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不動産売却はどこがいい?大手と地元それぞれのメリットや判断基準を解説

この記事の監修者

檜垣知宏:宅地建物取引士のアバター

檜垣知宏:宅地建物取引士

この記事のポイント

  • 大手と地元、それぞれの特徴を理解して選択することが重要

  • 売却物件の立地や条件に応じて、最適な不動産会社は変わってくる

  • どうしても決断できない場合は、複数の不動産会社に依頼する一般媒介契約も一案となる

不動産を売却する際、「大手不動産会社に依頼すべきか、それとも地元の不動産会社に頼むべきか…?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
不動産売却は、多くの人にとって人生の大きな節目に立ち会う重要な決断です。
その決断を大きく左右する不動産会社の選択には、慎重さが求められることでしょう。

そこで今回は、不動産売却を検討されている方に向けて、大手と地元の不動産会社それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説いたします。
両者の特徴を理解し、自身のニーズに最適な不動産会社を見極めるための判断基準もわかりやすくご案内します。

不動産の売却は一生に一度あるかないかの重要な経験です。
せっかくの機会を最大限に活かすためにも、信頼できるパートナー選びは不可欠といえます。
大手と地元の不動産会社それぞれのメリットを見極め、自身に合った会社を選定することで、スムーズでお得な売却が実現できるはず。
この記事を参考にしていただき、大切な不動産の売却を成功へと導いていただければ幸いです。

目次

不動産売却はどこがいいのか?

不動産売却の選択は、売主の大切な資産を左右する重要な決断であり、多くの方が頭を悩ませる部分です。
とりわけマイホームの売却となると、何千万円という大きな取引額になることも珍しくないため、信頼できる不動産会社選びは慎重に進めたいところです。

現在の不動産市場では、全国展開する大手不動産会社から地域密着型の地元不動産会社まで、実に様々な選択肢が存在しており、それぞれが独自の強みを持っています。
大手不動産会社であれば、豊富な取引実績と確かな情報力を活かした広域での集客が期待できる一方、地元の不動産会社は、地域特性を熟知した細やかな対応とフットワークの軽さが魅力となっています。
ただし、一概にどちらが優れているとは言えず、物件の立地条件や売却のご事情、さらには売主の希望する売却スタイルによって最適な選択は変わってきます。

以下では、大手不動産会社と地元不動産会社それぞれの特徴を詳しく確認していきながら、自身に合った不動産会社の選び方をご案内していきます。

大手不動産会社を選ぶメリット

不動産売却において、まず大手の不動産会社への依頼を検討されている方も多いのではないでしょうか。
大手不動産会社は全国規模のネットワークと豊富な経営資源を持ち、多くの売主から選ばれています。
では初めに、大手不動産会社を選ぶ際の主なメリットから詳しく解説していきます。

取引実績が多い

大手不動産会社の最大の強みは、全国規模での豊富な取引実績であり、年間数千件から数万件にも及ぶ取引を手掛けていることも珍しくありません。

このような膨大な取引経験から得られた様々なケースへの対応ノウハウは、社内でマニュアル化やデータベース化が進められており、新築からリノベーション物件、一戸建てからマンションまで、幅広い物件に対して適切な対応が可能となっています。
特に、一般的な物件の売却においては、過去の取引事例を基にした価格設定や、効果的な販売戦略の立案、さらには、契約書類の作成から決済までの一連の流れが標準化されているため、スムーズかつ確実な取引進行を期待することができます。
また、過去の成功事例や失敗事例を組織として共有することで、予期せぬトラブルへの対応力も備わっており、売主に安心感を提供できる体制が整っています。

こうした実績に基づく確かな対応力は、初めて不動産を売却する方にとっても大きな安心材料となるでしょう。

会社規模が大きく信頼感がある

大手不動産会社の、揺るぎない企業基盤と高い社会的信用力もメリットといえます。

多くの大手不動産会社は上場企業として厳格な経営管理体制を敷いており、決算情報や経営状況が公開されているため、財務面での透明性も確保されています。
また、社内の法務部門や専門家との連携体制が整備されているため、万が一のトラブル発生時でも、迅速かつ組織的な解決が期待できることも大きな安心材料となっています。
さらに、長年の実績に基づいて確立された社員教育システムや品質管理体制により、担当者による対応品質のばらつきも少なく、標準化された高水準のサービスを受けられる点も見逃せません。

このような充実したコンプライアンス体制と組織力を背景に、金融機関や他の不動産会社からの信頼も厚く、スムーズな売買取引の進行が期待できることから、初めて不動産売却を検討される方にとっても心強いパートナーとなるでしょう。

