一戸建てを売却する理由は「転勤が決まった」「新しく家族が増えた」「相続した家を使う予定がない」など、人それぞれです。しかし、一戸建ての売却は一生のうちに何度も経験することではないため、どこから手をつければいいか分からないという方も少なくありません。
また、一戸建てはマンションに比べて需要が低い傾向があり、その分売却が難しいといわれています。なぜマンションよりも需要が低く、売却が難しいのでしょうか?そして、スムーズな売却を実現するためには、どのような準備が必要なのでしょうか。
この記事では、一戸建て売却の具体的な流れや必要な準備、さらに成功のポイントについて詳しく解説します。これから売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

一戸建ての売却がマンション売却よりも難しい理由

一戸建ての売却は、マンションに比べて難易度が高いと言われています。その背景には、いくつかの重要な要因があります。
・分譲マンションの方が需要が多い
・分譲マンションよりも資産価値が下がりやすい
つぎに理由を詳しく解説します。
分譲マンションの方が需要が多い
一戸建てが売却しづらい背景には、マンションに比べて需要が低い点が挙げられます。
一戸建ては主にファミリー層をターゲットにしていますが、少子化が進む日本では単身世帯の増加が続いています。この変化により、一戸建ての購入希望者が減少しているのが現状です。
国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、一般世帯に占める単身世帯の割合は2015年の34.5%から2040年には39.3%まで上昇する見込みです。この動向からも、一戸建ての需要がこれからも低迷する可能性が高いといえるでしょう。
さらに、需要の低さは価格動向にも影響を及ぼしています。国土交通省が発表した「不動産価格指数」では、マンション価格が2010年頃から継続して上昇しているのに対し、一戸建て価格は長期間横ばいの状態が続き、2020年以降にようやくわずかに上昇傾向が見られる程度です。
2023年の不動産価格指数を比較すると、マンションが193.9に対して、一戸建ては115.6と大きな差があることがわかります。この価格差も一戸建て売却の難しさを示しています。
分譲マンションよりも資産価値が下がりやすい
一戸建ては、マンションと比べて資産価値が早く下がる傾向があります。その理由の一つが建物の構造や耐用年数に関係しています。
不動産は経年劣化によって徐々に価値を失っていきますが、建物の構造によってその速度が異なります。例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造(SRC造・RC造)が一般的なマンションの耐用年数は47年とされています。一方、木造や合成樹脂造が多い一戸建ての耐用年数は22年です。この数字だけを見ると、一戸建てはマンションの約半分の期間で資産価値が大きく減少することが分かります。
耐用年数の目安(建物の構造別)
木造・合成樹脂造:22年
木骨モルタル造:20年
軽量鉄骨造(骨格材肉厚3㎜以下):19年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(SRC造・RC造):47年
耐用年数は国税庁が定めた指標で、資産価値の減少速度を測る目安となります。なお、これは物件の実際の使用可能期間ではなく、耐用年数を超えたからといってすぐに住めなくなるわけではありません。ただし、耐用年数を過ぎた物件は建物が劣化している可能性が高く、購入希望者が見つかりにくくなる傾向があります。
このような点から、一戸建てはマンションと比べて売却時に資産価値が低くなりやすいと言えます。売却を検討する際には、こうした点を踏まえて事前に入念な準備を進めることが重要です。
一戸建て売却の流れ

一戸建ての売却には、物件の売り出しから引き渡しまで、一般的に3~6カ月程度の期間が必要とされています。この間、計画的かつ効率的に手続きを進めることが重要です。以下に、一戸建て売却の主な流れを解説します。
1.事前準備
一戸建ての売却をスムーズに進めるには、事前の準備が成功のポイントです。必要な書類の整理や物件の状態確認、売却にかかる費用の見積もりなど、いくつかのステップをしっかりと行うことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
具体的な準備内容については、次で詳しく説明します。事前準備を丁寧に行うことで、売却活動をスムーズに進め、買い手にとって魅力的な条件を提示できるようにしましょう。
必要書類の準備
一戸建てを売却する際には、多くの書類が必要です。スムーズに売却を進めるためには、可能な限り事前に準備を進め、分からないことがあれば早めに不動産会社に相談しましょう。
・査定時に必要となる主な書類
登記事項証明書(登記簿謄本)
売買契約書(購入時の契約書類)
重要事項説明書(購入時のもの)
登記済権利証または登記識別情報
確定測量図・境界確認書
公図(土地の位置や形状を示す地図)
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
物件の図面(間取りや敷地図など)
設備仕様書(設備の詳細が分かる書類)
建築確認済証および検査済証
建築設計図書・工事記録書
耐震診断報告書(耐震性を証明する書類)
アスベスト調査報告書(該当する場合)
・引き渡し時に必要な書類
本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)
実印
印鑑証明書
住民票
銀行口座情報(通帳や振込先の詳細)
