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自宅を売却するには?早く売るコツや注意点を解説

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檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 自宅の売却方法には「仲介」と「買取」の2つがある

  • 自宅を査定に出す際は複数の不動産会社を比較することが大切

  • 自宅を早く売るためには内見や価格交渉の準備、時期の選定などが重要

自宅の売却を検討している方の中には「売却方法にはどんなものがある?」「早く売るためのコツや注意点は?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。自宅の売却方法には仲介と買取の2つがあり、それぞれで特徴や売却価格に違いがあります。

また、相場の把握や複数の不動産会社への査定依頼、不動産が活発に動く時期を狙うなど、自宅を早く売るためのコツを知っておくと、スムーズな売却が実現可能です。この記事では、自宅を売却する方法や手順、早く売るコツ、注意点などについて詳しく解説しています。

自宅をより良い条件で売却したい方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

自宅を売却する方法

自宅を売却する方法には「仲介での売却」「買取」の2つがあります。それぞれで売却の仕組みや価格が異なるため、特徴や違いを理解しておくことが大切です。ここでは、2つの売却方法について紹介します。

仲介での売却

仲介での売却とは、不動産会社に買主を探してもらい、自宅を売却する方法です。不動産会社が売主と買主との間に立ち、販売活動やプロモーション、買主との交渉などを行います。
仲介で自宅を売却する場合のメリットとデメリットは、次のとおりです。

■メリット
・プロが対応してくれるため安心
・不動産会社が買主を探してくれる
・市場相場に近い価格で売却可能

豊富な売買実績を持つ不動産会社がサポートしてくれるので、自宅の売却がはじめての方でも安心です。自宅の売り方や売却価格について的確なアドバイスをしてくれます。
また、物件情報をポータルサイトや不動産会社の自社サイト、チラシ、雑誌などに掲載し、買主を探してくれます。市場相場に近い価格で売却できるため、買取よりも高値で売れる可能性が高いのがメリットです。

■デメリット
・売却までに時間がかかる
・仲介手数料が発生する
・リフォームや修繕が必要な場合がある

仲介の場合、通常、売却までに3ヶ月〜6ヶ月程度かかると言われています。物件によっては、買主が見つかるまでに1年以上かかる場合もあるため注意が必要です。売却が決まった際には、不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が決められていて、計算式(速算式)は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。また、売却するためにリフォームや修繕が必要となり、まとまった費用がかかることもあります。

買取

買取は、自宅を直接不動産会社に売却する方法です。仲介と比べて、現金化までのスピードが速く進められます。
買取で自宅を売却する場合のメリットとデメリットは、次のとおりです。

■メリット
・現金化までのスピードが速い
・仲介手数料がかからない
・リフォームや修繕が必要ない

不動産会社が自宅を直接買い取るため、仲介のように買主を探す必要がなく、最短で数日から10日程度で現金化が可能です。

また、仲介手数料が不要で、売却前にリフォームや修繕を行う必要もありません。そのため、仲介と比べて売却にかかるコストを抑えることができます。

■デメリット
・仲介よりも売却価格が安くなる
・買取を行っている不動産会社が限られている
・必ずしも買い取ってもらえるわけではない

買取の売却価格は市場相場より2割〜3割程度安くなります。そのため、仲介と比べて数百万円、場合によっては1,000万円以上で売却価格が安くなることがあります。また、すべての不動産会社が買取に対応しているわけではありません。さらに、買取を行っている不動産会社でも、物件が条件を満たしていない場合は買取を断られることがあります。

自宅を売却する前に確認すべきこと

自宅を売却する前に、必要書類や費用、住宅ローンの残債を確認することが大切です。これらを確認することで、自宅売却を計画的かつスムーズに進めることができます。ここでは、自宅売却前に確認すべき3つのポイントを解説します。

自宅の売却に必要な書類

自宅を売却する際に必要な書類は、次のとおりです。

書類内容取得場所
登記簿謄本または登記事項証明書登記内容・権利関係を証明するための書類法務局
登記権利証または登記識別情報登記が完了したことを証明するための書類法務局
土地測量図、境界確認書隣地との境界を明確にするための書類法務局
購入時の売買契約書取引内容が記載された書類購入時に取得
購入時の重要事項説明書物件に関する重要事項(権利や条件など)が記載された書類購入時に取得
固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書固定資産税の税額が記載された書類市区町村役場
建築設計図書・工事記録書建物の設計図面や工事記録が記載されたもの購入時に取得
印鑑証明書登録された印鑑が本人のものであることを公的に証明する書類市区町村役場
パンフレット物件情報が記載されている購入時に取得
マンションの管理規約マンションの規約が記載された書類購入時に取得
総会議事録管理組合の総会の議事録管理組合
長期修繕計画マンションの長期修繕計画や管理費・修繕積立金の詳細が記載された書類管理組合
建築確認済証建築計画が建築基準法に適合していることを証明するための書類購入時に取得
検査済証工事完了後の検査に合格したことを証明する書類購入時に取得
住民票居住関係を公的に証明する書類市区町村役場
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)本人であることを証明する書類市区町村役場など