買主からの認知度が高い

大手不動産会社の圧倒的な強みとして挙げられるのが、長年の広告宣伝活動を通じて築き上げた高い企業認知度です。

テレビCMや電車の車内広告、インターネット広告など、様々な媒体での継続的な露出により、一般消費者からの認知度と信頼性が非常に高く、物件を探している買主からの問い合わせも自然と集まりやすい環境が整っています。
特に、自社運営の不動産ポータルサイトでは、物件情報の掲載位置や表示方法を戦略的に設定できることから、より効果的な集客が可能となっています。

また、こうしたブランド力を活かした独自の販売戦略も大きな特徴で、住宅ローンの金利優遇や仲介手数料の割引キャンペーン、さらには、家具付き販売や引っ越しサービスとのパッケージ提案など、買主にとって魅力的な付加価値を提供できることも売却活動を有利に進められる要因となっています。
加えて、大手不動産会社の物件という安心感から、不動産投資家や法人顧客といった優良な買主層からの引き合いも期待でき、幅広い購入層へのアプローチが可能となることで、売却までの期間短縮にも寄与する可能性が高いと言えるでしょう。

大手不動産会社を選ぶデメリット

大手不動産会社は全国規模のネットワークと豊富な実績を持つ一方で、その規模や組織体制ゆえの課題も存在します。
特に、画一的なサービス提供や担当者の裁量が限られるといった特徴は、売主にとって不利に働く可能性があります。
また、組織の規模が大きいがゆえに、意思決定に時間がかかるといったことも考えられます。
売却を検討する際は、以下のようなデメリットもしっかりと把握した上で、自身の状況に照らし合わせて判断することが重要です。

両手仲介になりやすい

大手不動産会社における注意点として特に意識しておきたいのが、両手仲介となるケースが多い点です。

両手仲介とは、売主と買主の両方から仲介手数料をいただく取引形態のことで、大手不動産会社では、自社ネットワークを活用して買主を見つけ出そうとする営業方針が一般的となっています。
両手仲介は一見効率的に思えるものの、売主にとっては必ずしもベストな選択とは限らないケースがあります。

具体的には、自社の利益を優先するあまり、他社からより好条件の買付け申し込みがあっても、自社の顧客を優先して紹介する場合があり、結果として売主様とってのベストプライスでの売却機会を逃してしまう可能性が生じます。
また、同一の不動産会社が売主と買主の両方の利害を代表することになるため、価格交渉や契約条件の調整において中立的な立場を取らざるを得ず、売主の立場に立った強い価格交渉や条件交渉が行われにくいという側面もあります。
さらに、両手仲介の場合、売主側の要望や事情を買主に十分に伝えきれないことも懸念され、特に売却急務の場合や希望売却価格にこだわりがある場合などは、売主の意向が適切に反映されないリスクも考慮に入れる必要があるでしょう。

対応案件数が多いため手厚い対応が難しい

大手不動産会社におけるデメリットの一つとして挙げられるのが、担当者一人あたりの抱える案件数の多さに起因するサービス面での制約です。
大手不動産会社の営業担当者は、同時期に10件から20件程度の物件を並行して担当することも珍しくなく、この業務量の多さが個々の案件に対する十分な時間の確保を困難にしています。

例えば、内見の立ち会いや近隣挨拶への同行といった細やかなサービスのリクエストに対して、担当者のスケジュール調整が難しく、売主の希望する日時での対応ができないケースも少なくありません。
また、マニュアルに基づいた画一的な対応が基本となるため、売主個別の事情や急な要望に対して柔軟な対応を取ることが難しく、特に夜間や休日における緊急の連絡対応なども期待しづらい状況となっています。
さらに、担当者の異動や部署移動が定期的に行われる社内制度により、売却活動の途中で担当者が変更となるケースもあり、その際には それまでの経緯や売主の要望を、新たな担当者に十分に引き継げないリスクも存在します。

このように、組織の規模が大きいがゆえの対応の硬直性は、特にきめ細かなサービスや融通の利く対応を重視される売主にとっては、検討すべき重要なポイントとなるでしょう。

難しい条件などは断られるケースがある

大手不動産会社特有の課題として看過できないのが、標準的なマニュアルに沿った対応が基本となるため、一般的な取引の枠を超えるような案件では対応を見送られる可能性があるということです。

