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再建築不可物件の売却方法は?買取?仲介?相場や注意点を解説!

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 再建築不可物件の主な原因は接道義務を満たしていないこと

  • 再建築不可物件の売却相場は中古物件の3割〜7割程度

  • 再建築不可物件を売却する場合は買取業者がおすすめ

再建築不可物件の売却を検討していて「どの売却方法がメリットが大きいの?」「売却相場や注意点はある?」など、疑問を抱えている方も多いでしょう。

再建築不可物件は一般的な物件とは異なり、売却が難しくなるため、売却方法を選ぶ際には慎重に判断することが大切です。本記事では、再建築不可物件の売却方法について解説しています。さらに、売却相場や売却が難しい理由、注意点についても紹介しています。

再建築不可物件を売却しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

再建築不可とはどんな物件?

再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊した場合、新たに建物を建てることができない物件を指します。これは、現行の建築基準法に適合していないことが原因で、再建築を希望しても既存不適格とみなされ建築許可が下りないためです。

また、再建築不可物件は一般的な中古物件に比べて売却価格が低くなる傾向があります。ここでは、再建築不可物件となる具体的な原因や売却相場について紹介します。

再建築不可になる原因は「接道義務」を果たしていない

再建築不可となる主な理由は、接道義務を満たしていないことです。接道義務とは、建築基準法第43条で規定された条件で「建物の敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という決まりです。

接道義務を満たしていない場合は、道路が狭いため災害時に救急車や消防車が通行できず、被害が拡大するリスクがあります。また、避難経路として機能しない可能性も高まります。接道義務を満たしていない物件は再建築不可物件として扱われ、老朽化や災害で倒壊しても新たに建て直すことが認められません。
以下のケースでは接道義務を満たせず、再建築不可物件となるため注意が必要です。

●敷地に接する道路の幅員が4m未満の場合
建築基準法上の道路は、幅員が4m以上必要です(建築基準法第42条)。そのため、敷地が前面道路に2m以上接していても、道路の幅員が4m未満であれば建築基準法上の道路と認められず、接道義務を満たしていない扱いになります。この場合、再建築不可物件と判断されてしまいます。

●道路に接する敷地の開口が2m未満の場合
敷地の前面道路の幅員が4m以上であっても、接道部分が2m未満の場合は接道義務を満たしておらず、再建築不可物件とみなされます。緊急車両の通行が困難となり、安全面で問題が生じるためです。

●敷地が道路に面していない場合
接道義務を満たすには、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります。そのため、袋地のように敷地がまったく道路に接していない場合も、接道義務を満たしておらず、再建築不可物件とみなされます。

●敷地が接しているのが建築基準法上の道路ではない場合
敷地が接している道路が、以下の建築基準法に定める道路に該当しない場合は、再建築不可物件とみなされます。

・道路法による道路(建築基準法第42条1項1号道路)
・都市計画法や土地区画整理法にもとづき許可を受けて築造された道路(建築基準法第42条1項2号道路)
・基準時に幅員4m以上の道路として存在し、現在も継続しているもの(建築基準法第42条1項3号道路)
・道路法や都市計画法などにもとづき新設や変更の事業計画がある道路で、特定行政庁が指定し、2年以内に事業が執行される予定のもの(建築基準法第42条1項4号道路)
・土地所有者が築造した幅員4m以上の道路で特定行政庁が位置を指定したもの(建築基準法第42条1項5号道路)
・基準時に存在していた幅員4m未満の道路で、すでに建物が建ち並び、特定行政庁が定める基準を満たすもの(建築基準法42条2項道路)
・建築基準法43条第1項ただし書の適用を受けた建物の敷地が接する道路

このように、接道義務を満たせていないことが主な原因として、再建築不可物件とみなされます。

参照:建築基準法
東京都都市整備局「建築基準法第42条の規定による道路

再建築不可物件の価格相場

再建築不可物件の売却価格は、立地や建物、土地の状況、売主の意向などによって異なるため、一概に言うことはできません。ただし、一般的には再建築不可物件の売却価格は通常の中古物件よりも低く、相場は通常3割〜7割程度とされています。