ローン残高証明書または返済予定表
物件のパンフレット(購入時に配布されたもの)
これらの書類を事前に揃えることで、売却手続きがスムーズに進みます。特に、登記関係や固定資産税の書類は買主や不動産会社とのやり取りで重要となるため、早めの確認が必要です。準備が難しい場合は、不動産会社に相談することで適切なサポートを受けられます。
土地の権利・境界が確定されているか確認
不動産を売却する際には、名義人であることが条件となります。そのため、自分が物件の正式な名義人であるかを事前に確認しておくことが大切です。特に一戸建ての場合、土地と建物で名義が異なるケースもあるため注意が必要です。
例えば、親から相続した土地に家を建てた場合、土地の名義変更をしていなければ、土地の名義が親のままになっている可能性があります。不動産の名義人を確認するには、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得するとよいでしょう。この書類は売却に必要な書類の一つでもあるため、準備を兼ねて確認することをおすすめします。
登記事項証明書は、法務局の窓口だけでなく、郵送やインターネットでも請求できます。特にオンライン申請を利用すれば、手数料の支払いから受け取り方法の選択(郵送または窓口受け取り)まで、すべてオンラインで完結するため便利です。
隣地との境界線が不明確なまま物件を売却すると、隣地所有者とのトラブルにつながるリスクがあります。売却を進める前に、境界標や杭を目視で確認するほか、法務局で取得できる地積測量図や登記事項証明書を活用して境界線を明確にしておきましょう。
もし境界線が曖昧な場合には、確定測量を行う必要があります。確定測量を実施することで、境界線を明確にし、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
土地の権利や境界をしっかりと確認することで、スムーズな売却手続きが可能になり、買い手からの信頼も得られるでしょう。事前に正確な情報を揃えることが成功への第一歩です。
売却にかかる諸費用の確認
一戸建ての売却には、売却価格の5~7%ほどの諸費用がかかるとされています。以下に、主な費用を項目ごとに詳しく説明します。
主な諸費用
仲介手数料
不動産会社に支払う成功報酬です。法定上限額は以下のように計算されます:
・売買価格が400万円超の場合:売買価格×3%+6万円+消費税
・売買価格が200万円超~400万円以下の場合:売買価格×4%+2万円+消費税
・売買価格が200万円以下の場合:売買価格×5%+消費税
一般的に、契約時と引き渡し時の2回に分けて支払います。
印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。契約金額に応じて変動し、たとえば1,000万円超~5,000万円以下の場合、軽減税額で1万円(通常は2万円)となります。
抵当権抹消費用
住宅ローンが残っている場合は、完済後に抵当権抹消の手続きを行います。
・登録免許税:1件につき1,000円(例:土地と建物で計2,000円)
・司法書士への報酬(依頼する場合):1万5,000円~2万円程度
各種証明書類の取得費用
物件売却時に必要な証明書類を取得する費用です。
・印鑑証明書:200~300円/通(自治体により異なる)
・固定資産税評価証明書:200~400円/通
・住民票(必要な場合):200~300円/通
譲渡所得税
売却で利益が出た場合に課される税金です。物件の所有期間により税率が異なります。
・所有期間が5年超(長期譲渡所得):20.315%
・所有期間が5年以内(短期譲渡所得):39.63%
住宅ローンの一括返済手数料
ローン残高を完済する際にかかる手数料です。1万~5万円程度が一般的です。
その他の費用
測量費や解体費、ハウスクリーニング費用、引っ越し費用などが含まれます。
・測量費:現況測量で10万~20万円、確定測量で35万~80万円
・解体費:木造で3万~5万円/坪、鉄筋コンクリートで4万~8万円/坪
・ハウスクリーニング:5万~10万円程度
これらの費用をあらかじめ把握しておくことで、売却時のトラブルや予算オーバーを防ぐことができます。不明点は不動産会社や専門家に相談して、スムーズな取引を目指しましょう。
建物の状態確認
築年数の経過した一戸建てを売却する際、そのままの状態で売るのが最適とは限りません。中古住宅の購入を検討する買主にとって、住宅ローン控除を受けられるかどうかは大きなポイントとなります。
住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の1%を原則10年間にわたって所得税や住民税から控除できる制度です。ただし、この制度を利用するには、建物の築年数に条件があります。具体的には、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)の住宅が対象です。
しかし、2005年の税制改正により、新耐震基準を満たしていることを証明する書類を添付すれば、築年数が条件を超えていても控除の適用が可能になりました。このため、築年数の古い物件の場合は、新耐震基準適合証明書を取得することを検討するとよいでしょう。
また、建物の状態によっては、土地として売却する選択肢もあります。建物を取り壊して更地にしたほうが、買主にとって利用しやすくなる場合もあります。更地にすることで、売却価格が上がる可能性がある反面、解体費用がかかる点にも注意が必要です。
売却を検討する際は、建物の状態や築年数だけでなく、土地としての価値や解体のコストも考慮しながら、不動産会社と相談して最適な方法を選びましょう。これにより、物件の魅力を最大限に引き出し、スムーズな売却が実現します。