必要な書類は、自宅がマンションか戸建てかによって異なります。
また、上記以外にも必要な書類が求められることがあるため、早めに不動産会社に確認しましょう。

自宅の売却にかかる費用・税金

仲介で自宅を売却する際には、次の費用や税金が発生することがあります。

費用・税金目安
仲介手数料上限額は「売買価格×3%+6万円×消費税」です。
住宅ローン返済手数料住宅ローンを一括返済する際にかかる手数料です。金融機関によって異なりますが、0円〜3万円程度かかります。
印紙税契約金額で異なります。契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円(軽減税率適用)かかります。
登記費用・抵当権抹消費用登録免許税:固定資産税評価額×税率2%抵当権抹消登記費用:不動産の個数×1,000円所有権移転登記費用:固定資産税評価額×税率司法書士手数料:5万〜10万円程度
その他の費用ハウスクリーニング費用:1.5万円〜10万円程度
確定測量費用:30万〜50万円程度
リフォーム・修繕費用:数万〜数百万円
※上記の金額は目安であり、実際の金額とは異なる場合があります。

どの程度の費用や税金がかかるのか不動産会社に確認して、早めに具体的な資金計画を立てることをおすすめします。

参照:
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
国税庁「登録免許税の税額表」

住宅ローンの残債

自宅を売却する前に、住宅ローンの残債を確認しましょう。なぜなら、自宅を売却する場合、金融機関から住宅ローンの完済を求められるからです。住宅ローンを利用している場合、不動産には金融機関の抵当権が設定されています。抵当権が設定されたままでは売却が難しいため、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。

そのため、事前に住宅ローンの残債を確認し、売却代金で全額返済が可能かどうかを確認しておくことが大切です。売却代金で全額返済できる場合はよいですが、足りない場合は貯金などで不足分を補う必要があります。住宅ローンの残債は、金融機関から届く残高証明書や返済予定表、窓口、住宅ローンのマイページなどで確認できます。

自宅を売却する基本的な流れ

自宅を売却する際の基本的な流れを理解しておけば、事前準備がしっかりでき、スムーズに進めることができます。
それぞれの内容について見ていきましょう。

1.売却準備

自宅を売却する際は、まず以下の準備を進めましょう。

・本当に売却するのか家族でしっかり話し合う
・住宅ローンの残債を確認する
・売却価格の相場を調べておく
・希望する売却価格を決めておく
・売却後の住まいをある程度決めておく

後悔しない決断をするために、自宅を売却するかどうかを家族で十分に話し合うことが大切です。また、売却後の資金計画を立てたり希望の売却価格を決めるために、住宅ローンの残債や売却価格の相場を確認します。以下のサイトを利用すれば、過去の取引データや現在販売中の類似物件のデータを参考にして、相場を調べることができます。

・不動産情報ライブラリ
・レインズ・マーケット・インフォメーション
・不動産ポータルサイト

通勤や通学、学校区などの問題もあるため、売却後の新しい住まいについてもある程度計画を立てておきましょう。

2.査定(簡易査定・訪問査定)

自宅の売却に伴い、不動産会社に査定を依頼します。家の査定を受けることで、自宅の大まかな売却価格を把握することができます。査定方法には「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2種類があります。

査定方法内容
机上査定(簡易査定)類似物件の過去の取引データなどをもとに査定額を算出する方法です。最短で当日〜1日程度で結果がわかります。
訪問査定類似物件の取引データに加えて、実際に物件や周辺環境を現地調査して、査定額を算出する方法です。机上査定より結果が出るまでに時間はかかりますが、より精度の高い査定額を得られるのが特徴です。

自宅を査定する際は、複数の不動産会社に依頼して比較することをおすすめします。より高い評価をしてくれる不動産会社や、信頼できる対応をしてくれる不動産会社を選べるからです。