例えば、同じ条件の中古物件が5,000万円で売却されている場合、再建築不可物件の売却価格は1,500万円程度になることもあります。また、良くても3,500万円程度で、通常の中古物件との価格差は大きいです。

そのため、再建築不可物件を売却する際は、周囲の中古物件と比較して過度な売却価格を期待しないほうがよいでしょう。

再建築不可物件の売却価格が低くなりやすい理由は、以下のとおりです。

●建て替えができないため
再建築不可物件は、建て替えが認められていません。仮に災害で建物が損壊し、更地にして新たに家を建てたいと考えても、建て替えは不可能であるため、売却価格は低くなりがちです。

●築年数が古いため
接道義務が定められたのは1950年であり、それ以前に建てられた物件は接道義務を満たしていない場合が多く見られます。築年数が古い物件は、旧耐震基準に基づいて建てられていたり、老朽化が進んで傷みが目立ったり、外観が古くなっていたりするため、売却価格は低くなる傾向があります。

国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、住宅の価値は経年とともに下がり、戸建て住宅では築20年でほぼ価値がゼロになるとされています。

●安全面でリスクがあるため
再建築不可物件は接道義務を満たしておらず、道路の幅が4m未満であることがあります。この場合、災害時に緊急車両の通行が難しく、被害を拡大させる原因となる可能性があります。また、避難経路としても機能しにくく、安全面でのリスクがあるため、売却価格は低くなりがちです。

●生活しづらい場合があるため
再建築不可物件は住宅密集地などに多く、道路が狭いことで生活が不便になる場合があります。
また、日当たりや風通し、景観などの悪影響で住みづらくなることもあり、新たな買主が見つかりにくく、売却価格が低くなることがあります。

これらの理由や、買主が現金一括でしか購入しにくいことなどの理由から、再建築不可物件の売却価格は通常の中古物件と比較して安くなる傾向があります。

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再建築不可物件の売却が難しい理由

再建築不可物件の売却が難しい理由として、買主が住宅ローン審査に通りにくい点や、建て替えができない点が挙げられます。売却が難しい理由を理解することで、再建築不可物件をどのように扱うべきか、現実的な対応を考えやすくなります。
ここでは、再建築不可物件の売却が難しい2つの理由について見ていきましょう。

買主の住宅ローン審査が通りにくい

再建築不可物件の売却が難しい理由の一つは、買主が住宅ローン審査に通りにくいことです。
住宅ローンを利用する場合、金融機関は物件の担保価値を審査項目の一つとして確認します。なぜなら、ローンの返済が滞った際に、担保である物件を売却して資金を回収するためです。担保価値が低いと、物件を売却しても十分な資金を回収することができません。

そのため、担保価値が低い物件では、審査に通らず住宅ローンが利用できない場合があります。再建築不可物件は、現行の建築基準法に適合しておらず再建築ができないうえ、建物の老朽化や道路の狭さなど、ネガティブな要素が多いため担保価値が低く評価されがちです。

買主が住宅ローンを利用できない場合は、自己資金や親族からの借入れなどで現金一括購入をする必要があります。しかし、再建築不可物件が一般的な中古物件よりも価格が安いとはいえ、一定額のまとまった現金が必要です。このように購入のハードルが高いため、再建築不可物件は売却が難しくなる傾向があります。

建て替えができないため

建て替えができないことは、再建築不可物件の売却が難しい大きな理由の一つです。再建築不可物件は築年数が古いものが多く、旧耐震基準で建てられた建物も少なくありません。

一般的に、築年数が古い物件を購入する方は、将来的な建て替えや大規模な増築・改築を視野に入れていることが多いです。しかし、再建築不可物件は建築基準法に適合していないため、建築許可が下りず、建て替えや大規模な増築・改築ができません。

また、地震や台風などの災害で建物が損壊・倒壊した場合でも、建て替えは認められません。このように、将来的な選択肢が大きく制限されることから、再建築不可物件を敬遠する買主が多く、売却しても買主を見つけるのに苦労する可能性があります。