2.不動産会社へ査定依頼
一戸建てを売却する際には、まず不動産会社に戸建ての査定を依頼し、売却価格の目安を把握することが重要です。査定は単に価格を知るだけでなく、信頼できる不動産会社を見つけるための大切なプロセスでもあります。
一戸建ての売却には、物件の売り出しから引き渡しまで、通常3~6カ月程度の期間がかかると言われています。そのため、早期売却を目指す場合は、適切な不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社が行う査定には、主に簡易的な「簡易査定・AI査定」や「机上査定」と、現地調査を伴う「訪問査定」の3種類があります。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

簡易査定・机上査定・AI査定
簡易査定・AI査定では、物件の面積や構造、築年数などの基本情報をもとに、AIが類似物件の成約データや市場動向を参照し、自動で査定額を算出します。
机上査定は、現地を訪問せずに、物件情報や周辺の取引事例、市場動向などを参考に不動産会社の担当者が査定を行う方法です。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者が物件を直接訪れて、建物の状態や周辺環境を詳しく調査する方法です。また、売主へのヒアリングを通じて、売却に関する詳細な情報も確認します。データだけでは判断できないポイントを把握できるため、より正確で実際の取引価格に近い査定額を提示してもらえるのが特徴です。
一戸建ての売却では、訪問査定を受けることが基本となります。簡易査定や机上査定で価格の目安を知ることもできますが、具体的に売却を進める際は、訪問査定を受ける必要があります。
売却を決めた時点で、最初から訪問査定を依頼すると、手続きの手間を減らせます。不動産会社が物件を訪れる際には、事前に建物の状態を整えたり、必要な書類を用意しておくことでスムーズに進行します。
訪問査定は、売却価格を確定するための重要なステップです。不動産会社との信頼関係を築きながら進めることで、売却の成功に一歩近づけるでしょう。
3.媒介契約
査定を経て、不動産会社を選んだら、売却の仲介を依頼するために「媒介契約」を締結します。媒介契約は、不動産会社と売主が正式に売買の仲介を行う約束をするもので、契約内容によっては複数の不動産会社と契約することも可能です。
媒介契約の種類(一般媒介・専任媒介・専属専任媒介)
媒介契約には以下の3つの種類があり、それぞれ特徴や拘束力が異なります。
一般媒介契約
複数の不動産会社と契約が可能。
売主が自ら買主を見つけて直接取引をすることも許可されている。
不動産会社の活動報告義務やレインズ(全国不動産流通機構)への登録義務はない。
専任媒介契約
契約できる不動産会社は1社のみ。
売主が直接買主を見つけることは可能だが、契約した不動産会社を通さないといけないケースも。
レインズへの登録が義務付けられており、登録期限は契約から7日以内。
不動産会社には2週間に1回以上の活動報告が義務付けられる。
専属専任媒介契約
1社との契約に限定され、売主が直接取引を行うことはできない。
レインズへの登録義務があり、登録期限は5日以内。
不動産会社の活動報告は1週間に1回以上行われる。
契約形態は、「一般媒介契約 < 専任媒介契約 < 専属専任媒介契約」で拘束力が高くなりますが、その分、不動産会社の責任や活動量も増えるため、より積極的な売却活動が期待できます。
一戸建てはマンションの売却よりも売却が難しい傾向があるため、売却を効率的に進めるためには「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を選ぶのが一般的です。ただし、契約形態によって自由度や売却のしやすさが異なるため、自身のニーズや物件の特性に合った契約を選ぶことが重要です。
媒介契約を正しく理解し、不動産会社と連携することで、売却活動を成功へと導きましょう。
4.販売活動
不動産会社を選び、媒介契約を締結したら、いよいよ物件の売り出しが始まります。一戸建てはマンションに比べて、売却までの期間にばらつきが出やすい傾向があります。短期間で売却できる場合もあれば、1年以上かかるケースも珍しくありません。
そのため、物件の状態を大きく変えることが難しい中で、「売り方」や「価格設定」に工夫を凝らすことが、スムーズな売却を実現するポイントです。
物件を売却する際には、査定額や市場の相場を参考に、適正な売り出し価格を設定する必要があります。「少しでも高く売りたい」という気持ちは自然ですが、相場よりも高い価格を設定すると、買主が見つかりにくくなるリスクがあります。特に、売却を急ぐ場合は、相場と同程度、またはそれ以下の価格を設定するのが一般的です。
事前に査定を受けた際、不動産会社が提示した査定額の根拠を確認し、その内容を価格設定に役立てましょう。
販売活動を成功させるコツ
- 売却相場をしっかり確認
同エリアの類似物件の成約事例や、現在の市場動向を把握しておきましょう。 - 物件情報を分かりやすく提供
購入希望者に魅力を伝えるため、間取り図や写真を充実させることが大切です。 - 柔軟な価格調整
売り出し開始後に反響が少ない場合は、価格の見直しを検討します。不動産会社と相談しながら適切なタイミングで調整することがポイントです。
販売活動は、不動産会社と売主が連携して進める重要なステップです。販売開始後の反響を定期的に確認しながら、適切な対応を取ることで、より早く理想的な条件での売却を実現できます。
各媒体への広告掲載