具体的には、権利関係が複雑な物件や古い建物の売却、相続に関連した複数名での共有物件、賃借人が存在する収益物件、土地の境界が未確定の物件など、取引完了までに多くの時間や労力を要する案件については、社内基準に基づき対応を控えるケースが見受けられます。
これは、大手不動産会社が効率的な事業運営を重視する経営方針を取っていることが主な要因であり、担当者の裁量で柔軟に対応できる範囲が限定されているためです。

また、売却価格についても市場の標準的な相場観から大きく外れる価格設定や、買主の資金計画に関して住宅ローンの審査が通りにくいと判断されるケース、建物の法的不適合や未登記の増改築が存在するような物件についても、リスク回避の観点から積極的な対応を避ける傾向にあります。

このように、大手不動産会社では一定の基準やルールに基づいた案件選定が行われることから、物件や取引条件に何らかの特殊性がある場合には、事前に十分な確認と相談を行うことが望ましいでしょう。

地元不動産会社のメリット

地域に密着して営業活動を行う地元不動産会社には、大手にはない独自の強みがあります。
地域の特性を熟知し、地元ならではの細やかなサービスを提供できることは、売主にとって大きなアドバンテージとなります。
また、意思決定が早く、柔軟な対応が可能なため、売主のニーズに合わせた売却活動を展開しやすいという特徴があります。
ここからは、地元の不動産会社を選ぶことで得られるメリットをご紹介します。

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地域ならではの情報に精通している

地元の不動産会社の最大の強みは、長年の営業活動を通じて蓄積された地域固有の詳細な情報力です。
日々の営業活動の中で培われた地域との密接なつながりにより、統計データやオープンデータだけでは把握できないような、街の将来性や価値の変化を見通すことが可能となっています。

例えば、地域の再開発計画や新規商業施設の出店情報、学区再編の動きといった未公表段階の情報にもいち早くアクセスできる環境にあり、このような情報を適切に価格設定や販売戦略に反映させることができます。
また、地域住民との日常的な交流を通じて、どの年齢層がどのエリアに住みたがるのか、どの街区が子育て世帯に人気があるのか、地元住民がどのような住環境を望んでいるのかといった、実際の需要者ニーズを熟知しているのも大きな特徴です。
さらに、地域内の複数の物件を同時に扱っているケースが多いため、新築分譲や中古物件の売れ行き状況、成約価格の推移、値引き交渉の実態といった、リアルタイムの市場動向も把握しています。

地元不動産会社は、このような豊富な地域情報と経験に基づくことで、物件の魅力を最大限に引き出す価格設定が可能となり、地域特性に応じた効果的な販売戦略の立案が実現できるのです。
加えて、地域内の不動産業者間のネットワークを活用することで、相場情報の補完や物件情報の共有も円滑に行われ、より精度の高い市場分析と販売活動が展開できる点も見逃せないメリットとなっています。

片手仲介になりやすい

地元不動産会社の特徴として注目すべきなのが、片手仲介での取引が主流となる点です。

片手仲介とは、売主側の仲介業者と買主側の仲介業者が異なる取引形態のことを指し、この方式では地元不動産会社は徹底して売主の利益を追求することが可能となります。
具体的には、売主から預かった物件情報を地域内の他の不動産会社と積極的に共有し、それぞれの不動産会社が持つ買主へと、幅広く物件を紹介してもらう環境が整います。
複数の不動産会社が買主を探す構図となることで、より多くの購入検討者の中から条件の良い買主を見つけ出せる可能性が高まり、結果として売主にとって有利な条件での売却が実現しやすくなります。

また、価格交渉の場面においても、地元不動産会社は売主の代理人として買主側とより踏み込んだ交渉を行うことができ、物件の魅力や希少価値をしっかりと主張しながら、売主の希望価格により近い金額での成約を目指すことができます。
さらに、決済条件や引き渡し時期の調整においても、売主のご事情を優先した交渉が可能となり、例えば、売主の転居時期に合わせた引き渡し時期の設定や、リフォーム費用の負担に関する条件交渉なども、売主の立場に立って進めることができます。

このように、片手仲介という形態を活かすことで、売却における様々な場面で売主の利益を最優先した対応が期待でき、特に売却条件にこだわりをお持ちの方にとっては、大きなメリットとなるでしょう。

商圏エリアで見込み客を抱えていることが多い

地元の不動産会社の強みとして特筆すべきは、日常的な営業活動を通じて構築された、地域内の潜在的な購入希望者とのつながりです。

地域密着型の営業スタイルにより、地元在住の方の住み替えニーズや、親世帯との近居を希望する子育て世帯の要望、さらには地元企業の社宅需要など、具体的かつ切実な購入ニーズを直接把握できる立場にあります。
これらの情報は、単なるデータベース上の顧客情報とは異なり、購入希望者の具体的な条件や予算、住まい選びの優先順位まで詳細に把握できているため、物件が出た際の迅速なマッチングが可能となります。

