するまでは売主が所有権を持つため、維持管理費用や税金の負担も必要です。売却が決まった場合には、不動産会社に仲介手数料(上限:売買価格×3%+6万円+消費税)を支払う必要があります。「売却に時間的余裕がある」「コストがかかってもできるだけ高く売りたい」といった方には、仲介での売却がおすすめです。
参照:宅地建物取引業法 | e-Gov 法令検索

買取業者に買取してもらう

買取業者に空き家を買い取ってもらう方法もあります。
買取に出すメリットは、次のとおりです。

・現金化までのスピードが速い
・売却前にリフォームや修繕を行う必要がない
・仲介手数料が不要
・物件情報が広告に掲載されない

買取業者が直接買い取るため買主を探す必要がなく、すぐに売却できます。早ければ1週間以内に売却代金を受け取ることが可能です。そのままの状態で売却できるため、リフォームや修繕にかかる費用を節約できます。また、仲介手数料も発生しません。さらに、物件情報がWEBサイトやチラシに掲載されることがないため、周囲に知られずに売却を進められる点もメリットです。

一方、買取には次のようなデメリットがあります。

・仲介に比べて売却価格が低くなる
・買取に対応していない不動産会社もある

買取は仲介での売却よりも2〜3割ほど価格が低くなる傾向があります。例えば、仲介で1,500万円で売れる物件が、買取では1,050万〜1,200万円程度になることがあります。

さらに、すべての不動産会社が買取に対応しているわけではありません。また、買取を行っていても、物件の状態によっては買取が難しい場合があるため注意が必要です。

できるだけ早く空き家を売却したい」「余計なコストをかけたくない」といった方には、買取での売却がおすすめです。

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空き家売却にかかる費用と税金

空き家を売却する際には、仲介手数料や解体費用、譲渡所得税、印紙税などがかかります。売却に伴い発生する費用や税金がどのようなものか、また金額についても事前に把握しておくことが大切です。

ここでは、空き家売却にかかる費用と税金を紹介します。

かかる費用

空き家を売却する際にかかる主な費用には「仲介手数料」や「解体費用」があります。

仲介手数料売却が成立した際に、不動産会社へ支払う手数料です。手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、「売買価格×3%+6万円+消費税」で算出されます。
解体費用建物を取り壊し、更地として売却する場合にかかる費用です。解体費用は建物の構造や立地条件、依頼する業者によって異なりますが、木造の場合の目安は3万〜5万円/坪です。

空き家を売却する際には所有権移転登記が必要ですが、登記費用は一般的に買主が負担します。
それぞれの費用がどの程度かかるのか、早めに確認しておくことが大切です。

参照:宅地建物取引業法 | e-Gov 法令検索

かかる税金

空き家を売却する際には「譲渡所得税」や「印紙税」などの税金がかかります。

●譲渡所得税
空き家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合に課税される税金です。譲渡所得税は、以下の計算式で求められます。

「譲渡所得税の計算方法」
課税譲渡所得金額×税率

「課税譲渡所得金額の計算方法」
収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除

「収入」は空き家の売却によって得た金額のことで、「取得費」は空き家を購入する際にかかった購入費用や手数料のことです。「譲渡費用」は空き家を売却する際に発生した手数料や税金などになります。

また、譲渡所得税の税率は、空き家の所有期間によって異なります。

所有期間税率
5年超(長期譲渡所得)20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
5年以下(短期譲渡所得)39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)

上記の通り、所有期間が5年を超えると税率が約半分になるため、売却を急いでおらず所有期間が5年以下の場合は、少し待ってから売却するのもよいかもしれません。

●印紙税
課税文書にかかる税金のことで、売買契約書には収入印紙を貼付する必要があります。印紙税額は売買価格に応じて異なります。

例えば、売買価格が500万円超1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円がかかります。※軽減税率適用の場合