一戸建てを売却する際の集客活動は、基本的に不動産会社が中心となって行います。不動産会社は、物件を効果的に宣伝するため、以下のような手法を活用します。
インターネット広告:
主要な不動産情報サイトに物件情報を掲載し、多くの購入希望者にアプローチします。
チラシの配布:
地域に密着した方法で、近隣エリアの住民に物件情報を届けます。
店舗での広告掲示:
不動産会社の店舗で、訪れる顧客に直接物件を紹介します。
特に一般媒介契約や専任媒介契約を選択している場合は、売主が自ら買主を見つける「自己発見取引」が可能です。この場合、売主自身も積極的に販促活動を行うことで、売却の可能性を広げられます。
SNSや個人ネットワークを活用:
物件情報を身近な人や知人に共有することで、意外な形で買主が見つかることがあります。
物件の魅力を整理して発信:
間取りや立地の特徴を具体的に伝えることで、購入希望者の関心を引きやすくなります。
不動産会社が行う広告活動と売主自身の取り組みを組み合わせることで、より効率的な集客が可能になります。特に、一戸建てはマンションに比べて購入層が限定される傾向があるため、さまざまな手法を試して、多角的にアプローチすることが重要です。不動産会社と密に連携しながら、購入希望者に物件の魅力を伝えましょう。
内見対応
売却活動が進むと、物件の内覧を希望する方が増えてきます。内覧に備えることで、購入希望者に良い印象を与え、売却の成功につなげることができます。以下のポイントを押さえて、内見対応をしっかり準備しましょう。
事前準備
清掃は徹底的に:
特に水回りの清潔感は、購入希望者に強い印象を与えます。キッチンや浴室、トイレは汚れを取り除き、ピカピカにしておきましょう。
庭の手入れも忘れずに:
一戸建てを検討する方は、庭の状態を重視する傾向があります。草刈りや植木の整備を行い、整った印象を与えましょう。
空き家の場合:
定期的に換気を行い、空気の流れを良くして住み心地の良さを保つように心がけましょう。
内見時の注意点
設備のチェック:
内見前にエアコンや照明、窓の開閉などを確認し、不具合があれば早めに修理を行いましょう。
立ち会いのメリット:
売主自身が内覧に立ち会うことで、購入希望者に物件の魅力を直接伝えることができます。売主の人柄や細かな物件情報が、購入の決め手になることも少なくありません。
スケジュール管理:
内覧希望者の予定に合わせられるよう、事前にスケジュールを調整しておきましょう。平日忙しい場合は、不動産会社に内覧対応を依頼することも可能です。
内覧後、購入希望者から値下げや引き渡し時期の交渉が行われる場合があります。このような場合に備えて、事前に以下のような内容を決めておくとスムーズです。
・値引き可能な上限額を設定しておく。
・引き渡し時期の希望をあらかじめ決めておく。
購入希望者は複数の物件を比較検討していることが多いため、物件の魅力だけでなく、売主の柔軟な対応が成約につながる重要なポイントです。これらの準備をしっかり行うことで、売却成功の可能性を高めましょう。
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5.売買契約
売買契約は、物件の最終的な売却条件を確定させる重要なステップです。売却金額や引き渡し日、支払い条件などを契約書に明記し、買主と売主の双方が納得した上で署名捺印を行います。不動産会社が立ち会う中で、契約書の内容を読み合わせ、確認することが大切です。
【売買契約書に記載される主な内容】
売買物件の情報(所在地や面積など)
売却金額、支払い期日、支払い方法
引き渡しの日程および所有権移転時期(通常は引き渡し日と同じ)
支払い遅延時の損害金に関する取り決め
契約内容と実際の物件状態の違いに対する売主の責任(契約不適合責任)
契約違反が発生した際の契約解除条件
双方で未解決の事項が発生した場合の協議方法
契約後のトラブルに備えた裁判管轄の指定
これらの内容を売主と買主が明確に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
契約時の注意点は次の通りです。
隠れた瑕疵(欠陥)の確認
売却する物件に隠れた欠陥がないか、事前に確認しておくことが必要です。特に築年数の古い物件では、買主が後から発見することでトラブルになるケースもあります。
アスベストに関する調査と報告
2006年以前に建築された建物では、アスベストが使用されている可能性があります。アスベストの有無を設計図面などで確認し、必要に応じて専門業者に調査を依頼することが推奨されます。なお、アスベストの有無にかかわらず、調査実施の有無を報告する義務があるため注意が必要です。
契約後のリスクを防ぐために
売買契約後に契約内容と異なる点が発覚した場合、損害賠償請求や契約解除のリスクがあります。こうした事態を防ぐためにも、契約内容をしっかり確認し、不明点は不動産会社に相談して解決しておきましょう。
売買契約は売却活動の最終段階にあたります。慎重に進めることで、トラブルを防ぎ、スムーズに引き渡しを完了させましょう。
重要事項説明・署名・捺印
売買契約を締結する前に、宅地建物取引士が取引に関する重要事項を買主に説明し、その内容を記載した書面を交付します。この説明は、取引を進めるうえで重要なポイントを双方が十分に理解するために行われるものです。
重要事項説明で確認される主な内容
【不動産の権利関係】
物件が抱える抵当権や地役権など、権利に関する情報。
法令による制限
建築基準法や都市計画法に基づく規制、用途地域などの確認事項。
ライフライン設備の状況
飲用水や電気、ガスの供給状況、および排水設備の状態。
契約解除に関する取り決め
特定の条件下での契約解除の可否や、解除に伴う手続き。
建物状況調査の有無
