土地売買は、人生において数少ない大きな取引の一つです。初めて土地の売買を経験する方にとっては、不動産取引の手続きや準備事項が多く、戸惑うことも少なくありません。しかし、全体の流れや必要な知識を事前にしっかりと理解しておくことで、不安を軽減し、スムーズに取引を進めることが可能です。
この記事では、土地を売買する際に知っておきたい手続きの流れを、売主と買主それぞれの立場からわかりやすく解説します。また、取引にかかる費用や税金、さらに成功のためのコツも詳しく紹介します。この記事を参考にすることで、土地売買に必要な準備を万全に整え、安心して取引に臨むための知識を身につけていただければ幸いです。

土地売買の流れとは?

土地を売買する際には、まず基本的な手続きの流れを理解することが重要です。全体の流れを把握しておくことで、売主・買主それぞれが準備すべき事項を効率的に進めることができます。
土地売買は以下のステップを経て進行します。
- 土地売買の準備【売主・買主】
- 不動産会社へ査定の依頼【売主】
- 不動産会社と媒介契約【売主】
- 販売活動(内見)【売主・買主】
- 売買契約の締結【売主・買主】
- 土地決済・引き渡し【売主・買主】
土地売買の手続きには、通常3ヶ月から6ヶ月程度の期間がかかります。このスケジュールには、売却活動の進捗状況や契約条件の調整に必要な時間が含まれるため、余裕を持って計画を立てることが大切です。
以下では、各ステップごとに売主・買主の視点から押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
1.土地売買の準備【売主・買主】
売主が行う準備
土地売却を始める際、最初に取り組むべきことは相場の調査です。適正価格を知らずに市場価格から大きく外れた値段で売り出しても、買い手が見つからない可能性があります。そのため、所有する土地の相場を事前に把握し、周辺環境や土地の特徴も考慮しながら、適切な価格設定を行いましょう。
相場を調査するには、以下の2つの無料ツールを活用するのがおすすめです。
- レインズ・マーケット・インフォメーション
レインズ(REINS)に登録されている過去の不動産取引情報を匿名化した上で公開しているサイトです。ここで近隣エリアの成約事例を確認することで、実際に取引された価格帯を知ることができます。 - 不動産情報ライブラリ
こちらは、不動産取引を行った個人へのアンケート結果をもとに、成約価格や取引事例をまとめたデータベースです。所有する土地に近い条件の成約事例を探すことで、より具体的な相場感を得られるでしょう。
これらの情報をもとに、適正価格を把握した後、不動産会社に土地査定を依頼する準備を進めます。
買主が行う準備
買主が土地購入を検討する際には、事前にしっかりと準備を進めることが重要です。以下の2つのステップを中心に進めましょう。
- 資金計画の策定
購入する土地の予算を明確にし、必要であれば住宅ローンの事前審査を受けます。土地購入にかかる費用は土地代金だけではなく、以下のような諸費用も含まれます。
• 登記費用: 所有権移転や抵当権設定に必要な費用。
• 税金: 不動産取得税や登録免許税など。
• 仲介手数料: 不動産会社に支払う報酬。
これらを含めたトータルコストを計算し、無理のない資金計画を立てることが大切です。
- 購入条件の明確化
購入したい土地の条件を具体的に整理します。以下のポイントを基準に検討するとよいでしょう。
• 立地条件: 通勤や通学の利便性、周辺施設や環境が生活に適しているかを確認します。
• 土地の広さ: 将来的な利用計画を考慮し、必要な面積を設定します。
• 用途地域: 希望する利用目的(住宅、店舗など)が法的に可能であるかを調べます。
これらの準備を行うことで、購入候補となる土地をスムーズに絞り込むことができます。
2,不動産会社へ査定の依頼【売主】
土地の相場を把握したら、不動産会社に査定を依頼し、自分の土地が「どれくらいの価格で売れるのか」を確認しましょう。査定は、土地売却を成功させる第一歩です。
複数の不動産会社に査定を依頼する理由
不動産会社によって査定基準が異なるため、同じ土地でも査定額に差が出ることがあります。そのため、1社だけではなく複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された金額や対応を比較することが重要です。
簡易査定と訪問査定の違い