また、地域内での転勤や転職に伴う住み替え情報なども、不動産会社の店頭や地域のネットワークを通じていち早くキャッチできることから、広告を出す前の段階で適切な購入見込み客を紹介できるケースも少なくありません。
さらに、地域内の企業や学校、病院などの機関とも密接な関係を築いていることが多く、新規の従業員や学生、医療従事者などの住まい探しニーズにもタイムリーに対応できる体制が整っています。

地域に根差した営業活動によって築き上げられた鮮度の高い買主情報を活用することで、効率的な物件紹介が可能となり、特に早期売却を希望される売主にとっては心強いメリットとなるでしょう。
加えて、購入見込み客の具体的なニーズを事前に把握できていることから、物件の価格設定や販売戦略においても、より的確な判断が可能となり、成約までの期間短縮にも貢献することが期待できます。

会社が休みの日や、遅い時間でも連絡が取れて対応してくれることがある

地元の不動産会社が持つ魅力的な特徴の一つが、組織の機動力を活かした柔軟な対応力です。
大手不動産会社のような複雑な組織階層や意思決定プロセスを持たないため、売主からの要望に対して迅速かつ柔軟な対応が可能となっています。

例えば、突発的に発生した物件の確認依頼や、夜間・休日における内見の立ち会い要請、さらには緊急の書類提出といった場面でも、担当者や代表者の判断で即座に対応できることが多く、売却活動をスムーズに進める上で大きな強みとなっています。
また、多くの地元不動産会社では、社員が地域内や近隣に居住していることから、緊急時の現地立ち会いにも素早く対応できる体制が自然と整っているのも特徴です。
担当者の携帯電話番号を直接共有できるケースも多く、LINE等のメッセージツールを活用した気軽な相談や情報共有も可能となっており、売主とのコミュニケーションをより密に取れる環境が整っています。
加えて、決裁権限を持つ代表者と直接相談できる機会も多いため、価格改定の判断や売却条件の変更といった重要な意思決定も、状況に応じて迅速に行うことができます。

このような機動力の高さは、例えば、相続に関連した売却での税務署への提出書類の確認や、買主からの突然の条件変更要請への対応など、予期せぬ事態が発生した際にも特に威力を発揮し、売却活動全体をスムーズに進める上で大きな安心材料となるでしょう。

地元不動産会社のデメリット

地元の不動産会社は地域密着型のサービスを提供する一方で、企業規模や経営資源の面で大手との差が生じることは否めません。
特に、広告宣伝力や情報発信力において制限があり、企業によってサービス品質にばらつきが見られることもあります。
また、人員体制や社内の教育システムが十分でない場合もあるため、対応力に不安を感じる売主もいらっしゃるでしょう。
ここからは、地元不動産会社を選ぶ際に考慮すべき課題や注意点について解説していきます。

大手に比べて認知度が低い

地元の不動産会社のデメリットとして挙げられるのが、大手不動産会社と比較した際の知名度やブランド力の差です。

これは、単に会社の規模や歴史の違いだけでなく、広告宣伝に投じることのできる予算規模の違いに起因する部分が大きく、テレビCMや電車の中吊り広告、大規模なWebプロモーションといった広域での認知度向上施策を積極的に展開することが難しい状況にあります。
広告宣伝力の制約は、特に地域外からの移住者や投資目的の購入者といった、より広いエリアからの買主獲得において不利に働く可能性があります。

不動産ポータルサイトへの物件掲載においても、より上位での表示位置を確保するための広告費用負担が限られるため、閲覧者の目に留まりにくいというデメリットが生じることもあります。
一般的な購入検討者の多くは、まず知名度の高い大手不動産会社への問い合わせを優先する傾向にあることから、魅力的な購入希望者との出会いが遅れてしまうケースも考えられるでしょう。

このような状況を補うため、多くの地元不動産会社では地域の不動産会社同士でネットワークを形成し、物件情報を共有することで集客力の向上を図っているほか、特定のエリアや物件タイプに特化した専門性を打ち出すことで、独自の価値提供を目指しています。
さらに、SNSを活用した情報発信やローカルメディアとの連携強化など、限られた予算の中で効果的な認知度向上策を模索する動きも見られます。