物件の老朽化や不具合に関する調査が行われたかどうか、またその内容。
重要事項説明を受けた後、契約内容に同意した場合は売買契約書に署名捺印を行います。この際、不明点があればその場で解消することが重要です。不動産取引は一度締結すると取り消しが難しいため、契約内容をしっかり確認してから手続きを進めましょう。
重要事項説明は、不動産取引の透明性を確保し、契約後のトラブルを未然に防ぐために必要な手続きです。不動産の詳細情報や法的規制、契約条件について十分に理解し、安心して取引を進める準備を整えましょう。
買主から手付金の受領
売買契約を締結する際、買主から手付金を受け取ります。手付金は契約の成立を証明するだけでなく、契約解除時の違約金としての役割も果たします。
【手付金の金額と受領方法】
手付金の相場
一般的には売却価格の5~10%程度が手付金として設定されます。具体的な金額は売主と買主の協議によって決定されます。
最終決済時の手付金処理
売主は決済時に、売却代金の総額から手付金を差し引いた残額を受け取ります。
手付金の注意点は次の通りです。
違約時の扱い
手付金は契約解除時の違約金として機能します。買主が契約を解除する場合、手付金を放棄する必要があります。一方、売主が契約を解除する場合には、受け取った手付金の倍額を返還することが求められる場合があります。
契約時に内容を確認
手付金の金額や取り扱いに関するルールは、売買契約書に明記されています。契約書の内容を事前に確認し、双方が納得した上で契約を締結することが重要です。
手付金は契約の信頼性を高めるための重要なステップです。適切に受領し、トラブルを防ぐためにも、不動産会社や専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
不動産会社へ仲介手数料の支払い(半金)
売買契約が成立した後、不動産会社に仲介手数料の一部を支払います。この手数料は、売却活動や契約成立における不動産会社の業務に対する報酬です。
【仲介手数料の支払いタイミング】
契約時に半額を支払う
売買契約を締結した時点で、仲介手数料の半額を支払うのが一般的です。これは契約成立の手続きに対する報酬として、不動産会社に支払います。
引き渡し時に残額を支払う
残りの半額は、物件の引き渡しが完了したタイミングで支払うのが通常の流れです。
仲介手数料の金額
仲介手数料の上限は法律で定められており、次の計算式で求められます:
売買価格が400万円を超える場合:売買価格×3%+6万円+消費税
仲介手数料は、不動産取引をスムーズに進めるための重要な費用です。不動産会社との信頼関係を築きながら、適切な手続きを行いましょう。
6.決済・引き渡し
売買契約時に取り決めたスケジュールに基づき、決済および物件の引き渡しが行われます。売主の引越し準備や買主のローン手続きなどに時間を要するため、引き渡し日は契約締結後1カ月程度先に設定されるのが一般的です。
ここでは、決済から引き渡しまでの具体的な流れや注意点を解説します。
登記申請の書類等確認
物件の引き渡しに際して、所有権を買主へ移転するための登記手続きを行う必要があります。この手続きに必要な書類を事前に準備し、不備がないか確認することが重要です。登記申請は、司法書士が代行するケースが一般的ですが、売主自身が内容を把握しておくことで、スムーズな手続きにつながります。
【登記申請に必要な主な書類】
登記済権利証または登記識別情報
これは現在の所有者(売主)であることを証明する重要な書類です。不動産の購入時に受け取っている場合がほとんどです。
本人確認書類
売主の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)が必要です。
印鑑証明書
売主が実印を使用する場合に必要です。発行から3カ月以内のものを用意します。
住民票(売主が登記名義人と異なる場合)
売主の住所が登記簿上の情報と異なる場合に必要となります。
固定資産税評価証明書
登録免許税を計算する際に使用します。市区町村役場で発行が可能です。
委任状
手続きを司法書士に依頼する場合、委任状が必要です。フォーマットは司法書士が用意することが一般的です。
書類準備の際の注意点は次の通りです。
書類の期限確認
印鑑証明書や住民票は発行から一定期間が経過すると無効になるため、期限を確認しておきましょう。
紛失時の対応
登記済権利証を紛失した場合、司法書士に相談して「本人確認情報」を作成する手続きを進める必要があります。
書類のコピーでは不可
多くの書類は原本が必要となります。コピーでは手続きが進まないため、間違いなく原本を提出できるよう確認してください。
司法書士との連携でスムーズに
登記申請の書類が揃っていないと、手続きが滞る可能性があります。不動産会社や司法書士と連携しながら、不備なく書類を準備しましょう。登記が完了して初めて引き渡しが完了するため、丁寧な準備が大切です。
登記手続きをスムーズに進めることで、売却活動の最終ステップを無事に終えることができます。不明点があれば専門家に相談し、確実な準備を心がけましょう。
買主から残代金の受領・固定資産税の精算
物件の引き渡し日に、売却金額の最終決済が行われます。これは売主と買主の間で重要な取引となるため、手続きの流れや注意点をしっかり押さえておきましょう。
【残代金の受領】
買主のローン融資実行
引き渡し当日、買主が住宅ローンを利用している場合、金融機関から融資が実行され、売主の指定口座に売却金額が振り込まれます。この入金を売主が確認することで、取引が完了します。
手付金を差し引いた金額を受領
売買契約時に手付金を受け取っている場合、引き渡し日に受け取るのは売却価格から手付金を差し引いた残額です。事前に金額を確認しておきましょう。