査定には「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った方法を選びましょう。
• 簡易査定
ネットや電話を利用して、土地の所在地や面積などの基本情報をもとにおおよその価格を算出する方法です。時間をかけずに概算を知りたい場合に適しています。ただし、精度は訪問査定よりも低めです。
• 訪問査定
不動産会社の担当者が実際に土地を訪問し、物件の状況や周辺環境を詳しく調査したうえで価格を算出する方法です。時間はかかりますが、より正確な査定結果を得ることができます。土地売却の意思が固まっている場合はこちらを選ぶのがおすすめです。
査定結果を確認するときのポイント
査定結果を受け取ったら、単に提示された金額を見るだけでなく、査定の根拠や背景についても確認しましょう。以下の点を重視することで、信頼できる不動産会社を選ぶ助けになります。
• 査定の根拠となるデータの有無
近隣の成約事例や市場動向をもとに、具体的な理由を説明してくれる会社は信頼度が高いです。
• 査定額が相場とかけ離れていないか
相場より極端に高い、もしくは低い査定額を提示する会社には注意が必要です。高すぎる査定額は売却までの時間が長引く原因となり、逆に安すぎる場合は損をする可能性があります。
不動産会社を選ぶ際の注意点
査定結果を比較する際には、提示された価格だけでなく、以下の点も併せて検討することが大切です。
• 査定理由や根拠
不動産会社が価格の算出に使用したデータや理由を丁寧に説明してくれるか確認しましょう。
• 担当者の対応や信頼性
担当者の説明がわかりやすく、親身に対応してくれるかどうかも重要な判断基準です。
• 自分との相性
長期間にわたるやり取りが必要になるため、担当者とのコミュニケーションがスムーズであることもポイントです。
これらを総合的に判断して、不動産会社を選ぶことで、スムーズな売却活動を進められるでしょう。
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3.不動産会社と媒介契約【売主】
土地売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約とは、不動産会社が売却活動を行うための正式な契約であり、大きく分けて以下の3種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った契約形態を選びましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約を結ぶことが可能で、さらに自分自身で買い手を探すことも許されています。このため、売主にとって自由度が高い契約形態です。
ただし、自由度が高い反面、不動産会社には「売却活動の報告義務」や「レインズへの登録義務」がないため、積極的な販売活動を期待するのが難しい場合もあります。自主的に売却活動を進めたい、もしくはスケジュールに余裕がある方に適した契約です。
専任媒介契約
専任媒介契約は、1社の不動産会社とだけ契約を結ぶ形態です。他の会社とは契約できませんが、自分で買い手を見つけることは可能です。
この契約では、不動産会社に以下の義務が課されます。
• 売却物件を「レインズ」(不動産流通標準情報システム)に登録すること(契約締結後7日営業日以内)。
• 売却活動の状況を2週間に1回以上、売主に報告すること。
専任媒介契約は、不動産会社にとって他社との競争がないため、より積極的に買い手探しに取り組んでくれることが期待できます。限られた期間内で効率よく売却を進めたい場合に適しています。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約も、1社の不動産会社とだけ契約する形態です。ただし、専任媒介契約と異なり、自分で買い手を探すことができません。不動産会社が全面的に売却活動を担当するため、売主は不動産会社に全てを任せる形となります。
この契約では、専任媒介契約と同様に以下の義務が課されます。
• 売却物件をレインズに登録すること(契約締結後5日営業日以内)。
• 売却活動の状況を1週間に1回以上、売主に報告すること。
専属専任媒介契約は、不動産会社の販売力をフルに活用したい、もしくは短期間で売却したいと考える方に向いています。
媒介契約の選び方