ただし、このような対策を講じても大手不動産会社との認知度の差を完全に埋めることは難しく、大手のブランド力を重視される売主にとっては、検討すべきポイントの一つとなるでしょう。

担当者によってサービスのクオリティが変わる

地元の不動産会社における注意すべき課題の一つとして、サービス品質の個人依存性が挙げられます。
地元不動産会社では、大手不動産会社のような体系的な研修制度や標準化されたマニュアル体制が十分に整備されていないケースが多く、結果として提供されるサービスの質が担当者個人の経験や能力に大きく左右される傾向にあります。

例えば、不動産取引に関する法律知識や税務上の留意点、重要事項説明の内容理解、適切な価格設定の根拠説明といった専門的な対応において、担当者間で説明の深さや正確性に差が生じることがあります。
物件の魅力を引き出すための写真撮影技術や広告作成能力、買主との価格交渉力といった実務的なスキルについても、個々の担当者が独自に培ってきた経験値に依存する部分が大きく、必ずしも一定水準のサービスを担保できない可能性も否定できません。
そして、急な人事異動や退職による担当者の交代があった場合、これまでの経緯や売主との信頼関係を適切に引き継げないリスクも存在します。

このような状況は、特に複雑な権利関係を伴う物件や相続絡みの案件、買主との綿密な条件調整が必要なケースにおいて、取引の円滑な進行に影響を及ぼす可能性があります。
不動産業界特有の専門用語や取引慣習について、売主にわかりやすく説明する能力も担当者によって差があり、スムーズなコミュニケーションが図れない場合もあるでしょう。

このため、地元不動産会社を選択する際には、可能な限り担当予定者との事前面談を行い、その対応力や専門知識、コミュニケーション能力などを直接確認することが望ましいと言えます。

不動産会社によっては宣伝力が弱い

地元の不動産会社は、広告予算が限られているために物件の露出度を高めることが難しい場合があり、特に、不動産ポータルサイトへの掲載プランが基本的なものに限定されることで、写真掲載数が少なくなったり、掲載順位が下がってしまうといった課題があります。

また、自社ホームページの開設や更新にかけられる予算も限られており、物件情報の発信力という点では大手不動産会社との差が顕著になることも少なくありません。
チラシやDMといった従来型の販促ツールについても、制作費や配布費用の関係から十分な展開ができないケースが見られ、結果として物件の認知度向上に時間がかかってしまう可能性があります。

ただし、これらの課題に対して、地域密着型の営業活動やSNSの積極活用、地元情報誌とのタイアップなど、予算を抑えながらも効果的な代替手段を模索している不動産会社も増えてきているため、各社の具体的な宣伝戦略や過去の売却実績などを詳しく確認することをおすすめします。

不動産売却先を決めるときの判断基準

不動産の売却は、売主にとって人生の大きな決断の一つであり、その成否は将来の生活設計にも大きな影響を及ぼします。
そのため、不動産会社の選定は特に慎重な判断が求められ、売主の意向や物件の特性を十分に理解し、最適な売却戦略を提案できるパートナーを見つけることが重要となります。

単に大手か地元かという選択だけでなく、より具体的かつ実践的な基準で不動産会社を評価することで、本当に信頼できるパートナーを見極めることができます。
物件調査の綿密さや価格設定の根拠、販売戦略の具体性、そして担当者の経験値や専門知識などは、売却活動の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

ここからは、不動産会社を選ぶ際の重要なポイントと、各項目をチェックする際の具体的な着眼点をご説明します。
これから解説する判断基準は、売主が安心して任せられる不動産会社を選定するための実践的な指針となるはずです。

査定金額に根拠はあるか?

不動産の売却において最も重要な判断材料となる査定金額については、その算出根拠を明確に説明できることが不可欠であり、この点は不動産会社の専門性と誠実さを測る重要な指標となります。
信頼できる不動産会社では、近隣の取引事例や市場動向はもちろんのこと、物件の立地特性や建物の築年数、維持管理状態、さらには周辺の再開発計画なども総合的に考慮した上で、説得力のある査定価格を導き出しています。

注目すべきは取引事例の選定方法であり、単に近隣というだけでなく、対象物件と規模や間取り、築年数などの条件が近いものを適切に選んでいるかどうかが重要なポイントとなります。
地域の将来性や市場環境の変化なども加味し、中長期的な視点からも価格の妥当性を検証しているかどうかも、不動産会社の査定能力を判断する上で欠かせない要素といえるでしょう。