住宅ローンの完済(売主側にローン残債がある場合)
売主が住宅ローンを完済していない場合、買主からの残代金受領後に、売主のローン返済手続きを行います。司法書士がこの手続きをサポートするケースが一般的です。
固定資産税の精算
物件の引き渡し時点を基準に、固定資産税や都市計画税を売主と買主の間で日割り計算し、精算します。たとえば、年度の途中で引き渡しが行われる場合、引き渡し日以降の分を買主が負担する形で調整されます。
引き渡し日に残代金の受領と税金精算をスムーズに行うことで、物件取引が無事に完了します。これらの手続きを正確に進めるため、不動産会社や司法書士と密に連携して準備を進めましょう。
鍵を全て買主に引き渡す
物件引き渡しの最終ステップは、鍵の引き渡しです。この手続きにより、正式に所有権が買主へ移ります。決済完了後の重要な作業となるため、注意点を押さえてスムーズに進めましょう。
すべての鍵を渡す
物件の引き渡しでは、主鍵に加えてスペアキーや郵便ポスト、物置、ガレージの鍵など、関連するすべての鍵を買主に渡します。
引き渡しの確認
買主に鍵を渡す際、不備がないことを一緒に確認します。必要であれば、鍵の動作や使用方法を説明するなど、スムーズな引き渡しに配慮しましょう。
諸費用の支払い
物件の引き渡しが完了した後、不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬を支払います。これらの費用は、売却手続きの最終段階で必要となるため、事前に準備を整えておきましょう。
仲介手数料の支払い
売買契約成立時に仲介手数料の半額を支払っている場合、引き渡し後に残りの半額を不動産会社に支払います。仲介手数料は、不動産取引を円滑に進めるための報酬として必要です。
司法書士への報酬
通常、所有権移転登記に関する司法書士への報酬は買主側が負担します。ただし、契約内容によっては売主が一部を負担するケースもあるため、売買契約時に取り決めておくことが重要です。
抵当権抹消費用
売主が住宅ローンを完済する場合、抵当権抹消登記が必要となります。
諸費用の注意点は次の通りです。
支払い条件を確認
契約書に記載された諸費用の負担割合や支払い方法を、事前に確認しておきましょう。曖昧な点は不動産会社や司法書士に相談してください。
トラブル回避のための取り決め
特に司法書士への報酬負担について、売主と買主の間で認識のずれがあるとトラブルに発展する可能性があります。契約時にしっかりと合意を形成しましょう。
抵当権抹消手続きのタイミング
抵当権抹消は引き渡しと同日に行われるのが一般的です。準備不足による遅れがないよう、必要な書類や費用を事前に揃えておきます。
諸費用の支払いを正確に行うことで、売却手続きは円満に完了します。細部まで確認を怠らず、不動産会社や司法書士と連携しながら進めましょう。
7.確定申告
一戸建てを売却した際、場合によっては確定申告が必要になります。譲渡所得税の計算や特例の適用など、確定申告が求められるケースを理解し、正確に手続きを進めましょう。
譲渡益が発生した場合
一戸建ての売却で利益が出た場合、譲渡所得税(所得税+住民税)が課されます。2037年(令和19年)までは復興特別所得税も加算されます。
短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
確定申告は売却翌年の2月16日~3月15日までに行い、所得税の精算結果はその年の住民税にも反映されます。
譲渡損失が発生した場合
売却損が出た場合でも、適用要件を満たせば特例を利用して所得税や住民税を抑えることが可能です。これらも確定申告が必要です。
確定申告の注意点は次の通りです
申告時期を守る
申告期間は決められているため、遅れると延滞税やペナルティが課される可能性があります。
書類の準備
必要な書類(売買契約書、領収書、固定資産税評価証明書など)を事前に揃えておきましょう。
特例の要件確認
特例には厳格な適用条件があるため、不動産会社や税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
これらのコツを押さえて計画的に進めることで、一戸建ての売却を成功させましょう。不動産会社や専門家との連携を大切にしながら、最良の結果を目指してください。

一戸建て売却を成功させるためのコツ

一戸建ての売却は、計画なしに進めると「思ったより時間がかかる」「希望価格で売れない」といった問題が発生しやすくなります。一戸建てはマンションと比較して買い手が付きにくい傾向があるため、効果的な戦略を立てることが重要です。
ここでは、一戸建て売却を成功に導くためのコツをご紹介します。
事前に相場を調べておく
一戸建てを売却する際、売却金額の目安は不動産会社による査定で確認できますが、売主自身で相場を調べておくことも大切です。事前に相場を把握することで、不動産会社の提示する査定額の妥当性を判断しやすくなります。
査定額は、不動産会社や担当者によって異なる場合があります。複数社に査定を依頼して結果を比較しようとしても、基準となる相場がわからなければ、どの査定額が適切なのか判断が難しくなります。そのため、売却をスムーズに進めるには、売主自身が相場観を持つことが重要です。
売却相場を調べる際は、以下のような情報を活用しましょう。
過去の成約事例を確認
条件が近い物件の成約価格を調べることで、売却価格の目安をつかむことができます。
売り出し中の物件をチェック
現在売却活動中の物件の価格は、競合の状況を知るために役立ちます。
参考になる情報収集ツール
以下のオンラインサービスを活用すると、簡単に相場情報を調べることができます:
レインズ・マーケット・インフォメーション