これらの不動産会社を選ぶことで、自宅がより高く売れる可能性があります。

3.媒介契約

査定額を確認して、売却を依頼したい不動産会社が決まったら媒介契約を締結します。
媒介契約は3種類あり、特徴が異なるため、自分に合った契約を選ぶことが大切です。

媒介契約の種類

媒介契約は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれで特徴が異なります。

専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
複数の不動産会社との契約✕(1社のみ)✕(1社のみ)
売主が見つけた買主との直接取引
不動産会社の報告義務1週間に1回以上2週間に1回以上任意
レインズへの登録義務5日以内7日以内任意
契約期間3ヶ月以内3ヶ月以内定めなし

各媒介契約の主なメリット・デメリットは、次のとおりです。

■専属専任媒介契約
専属専任媒介契約のメリットは、不動産会社の積極的な販売活動が期待できることです。不動産会社は他社に物件売却を取られるリスクが低く、契約期間内に売却が成立すれば、必ず仲介手数料を得ることができます。

一方、デメリットは1社のみの契約となるため、不動産会社に十分な販売力がなければ、売却のチャンスを逃したり、良い条件で売却できない可能性があります。また、売主が見つけた買主と直接契約することはできません。

■専任媒介契約
専任媒介契約のメリットは、専属専任媒介契約と同じく、不動産会社の積極的な販売活動が期待できることです。また、売主が見つけた買主と直接契約を結ぶことも可能です。

一方、デメリットは契約できる不動産会社が1社に限られるため、契約した会社の販売力に依存することです。不動産会社の報告義務が専属専任媒介契約より少なく、情報にタイムラグが生じやすい点にも注意が必要です。

■一般媒介契約
一般媒介契約のメリットは、複数の不動産会社と契約できることです。複数の不動産会社がそれぞれの販売経路や顧客に対して販売活動を行うため、早期売却が期待できます。また、不動産流通機構(レインズ)への登録義務がないため、周囲に知られるリスクを抑えられます。

一方、デメリットとして、不動産会社がコストをかけて積極的な販売活動を行わない可能性があります。不動産会社にとって競合が多く、仲介手数料を得られる保証がないからです。

メリットとデメリットを把握し、自分に合った媒介契約を選ぶことが大切です。

4.販売活動

不動産会社と媒介契約を結ぶと、販売活動が始まります。
不動産会社は売主の希望を反映させて販売戦略を立て、物件情報がポータルサイトや自社サイト、住宅情報誌、新聞折込チラシ、ポスティングチラシなどに掲載されます。

購入希望者との交渉ややり取りは不動産会社が対応するため、安心です。特に内見は購入を決める重要なポイントとなるため、内見前には清掃や片付けをしっかりと行い、入念に準備することが大切です。物件の印象を良くするために、ハウスクリーニングやホームステージング(モデルルーム化)を行ったほうが効果的な場合もあります。
不動産会社に相談しながら、進めるとよいでしょう。

5.売買契約

買主が見つかり、条件に合意したら売買契約を結びます。売買契約の際は、売主も同席するのが一般的です。宅地建物取引士による重要事項説明を受けて、売買契約書の内容を確認し、問題がなければ署名・捺印を行います。また、買主から手付金(通常は売買価格の約10%)を受け取ります。売主は、不動産会社に仲介手数料の半額を支払います。

スムーズに契約を進めるために、売買契約時に必要な書類や金額を早めに確認し、準備しておきましょう。

6.決済・引き渡し

売買契約後、1ヶ月程度で決済および引き渡しとなります。そのため、決済・引き渡しの日までに引っ越しを済ませておく必要があります。

当日の主な流れは、次のとおりです。

1.登記関連の書類を確認(司法書士)
2.ローンの実行
3.残代金の支払い(買主)
4.仲介手数料の支払い(売主)
4.抵当権の抹消手続き
5.物件の引き渡し

住宅ローンの残債がある場合は、金融機関に返済します。返済時には繰上返済手数料がかかるため、事前に残債と手数料の両方を確認しておきましょう。

7.確定申告

自宅を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、確定申告と譲渡所得税の納付が必要になります。譲渡所得税の算出方法や税率は、次のとおりです。

●譲渡所得税の計算方法
課税譲渡所得金額×税率

●課税譲渡所得金額の計算方法
収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除

・収入:自宅を売却して得る収入
・取得費:自宅取得時にかかった費用(購入金額、手数料など)
・譲渡費用:自宅売却時にかかった費用(手数料、税金など)
・特別控除:3,000万円の特別控除など

●譲渡所得税の税率
自宅の所有期間に応じて税率が異なります。

所有期間税率
5年超(長期譲渡所得)20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
5年以下(短期譲渡所得)39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)

上記のとおり、自宅の所有期間が5年以下の場合は、5年を超える場合の約2倍の税率が適用されます。そのため、所有期間が短い場合は、5年を超えてから売却することも選択肢の一つです。