再建築不可物件を売却する方法

再建築不可物件を売却する方法には、以下の2つがあります。

・再建築可能にして売却する
・再建築不可のまま売却する(仲介、買取)

それぞれの売却方法の特徴やメリット・デメリットを理解することで、自分に合った方法を選ぶことができます。
ここでは、再建築不可物件を売却する2つの方法について詳しく見ていきましょう。

1.再建築可能にして売却する

再建築不可物件を再建築可能な状態にしてから売却する方法があります。この方法は、物件の価値が向上し、再建築不可物件よりも高い売却価格が期待できる点がメリットです。

ただし、隣人との交渉が必要なため、実現が保証されているわけではありません。また、工事に伴う費用負担が発生する点もデメリットといえるでしょう。

以下では、再建築不可物件を再建築可能にする方法について解説します。

再建築不可を再建築可能にする方法

再建築不可物件を再建築可能にする方法には、次のようなものがあります。

●セットバックをする
敷地の前面道路の幅が4m未満の場合、セットバックを行って道路幅を広げることで再建築可能物件にすることができます。

例えば、前面道路の幅が3.6mの場合、敷地を0.4mセットバック(後退)させることで、道路幅が4m(道路の中心線から2m)となり、建築基準法を満たすことができます。建築基準法上の道路として認められれば、接道義務を満たすことができ、再建築可能物件として売却可能です。
自治体によっては、セットバックにかかる費用を補助している場合があります。

参照:福岡市 狭あい道路拡幅整備事業(路線整備型)

●隣接する土地を購入する
自宅敷地の接道部分の開口が2m未満の場合、もしくは旗竿地や袋地で接道していない場合は、隣接している土地を購入する方法があります。

隣接する土地を購入して自宅の敷地を広げることで、開口を2m以上確保でき、接道義務を満たすことができます。

ただし、隣人だからといって土地が簡単に購入できるわけではありません。交渉が難航することや、最終的に購入できない可能性もあるため、隣地の購入が必ずしも実現するとは限りません。

●隣接する土地を借りる
隣接する土地を購入するのではなく、借りる方法もあります。隣地を借りて敷地を広げることで、2m以上の開口を確保し、接道義務を満たすことができます。そして、建築申請を行い許可が下りれば、再建築が可能です。

再建築が可能になれば、土地は隣人に返却する流れです。購入に比べて必要な資金が少なく、隣人にとっても土地が返却されるため、安心感が得られるでしょう。ただし、隣人が必ずしも同意するとは限らず、交渉次第では実現できない可能性もあります。

●敷地の一部を隣地の一部と交換する
自分の土地と隣接する土地の一部を交換することで、接道義務を満たし、再建築を可能にする方法もあります。土地交換により、開口が2m未満や接道していない場合でも、接道義務をクリアできます。

ただし、この方法は自分の敷地に余裕がある場合に限られるうえに、隣人との交渉が必要です。

●位置指定道路として申請する
幅員4m以上の私道で、特定行政庁から「この部分は道路である」と指定を受けたものを位置指定道路と呼びます。

位置指定道路として認定されれば、接道義務を満たすことができ、再建築が可能です。

位置指定道路として指定を受けるには、縦断勾配が12%以下であること、ぬかるみにならない構造であること、排水整備が整っていることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

また、位置指定道路の申請を行う際には、土地建物の登記事項証明書や印鑑登録証明書、道路位置指定申請図、道路位置指定申請といった書類が必要です。

参照:建築基準法
浦安市「道路位置指定申請の手引き

2.再建築不可のまま売却する

仲介や買取を利用して、再建築不可の状態のまま売却する方法もあります。再建築可能にするための時間や手間、資金が不要な点がメリットです。特に買取の場合、スピーディーに現金化が可能です。
以下では、再建築不可の状態で売却する方法について紹介します。