実際に売買された物件の成約価格や面積などを検索できるサイトです。
土地総合情報システム
国土交通省が運営しており、不動産取引価格や地価情報を提供しています。
不動産ポータルサイト
「SUUMO」「アットホーム」などのサイトでは、現在売り出し中の物件情報を閲覧できます。
相場を把握した後は、適切な査定額を提示してくれる不動産会社を選ぶことが大切です。不動産会社が提示する査定額の根拠を確認し、自分の調査結果と照らし合わせながら最適な契約先を見つけましょう。
事前の相場調査は、売却活動の第一歩として非常に重要です。これにより、売却価格の設定や不動産会社の選定がよりスムーズになり、売却の成功につながります。
複数社に査定の依頼をする
信頼できる不動産会社を見つけるには、複数社の査定を比較することが欠かせません。査定額だけでなく、担当者の対応や売主との相性も重要なポイントです。
複数社に査定を依頼するメリット
査定額の妥当性を判断できる
不動産会社ごとに査定額が異なる場合があります。複数の査定結果を比較することで、相場や適正価格を把握しやすくなります。
担当者の対応を確認できる
物件売却は長期間にわたる場合が多いため、担当者の対応の良さや誠実さが成功に大きく影響します。
売却戦略の違いを比較できる
不動産会社ごとに広告手法や販売戦略が異なるため、自分の物件に最適な売却プランを提案してくれる会社を選ぶことが可能です。
複数の選択肢を検討するためには、少なくとも3社以上の査定を受けることをおすすめします。査定額だけにとらわれず、担当者とのコミュニケーションを通じて信頼できるパートナーを見つけましょう。
近年では、不動産一括査定サイトを利用して、手軽に複数の不動産会社に査定依頼ができるようになっています。
操作が簡単:
指定のフォームに物件情報を入力するだけで、複数社の査定を一括で依頼できます。
時間を節約:
一括査定サイトを使えば、各不動産会社に個別に連絡する手間が省けます。
複数の提案を比較できる:
多様な選択肢から、最適な不動産会社を選ぶことができます。
不動産会社を選ぶ際の注意点は次の通りです。
査定額だけにとらわれない
高い査定額を提示されても、それが実現可能な価格かどうかを慎重に見極めましょう。
実績や評判を確認
売却経験が豊富で信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
自分との相性を重視
担当者が親身に対応してくれるかどうかは、売却成功に直結します。
複数の査定を通じて信頼できる不動産会社を選ぶことは、売却をスムーズに進めるための第一歩です。不動産一括査定サイトなども活用しながら、慎重に選定を進めましょう。
必要以上にリフォームや修繕はしない
一戸建てを売却する際、「少しでも高く売りたい」という気持ちから、大規模なリフォームや修繕を検討する方もいるかもしれません。しかし、必要以上のリフォームや修繕は、コストがかかるだけで売却価格に大きな影響を与えないケースもあります。適切な判断が重要です。
リフォームが不要な理由は次の通りです。
買主の好み
中古住宅を購入する買主の多くは、自分好みにリフォームやリノベーションを行うことを前提としています。そのため、売主が行ったリフォームが買主の好みや計画と合わない可能性があります。
費用対効果が低い
リフォームにかけた費用がそのまま売却価格に反映されるわけではありません。むしろ、大規模なリフォームを行った場合、そのコストを回収できないケースがほとんどです。
修繕箇所のズレ
売主が修繕した箇所と、買主が気になる箇所が一致しない場合、修繕にかかったコストが無駄になる可能性があります。
必要以上のリフォームを避ける一方で、最低限の修繕や手入れは、物件の印象を良くし、売却をスムーズに進めるために重要です。
水回りの清掃と整備
キッチンやバスルームなど、水回りの清潔感は買主に強い印象を与えます。簡単な修繕や清掃を行い、清潔さを保ちましょう。
壁や床の軽微な補修
小さな傷や汚れを補修することで、物件の印象が大きく改善されます。
庭の手入れ
一戸建ての購入者は庭の状態を重視する傾向があります。草刈りや剪定を行い、整った印象を与えるようにしましょう。
リフォームや修繕に多額の費用をかけるよりも、適正な売り出し価格を設定することが売却成功の鍵です。不動産会社と相談し、相場を踏まえた価格設定を行いましょう。
室内クリーニングや庭の手入れをする
内覧は、購入希望者が物件購入を決断する上で最も重要なイベントです。物件の魅力を最大限にアピールするためには、清潔感と丁寧な対応が欠かせません。
室内クリーニングのポイントは次の通りです。
清掃を徹底する
室内全体を隅々まで掃除し、特にキッチン、バスルーム、トイレなどの水回りは念入りに清潔感を保ちましょう。これらの場所は、購入希望者に強い印象を与えます。
整理整頓を心がける
押入れや納戸も内覧時に見られる可能性があるため、収納スペースも整理整頓しておきます。不要な物は事前に片付けておくと、広々とした印象を与えられます。
匂いにも配慮
空気を入れ替えて、室内の匂いが気にならないようにしましょう。特にペットを飼っている場合や喫煙者がいる家庭では注意が必要です。
庭の手入れと外観のメンテナンス
一戸建ての内覧では、庭や外観も購入希望者に大きく影響します。
庭の手入れをする
草刈りや剪定を行い、庭が整った状態であることを示しましょう。雑草や荒れた植栽は、購入意欲を下げる原因となります。
外観をチェック
屋根や外壁の状態を確認し、可能であれば簡単な修繕や洗浄を行いましょう。特に外壁の塗り替えを行った時期など、メンテナンスの履歴を購入希望者に伝えると良い印象を与えられます。