売却活動を自分で主導的に進めたい場合や複数の不動産会社に依頼したい場合は、一般媒介契約が最適です。一方で、不動産会社に積極的に動いてもらい、効率よく買い手を探したい場合は専任媒介契約や専属専任媒介契約を検討しましょう。
不動産会社の活動内容や報告義務の違いを理解し、信頼できる会社と媒介契約を結ぶことで、満足度の高い売却活動を進められるでしょう。
4.販売活動(内見)【売主・買主】
土地を売却するためには、多くの購入希望者に興味を持ってもらう必要があります。そのため、不動産会社による広告活動が重要な役割を果たします。媒介契約を締結した不動産会社は、売主の承諾を得て、チラシの作成、インターネットへの掲載、既存顧客への告知など、さまざまな方法で販売活動を開始します。
売主の準備
広告活動そのものは不動産会社が全て行いますが、掲載する写真や文章の内容が土地の印象に大きな影響を与えるため、売主自身も内容を確認することをおすすめします。写真は土地の魅力を伝えられるようなものを選び、説明文では購入希望者にとって魅力的に感じられる情報を盛り込むと効果的です。
また、売主には、内覧(内見)時に購入希望者に好印象を与えるための準備が求められます。たとえば、雑草の除去やゴミの清掃を行い、土地をきれいに整備しておくことが大切です。土地の手入れが行き届いていることで、購入希望者に「管理がしっかりされている」という良い印象を与えることができます。
不動産会社の役割
専任媒介契約または専属専任媒介契約の場合、不動産会社には「レインズ(不動産流通標準情報システム)」への登録と、定期的な売却活動報告が義務付けられています。レインズは、不動産会社間で物件情報を共有するための全国的なネットワークで、登録することでより多くの購入希望者に土地を紹介できる可能性が高まります。不動産会社が積極的に活動することで、短期間での売却につながりやすくなるでしょう。
内覧(内見)の対応
内覧は購入希望者が土地を直接確認する重要な機会です。不動産会社が立ち会うことも可能ですが、売主が現場にいることで、購入希望者の質問に直接答えることができ、信頼感を高めることができます。自治会の様子や周辺施設(病院、学校、スーパーなど)の情報など、インターネットやチラシでは得られない地域の詳細な情報を伝えることが好印象につながります。
購入希望者からは、リフォームや造成の履歴、騒音の有無など、購入後の生活に影響を及ぼす可能性がある情報について質問を受けることもあります。たとえネガティブな情報であっても、正直に答えることで、後のトラブルを防ぐことができます。
買主の行動
買主にとって内覧は、物件の詳細を直接確認する貴重な機会です。立地条件や土地の広さだけでなく、周辺環境や自治体の雰囲気を確かめることで、購入後の生活イメージを具体化できます。
購入意思が固まった場合、買主は不動産会社を通じて「買付証明書(購入申込書)」を売主に提出します。この書類には以下の内容が記載されています:
• 購入希望価格
• 希望する手付金の金額
• 契約希望日や引渡し希望条件
• 融資利用の有無
買付証明書をもとに、買主と売主は価格や条件について交渉を行います。たとえば、提示された購入希望価格が売主の希望価格よりも低い場合は、不動産会社を介して交渉を進めることになります。同時に、手付金の金額や引渡しの日程など、他の条件についても調整が行われます。
トラブル防止のために
購入希望者との交渉では、条件を明確にし、双方が納得した形で進めることが大切です。売主と買主が情報を十分に共有することで、契約後のトラブルを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
5.売買契約の締結【売主・買主】
売主と買主が価格や条件に合意したら、いよいよ売買契約を締結します。契約締結時には、売主、買主、不動産会社の担当者、そして宅地建物取引士が同席し、手続きが進められます。
売買契約の手続きの流れ
- 重要事項説明の実施
宅地建物取引士が重要事項説明書を読み上げ、売買に関する重要な条件や注意点を詳しく説明します。この内容には、土地の権利関係や用途制限、境界の状況など、取引に影響する情報が含まれています。 - 契約書への押印と手付金の支払い
売主・買主双方が説明内容に納得したら、売買契約書に署名・押印します。その後、買主は売主に手付金を支払い、契約が正式に成立します。手付金の金額は通常、売買価格の5~10%が相場です。 - 住宅ローンの本審査申請(買主)