優良な不動産会社の特徴として、現地での丁寧な物件調査を実施した上で、エリアごとの需要と供給のバランスや取引動向を分析し、将来的な市場の変化も予測しながら価格を算出している点が挙げられます。査定時には、図表やグラフを効果的に活用しながら、専門知識を持たない売主に対してもわかりやすい説明を心がけており、このような丁寧な対応は、不動産会社の信頼性を示す重要な証となります。

このように、根拠に基づいた適切な価格設定があってこそ、効果的な販売活動が可能となり、スムーズな売却へとつながっていきます。
そのために査定時の説明内容や提示資料の充実度、さらには担当者の知識、説明能力は、不動産会社選びにおける重要な判断基準として位置づけられるのです。
売主の大切な資産を最大限に活かすためにも、この点については特に慎重な見極めが必要となるでしょう。

レスポンスは早いか?

不動産取引における担当者とのコミュニケーションは、売却活動の成否を左右する重要な要素であり、特に、初期段階での対応の早さや丁寧さは、その後の取引全体の進行を予測する上で非常に参考になります。

とりわけ査定依頼への返答スピードや物件調査の日程調整、資料の提出などにおける機動力は、不動産会社の基本的な業務品質を測る重要な指標となりますが、単なる返信の早さだけでなく、提案内容の具体性や説明の分かりやすさといったコミュニケーションの質も注視すべきポイントです。

優良な不動産会社では、売主からの問い合わせに対して担当者不在時でも組織的なバックアップ体制を整えており、休日や夜間の急な相談にも柔軟に対応できる体制を構築しています。
また、物件売却においては予期せぬ事態や緊急の判断を要する場面も少なくないため、担当者や組織の危機対応力を見極める意味でも、初期段階でのレスポンスの質は非常に重要な判断材料となります。

売却活動が始まってからは、内見予約の連絡や購入検討者からの反応、市場環境の変化などの情報共有が必要となりますが、特に重要なのは、売主の不安や疑問に対する専門的知識に基づいた適切なアドバイスを、状況に応じて迅速に提供できる対応力です。
物件価値を最大化するためのマーケティング戦略や価格調整の提案なども、タイミングを逃さず適切に行われることが望ましく、そのためにも日常的な情報交換や報告体制が確立されていることが重要です。

さらに、購入検討者との価格交渉段階においては、市場状況や買主の反応を踏まえた戦略的なアドバイスが必要となりますが、このような重要な局面での対応の遅れは、売却価格や条件面での不利益につながる可能性があります。
そのため、日々のコミュニケーションにおける対応品質は、最終的な取引結果を大きく左右する要素として捉えるべきであり、複数の不動産会社を比較検討する際には、この点を特に重視して各社の対応品質を見極めることをおすすめします。

このように、不動産会社選びにおけるレスポンスの評価は、単なる対応の速さだけでなく、提案内容の質や組織的なサポート体制、そして売主の立場に立った親身な対応姿勢など、多角的な視点から総合的に判断することが望ましいと言えます。

売却エリアでの実績はあるか?

対象エリアでの具体的な取引実績は、その不動産会社の地域における信頼性と経験を示す重要な要素であり、特に地域特有の相場観や購入者ニーズの把握という点で大きな意味を持ちます。
優良な不動産会社では、過去の取引事例について具体的な成約価格や販売期間、購入者の属性分析などの情報を体系的に蓄積しており、それらのデータを基に物件の市場性を的確に判断し、効果的な販売戦略を組み立てることが可能となっています。

特に重要なのは、その地域における経年的な価格変動の傾向や、季節要因による売買動向の変化、地域特有の購入者層の特徴など、統計データだけでは把握できない実務的な知見を有しているかどうかという点です。
エリアでの豊富な取引実績は、地域の町内会や自治会との良好な関係構築にもつながっており、物件周辺の公共施設の利用状況や地域コミュニティの特性、通学路の安全性、さらには今後の再開発計画や区画整理事業などの将来的な環境変化も含めた詳細な情報提供が期待できます。

加えて、取引実績の多さは地域の金融機関や不動産鑑定士、司法書士といった専門家とのネットワークの広さにも反映されており、売却時の各種手続きをスムーズに進められる体制が整っているかどうかを判断する重要な材料となります。
特に、地域金融機関との関係性は、購入者の資金計画や住宅ローンの審査をスムーズに進める上で大きなアドバンテージとなり、取引全体の成約確度を高めることにもつながります。