ただし、「3,000万円の特別控除」などが適用され、課税譲渡所得金額が0円になる場合には税金はかかりません。

また、自宅を売却して利益どころか損失(譲渡損失)が発生した場合には、損益通算によって税負担を軽減することが可能です。

損益通算は、自宅売却で生じた赤字を他の黒字所得と相殺することで、課税所得金額を減らして節税する仕組みです。損益通算を行う場合にも確定申告が必要になります。

確定申告の時期は、例年2月16日から3月15日までです。疑問点がある場合は、早めに税務署や専門家、不動産会社に相談しておきましょう。

参照:
国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
国税庁「土地や建物を売ったとき」
国税庁「マイホームを売ったときの特例」

自宅を早く売るためのコツ

自宅を早く売却するためには、相場の把握や価格交渉を見据えた準備、複数の不動産会社への査定依頼など、いくつかのポイントがあります。これらのポイントを事前に理解しておくことで、自宅を早期に売却できる可能性が高まります。

早期売却が実現すれば、維持管理費の負担を減らせるだけでなく、住宅ローンの完済や新居への引っ越しなど、次のステップに早く進むことが可能です。ここでは、自宅を早く売るためのコツについて紹介します。

事前に相場を調べておく

不動産会社に査定を依頼する前に、自分で相場を調べておくことは大切です。相場を把握しておくと、具体的な資金計画を立てやすくなります。また、悪質な不動産会社が査定額を極端に高く(もしくは安く)提示してきた場合に、価格が適切でないことを見抜くことが可能です。

悪質な不動産会社を避けられるため、信頼できる不動産会社を選びやすくなります。信頼できる不動産会社は顧客ファーストで動き、売主の利益を最大化するためにしっかりとサポートしてくれます。そのため、良い条件での早期売却が期待できるでしょう。

なお、相場は「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケット・インフォメーション」で類似物件の過去の取引データを調べたり、「不動産ポータルサイト」で販売中の類似物件の価格を調べることで把握できます。

価格交渉も視野に入れる

自宅を早く売却したい場合は、価格交渉を検討することも大切です。中古不動産の売買では、多くの買主が価格交渉を希望します。価格が少しでも安くなれば、その分お得に購入できるため買主にとっては当然のことです。売却価格が予算をオーバーしていて、なんとか予算内に収めようと交渉する買主もいます。

価格交渉に応じない選択肢もありますが、その場合、早期に売却できる可能性に影響が出ることがあるため注意が必要です。価格交渉に応じる場合は、買主にとってのメリットが増えて購入意欲が高まるため、早期売却を実現しやすくなります。

事前に不動産会社と話し合い、いくらまでなら値下げが可能かを決めておきましょう。

複数の不動産会社に査定依頼をする

自宅を早く売るためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。不動産会社によって得意とする物件やエリア、売却実績、ノウハウが異なるため、同じ物件でも査定額が変わることがあります。複数の不動産会社に査定を依頼することで、査定額や特徴、強みを比較できるため、条件が良く信頼できる不動産会社を選びやすくなります。

条件が良く信頼できる不動産会社は、豊富な売却実績やノウハウを持っていることが多いため、早期の売却が期待できるでしょう。査定依頼を効率的に行いたい場合は、一括査定サイトの利用をおすすめします。通常、査定依頼は1社ずつ行う必要があるため、手間がかかります。しかし、一括査定サイトを利用すれば、1回の情報入力で5社〜10社にまとめて依頼できるため、とても効率的です。

信頼できる不動産会社を選び、早期売却を目指すなら、複数社への査定依頼を検討してみましょう。

実績のある不動産会社に専任媒介で依頼する

自宅を早く売りたい場合は、実績のある不動産会社に専任媒介で依頼することをおすすめします。
専任媒介契約を選ぶメリットは、以下のとおりです。

・積極的な販売活動が期待できる
・売主自身が見つけた買主と直接契約できる

専任媒介契約は1社とのみ契約を結ぶため、不動産会社は仲介手数料を得るために販売活動に力を入れる傾向があります。複数の不動産会社と契約を結ぶ一般媒介契約では、他社で契約されるリスクを懸念して、
販売活動が控えめになる場合があります。

また、専任媒介契約は専属専任媒介契約と異なり、売主が自ら見つけた買主と直接契約を結ぶことが可能です。

実績のある不動産会社に専任媒介で依頼できれば、より良い条件での早期売却が期待できます。

売れやすい時期に合わせて売却活動を行う

売れやすい時期を狙って売却活動を行うことで、自宅の早期売却が期待できます。一般的に、不動産が最も売れやすい時期は1月〜3月とされています。1月〜3月は、新学期や新年度に向けて引っ越しを検討する方が増え、買い手が活発に動くタイミングだからです。そのため、この時期に合わせて売却活動を開始したり、集中的に進めたりすることで、買主がすぐに見つかる可能性があります。