買主は契約締結後、住宅ローンの本審査に申し込みます。売主にとっては、買主の審査が通るかどうかが契約後の進行において大きなポイントとなります。 - 仲介手数料の支払い(売主)
売主は、不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払います。この手数料は、売買契約時点での支払いが一般的です。
契約締結後の注意点
契約が締結されると、基本的に内容の変更やキャンセルはできません。万が一キャンセルする場合は、違約金が発生する可能性があります。特に買主は、契約内容を十分に確認し、納得した上で契約を結ぶよう注意が必要です。
6.土地決済・引き渡し【売主・買主】
買主が住宅ローンの本審査を通過した後、土地の決済と引き渡しを行います。このプロセスは売買契約を締結した日から約4~6週間後に行われるのが一般的です。決済と引き渡しは、通常同じ日に実施されます。
決済・引き渡しの当日の流れ
- 当日の参加者
決済日には、売主、買主、不動産会社の担当者、そして司法書士が同席します。司法書士は所有権移転登記の手続きを行うため、取引の重要な役割を担います。 - 決済手続き
買主は売主に対して購入金額の残金を支払い、売主は不動産会社に仲介手数料の残り半額を支払います。また、買主と売主はそれぞれ、司法書士に所有権移転登記の依頼料を支払います。 - 所有権移転登記の申請
司法書士が所有権移転登記を管轄の法務局に申請します。この登記手続きにより、買主が正式に土地の所有者となります。なお、登記の完了までには2~3週間かかるのが一般的です。 - 鍵や書類の引き渡し
決済が完了した後、売主は買主に土地に関する必要書類や鍵を引き渡します。この時点で物理的な土地の引き渡しが完了します。
決済日までに、売主は土地の整備を完了させておく必要があります。雑草の除去や周辺の整理など、購入希望者に良い印象を与えるよう準備を行いましょう。また、買主は残金支払いに必要な資金の準備をしっかり整えておくことが重要です。
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土地売買でかかる費用や税金

土地売買では、売主と買主の双方にさまざまな費用や税金が発生します。これらの費用は、売却または購入にかかるコストの一部であり、事前に把握しておくことで、予算の計画やトラブルを未然に防ぐことができます。
以下では、売主と買主が負担する具体的な費用や税金について詳しく解説します。
土地売買でかかる費用
土地売買では、売主・買主のそれぞれが負担する費用があります。これらの費用を事前に把握し、資金計画に組み込むことで、スムーズに取引を進めることができます。以下では、売主と買主に分けて詳しく説明します。
売主が負担する費用
- 仲介手数料
売主は、不動産会社に売却を依頼した際に仲介手数料を支払います。この手数料は、法律で以下の上限額が定められています。
• 売買価格200万円以下の部分:売買額×5%(+消費税)
• 売買価格200万円超~400万円以下の部分:売買額×4%+2万円(+消費税)
• 売買価格400万円超の部分:売買額×3%+6万円(+消費税) - 解体・造成費用
売却前の土地整備には、以下のような費用が発生します。
• 建物の解体費用(建物が残っている場合)
• 土壌調査費用(元工場や商業施設跡地などの場合)
• 残置物処理費用(不要な物品やゴミの撤去)
建物を解体する場合、一般的には1坪あたり3万~5万円の費用が目安です。また、土壌の調査は必須ではありませんが、契約不適合責任のリスクを避けるために実施することをおすすめします。残置物の処理が不十分だと、買主との間でトラブルが発生する可能性があるため、完了させてから売り出しましょう。
- 測量費用(確定測量)
土地の境界線が曖昧な場合、確定測量を行う必要があります。この作業は土地家屋調査士に依頼し、費用の相場は30万~80万円程度です。測量は、隣接する土地の所有者の立ち会いのもとで実施され、境界を明確にすることでトラブル防止に繋がります。 - 抵当権抹消費用
売主が住宅ローンを完済している場合、土地の抵当権を抹消する手続きが必要です。抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、報酬の相場は3万円~7万円程度です。
買主が負担する費用
- 仲介手数料