また、過去の取引実績は、その不動産会社が地域の様々な課題にどのように対応してきたかを知る手がかりにもなります。
例えば、古い建物の売却や権利関係の複雑な物件、立地条件に課題のある物件などについて、どのような販売戦略で成約に結び付けたのかという具体的な成功事例を持っているかどうかは、その会社の問題解決能力を測る重要な指標となります。

ただし、単純な取引件数だけでなく、対象物件と類似した条件での取引実績があるかどうかも重要なポイントとなりますので、具体的な成功事例やその際の販売手法について詳しく確認することをおすすめします。
特に、近年の実績については、コロナ禍による市場環境の変化や、テレワークの普及による住宅ニーズの変化なども考慮に入れた上で、現在の市場動向に即した販売戦略を提案できるかどうかを見極めることが大切です。

このように、売却エリアでの実績は、単なる取引件数の多さだけでなく、地域特性の理解度や専門家ネットワークの充実度、問題解決能力の高さなど、多面的な観点から評価することで、より適切な不動産会社選びにつながるものと考えられます。

集客力はあるか?

物件の広告展開力や買主とのネットワークの広さは、早期売却の可能性を左右する重要なポイントであり、特に現代の不動産取引においては、デジタルマーケティングを中心とした多角的なプロモーション戦略が求められています。
優良な不動産会社では、SUUMOやHOME’S、アットホームなどの主要な不動産ポータルサイトへの戦略的な掲載はもちろんのこと、自社ホームページやSNSでの効果的な情報発信、さらには物件チラシやDM、新聞折込など従来型の販促活動も組み合わせた総合的な集客戦略を展開しています。

インターネット広告においては、物件の魅力を最大限に引き出す高品質な写真撮影や、没入感のある360度パノラマ画像、ドローン撮影による周辺環境の紹介など、先進的な技術を活用した訴求力の高いコンテンツ制作が増えてきています。
物件特徴のキーワード分析に基づいたSEO対策(検索エンジンの最適化)や、ターゲット層に応じた広告出稿戦略、さらにはリスティング広告やSNS広告などのデジタルマーケティング施策を効果的に活用できる体制が整っているかどうかも、重要な評価ポイントとなるでしょう。

また、不動産会社独自の会員組織や法人提携先との情報共有システムの充実度も見逃せない要素です。
特に、企業の福利厚生担当部署や各種共済組合、地域の有力企業などとの提携ネットワークは、一般的な広告では接触が難しい優良な購入者層へのアプローチを可能にする重要なチャネルとなります。
過去の購入者や問い合わせ顧客へのきめ細かなフォローアップ体制も、リピート購入や紹介案件につながる可能性を高める重要な要素となっています。

近年では、バーチャルホームステージングを活用した内装イメージの可視化や、オンライン内見システムの導入など、テクノロジーを活用した新しい販売手法にも注目が集まっています。
革新的なアプローチを積極的に取り入れ、購入検討者の利便性を高める取り組みができているかどうかも、不動産会社の集客力を評価する上で重要な判断材料となるでしょう。

このように、各社の集客力を評価する際には、具体的な集客方法や想定ターゲット層、さらには過去の類似物件における反響数や内見件数なども詳しく確認しながら、従来型の販促活動とデジタルマーケティング、両面での展開力を総合的に判断することをおすすめします。
特に、物件の特性や価格帯に応じた戦略的なアプローチが提案できる不動産会社を選ぶことで、より効果的な販売活動につながるものと考えられます。

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よくある質問

これまで、大手と地元不動産会社のメリット・デメリットについて確認してきました。
ここでは、よくある疑問とその回答をQ&A形式でまとめ、さらに両社を比較、深掘りしていきましょう。

質問①大手と地元不動産どちらも迷ってて決めれない

不動産売却の際、大手か地元の不動産会社のどちらに依頼するべきか、決断できないケースは多いようです。
一概に判断するのは難しいかもしれませんが、一つの選択肢として、複数の不動産会社に依頼する「一般媒介契約」があることをご説明します。

迷ったら1社だけに決める必要はない(一般媒介)

どうしても大手と地元のどちらに依頼するか決めかねる場合の選択肢として、複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約という方法があります。
一般媒介契約を活用することで、大手の持つ広域での高い集客力と、地元不動産会社ならではの地域密着型の細やかな対応という、それぞれの強みを組み合わせた売却活動が可能となります。

一般媒介契約では、各社が持つ独自の顧客ネットワークや販売ノウハウを活用できることから、より多くの購入検討者へのアプローチが期待できます。
また、それぞれの不動産会社が提示する査定価格や販売戦略を比較検討できることも、一つの判断材料として有効です。