特に子どものいる家庭では、新学期や新学年に間に合わせたいというニーズが強いことから、相場よりも高値で売れることもあります。また、9月〜11月も不動産が売れやすい時期です。9月〜11月は人事異動による転勤者が増えるため、家探しをする方が多くなります。

このような時期を選んだからといって必ず売れるわけではありませんが、不動産が活発に動くタイミングであるため、売却戦略の一つとして検討してみるとよいでしょう。

内見時の印象をよくする

自宅を早く売却するには、内見時の印象を良くするための準備が大切です。多くの買主は内見での印象を重視するため、内見で悪い印象を与えると、検討候補から外されてしまう可能性があります。

内見時の印象を良くするためのポイントは、次のとおりです。

【内見前日までの準備】
・家全体を清掃して清潔感を出す
・特に水回りを徹底的にきれいにする
・嫌な臭いを取り除く

【内見当日の準備】
・部屋を明るくしておく
・快適な室温に調整する
・清潔なスリッパを用意する
・物件の魅力や長所がわかるようにする

汚れがひどい場合は、ハウスクリーニングの利用を検討するのもよいでしょう。内見は、自宅売却において非常に重要なポイントです。印象を良くするためにも、しっかりと準備をしましょう。

自宅の状態によっては買取も検討する

自宅を早く売却したい場合は、買取を検討するのも一つの方法です。買取は、不動産会社が直接物件を購入するため、現金化までのスピードが速いのが特徴です。多くの不動産会社では、買取契約後、10日以内に現金化が可能です。中には、最短で当日に現金化できる不動産会社もあります。

また、買取ではハウスクリーニングやリフォーム、修繕を行う必要がなく、仲介手数料も発生しないため、売却にかかるコストを抑えることが可能です。

物件情報がWebサイトやチラシに掲載されないため、売却の件を近隣住民や知人に知られずに済みます。契約不適合責任を負わないため、売却後のトラブルの心配が少なく、精神的な負担を軽減できるのも特徴です。ただし、買取の場合は、売却価格が市場相場よりも2割〜3割程度安くなるのが一般的です。例えば、仲介では3,000万円で売れる物件が、買取だと2,100万〜2,400万円程度でしか売れない可能性があります。
自宅の売却を急いでいる場合は、メリット・デメリットを踏まえた上で買取も検討してみるとよいでしょう。

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自宅の売却でよくある質問

ここでは、自宅の売却に関するよくある質問を紹介します。売却や住み替えをスムーズに進めるためにも、疑問や不明点を事前に解消しておきましょう。

住宅ローンの残債があっても売却できるの?

自宅の売却を検討していて、住宅ローンが残っている場合でも売却できるのか不安に思っている方は多いでしょう。通常、住宅ローンを利用して購入した不動産には、金融機関が抵当権を設定しています。抵当権が設定されている場合、借主がローンの返済が難しくなると、金融機関は不動産を売却して資金を回収することができます。

不動産を売却する際には、住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する手続きが必要になります。

住宅ローン残債があっても売却は可能

住宅ローンの残債があっても、自宅の売却は可能です。なぜなら、一般的に住宅ローンの残債は、売却代金を使って一括返済するためです。そのため、ローンが残っていても問題なく売却できます。ただし、売却代金だけでは住宅ローンの残債を完済できない場合には、注意が必要です。この場合、不足分を貯金など他の資金で補填する必要があります。

場合によっては、住宅ローンを完済するために新たなローンを組むことになります。住宅ローンの残債がある場合でも自宅の売却は可能ですが、事前にしっかりと資金計画を立て、シミュレーションを行うことが大切です。

まとめ

自宅の売却方法には「仲介」と「買取」の2つがあり、特に高く売りたい場合は仲介、早く売却したい場合は買取がおすすめです。仲介では市場相場に近い金額で自宅を売却でき、買取の場合は不動産会社が直接購入し、最短で当日に現金化できる場合もあります。

住宅ローン残債がある場合は、売却した資金で返済する必要があるため、事前に残債を確認し、資金計画をしっかり立てておきましょう。売却代金で返済が難しい場合は、貯金などで不足分を補填する必要があります。

仲介と買取、どちらの場合でも、実績があり信頼できる不動産会社を選ぶことで、より良い条件での売却が期待できます。自宅の売却を考えている方は、不動産会社選びや査定依頼を行い、売却の準備を進めていきましょう。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士