買主も、不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料を支払います。計算方法は売主と同じです。 - 登記費用(所有権移転登記など)
買主は土地の所有権移転登記を行う必要があります。この手続きは司法書士に依頼することが一般的で、費用は以下の計算式で求められます。
所有権移転登記費用=固定資産税評価額×1.5%(軽減措置適用時) - 住宅ローン関連費用
住宅ローンを利用する場合、以下のような費用が発生します。
• 保証料:借入額の約2%が相場
• 事務手数料:数万円~数十万円
• 火災保険料:ローン利用時に加入が義務付けられることが多い - 司法書士報酬
買主が司法書士に所有権移転登記を依頼する場合、報酬の相場は5万~10万円程度です。
土地売買にかかる費用は、売主・買主それぞれ異なりますが、事前に把握しておくことで資金計画が立てやすくなります。また、特に測量費用や造成費用などは土地の状態や取引内容により大きく変動するため、専門家に相談しながら正確な見積もりを確認することが重要です。これらの準備を整えることで、スムーズな土地売買を実現することができます。
土地売買でかかる税金
土地売買では、売主・買主それぞれに特有の税金が発生します。これらの税金は売却利益や取引内容に応じて課され、金額も状況によって異なります。事前にどのような税金がかかるかを把握しておくことで、余裕を持った資金計画を立てることができます。
売主が負担する税金
- 譲渡所得税
売主が土地を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得税は、所得税、住民税、および復興特別所得税を合わせた税金です。 • 課税対象となる譲渡所得の計算方法
譲渡所得は次の計算式で求められます。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用+特別控除額)
• 取得費: 土地の購入価格や購入時の仲介手数料、登記費用など。
• 譲渡費用: 売却時の仲介手数料や測量費用など。
• 特別控除額: 居住用財産を売却した場合には、最大3,000万円の控除が適用される場合があります(要件を満たす場合)。
• 税率について
所有期間によって適用される税率は異なります。
• 短期譲渡所得(所有期間が5年以下の場合): 39.63%
(内訳: 所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)
• 長期譲渡所得(所有期間が5年以上の場合): 20.315%
(内訳: 所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)
※所有期間は、売却した年の1月1日時点で計算されます。売却直前ではなく、この基準で判断される点に注意しましょう。
- 印紙税
売主は、土地売買契約書を作成する際に印紙税を支払う必要があります。印紙税の金額は契約金額に応じて定められています。なお、令和9年3月31日までの間は軽減税率が適用されます。
【 印紙税の主な軽減措置(例)】
• 売買価格1,000万円超~5,000万円以下の場合:1万円
• 売買価格5,000万円超~1億円以下の場合:3万円
売買契約書に印紙を貼付し、適切に消印を行うことが求められます。
買主が負担する税金
- 不動産取得税
買主は、土地を取得した際に一度だけ課される不動産取得税を支払います。課税額は次の計算式で求められます。
課税額 = 固定資産税評価額 × 3%(※特例措置適用時)
※商業用地や特定の条件を満たさない場合は4%が適用されることがあります。不動産取得税は、購入後に自治体から納付書が送付されるため、忘れずに支払いましょう。
- 登録免許税
買主が所有権移転登記を行う際に必要な税金です。この税額は土地の固定資産税評価額に基づいて計算されます。 • 所有権移転登記の税額:固定資産税評価額 × 1.5%(※軽減措置適用時)
住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記にも税金がかかります。
• 抵当権設定登記の税額:借入額 × 0.4%
- 印紙税
買主も売主と同様に契約書に印紙を貼付する必要があります。契約書を2通作成する場合は、売主・買主がそれぞれ自分の控え分を負担するのが一般的です。
税金の負担を軽減するためのポイント
- 譲渡所得税の特別控除を活用する