仲介で売却

不動産仲介会社に依頼して買主を探し、売却する方法です。

仲介での売却のメリットは、買取よりも高値で売れる可能性がある点です。また、ポータルサイトやチラシなどを活用して集客できるため、自分で買主を探すより効率的です。不動産取引のプロがサポートするため、安心して手続きを進められます。一方で、売買が成立した際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められていて「売買価格×3%+6万円+消費税」です。例えば、売買価格が2,000万円の場合、約72.6万円の仲介手数料が発生する可能性があります。

また、仲介では「いつ売れるか」の保証がないため、1年以上買主が見つからない場合もあり、すぐに現金化できない点もデメリットです。特に再建築不可物件は一般的な物件より需要が低いため、買主を見つけるのに苦労する可能性があります。

買取で売却

買取は、不動産会社に直接物件を売却する方法です。買取のメリットは、すぐに現金化ができる点です。不動産会社が直接買い取るため、買主を探す手間や時間を省けます。数日〜1週間程度で現金化できる不動産会社は多いです。

また、仲介手数料も不要なため売却に伴うコストを抑えられます。買主が個人ではなく不動産会社であるため、売却後のトラブルリスクが低いのも魅力です。一方で、買取価格は仲介での売却に比べて2〜3割低くなることが多い点がデメリットです。また、すべての不動産会社が買取に対応しているわけではありません。

再建築不可物件は一般的な物件に比べて需要が低いため、売却時に買取を選ぶケースが多く見られます。

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買取業者の選び方

不動産買取業者の選び方は、次のとおりです。

●査定価格の高い買取業者を選ぶ
買取業者を選ぶ際は、複数の業者に査定を依頼し、査定価格が高い業者を選ぶことがおすすめです。査定価格は業者によって異なるため、高値で買い取ってもらえるほうが売主にとってメリットが大きいです。また、より多くの資金が得られることで、新居の選択肢も広がります。

●評判の良い買取業者を選ぶ
利用者からの評判の良い買取業者は、サービス内容や対応が優れていて、満足度の高い取引が期待できます。一方で、評判の悪い業者を選ぶと、不満を感じることが多かったり、トラブルに発展するリスクが高まるため注意が必要です。

●実績が豊富な買取業者を選ぶ
実績豊富な買取業者は、豊富なノウハウを活かして、売主にとって有利な取引を提供したり、スムーズな手続きが期待できます。特に再建築不可物件の買取実績がどのくらいあるかを確認することが大切です。

これらのポイントを踏まえて買取業者を選ぶことで、売主にとってより有利な取引を実現しやすくなるでしょう。

隣地所有者へ売却

再建築不可の状態のまま、隣地所有者に売却する方法も選択肢の一つです。

隣地所有者が「敷地を広げたい」「再建築不可物件を購入後、再建築可能にして売却したい」などと考えている場合は、実現しやすい方法です。

また、隣人であるため売却物件について一定の理解があることが多く、交渉がスムーズに進む可能性もあります。ただし、再建築不可物件であることをしっかりと説明し、価格に妥当性がないと、後々トラブルにつながるリスクがあります。売買を進める際は、専門家を仲介に入れることをおすすめします。

再建築不可物件を売却する際の注意点

再建築不可物件を売却する場合、契約不適合責任が生じるため注意が必要です。

契約不適合責任

契約不適合責任とは、売買契約で引き渡された物件が契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

具体的には、物件の種類、数量、品質が契約内容と異なる場合に適用され、買主は売主に対して代金の減額請求、契約解除、損害賠償請求、または履行の追完請求などを求めることができます。

ただし、買取業者は、契約不適合責任を免責としている場合も多いです。

まとめ

再建築不可物件は通常の物件とは異なり、売却が難しいため、売却方法を慎重に選ぶことが大切です。

安易に売却方法を決めてしまうと、後々トラブルに発展する可能性もあります。

再建築不可物件を売却したい場合、再建築可能にしてから売る方法や、再建築不可のまま売る方法(仲介、買取、隣人への売却)などがあるため、自分に合った方法を選ぶようにしてください。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士