しかしながら、一般媒介契約には慎重に検討すべき課題もあります。
最も大きな課題は、専任媒介契約と比べて各社の取り組み意欲が低下する可能性があることです。
他社でも取り扱っている物件ということで、広告宣伝費用の投資や営業活動の優先度が下がりがちとなり、結果として効果的な販売活動が行われにくくなるケースがあります。

また、内見予約の調整や購入検討者からの問い合わせ対応、価格交渉の段階では、各社の活動状況を正確に把握し管理する必要があり、売主の負担が大きくなる傾向があります。
特に、複数の不動産会社が同時に活動することで、購入検討者に混乱を与えたり、効率的な価格交渉の妨げとなったりするケースも少なくありません。

そのため、通常は信頼できる1社を選んで専任媒介契約を結ぶことをおすすめしていますが、それでもなお大手と地元のどちらかに決めかねる場合の代替案として、一般媒介契約を検討することも一つの選択肢となります。
その際は、取りまとめ役となる不動産会社を1社決めておき、他社との連携窓口として活用するなど、混乱を最小限に抑えるための工夫が必要となります。

結論として、一般媒介契約は決して最適な選択肢とは言えませんが、諸条件を十分に理解した上で、自身の状況に応じて検討することは可能です。
ただし、売却活動を効果的に進める上では、最終的に信頼できる1社を選定し、その不動産会社と強固な協力関係を築いていくことが、より望ましい選択となるでしょう。

質問②仲介手数料など値引きがしやすいのはどっち?

不動産の売却にあたっては、仲介手数料をはじめとした諸条件の交渉が重要なポイントとなります。
この点については、地元の不動産会社と大手企業では、その傾向に違いがあることがわかっています。

地元の不動産会社の方が諸条件の交渉がしやすい

地元の不動産会社は組織の意思決定が早く柔軟な対応が可能なため、仲介手数料や販売手法、契約条件などについて、売主の要望に沿った交渉がしやすい傾向にあります。
特に、経営者や責任者との直接的なコミュニケーションが取りやすい環境では、画一的なマニュアルにとらわれることなく、物件の特性や売主様の事情に応じた柔軟な提案を引き出すことができます。

また、地域密着型の営業を展開している不動産会社では、長期的な信頼関係の構築を重視する傾向が強く、単発の取引としてではなく、将来的な取引や地域での評判も考慮した上で、より良好な条件での折り合いを検討してくれることも期待できます。
仲介手数料以外にも、リフォームやクリーニングなどの付随サービスについても、地元の業者とのネットワークを活かした費用面での優遇や、売主の希望に合わせた細やかな調整が可能となるケースが多く見られます。

ただし、交渉の際には、提示された条件と提供されるサービスの内容をしっかりと比較検討することが重要であり、特に値引きによってサービス品質が低下しないよう、具体的な業務内容や実施体制についても確認しておくことをおすすめします。
丁寧な事前確認と率直な条件交渉を通じて、双方にとって納得のいく取引関係を築くことが、スムーズな売却活動につながります。

まとめ

今回は、不動産売却における大手と地元の不動産会社それぞれの特徴や、適切な選び方について詳しくご紹介してまいりました。

不動産の売却は、多くの方にとって人生における重要な資産の取引となるため、不動産会社の選定は慎重に行う必要があります。
それぞれの不動産会社には独自の強みがあり、その特徴を十分に理解した上で、最適な不動産会社を選択することが重要です。

また、不動産売却は比較的長期にわたる重要な取引となるため、複数の不動産会社に相談することで、それぞれの提案内容や対応の質を比較検討することをおすすめします。
その際は、査定価格の根拠や販売戦略の具体性はもちろんのこと、担当者との相性や信頼関係の構築しやすさなども、重要な判断材料となるでしょう。

このような不動産売却に関するお悩みやご相談については、豊富な経験と確かな実績を持つ「恵比寿不動産」が、お客様の立場に立って丁寧にサポートさせていただきます。
当社では、単なる物件査定だけでなく、売却計画の立案から税務上の影響分析、将来を見据えた資金計画のアドバイスまで、経験豊富な専門スタッフが総合的にサポートいたします。

特に当社は、長年にわたり地域に密着した営業活動を行ってきた実績から、地域特性を熟知した的確な価格設定と、豊富な顧客ネットワークを活かした効果的な販売戦略をご提案することが可能です。
皆様の大切な資産の売却を、最適な形で実現できるよう全力でサポートさせていただきますので、不動産売却をお考えの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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檜垣知宏:宅地建物取引士

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。 不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。

保有資格:宅地建物取引士