売主が居住用の土地や建物を売却する場合、「3,000万円の特別控除」が適用される場合があります。この控除は、家を売却した年の翌年に確定申告を行うことで適用を受けられるため、該当する場合は忘れずに申告しましょう。 - 軽減税率や特例措置を確認する
登録免許税や印紙税、不動産取得税には軽減措置が適用される場合があります。これらの措置を適切に利用することで、税負担を軽減することができます。 - 専門家に相談する
土地売買における税金は複雑な計算が必要となる場合が多いため、税理士や司法書士、不動産会社の担当者に相談しながら進めるのが安心です。
土地売買では、売主は譲渡所得税や印紙税、買主は不動産取得税や登録免許税といった税金を負担します。それぞれの税金には軽減措置や特例があるため、事前に適用条件を確認することが大切です。また、税負担を軽減するための方法を検討し、専門家のサポートを受けることで、スムーズな取引を進めることができます。

土地売買で必要な書類

土地の売買契約を締結する際には、売主・買主の双方が用意しなければならない書類があります。これらの書類は、契約内容の確認や手続きの正当性を証明するために必要不可欠です。本記事では、売主と買主に共通して必要な書類、さらに売主特有・買主特有の書類について詳しく解説します。
売主と買主双方に必要な書類
身分証明書
不動産取引では、契約を行う本人確認が法的に義務付けられています。不動産会社は、売主・買主双方の身分証明書を保存する必要があり、これは後日、マネーロンダリングやその他の不正が発覚した場合の対策にもなります。
【具体例】
• 運転免許証
• マイナンバーカード(通知カード不可)
• パスポート
媒介契約時、売買契約時、そして引渡し時に提示が求められるため、取引の全段階で携行するようにしましょう。
売主が用意する書類
- 確定測量図、境界確認書
これらの書類は、土地の正確な面積や境界を確認するために必要です。比較的新しく土地を取得した場合には購入時に入手していることが一般的ですが、相続や古い購入の場合には欠けていることがあります。
• 既に所持している場合: 売買契約時、引渡し時に準備します。
• 所持していない場合: 契約後に土地家屋調査士に依頼し、引渡しまでに取得する必要があります。
境界線が曖昧なまま引渡しを行うと、隣接する土地所有者とトラブルが発生する可能性があるため、早めに準備を進めましょう。
- 登記済権利証(または登記識別情報通知)
この書類は、土地の所有権を証明する重要な書類です。媒介契約や売買契約時に所有者確認のために提示が求められ、引渡し時には所有権移転登記で使用されます。
• 紛失している場合: 再発行はできません。司法書士に依頼して、本人確認情報を作成してもらう必要があります。不動産会社や司法書士に早めに相談しましょう。
- 固定資産税の納税通知書
納税通知書は、固定資産税の精算金を算出するために使用されます。
もし納税通知書が手元にない場合、固定資産公課証明書や納税証明書を自治体で取得して代用できます。
- 固定資産評価証明書
この書類は、所有権移転登記の登録免許税を計算する際に使用されます。固定資産税評価額に基づいて税額が算出されるため、引渡し時に必要です。
• 発行元: 不動産が所在する市区町村役場
• 注意点: 遠方の不動産の場合は、郵送での取得を事前に手配するとスムーズです。
買主が用意する書類
住民票
住民票は、買主が所有権移転登記を行う際に必要です。不動産購入後の住所変更手続きに関連する場合もあるため、契約前に準備しておくと安心です。
土地売買では、書類が不足していると契約手続きが遅れるだけでなく、最悪の場合は取引そのものが中止となる可能性もあります。特に、売主側は土地の正確な情報(境界線や固定資産税評価額など)を提示することがトラブル防止につながるため、事前に準備を徹底することが重要です。
また、買主側も書類の有効期限に注意し、必要に応じて取得するタイミングを見極める必要があります。不動産会社や司法書士に相談しながら進めることで、スムーズな取引を実現しましょう。
土地売買を成功させるコツ

土地売買をスムーズに進め、トラブルを防ぐためには、以下の5つのポイントを押さえておくことが重要です。それぞれのコツについて詳しく解説します。
境界の確定を確認しておく
土地の境界が曖昧な場合、隣地所有者とのトラブルが起こる可能性があります。売主は、土地の正確な面積や境界を確認するために境界確定を行い、確定測量図を準備しましょう。
境界確定とは?