空き家を売却する前に、譲渡所得税や印紙税などの税金も考慮したシミュレーションを行い、資金計画を立てておくことが大事です。

参照:
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

空き家売却時に税金や費用を抑えるコツ

空き家を売却する際に税金や費用を抑えるコツは、補助金や特例を活用することです。補助金や特例を活用することで、負担を軽減することができます。

それぞれの内容について見ていきましょう。

解体時の補助金

空き家を解体して売却する際は、自治体の補助金の有無を確認しましょう。国土交通省の「空き家対策総合支援事業」にもとづいて、一部の自治体では、空き家解体に対する補助金が用意されている場合があります。
例えば、福岡県大野城市では、一定の条件を満たす空き家を解体する場合、最大50万円の補助が受けられます。

補助金を活用することで、空き家を売却する際の費用負担を軽減することが可能です。

参照:
老朽化した危険な空き家の解体に最大50万円を補助します|大野城市
住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

被相続人の居住用財産を売却したときの特例

相続や遺贈で取得した被相続人の居住用建物や土地を売却して譲渡所得が発生した場合は、最大3,000万円の特別控除を受けることができます。

主な適用条件には「建物が昭和56年5月31日以前に建築されていること」「相続開始直前に被相続人以外が居住していないこと」などがあります。この特例が適用される売却期間は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までです。

最大3,000万円の特別控除により、税負担を大幅に軽減できます。

参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続で取得した建物や土地を一定期間内に譲渡した場合、相続税の一部を取得費に加算できる特例です。主な適用条件には「相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日を含む3年以内に譲渡していること」などがあります。譲渡所得税を計算する際の取得費に加算されることで、税負担が軽減されます。

参照:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

空き家売却をする際の注意点

空き家を売却する際の注意点には、名義変更をする、状況によっては買取も検討する、複数の不動産会社に査定を依頼するなどが挙げられます。注意点を事前に把握しておくことで、売却時のリスクを減らすことが可能です。

ここでは、空き家を売却する際の注意点について見ていきましょう。

名義を変更する

空き家を売却する際は、物件の名義に注意が必要です。基本的に売主がその物件の名義人でなければなりません。空き家が相続されたもので名義人がすでに亡くなっている場合は、事前に名義変更を行い、売主として手続きできる状態にしておく必要があります。

また、不動産の相続に関して、2024年4月1日から名義変更(相続登記)が義務化されました。過去の相続も義務化の対象であり、3年以内に登記を行わない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。
参照:法務省:相続登記の申請義務化について

更地にしない方がいいこともある ※特例が受けられない・固定資産税額の負担が増える

空き家を更地にして売却を考えている場合は、タイミングに注意が必要です。なぜなら、建物を解体すると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなり、税負担が増える可能性があるためです。また、解体費用が高額になることもあります。

そのため、更地にする際には、事前に税理士や税務署に相談して、どの程度税負担が増えるかを確認した上で判断することをおすすめします。

空き家の状態次第では買取も検討する

空き家の状態によっては、仲介での売却よりも買取を検討したほうがよい場合があります。

仲介は買取よりも売却価格が高くなる傾向があるものの、立地や物件の状態によっては買主が見つからず、長期間売却できないこともあります。1年以上売れないケースもあり、その間も維持管理費用や税金を支払い続けなくてはなりません。また、売却前にリフォームや修繕、ハウスクリーニングが必要になる場合もあります。

買取であれば売却価格は仲介より低くなる可能性がありますが、短期間で買い取ってもらえるため、余計な維持管理費用や税金の支払いを避けられます。さらに、通常はリフォームや修繕、ハウスクリーニングを行う必要がない点もメリットです。
空き家の状態やニーズによっては買取の選択肢も検討してみましょう。

複数の不動産会社に査定の依頼をする

空き家を売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。なぜなら、不動産会社によって査定で重視するポイントが異なり、同じ物件でも査定価格に差が生じることがあるからです。特に、空き家の売却に強みを持つ不動産会社は、他社よりも査定価格が高い傾向があります。

「友人や知人の紹介だから」「大手だから安心」といった理由で最初から1社に決めるのではなく、複数の査定価格を比較して依頼先を選ぶことをおすすめします。

まとめ

空き家を放置すると、さまざまなデメリットが生じるため、特に必要を感じていない場合は売却を検討することも一つの選択肢です。売却すれば、空き家の管理を考える必要がなくなる上に、物件によってはまとまった売却代金が手に入ります。

将来的に空き家に住む予定がない場合は、この機会に売却を考えてみてはいかがでしょうか。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士