室内クリーニングや庭の手入れは、購入希望者に好印象を与えるための基本です。物件の魅力を最大限に引き出し、内覧者が「住みたい」と感じる工夫を行いましょう。不動産会社と連携して準備を進めることで、スムーズな売却につながります。
一戸建が売れやすい時期に売却活動を行う
一戸建ての売却は、時期を選ぶことで成約のスピードや価格に大きな影響を与えます。需要が高まるタイミングを見極め、効果的に売却活動を行うことが重要です。
一戸建てが売れやすいとされる時期は、以下の通りです。
春(1月~3月)
新年度や新生活が始まる前のこの時期は、転勤や進学、就職などで引っ越しを検討する人が増えます。また、暖かくなり始めることで内覧がしやすくなるため、購入希望者が活発に動くタイミングです。
秋(9月~11月)
夏休みが終わり、気候が安定する秋も物件が動きやすい時期です。家族で引っ越しを計画する人が多く、特に子どもの学校区を気にする買主が増える傾向があります。
売れやすい時期に売却を始めるメリットは次の通りです。
購入希望者が多い
需要が高まる時期に売り出すことで、内覧の機会が増え、成約までの期間が短くなる可能性が高まります。
価格交渉が有利になる
競争が激しくなる時期では、買主が条件を優先して購入を決める場合が多いため、価格交渉が売主にとって有利に進むことがあります。
内覧がしやすい環境
春や秋は天候が安定しているため、物件の魅力を最大限に伝えるチャンスが増えます。
売却活動の注意点を紹介します。
早めの準備を心がける
売却活動を始める前に、物件の相場調査や不動産会社への相談、清掃や修繕などの準備を行いましょう。特に人気の時期は内覧希望者が増えるため、物件の状態を整えておくことが重要です。
価格設定を慎重に
売却時期が良くても、価格が相場より高すぎると買主が敬遠してしまいます。不動産会社と相談し、適切な売り出し価格を設定しましょう。
タイミングを逃さない
需要が高い時期は短期間で過ぎてしまうこともあるため、スケジュールをしっかりと立てて売却活動を進めましょう。
一戸建ての売却を成功させるには、売れやすい時期を見極めることがポイントです。特に春と秋は購入希望者が増えるタイミングであり、成約のチャンスが高まります。事前準備をしっかり行い、効果的な売却活動を進めることで、理想的な条件での売却を実現しましょう。不動産会社と連携し、スムーズに売却を進める計画を立てることが成功のカギとなります。
集客力の強い不動産会社を選ぶ
一戸建ての売却を成功させるには、集客力があり、販売実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。物件の特性やエリアに合った不動産会社を選ぶことで、効率的に売却活動を進められます。大手不動産会社、中小不動産会社の特徴をそれぞれ説明します。
大手不動産会社の特徴
広範囲にわたるネットワークと強力な広告力を持っています。
全国規模での集客が可能で、より多くの購入希望者に物件情報を届けられます。
中小不動産会社の特徴
地域密着型で、エリア内の特性や需要を熟知しています。
地元の購入希望者や特定のターゲットに対して効果的な集客が可能です。
どちらが良いかは物件の所在地や条件によります。会社の規模だけで判断せず、自分の物件に最適な不動産会社を選びましょう。
また、不動産会社選びでは、担当者との相性が売却成功のカギとなります。
- 誠実な対応
質問や相談に親身に答え、売主の意向をしっかりと理解してくれる担当者を選びましょう。 - 提案力の有無
販売戦略や価格設定について具体的な提案をしてくれる担当者は信頼できます。 - コミュニケーションのスムーズさ
定期的に売却活動の報告を行い、進捗状況を共有してくれる担当者は安心感を与えます。
一戸建ての売却を成功させるためには、物件の特徴に合った不動産会社を選ぶことが重要です。大手と中小それぞれの強みを理解し、担当者の対応や提案力にも注目して選定を進めましょう。信頼できるパートナーと連携することで、スムーズな売却活動を実現することができます。
一戸建て売却まとめ
一戸建てを売却する際には、計画的な準備と適切な戦略が必要です。売却活動は、事前準備、不動産会社選び、販売活動、契約・引き渡し、確定申告といったステップを経て進められます。それぞれの段階で注意すべき点をしっかり押さえておくことが、成功への鍵となります。
まず、売却に向けた事前準備として、必要書類の確認や物件の状態チェックを行い、費用や手続きについて理解を深めます。不動産会社への査定依頼も、この準備段階で進めておきましょう。査定を依頼する際は、複数の会社を比較し、実績や信頼性を重視した選択が大切です。
販売活動では、売却価格の設定や内覧対応が重要です。市場相場を調べ、適正な価格で売り出すことで、購入希望者の関心を引きやすくなります。物件の印象を左右する内覧では、室内の清掃や庭の手入れを徹底し、清潔感と整然とした印象を与えるよう努めましょう。さらに、購入希望者の質問には正直かつ丁寧に対応することで、信頼感を高めることができます。
契約締結後は、決済や引き渡しに向けた準備を進めます。所有権移転登記や手付金の受領、固定資産税の精算など、必要な手続きを確実に行いましょう。引き渡し後には、譲渡所得税の申告が必要になる場合があります。特例の活用や税金の計算について不明点があれば、税理士や不動産会社に相談すると良いでしょう。
一戸建て売却は、各ステップでの丁寧な対応が成功の鍵です。適切な売却価格を設定し、物件の魅力を最大限に引き出す工夫をすることで、スムーズな取引が実現します。また、不動産会社との連携を強化し、進行状況を共有しながら進めることが、理想的な売却条件を得るためのポイントとなります。売却活動の全体像を把握し、計画的に進めることで、満足のいく結果を得られるでしょう。