隣地所有者の立ち会いのもとで、自分の土地と隣接地の境界線を現地で確認し、正式に確定させる手続きです。これを事前に済ませることで、新しい所有者である買主が隣地所有者と境界トラブルに巻き込まれるリスクを減らせます。
境界確定を行う際には、土地家屋調査士に依頼することが一般的です。
越境物がないか確認しておく
隣地とのトラブルを防ぐため、売却前に土地の越境物を確認しておきましょう。越境物とは、自分の土地から隣地へ、または隣地から自分の土地に侵入している物(塀、建物の一部、樹木など)を指します。
対処方法
• 越境物がある場合、隣地所有者と協議し、売却前に撤去または合意を得る。
• 必要に応じて文書で合意内容を記録しておく。
越境物を放置すると、買主との契約後にトラブルが発生する可能性があるため、売却前にしっかり確認しておくことが重要です。
名義人が複数いる場合に全員の承諾を得る
土地が共有名義になっている場合、売却には全ての名義人の同意が必要です。売却手続きに入る前に、共有者全員と話し合い、売却について合意を得ておきましょう。
同意を得られない場合の対処法。
• 持分のみ売却: 一部の共有者が持分のみを売却する方法。ただし、共有状態のままでは買主が見つかりにくいこともあります。
• 分筆売却: 土地を分割して個別に売却する方法。ただし、分筆には測量費用や隣地所有者の協力が必要です。
スムーズな売却のためには、早めに全員の意見をまとめることが大切です。
告知事項の有無
土地に何らかの不具合や欠陥がある場合、それを買主に事前に告知することが売主の義務です。告知しないまま契約を進めると、後にトラブルとなり、契約不適合責任を追及されるリスクがあります。
【例】
• 土地や建物の一部が隣地に越境している。
• 土壌汚染が確認されている。
• 地盤の問題が判明している。
【告知しないリスク】
• 修繕費用や補償金を求められる可能性。
• 契約解除や損害賠償請求の発生。
売主としては、告知事項を正確に伝えることで信頼を築き、契約後のトラブルを未然に防ぐことができます。
相続登記を事前に済ませる
相続した土地を売却する際には、相続登記を完了させ、名義を相続人の名前に変更しておく必要があります。相続登記が済んでいない場合、名義が前所有者のままとなり、売却手続きを進めることができません。
相続登記の手続き:
• 必要書類(遺産分割協議書、戸籍謄本、遺言書など)を準備する。
• 登記申請書を作成し、管轄の法務局に提出する。
名義変更が完了していない土地は「所有者不明土地」となり、売却の際に買主が不安を抱く要因にもなるため、相続が発生したら速やかに手続きを済ませておくことが重要です。
土地売買を成功させるためには、売主としての準備を万全にすることが不可欠です。境界の確定や越境物の確認、名義人全員の同意、告知事項の明示、相続登記の完了といったポイントをしっかり押さえ、買主との信頼関係を築きましょう。適切な準備を行うことで、スムーズで満足度の高い土地売買を実現することができます。
まとめ
土地売買は、多くの手続きが絡む複雑な取引ですが、事前にしっかり準備を整えることで、スムーズに進めることができます。本記事では、売主と買主のそれぞれが取るべき手順や注意点について詳しく解説しました。
土地売買を成功させるためには、まず全体の流れを理解し、必要な準備を進めることが大切です。売主は、土地の境界確定や越境物の確認、必要書類の準備を怠らず、買主にとって魅力的な物件にする努力が必要です。一方、買主は費用や税金を事前に把握し、資金計画を立てた上で購入条件を明確にしておくことで、スムーズな契約が可能になります。
また、売主・買主の双方が負担する税金や費用には軽減措置が適用される場合もあります。これらをうまく活用することで、取引の負担を軽減することができます。特に税金や契約不適合責任に関するポイントはトラブルを防ぐために重要です。
土地売買を円滑に進めるためには、信頼できる不動産会社や専門家のサポートを受けることも有効です。正確な情報提供と丁寧な対応によって、取引相手との信頼関係を築くことができます。
計画的に準備を進め、必要な手続きを一つずつ着実にこなすことで、満足のいく土地売買を実現できるでしょう。本記事が皆さまの土地売買に役立つ情報を提供できれば幸いです。
